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疾患心臓を想定した心収縮性評価

ドキュメント内 局所性を考慮した 心収縮性の力学的評価 (ページ 74-79)

5章疾患心臓を想定した心収縮性評価

5 . 2解析結果および考察

5 ユ 1血液拍出量

5 . 1

および図

5

.2は,正常心モデルおよびAr

e a . 1

........ 

A r e a . 3

モデルにおける血液拍出 量を示している.表

5 . 1

および図

5 . 2

において,

A r e a . 1

........ 

A r e a

.3モデ、ルを比較すると,最 大発生張力の低下の度合いが同じであれば血液拍出量は全モデルにおいて同程度の値 を示した.これによって,内層・中層・外層のどの層の発生張力が低下しでも,血液拍 出量に与える影響は,ほとんど変わらないことがわかった.

5 . 2 . 2ひずみ

本章においても,等容収縮末期における左心室の状態を基準として,各ひずみ成分 を算出した.ここで算出したひずみ成分は,円周方向・子午線方向の軸ひずみ (E()()・ Ezz)および左心室長軸まわりのせん断ひずみ (Eθl:)である.また前章と同様に,三次 元有限要素モデ、ルにおける 2段目の要素全てを解析領域として,各要素において算出さ れた各ひずみ成分を内層・中層・外層のそれぞれの層で平均した.

A r e a . l

モデル

5

.3は,

A r e a . 1

モデルの駆出末期における各ひずみ成分および正常心モデ、ノレに対す るその変化率を示している.図 5.3(a)において,最大発生張力がいずれの値において も,各層での円周方向ひずみの絶対値は減少して,その減少率は全層で、同程度で、あった.

これによって

A r e a . 1

モデルでは,円周方向への収縮量が全層において均一に減少する ことがわかった.図 5.3(b)において,最大発生張力がいずれの値においても,各層で の子午線方向ひずみの絶対値は減少して,その減少率は全層で、同程度で、あった.これに よって

A r e a 1

モデルでは,子午線方向への収縮量が全層において均一に減少することが わかった.図

5 . 3( c )

おいて,最大発生張力がいずれの値においても,各層でのせん断 ひずみは増加して,その増加率は内層でとくに大きな値を示した.これによって

A r e a . 1

モデルでは,反時計回りのねじれが全層において強まり,それはとくに内層において顕 著であることがわかった.

A r e a . 2

モデル

5

.4は,

A r e a . 2

モデノレのa駆出末期における各ひずみ成分および、正常心モデ、ノレに対す るその変化率を示している.図5.4(a)において,最大発生張力がいずれの値において も,各層での円周方向ひずみの絶対値は減少して,その減少率は全層で、同程度で、あった.

これによって

A r e a

.2モデルでは,円周方向への収縮量が全層において均一に減少する ことがわかった.図5.4(b)において,最大発生張力がいずれの値においても,内層お よび中層での子午線方向ひずみの絶対値は増加して,その増加率は内層でとくに大きな 値を示した.これによって

A r e a

.2モデ、ルで、は,内層および中層において子午線方向へ

三重大学大学院 工学研究科 71 

第5章疾患心臓を想定した心収縮性評価

の収縮量が増加して,その増加率は内層において顕著で、あることがわかった.

• Area.3モデル

図5.5は, Area.3モデルの,駆出末期における各ひずみ成分および正常心モデ、ノレに対す るその変化率を示している.図5.5(a)において,最大発生張力が200あるいはOmmHg まで低下すると,各層での円周方向ひずみの絶対値は減少して,その減少率は全層で同 程度で、あった.これによって Area.3モデルでは,最大発生張力が大きく低下すると,

円周方向への収縮量が全層において均一に減少することがわかった.図 5.5(b)におい て,最大発生張力が 200あるいはOmmHgまで低下すると,各層での子午線方向ひずみ の絶対値は減少して,その減少率は外層でとくに大きな値を示した.これによって Area.3モデルで、は,最大発生張力が大きく低下すると,全層において子午線方向への収 縮量が減少して,その減少率は外層において顕著で、あることがわかった.図5.5(c)に おいて,最大発生張力が 200またはOmmHgまで低下すると,各層でのせん断ひずみの 絶対値は大きく減少して,その減少率は全層で同程度であった.これによって Area.3 モデルで、は,最大発生張力が大きく低下すると,反時計回りのねじれが全層において均 一に弱まることがわかった.

5 . 2 . 3

考察

Area.lモデルおよびArea.3モデ、ノレの解析結果によって,心筋内層あるいは心筋外層の 発生張力が大きく低下すると,子午線方向への収縮量は全層において減少することがわ かった.これに対して, Area.2モデ、ルの解析結果によって,心筋中層の発生張力が低下 すると,子午線方向への収縮量は全層において増加することがわかった.前章までに述 べたように,心筋を構成している心筋線維は,心基部から心尖部に向かつて螺旋状に配 向して,内層では時計方向に螺旋を描き,中層ではほぼ円周方向に,外層では反時計方 向に螺旋を描きながら配向している.心筋がこの配向方向に従って収縮すると仮定する と,心筋内層および心筋外層は子午線方向に支配的に,心筋中層は円周方向に支配的に 収縮すると考えられる.弾性体である心筋をある方向に引張ると,その引張ひずみの大 きさにポアソン比を掛けた大きさの圧縮ひずみが,その方向に垂直に発生する.すなわ ち,心筋は円周方向に収縮すると,その収縮量に応じて子午線方向に伸長する.また円 周方向への収縮量が減少すると,子午線方向への伸長量が減少する.伸長量の減少とは 言い替えると収縮量の増加である.したがって,心筋内層あるいは心筋外層の発生張力 が低下すると,その層の子午線方向の収縮量が減少して,心筋中層の発生張力が低下す ると,その層の子午線方向の収縮量が増加すると考えられる.

Arealモデ、ノレの解析結果によって,心筋内層の発生張力が低下すると,反時計回りの ねじれが全層において強まることがわかった.これに対して, Area.3モデ、ルの解析結果

三重大学大学院 工学研究科

7 2  

第5章疾患心臓を想定した心収縮性評価

によって,心筋外層の発生張力が低下すると,反時計回りのねじれが全層において弱ま ることがわかった.心筋が配向方向に従って収縮すると仮定すると,心筋内層の収縮は 反時計回りの回転を 心筋外層の収縮は時計回りの回転を生じる(図 5.6参照).した がって,心筋内層の発生張力が低下すると,その層における時計回りの回転が弱まるこ とによって,反時計回りのねじれが強まり,心筋外層の発生張力が低下すると,その層 における反時計回りの回転が弱まることによって,反時計回りのねじれが弱まると考え

られる.

これによって,上述の各疾患心臓モデルの解析結果は,解剖学的な心筋線維の配向構 造を如実に反映した結果であることがわかった.また以上の結果によって,子午線方向 ひずみおよび左心室長軸まわりのせん断ひずみが,疾患心臓の特異領域を局所的に特定 するための有用な力学量であることが示唆された.すなわち, tagging法による実計測 において,子午線方向ひずみおよびせん断ひずみを局所的に計測して,正常心の結果と 比較することによって,疾患心臓の特異領域を局所的に特定することが可能となる.

:最大学大学院 工学研究科 73 

5章疾患心臓を想定した心収縮性評価

図5.1疾患心臓モデルの概要

三重大学大学院 工学研究科 74 

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