7.4 まとめ
第
7
章 中層・高層・超高層の集住体における居住者の環境認知の比較分析■
7.1
はじめに前章では中層の集住体の集住体における居住者の環境認知との相互関係と高層の集 住体における居住者の環境認知を考察した。本章では、それをふまえ、同じ地域および 異なる住棟形式の居住者の環境認知の違いおよび場所が異なる集合住棟の集住体にお ける居住者の環境認知の違いについての考察を行う。
■
7.2
同じ街区の中層と高層の集住体における居住者の環境認知の比較分析前章で考察した中層の集住体の集住体における居住者の環境認知との相互関係と高 層の集住体における居住者の環境認知を比較し、同じ地域、異なる住棟形式の居住者の 環境認知の比較分析を行う。
■7.2.1認知領域および構成要素の形成
■7.2.1.1時系列上の認知領域の形成
4、5
章に示した通り、中層住棟の「近隣住民」「わたしのまち」「行動範囲」「にぎわい」の認知領域および高層住棟の「近隣住民」「にぎわい」の認知領域は幕張ベイタウ ン内における時系列上の初期に完成された中層沿道囲み型住棟の
6
つの街区(1番街~6
番街)のまとまりを中心に強い環境認知が形成されている。■7.2.1.2 日常生活圏における「行動範囲」、「わたしのまち」の環境認知の形成
「行動範囲」の認知領域について、4、5 章に示した通り、中層住棟の居住者は初期に 完成された
1
番街から6
番街までの住棟周辺を中心に海浜幕張駅、千葉マリンスタジア ムまで認知領域が広がっている。高層住棟の居住者は幕張ベイタウンの街区および幕張 海浜公園の領域認知度が高く、海浜幕張駅、千葉マリンスタジアムまで認知領域が広が っている。構成要素の構成について、図7.1
の示した通り、中層・高層住棟の居住者と もに、点的要素を中心に構成要素を挙げ、「散歩の範囲」「買い物の範囲」などの時間的 要素も多数挙げられている。「わたしのまち」の認知領域について、4、5 章に示した通り、中層住棟の居住者は初 期に完成された
1
番街から6
番街までの住棟および11
番街周辺を中心に海浜幕張駅、千葉マリンスタジアムまで認知領域が広がっている。高層住棟の居住者は幕張ベイタウ
Chapter 7 Study on Formation of Environmental Recognition of Residents in Collective Housing at
広がっている。構成要素の構成について、図
7.1
の示した通り、中層・高層住棟の居住 者ともに、面的要素および「よく行く場所」「生活の範囲」などの時間的要素を中心に 挙げている。■7.2.1.3自然環境における「身近な水辺」、「身近な緑地」の環境認知の形成
「身近な水辺」の認知領域について、4、5章に示した通り、中層・高層住棟の居住 者ともに幕張の浜、東京湾、花見川を中心に認知領域が広がっている。構成要素の構成 について、図
7.1
の示した通り、中層・高層住棟の居住者ともに、線的要素を中心に構 成要素を挙げている。その他、中層住棟の居住者は「潮の香り」「海風の匂い」などの 時間的要素も多数挙げられている。「身近な緑地」として、4、5章により幕張ベイタウンの中心部に立地する中層住棟の 居住者は幕張ベイタウン外の公園(幕張海浜公園-広域公園)を強く認知する傾向がみ られ、ベイタウン内にある
10
箇所の公園(近隣公園:3箇所,街区公園:7箇所)の内、打瀬
1
丁目公園(近隣公園)、打瀬2
丁目公園(近隣公園)のみ認知されている。また、高 層住棟においても幕張ベイタウン外の公園(幕張海浜公園-広域公園)を強く認知する 傾向がみられ、一方ベイタウン内にある公園の認知はみられない。構成要素の構成につ いて、図7.1
の示した通り、中層・高層住棟の居住者は点的要素を中心に構成要素を挙 げている。その他、中層住棟の居住者は「緑の多い場所」「森のイメージ」「イベント」などの時間的要素も多数挙げられている。
■7.2.1.4社会環境における「にぎわい」および「近隣住民」の環境認知の形成
①「にぎわい」の認知領域について、4、5 章により中層住棟の居住者は初期に完成さ れた
1
番街から6
番街の住棟周辺にある美浜プロムナード(商店街)を中心に海浜幕張 駅周辺も認知領域が広がっている。高層住棟の居住者は海浜幕張駅周辺を中心に美浜プ ロムナード(商店街)、マリンスタジアムに認知領域が広がっている。構成要素の構成 について、図7.1
