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田中 俊一郎

ドキュメント内 北九州市立医療センター 年報 第9号(2019) (ページ 40-44)

 耳鼻咽喉科疾患全般の診療を行っており、一般的な 耳鼻咽喉科疾患から頭頸部悪性腫瘍まで、手術・入 院加療を必要とする患者さんを中心に診療している。

 頭頚部悪性腫瘍の患者さんの割合多く、症例に応じ 放射線治療・抗癌剤または分子標的薬や免疫チェック ポイント阻害剤・手術を組み合わせながら治療を行っている。

 当科の一週間のスケジュールは下記の通りである。

 耳鼻咽喉科診療スタッフは以下の常勤医4名・非常 勤医1名で行っている。

2019年1月〜3月まで

 常勤医 田中俊一郎(主任部長)、高岩一貴(部長)、

     古後龍之介(部長)、真子知美(後期レジ      デント)

2019年4月〜

 常勤医 田中俊一郎(主任部長)、古 後 龍 之 介(部 長)、真子知美(レジデント)、小出彩佳(レ ジデント)

 金曜日は九大より診療応援医師(非常勤)1名が外来 診療に当たっている。

 主任部長と部長は日本耳鼻咽喉科専門医である。

1.

外来

 外来診療は月曜から金曜の午前中に行っているが、火 曜日は予約のみの対応となっている。1日平均外来患者 数は60.6人であった。外来化学療法も化学療法センター にて行っている。耳鼻咽喉科開業医からの紹介が多く、

また病診連携を密に行い逆紹介も積極的に行っている。

2.

入院

 1年間の入院患者数は557人、1日平均入院患者数

は約22.0人、平均在院日数は13.7日で、手術目的の入 院が多く、頭頸部悪性腫瘍の割合が高かった。

3.

手術

 鼻副鼻腔疾患、咽喉頭疾患、頭頸部悪性腫瘍を多く 扱っている。2019年の手術室での手術人数399名であった。

 主な疾患の年間手術症例数は下表のごとくであった。

 当科では手術と緊急入院を必要とする患者さんを中 心に診療し、がん拠点病院でもあり、マンパワーを必要と する頭頸部悪性腫瘍の治療を当院放射線科・腫瘍内 科および九州大学病院などと連携しながら行っている。ま た内視鏡の進歩により咽頭表在癌も増加の傾向にあり、

当院消化器内科と共同で内視鏡的切除を行っている。

手術・放射線治療・抗がん剤・分子標的薬・免疫チェッ クポイント阻害剤など治療の選択肢も増えている。今後も QOLの低下なく、更なる治癒率・生存率・機能温存 率の上昇を目指し、症例ごとに治療方針を選択していか なければいけない。2019年は手術・入院患者数も増多 している。今後、さらに病診連携・病々連携を密に行い 術後の患者さんなど病状の落ち着いた患者さんのフォ ローをお願いする必要があると思われる。

月曜

午前 午後

火曜 水曜 木曜 金曜

外来

外来 外来・手術 外来・手術

外来手術、検査、病棟・放射線科 カンファレンス

手術

手術(局所麻酔)・検査 手術

手術 概要

スタッフ

診療内容

口蓋扁桃摘出またはアデノイド切除 鼻副鼻腔手術

頭頸部悪性腫瘍手術 ラリンゴマイクロサージャリー 唾液腺手術(良性)

気管切開

40 90 61 25 35 17

展望

現職員名簿

2019

年の歩み診療部門看護部門事務部門病院年報

現職員名簿

2019

年の歩み診療部門看護部門事務部門病院年報

 2019年のスタッフは常勤医3名(長谷川、大坪、井上)と、

レジデント(市丸)で、通年通り、九州大学泌尿器科教室 から2名(井上、市丸)が派遣でであった。診療は当院の 性格上、尿路癌、性器癌を中心とする悪性疾患が主であ り、癌診療拠点病院として今後も悪性疾患診療に力を注 いでいく方針に変化はなかった。

【外来】

 外来診療はこれまでは月曜から金曜までの毎日(月・

木曜は手術日であり1診であるが、その他の曜日は2診)

