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病  院  船

ドキュメント内 08flN7„”“ƒ†E…O…›…r…A.QX (ページ 73-87)

(代議員・東海市民病院 院長・愛知)  

千木良  晴ひこ

 いつものことだが,地震や今回の新型イン フルエンザ発生などの大規模災害が起こるた びに,被災者ならびに患者の救済に「病院船 で対応しよう」という発想が出てきても良い のではないかと思う。

 1995年の阪神大震災時に,アメリカから

「空母を病院船として被災者の救助に」との 申し出があったが,当時の村山内閣はこれを 断ってしまった。被災者は冬の寒空の中で過 ごさなければならず,高齢者などにとっては さぞかし辛い生活であったことだろう。なお,

空母は3,000人の収容が可能であったという。

自衛隊への救援出動要請も含め,行政トップ の判断の誤りや対応の遅れは多くの人命を奪 ってしまった。石原都知事の「天災ではなく 人災だ」との発言にも端的に表れている。

 逆に,2007年の新潟県中越沖地震は夏の暑 い気候であり,狭い車の中での居住や貧弱な 避難所における脱水症状などから,いわゆる エコノミー症候群で亡くなる被災者も続出し た。これも政府が大型客船などをチャーター して「病院船」として新潟港沖合いにでも停 泊させ被災者の救済に当たっていたらと思う。

 そして,今回の新型インフルエンザである。

幸いにして弱毒性で死亡者は現在のところ出 てはいない。しかし,SARSのように死亡率 の高いインフルエンザでは,今回のように関 西を中心とした大多数の患者発生には現体制 の病院では隔離機能などはなく,感染拡大に おいては無防備となる。この点,「病院船」を 停泊させ,多くの感染患者を収容できれば隔

離による感染拡大の予防には大いに役立つと 思われるが如何だろう。

 今後,予想される大規模災害は東海,東南 海大地震のみならず鳥インフルエンザなどの 致死性の高い感染症,さらには考えたくはな いが,北朝鮮有事における大量難民の発生な どである。

 「病院船」は高度医療ができる機器とスタ ッフが必要であり,また輸送にはヘリコプタ ーなどの装備も必要であろう。無論,非常時 のみであり経済効率は極めて低く,維持管理 費も膨大となるだろうが,いまの日本の経済 力からして決して不可能なことではないと思 う。2004年に起きたスマトラ沖地震による インド洋大津波の際に活躍したアメリカのマ ーシー級病院船(1,000床のベッドを保有)

の規模まではいかなくても,「病院船」を欧米 先進国が保有して活躍している実例を見るに つけ,日本のように周囲海に囲まれている島 国には迅速に移動可能な「病院船」が極めて 有効と思われる。

 ここは知恵を絞って日本にも「病院船」を 是非とも実現して欲しいものである。

透析施設における 新型インフルエンザ対策

(理事・広島県透析連絡協議会会長, 

医療法人あかね会 土谷総合病院 理事長・広島)  

土谷  晋一郎

 現在,新型インフルエンザに係る医療体制 としては,第二段階の「国内発生早期」にあ るとして,「発熱相談センター」を通じた発熱 患者等を「発熱外来」で診療するという,主 として感染の拡大抑止を主眼とした医療体制 が,各都道府県において敷かれています。広 島県においても感染症指定医療機関2施設,

感染症協力医療施設(発熱外来)12施設が定 められました。

 今後は,第三段階の「感染拡大期」・「まん 延期」への移行をも見据えた医療体制の整備 が急務となっております。発熱患者の過度な 集中による発熱外来の破綻を回避し,すべて の医療機関で発熱患者が受診する可能性のあ る「まん延期」の医療体制への円滑な移行に 備えるため,広島県では,健康福祉局から,

「発熱外来」や「発熱外来支援医療機関」へ の参加について,県内の医療機関に対し,協 力依頼がなされました。

 広島県で透析医療を行なう医療施設の大半

(計81施設)が,広島県透析連絡協議会に加 入しております。本年5月22日には,広島県 腎友会(広島県の透析患者団体)から,広島 県透析連絡協議会あてに,透析患者の不安を 強く訴える要望書が届けられました。透析患 者は,感染があろうとなかろうと,週3回医 療施設にて透析を受けなければなりません。