の示した通り、中層・高層住棟の居住者ともに、点的・線的要素を中 心に構成要素を挙げている。その他、中層住棟の居住者は「祭り」「イベント会場」「人 通りの多い場所」などの時間的要素も多数挙げられている。②「近隣住民」の認知領域について、中層住棟の居住者は初期に完成された
1
番街から6
番街までの住棟周辺を中心に幕張ベイタウンの街区全体へ認知領域が広がっている。高層住棟の居住者は初期に完成された
1
番街から6
番街までの住棟周辺および高層住棟の周辺の道路を中心に幕張ベイタウンの街区全体へ認知領域が広がっている。構成要素 の構成について、図
7.1
の示した通り、中層・高層住棟の居住者ともに、点的・面的要 素を中心に構成要素を挙げ、「子供の付き合いの範囲」「よく会う範囲」「生活範囲」な どの時間的要素を多数挙げられている。図 7.1 認知領域の構成要素(範囲付け理由)に関する回答の割合
■7.2.2 環境認知の立体構成について
認知領域の階層による構成に関する分析から、中層・高層沿道囲み型住棟の環境認 知の立体構成を図
7.3
に示す。図7.1-ⅰは中層住棟、図 7. 3-の上は中層住棟と同じ階
層範囲である高層住棟(1F~6F)を示している。図7. 3
の下は高層住棟の7F~22F
を 示している。環境認知の実態圏域における立体構成を以下の通り各項目に示す。狭域:①にぎわい、②身近な緑地 中域:③「近隣住民」、④身近な水辺 広域:⑤わたしのまち、⑥行動範囲
① にぎわい:中層住棟は階層が下がるほど「にぎわい」の認知領域の広がりがみら
Chapter 7 Study on Formation of Environmental Recognition of Residents in Collective Housing at
広がりがみられる。中層住棟は道、中庭との近接関係に影響されていると考えら れる。高層住棟はベイタウンの外周に立地することから、「海浜幕張駅周辺」など 外周の認知項目を強く認知されている。これは居住階層の視界の範囲に影響され ていると考えられる(図
7.3-①)
。② 身近な緑地:中層住棟は階層が下がるほど「身近な緑地」の認知領域の広がりが みられる。一方で高層住棟(1F~6F)は階層が上がるほど「身近な緑地」の認知 領域の広がりがみられる。中層住棟は道、中庭との近接関係に影響されていると 考えられる。高層住棟はベイタウンの外周に立地することでベイタウンの周辺の 公園や緑地と住棟内の中庭との近接関係より階層の高さに影響されていると考え られる(図
7.3-②)
。③ 近隣住民:中層住棟は階層が下がるほど「近隣住民」の認知領域の広がりがみら れ、一方で高層住棟(1F~6F)は階層が上がるほど「近隣住民」の認知領域の広 がりがみられる。中層住棟は道、中庭との近接関係に影響され、高層住棟は範囲 付け理由の構成要素に明示された「友人宅」などの個人の人間関係のつながり度 に影響されていると考えられる(図
7.3-③)
。④ 身近な水辺:中層住棟は階層が下がるほど「身近な水辺」の認知領域の広がりが みられる。一方で高層住棟(1F~6F)は階層が上がるほど「身近な水辺」の認知 領域の広がりがみられる。中層住棟では、「身近な水辺」が「わたしのまち」と「行 動範囲」と重複している。高層住棟はベイタウンの外周に立地することで海や川 への距離が近いため、階層の高さの視界の範囲に影響されていると考えられる(図
7.3-④)
。⑤ わたしのまち:中層・高層住棟(1F~6F)共に階層が上がるほど認知領域の広が りがみられる。これらは、居住階層の高さによる視界の範囲に影響されていると 考えられる(図
7.3-⑤)
。⑥行動範囲:中層・高層住棟(1F~6F)共に
1F
および6F
に近いほど認知領域の広が りがみられる。これらは、道との近接関係に影響されている。そのほか、高層住棟は範 囲付け理由の構成要素に明示された「散歩の範囲」などの日常生活の行動にも影響され ていると考えられる(図7.3-⑥)
。■7.2.3 上下階(立体的)における「近隣住民」の認知領域
中層・高層住棟(1F~6F)は
3F~5F
において「近隣住民」としての上下階の「まと まり」がみられ、中層・高層住棟は共に同様の傾向がみられる。これらは、沿道囲み型 住棟の中庭による住棟内の上下階の空間(視界、音など)の開放性と広がりに影響され ていると考えられる(図7.3-③)
。構成要素の構成について、図7.2
の示した通り、中 層・高層住棟の居住者ともに、「物理的要素」「なし」を中心に構成要素を挙げ、「音」「挨拶」などの時間的要素も多数挙げられている。
図 7.2 上下階(立体的)における「近隣住民」の認知領域の構成要素(範囲付け理由)
に関する回答の割合