行っていたが、昨年から手術日を休診とし、本年もこれを 継続した。当院では現在、初診患者は原則完全紹介 制を導入している。

 北九州市が前立腺癌健診(PSA健診)をスタートして いるが、最近は,院外他科からの紹介は減少傾向である。

新患患者は完全紹介制の関係で減少したが、本年は、

外来日の減少もあり、この傾向が持続していた。

 外来待ち時間は、癌フォローのための内視鏡検査の 頻度が増加し、検査待ちの時間が加わり、長時間化し たまま傾向にある。外来待ち時間の短縮等の患者サービ スの向上のためにも、良性疾患の他診療所への逆紹介 を促進していく努力はしている。

 また、前立腺癌診断のための前立腺針生検は、早期 診断のため、現在は可能な限り外来で施行している。

【入院】

 泌尿器科の規定病床の14床(本年18床から減少)で あるが、ほぼこれ以下の入院患者数で経過していた。内 視鏡手術は可能な限り早期退院に努め、また癌拠点病

院の性格上、悪性新患に対する抗癌剤治療のための 短期入院を繰り返す患者も相変わらず多く、外来抗癌 剤治療を増加させることで、より一層の在院日数短縮を 図り、回転率の良い入院診療の充実を期しDPC診療の メリットを最大限生かして行きたい。

【手術・治療】

 手術件数は182件で昨年同様に180件を越えている。

月・木曜週2回の手術日では月曜振替休日も多く、火曜 午後にも随時行っている。当科の特徴として例年悪性疾 患の占める率が多いのは変化ない。主要悪性疾患手術 としては膀胱癌109例、腎癌11例、腎盂・尿管癌13例、

前立腺癌3例である。

 前立腺癌に関しては、念願の手術支援ロボット(ダヴィ ンチ)を11月から導入し、ロボット支援腹腔鏡下前立腺

全摘術を開始している。今後手術症例を重ねていきたい。

 早期前立腺癌に対しては、患者それぞれのニーズに応 えるため、放 射 線 療 法(IMRT施 行)・内 分 泌 療 法・

無治療監視療法など手術以外の治療選択肢もとっている。

 腎癌は、小径の腫瘍は可能な限り腎温存の部分切 除を目指しているが、これまでは開腹での手術で施行して きた。今後、体腔鏡下手術(ロボット支援下手術)の導 入を行う予定である。腎全摘の症例は、進行癌以外は 可能な限り体腔鏡下手術を施行している。

 膀胱全摘後の尿路変更には可能な限り、自排排尿 型代用膀胱(回腸利用)造設を行っているが、2019年は、

回腸導管1例、回腸利用代用膀胱0例であった。

 悪性疾患に対しての手術が多いので、術前カンファレ ンスを十分に行い厳格な手術適応の検討し、患者への

十分なインフォームド・コンセントを行うよう努力していきたい。

泌尿器科 長谷川 周二

1.

概要

2.

診療体制および実績

1 2

(手術日)

(手術日)

大坪 井上

長谷川

井上

(手術日)

(手術日)

長谷川

大坪

■ 外来担当

生検数 陽性数 陽性率(%

2015 116

68 57%

2016 111

65 59%

2017 87 55 63%

2018 85 49 58%

2019 74 39 53%

■ 前立腺生検

 泌尿器科の最近のトピックスは、①ロボット支援体腔鏡下 手術の適応拡大、②去勢抵抗性前立腺癌に対する新規 抗アンドロゲン剤や新規抗癌剤(カバジタキセル)の認可、③ 腎癌や尿路上皮癌に対しての免疫チェックポイント阻害薬

(ニボルマブ、イピリムマブ、ペンブロリズマブ)の認可などで ある。特に①に関しては、泌尿器科で行ってきた開腹術疾 患のほとんどで施行可能となりつつある(膀胱全摘+尿路変 更術までも)。

 当科の特徴として、当院が癌拠点病院であるがゆえ、悪

3.

