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毒性の性質に関する不確実係数

ドキュメント内 九州大学学術情報リポジトリ (ページ 121-125)

第四章 環境からのばく露による 3 物質のリスクについての検討

4.3 毒性の性質に関する不確実係数

厚生労働省の「水質基準の見直し等について」では、毒性試験で認められた毒性が重

篤な場合、最大10 の不確実係数を設定するように定められている。通常、重篤な毒性

とは発がん性、回復性が極めて悪い毒性、神経毒性、投与期間後に発現する遅発毒性を 指すことが多い。そのため、本研究で実施した試験において認められた毒性が“重篤な 毒性”に当てはまるかどうかについての評価を行い、毒性の性質についての不確実係数

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の決定を行った。なお、本研究の併合試験では発がん性については評価できないが、3 物質の発がん性について欧州化学品庁の登録物質データベースおよび独立行政法人製 品評価技術基盤機構(NITE)の化学物質総合情報提供システムで調査したところ、発が ん性を示す信頼性のある毒性試験結果は得られなかった。

本研究で得られたNOAELを表4-2に示す。得られた反復投与毒性および生殖発生毒

性の NOAEL のうち低い方の根拠とした毒性について、“重篤な毒性”に当てはまるか

どうかについて評価した。

4M2NAでは反復投与毒性のNOAELの根拠となる毒性として、貧血に関連した項目

である網状赤血球数比率の高値並びに脾臓の髄外造血亢進およびヘモジデリン沈着が 認められた。しかし、赤血球数、ヘマトクリット値、ヘモグロビン量に変化は認められ ていないため、貧血に関連した毒性としては非常に弱いものと考えられる。また、網状 赤血球数比率の高値および脾臓の髄外造血亢進は回復群では消失したため、回復性を有

表4-2 本研究で得られたNOAEL

物質名 NOAEL(mg/kg/日)

反復投与毒性 生殖発生毒性

4M2NA 75 450

BOTD 40 200

TBCB 100 100

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する変化と考えられた。また、ヘモジデリン沈着は回復群でも対照群より高いグレード で認められたが、ヘモジデリン沈着自体が容易には消失しない変化のため、回復性を評 価するには適切ではないと考えた。そのため、4M2NA で認められた毒性は“重篤な毒

性”には当てはまらないと考え、毒性の性質についての不確実係数は1とした。

BOTDでは、反復投与毒性のNOAELの根拠となる毒性として、血液凝固時間の延長

を示すプロトロンビン時間の延長が認められた。血液凝固時間の延長は、脳出血などの 臓器内出血や外傷時の大量出血につながる可能性があるため、特にワルファリン等によ

り抗凝固療法を行っている患者では注意が必要となる。しかし、BOTDによるプロトロ

ンビン時間の延長は回復群では消失しており、回復性が認められている。そのため、

BOTDで認められた毒性は“重篤な毒性”には当てはまらないと考え、毒性の性質につ

いての不確実係数は1とした。

TBCBでは、反復投与毒性のNOAELの根拠となる毒性として、自発運動低下、呼吸

数減少、半眼等の一般状態の変化、生殖発生毒性の根拠となる毒性として児動物の体重

の低値が認められた。自発運動低下、呼吸数減少、半眼等の一般状態の変化は、投与30

分後には消失する一過性の変化であり、投与期間の終盤から回復期間は認められなかっ

たことから、回復性を有する変化と考えられた。児動物の体重の低値は、哺育0日と比

較し哺育4日では対照群との差は縮小し、有意差も消失したことから、投与期間の延長

に伴い回復する変化と推察された。そのため、TBCBで認められた毒性についても、“重

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篤な毒性”には当てはまらないと考え、毒性の性質についての不確実係数は1 とした。

また、TBCBで認められた毒性変化は、投与期間の延長に伴い回復する変化であるため、

投与期間がさらに長期に渡る試験においても NOEAL は同等と考えられる。そのため、

TBCBについては、試験期間の不確実性については10ではなく1を採用することとし

た。

以上の評価より、各物質についての不確実係数および不確実係数積は表4-3の通りと

なった。

表4-3 各物質の不確実係数および不確実係数積

不確実性に係る項目 不確実係数

4M2NA BOTD TBCB

種差 10 10 10

個体差 10 10 10

試験期間 10 10 1

LOAEL採用 1 1 1

毒性の性質 1 1 1

不確実係数積 1000 1000 100

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