第 2 章 生分解性とケミカルリサイクル性を有するカーボネート型カチオン界面活性剤
2.2 実験方法
2.2.11 生分解性
酸素量 (mgO2/mg) であるので、圧力センサーが表示する値はBOD値と培養液1 Lあたりに 仕込んだ試料濃度x (mg/L) との積に等しいことになる。したがって、(2.3)式において、分子 にBODをx倍した値、分母にThODをx倍した値を代入することにより生分解率を算出する ことができる。ただし、培養で消費される酸素量は、菌体が試料を酸化するのに要した酸素 量と、呼吸に要した酸素量との総和であるため、生分解率の算出の際には試料溶液の値から ブランク試験の値を引いた値を用いる必要がある。
Fig. 2.16 System of BOD sensor.
2.2.11.2 測定方法
カーボネート型カチオン界面活性剤およびその加水分解物を試験物質として生分解性試験
(BOD試験)を行った。BOD試験に用いる無機塩培地および植種液の調製法を以下に示す。
[植種液]
横浜市環境創造局港北水再生センターより採取した返送汚泥(活性汚泥)を 3 時間曝気し た。活性汚泥中の固形物濃度を求めるために活性汚泥10 mLをろ紙上に滴下し、ろ紙上に残 った固形物を減圧下110 ºCで乾燥させることにより固形物27 mgを得た。これより、活性汚 泥中の固形物濃度は2.7 mg/mLであることを確認した。培養液を調製する際には培養液中の 固形物濃度が30 mg/Lになるように活性汚泥を添加した。
[無機塩培地の調製]
エアーポンプを用いて3時間曝気した蒸留水を1 Lメスシリンダーに200 mL程度とり、以 下に示す溶液A, B, C, Dをそれぞれ3 mLずつ添加し、撹拌した。これに蒸留水を加えて1 L にメスアップした後、1 N塩酸水溶液を用いてpHを7.0に調整した。
溶液A~Dそれぞれの無機塩培地成分を蒸留水に溶解し、1 Lに定容した。
溶液A リン酸二水素一カリウム (KH2PO4) 8.50 g
リン酸水素二カリウム (K2HPO4) 21.75 g リン酸水素二ナトリウム十二水和物 (Na2HPO4 · 12H2O) 44.60 g 塩化アンモニウム (NH4Cl) 1.70 g
3時間曝気した蒸留水に溶解し、1 Lに定容した。
溶液B 硫酸マグネシウム七水和物 (MgSO4 · 7H2O) 22.50 g 3時間曝気した蒸留水に溶解し、1 Lに定容した。
溶液C 塩化カルシウム無水物 (CaCl2) 36.40 g 3時間曝気した蒸留水に溶解し、1 Lに定容した。
溶液D 塩化鉄(III)・六水和物 (FeCl3 · 6H2O) 0.25 g 3時間曝気した蒸留水に溶解し、1 Lに定容した。
次に、あらかじめはかり取ったS12Pr 10.0 mgを、撹拌子を付した培養容器に入れ、そこへ 植種液濃度30 mg/Lの培養液250 mLを添加した。各試料のThODが20 mgO2/250 mLになる ように仕込み量を決定した。BOD試験を行ったカーボネート型カチオン界面活性剤およびそ の加水分解物 [HPr, HiPrおよび1-ドデカノール (DD)] の仕込み量をTable 2.4に示す。
水酸化ナトリウム 4 粒を入れた小カップを付したキャップを培養容器の上部に取り付けた 後、その上から圧力センサーを装着することで培養容器を密閉した。これを25 ºCに設定した インキュベーター内に静置し、BOD値の測定を開始した。また、試験が有効であるかを検定 する標準物質としてアニリンを用いた。あらかじめ減圧蒸留したアニリン12.9 mg(相当する
ThODは40 mgO2/250 mL)を培養容器にはかり取り、試験物質と同様にしてBOD試験を行っ
た。なお、各試料について試験を3本ずつ行い、その平均値をBOD値とした。
Table 2.4 Sample weight of carbonate-type cationics and the degradation intermediates for BOD test.
Molecular weight ThOD Sample weight Compound Molecular formula
(g/mol) (mgO2/mg) (mg)
S10Pr C17H36NO3I 429.4 1.9 10.5
S12Pr C19H40NO3I 457.4 2.0 10.0
S14Pr C21H44NO3I 485.5 2.1 9.5
S12iPr C19H40NO3I 457.4 2.0 10.0
HPr C6H16NOI 245.1 1.4 14.3
HiPr C6H16NOI 245.1 1.4 14.3
DD C12H26O 186.3 2.1 9.5