1.既存産業の育成(市域は狭い)
本市は、アーバンリゾートゾーンにおける東京ディズニーリゾートを中心としたサービ ス産業の集積、工業ゾーンにおける鉄鋼団地、千鳥地区の運輸業の集積の3つが、大きな 産業として発達している。
今回の製造業向けアンケート調査では、事業所の移転について「移転は考えていない」
が 3 分の 2 を占めており、立地満足度は高いものの、地区別にみると、元町地区での移転 希望が高く、4 社に 1 社は「既に一部を移転した」、「将来は移転を考えている」と回答し ている。
本市は、市域が 1 6 .9 8 平方キロメートルと狭く、新たな企業が立地する場所が少ない だけに、移転ニーズのある企業が市外に流出しないよう、企業の再配置を以下に図るかが 課題といえよう。
また、本市の税収の内訳をみると、市町村税では法人より個人の割合の方が高く、基幹 産業だけでなく、市民の所得の高さにも支えられている面が大きい。今後、人口の伸びが 一段落し、高齢化が進んだときにも、財政基盤が安定するためには、市内企業の育成が重 要となるであろう。
2.急速な高齢化を見据えた「新たな」産業育成
現在は、生産年齢人口比率が高く、人口も増加を続けているが、今後は急速に高齢化が 進行することが予測されている。また、開発も一段落したことから、流入人口も順調に増 加していくか不透明である。
サービス産業が中心となっている本市の産業構造も、その中身は変化しており、市内の 事業所数や従業員数は、「医療・福祉」で伸びている。人口の増加や人口構成の変化ととも に、医療、健康、福祉、介護など生活に密着したサービス産業は今後急速に伸びる可能性 があり、これらの「新たな」産業の育成が本市の産業活性化の鍵を握っていると考えられ る。
3.「住みたいまち」をさらに発展させ「働きやすいまち」へ
「新たな」産業として伸びる可能性のある、医療、健康関連、福祉、介護等の産業は、
いずれも労働集約型であり、多くの人材を必要とするため、労働力の確保が産業全体の大 きな課題となっている。
本市は、既に「住みたいまち」として上位にランキングされており、全国的にも認知度 の高いまちである。そこで、その強みを活かしながら、さらに「働きやすいまち」として、
住宅関連施策や保育サービスの充実、公共交通網の充実など、働く住民をいかに惹きつけ、
居住を促進できるかが重要となるであろう。
4.観光産業の圧倒的強みを生かす
東京ディズニーリゾートには、毎年 2 ,5 0 0 万人が訪れている。日本中から集まる来訪 者を、舞浜地区以外にも呼びこむためには、東京ディズニーリゾートとは趣向の違った「魅 力づくり」と「交通インフラの整備」が必要である。
もっとも、市内の産業をみると、東京ディズニーリゾートとそれ以外では、観光客を惹 きつける力に大きな落差があることも事実である。先ずは、住民が飲食店や小売業など、
本市の魅力を知り、利用が促進できるよう、住民に向けた情報発信が効果的ではないか。
まちの住民による賑わい創出が、観光客を引き込むための第 1 歩と考える。それと同時に、
高齢者や外国人を視野にいれた、浦安の固有の文化である「漁業のまち」として本来持っ ていた魅力の再発見も重要であろう。