展望

手術 手術総数 悪性疾患数 手術別件数 腎癌

   腎全摘(開腹)

   鏡視下全摘    部分全摘(開腹)

膀胱癌

   経尿道的切除    膀胱全摘    膀胱部分切除 腎盂・尿管癌

   腎尿管全摘(開腹)

   鏡視下全摘    部分切除(開腹)

   尿管鏡 前立腺癌

   前立腺全摘(RARP    経尿道的切除 前立腺肥大症

   経尿道的切除    経尿道的検出 副腎腫瘍

   開腹術    鏡視下手術 その他

性疾患の占める比重が多いのは今後も変化ないと思われる。

そうなると、難度の高い症例、合併症の多い症例、高齢の 症例の手術が増加し、また、進行癌への長期かつ多岐に わたる抗癌剤治療も必要になる。かつ終末医療も必要となり、

在院日数が長期化する可能性も出てくる。今後、在院日数 の短縮と、病床の有効利用が問題点であり、その状況整 備が必要となってくる。そのためには患者への侵襲が少ない 鏡視下手術(ロボット支援体腔鏡下手術がベストと考える)を 増加させ、高度な手術の定型化を進めていく必要である。

2015 217 150 2015

25 6 5 14 87 98 8 2 10

0 7 3 0 18 18 0 15 15 0 4 0 4 32

2016 193 176 2016

28 6 7 14 105 100 5 1 22

1 9 0 12

4 4 0 16 16 0 2 0 2 31

2017 185 160 2017

22 1 10 11 96 103

5 0 25

0 12

3 10

8 6 2 9 9 3 0 0 9 26

2018 182 159 2018

20 1 9 10 98 103

4 0 24

0 12

0 12

2 1 1 15

7 8 2 0 2 24

2019 181 158 2019

11 1 3 7 109 106 3 0 27

1 12

0 14

3 3 0 7 7 0 1 0 1 23

RARP

現職員名簿

2019

年の歩み診療部門看護部門事務部門病院年報

現職員名簿

2019

年の歩み診療部門看護部門事務部門病院年報

麻酔科 久米 克介

 麻酔科医の仕事は、医師-患者関係の確立を前提に、

患者の外科的疾患と合併する内科的疾患に精通し、周 術期の麻酔管理戦略を立て、実践することである。このこ とは、麻酔科医の仕事場が手術室に限定されず、集中

治療部、ペインクリニック、救急・災害部門へと広がるこ とと繋がっていく。さて、発展する内視鏡手術は、呼吸器、

消化器、生殖器、脊椎・肩・膝関節などの分野で適

1.

手術・検査時の麻酔

応を拡大し、全手術症例の3分の1以上を占めるまでとなり、

これに伴って多くの課題が新たに出現し、麻酔科医は真 剣にこれらの解決に取り組んでいる。さらに、がん診療連 携拠点病院であることから、がん疼痛を含む痛みの治療 は麻酔科医の重要な責務である。ペインクリニック・緩和 ケアチーム部門では、麻酔科医が中心となって、毎日多く の患者を神経ブロックや薬物療法を駆使し治療している。

 医療センター中央手術部の10部室を使用して、2019 年は3,989例の手術(うち麻酔管理は3,645例)を行った

(表1)。対象患者は、極小未熟児麻酔から超高齢者ま で多岐にわたった。われわれ麻酔科医は、多くの症例で 硬膜外ブロックを初めとする区域(局所)麻酔法を全身 麻酔と併用し、安全な術中管理、痛みの無い術後管理 を行っている。最近では、区域(局所)麻酔法においては エコーガイド下に施行する症例が増加しており、より安全 で確実な手技となっている。

 急性・慢性疼痛疾患に対し、神経ブロック、薬物療法、

理学療法などの利点を組み合わせ治療している。表2に 最近5年間の新患内訳を示す。帯状疱疹痛・疱疹後 神 経 痛、三 叉 神 経 痛、頚 肩 腕 痛、腰 下 肢 痛、頭 痛、