新型インフルエンザの「感染拡大期」・「まん 延期」においても,自宅で安静療養するわけ にはいきません。感染時にも透析できる入院 施設の確保,入院施設が確保できない場合の

発熱時の通院手段等,透析患者特有の不安が あります。さらに,透析医療施設からも,新 型インフルエンザまん延期にどのように透析 医療を行うか,また,行政から支援が得られ るのか,などの問い合わせが相次いでいます。

 末期腎不全患者では,細胞性免疫,リンパ 球機能,好中球機能のいずれも低下しており,

易感染性状態にあります。本日(2009年6月 19日)も,広島県透析連絡協議会と広島県腎 友会とで,県に協議に行ったところでありま す。透析施設会員からは「県から透析施設に 対し具体的な対応策を示して欲しい」という 要望があります。しかしながら,行政の方か らは,お互いに知恵をしぼろうという返事で ありました。今年の秋以降,新型インフルエ ンザの流行が本格化する可能性が非常に高い,

と言われております。年内には新型インフル エンザワクチンが2,500万人分製造されると 報道されており,一刻も早いワクチン増産が 待たれるところであります。感染予防を徹底 するという基本をふまえた上で,秋以降どう 対処するか,この夏早急に検討したいと考え ております。

老いのまさに至らんとする を知らざるのみ

(常任理事・(財)操風会 岡山旭東病院 院長・岡山)  

土井 章弘

 女性は平均年齢87歳・男性79歳となり,

世間では老いるショック(オイルショック), 痴呆の時代(地方の時代)と騒いでいます。

冷静に考えてみると,秦の始皇帝(2,200年 前)も不老長寿を願って「徐福」を送って日 本に仙薬を求めたとの言い伝えがありますが,

私達が求めていた長寿社会が到来したと喜ん でいいのではないかと思います。私達は物質 の豊かな国を目指してきましたが,これから の時代は幸せの国を目指して生きたいもので す。国民の半数が,癌に罹患し,「認知症」も 高齢化が進むと増加する時代です。食生活は,

1970年に大阪万国博覧会の頃から,ケンタッ キーフライドチキン,マクドナルドハンバー ガー等を代表として欧米流の食文化が入って きました。その結果,次第に栄養過多になり,

それに伴いメタボリック症候群が国民の関心 事になり,国の威信を掛けての,検診事業が 始まりました。もちろん,成果が出れば,世 界から評価されるでありましょう。

 健康管理・食生活の改善も大切ですが,人 間の生き方も健康維持に大切ではないかと思 います。心は体の主人公,心が体を動かすな ど良い言葉があります。

 貝原益軒先生(1630〜1714年;江戸中期の 漢方医)の養生訓を読んで,昔から養生して いた人がいたに違いないことがわかります。

私が好きな言葉に「老いては,1日を10日と し,10日を100日として,喜楽して,あだ日を おくるべからず」などは今日でも素晴らしい 生き方だと思います。孔子(紀元前500年)

の弟子が書き残した論語にもヒントがありま す。井上靖著の『孔子』からの引用です。

 中国は紀元前500年の昔,戦国乱世に明け 暮れる,春秋戦国時代。孔子一行が,中原遊 説放浪の旅の途次,とある町の市長さんにあ たる人が,弟子の子路に聞いた。お前さんの 師・孔子とはどんな人であるかと。しかし,

子路は答えられなかった。そうすると,孔子 は「子路や,お前さんは言わなかったのか。

このように言ってくれれば,よかったのでは ないか。(孔子はちょっと顔を和らげて), その人となりや, 憤 を発して食を忘れ,

いきどおり

楽しんで以って憂い忘れ,老いのまさに至ら んとするを知らざるのみ 私はまさしくこう した人間である。これ以上の人間でもないし,

これ以下の人間でもない」。

 毎日,理不尽なことがマスコミを通じて報 道される。これらの事に, 憤 を感じて,学

いきどおり

習し行動して,少しでも世の中が良くなるよ うに努力し,また,世の中には,善行をする 人も多く,世の中には良いことも多くあるこ とを聞いて,心を楽しませ,憂いを忘れて,

年を重ねるのも忘れる。孔子の生き方からも 多く学ぶことができます。「老いのまさに至 らんとするを知らざるのみ」こんな人生がま っとうできればいいなと思っています。

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