がん性疼痛などの疼痛疾患に加え、末梢性顔面神経麻 痺、顔面痙攣、四肢血行障害、複合性局所疼痛症候 群(CRPS)などを治療している。近年は、頭痛に対する、

さまざまなメディアを使ってのキャンペーン、解説小冊子の 配布などが進み、頭痛専門医を有する当外来に、片頭痛、

緊張型頭痛、群発頭痛をはじめとする頭痛患者が多く 訪れた。また、当センターは地 域がん拠 点 病 院であることから、

入院患者の60%は担がん患者 である。そのため、がん自身が原 因となる痛みの患 者だけでなく、

がんによる免疫力の低下などによ り生じた二次的痛みの患者(帯 状 疱 疹 痛)、あるいは肺がんに 対する開 胸 肺 切 除 術を行った 後に生じる遷延性の肋間疼痛

(開 胸 術 後 痛)、乳がんに対す る乳房切除後痛など、終末期と は異なるがん患者が遭遇するさ まざまな疼痛の治療を行っている。

また、麻酔科は、がん対策推進 基 本 計 画で示された「緩 和ケ ア」を担う「がん治療支援チーム

(緩和ケアチーム)」の活動の中 心となっており、外 来・入 院を 問わず早 期からのがん患 者の Quality of Life向 上を目標に 掲げて患者の治療・careを行っ ている。

2.

ペインクリニック

1:科別手術症例(麻酔管理症例)数

外科 整形外科 産婦人科 耳鼻科 呼吸器外科 泌尿器科 小児外科 心臓血管外科 脳神経外科 皮膚科 麻酔科 内科  肝臓内科  消化器内科  血液内科 眼科 その他 合計

1,253 739 627 353 180 180 218 107 45 66 7

16 4 2 94 1 3,892

1,193

692

575

287

180

176

214

99

33

7

7

16

4

2

5

1

3,491 1,329

635 619 313 198 193 168 82 54 41 6

9 6 1 20 3,678

1,245

603

591

267

198

184

168

72

39

2

6

9

6

1

0

2

3,393 1,306

714 615 324 234 190 156 86 56 59 7

8 8 2 -5 3,770

1,177

693

579

254

234

187

156

80

41

10

7

8

8

2

-(1

3,437 1,269

766 683 308 223 186 130 62 55 54 14

11 7 3 -10 3,781

1,168

736

649

256

222

182

130

50

36

0

14

11

7

3

-(0

3,464 1,288

836 731 397 227 184 116 50 52 72 13

8 6 5 -4 3,989

1,165

810

692

340

227

182

116

41

35

5

13

8

6

5

-(0

3,645 2017 2018 2019 2016

2015

久米 克介(主任部長)

加藤 治子(主任部長)

神代 正臣

齊川 仁子

平森 朋子 武藤 官大 武藤 佑理

茗荷 良則 松山 宗子 豊永 庸佑 小川のり子 末永 由佳 奥村 美絵

日本麻酔科学会指導医 日本麻酔科学会専門医  日本麻酔科学会専門医 日本ペインクリニック学会専門医 日本緩和医療学会暫定指導医 日本麻酔科学会指導医

周術期経食道心エコー認定医 日本麻酔科学会専門医 日本麻酔科学会専門医 日本麻酔科学会専門医 日本ペインクリニック学会専門医

周術期経食道心エコー認定医 心臓血管麻酔専門医 日本麻酔科学会専門医 日本麻酔科学会専門医 日本麻酔科学会専門医 日本麻酔科学会 日本外科学会専門医 日本麻酔科学会認定医

3.

担当医2019年)

4.

外来(ペインクリニック)診察スケジュール 帯状疱疹・帯状疱疹後神経痛

頭部・顔面痛(含三叉神経痛)

末梢性顔面神経麻痺 顔面けいれん 突発性難聴 頚部・肩・上肢痛 腰下肢痛

神経障害性疼痛(含術後遷延痛)

がん性疼痛 その他

132 53 1 1 0 23 43 48 28 15 344

161 43 3 1 0 11 50 33 30 19 351

120 37 1 4 0 20 49 45 49 21 346

129 19 2 1 0 13 42 49 41 27 323

武藤Y

小川

久米克介

武藤K

神代 平森

加藤 武藤

神代 茗荷

2015 2016 2017 2018

163 17 2 7 0 11 34 48 11 33 326 2019 2:ペインクリニック新患内訳

総計

(太字:初診医)

ドキュメント内 北九州市立医療センター 年報 第9号(2019) (ページ 40-44)

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