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理論的含意

ドキュメント内 Copyright 2008 by Tomoyoshi Yamazaki (ページ 98-101)

ミッ

・捉え方も異なってくる。そのため、同じ診療録やガイドラインの解釈に違いが発  

の知識に「すり合わせる」

理由出で、医療の質向上 を

  済生会熊本病院、福井総合病院、宮崎大学付属病院の事例分析で得られた発見事項 から、クリニカルパスでは個々の医療専門職と組織がどのように知識を共有・活用し ながら創造していくかについての組織的知識創造モデルを提示する。 

  この組織的知識創造モデルは、クリニカルパスにおける知識プロセスを「受け入れ る:Accept」、「すり合わせる:Integrate」、「実践する:Practice」の 3 つのフ ェイズに分け、それらが微妙に重なり合いながら、スパイラルに展開するダイナ クなモデル(図 4-1)であり、全てのフェイズでは形式知と暗黙知の相互作用(図 4-2)

が行われている。 

(1)「受け入れる」フェイズ 

  このフェイズでは、同じアウトカムでも職種や経験が異なると、それに対する考 方

生する。つまり、暗黙知が異なれば、それに基づく形式知の解釈も異なることである。

その異なりを個々の医療専門職が「受け入れる」ことで、異なる職種や経験を持つ他 者との対話・討論が可能になるフェイズである。ただし、クリニカルパスを用いるこ とで医療の質向上を行いたいという「思い」を共有することが前提である。この「思 い」を共有できなければ、感情的判断で他者との違いを行ってしまい、他者の考えを 拒絶する可能性が高くなり、このフェイズは作成や改善の場に存在している。 

そして、「すり合わせる」フェイズと少し重なる部分は、2 つのフェイズが並存して いる状態を示している。 

(2)「すり合わせる」フェイズ 

  他者との違いを受け入れたことで、異なる考え方・捉え方にたいして医療専門職間 同士での対話・討論を可能とした。この対話・討論の過程が個々の職種が最適と考え られていた知識が、患者にとって最適として利用できる組織

するフェイズである。すり合わされた知識は、クリニカルパスとして体系化されて 組織が利用できる形式知となる。このフェイズでは、個々の医療専門職が受け入れた 他者の知識を自らの知識と「すり合わせる」ことで、新たな知識として体得できる素 地ができあがる。そして、「受け入れる」フェイズと同様の

行いたいという「思い」の共有が前提である。「思い」を共有できなければ、職種 にとっての最適化、つまり部分最適が優先される可能性がある。このフェイズは作成 や改善と運用の 1 部の場に存在している。そして、「実践する」フェイズと少し重な

る部分は、2 つのフェイズが並存している状態を示している。 

(3)「実践する」フェイズ 

  個々の知識をすり合わせるたことで、組織が臨床現場で共有して利用できるクリニ カルパスが創られる。このクリニカルパスの内容を個々の医療専門職が活用しながら

」の共有が 前

善される再に、「受け入れる」、「すり合わせる」、「実践する」のフェイズが行 れている。 

このモデルは各フェイズが微妙に重なりながら、作成、運用、改善の場を通して知 を創造し、共有・活用し続けるスパイラルな知識プロセスである。そして、スパイ ル・モデルであるから、常に個々の暗黙知は高まり、形式知であるクリニカルパス 改善という形で継続的に進化することが可能となる。これは、クリニカルパスの作

、運用、改善の場で絶えず暗黙知と形式知が相互作用を繰り返すことで、ともに進 することを示唆している。ただし、各フェイズとも医療の質向上の思いを共有する とが前提である。 

 

実践する」ことで、新たな知識を体得し自らの知識を高めていくフェイズである。

個々が「実践する」フェイズで効果的に知識を体得するには、「すり合わせる」フェ ズに参加し、新たな知識として体得できる素地を作り上げておくことである。 

このフェイズでは、クリニカルパスの内容がバリアンス分析により検証される。 

検証されることで、クリニカルパスの内容の問題が可視化されてくる。可視化した問 題と個々の高めた知識は、クリニカルパス作成時とは異なった知識を新たに提供・認 識する。やはり、このフェイズでも医療の質向上を行いたいという「思い

提である。この前提がなければ、クリニカルパスの内容は単なる指示書となり、バ リアンスの対応・評価や新たな知識の体得が困難になる可能性がある。このフェイズ は運用と改善の 1 部の場に存在している。そして、「受け入れる」フェイズと少し重 なる部分は、2 つのフェイズが並存している状態を示している。 

(4)スパイラル・アップして「受け入れる」フェイズ 

  クリニカルパスの内容を医療専門職が実践することで、クリニカルパスの作成時よ り高まった暗黙知と新たな形式知を得られた。これらを個々が「受け入れる」ことで、

クリニカルパス改善に必要な対話・討論が可能となる。さらに、高まった暗黙知によ り、バリアンス分析では見つけ出せないクリニカルパス内容の問題の糸口を見つけだ す可能性がある。この糸口をみつけだし、他者に受け入れて貰うことでクリニカルパ ス改善が行われる。このフェイズは改善の場に存在する。そして、クリニカルパスが 改

わ   識 ラ は 成 化 こ

(5)まとめ 

クリニカルパスは医療の業務プロセスであるが、知識を共有・活用しながら創造す

するメンバー

ことは困難であると示唆している。クリニカルパスは医療の質向 業務プロセスとして作成、運用、改善を行うことで、

る知識プロセスが含まれている。この知識プロセスは、「受け入れる:Accept」、「す り合わせる:Integrate」、「実践する:Practice」の 3 つのフェイズに分け、それ らがスパイラルに展開する組織的知識創造モデルである。ただし、参加

に医療の質向上への「思い」を共有されなければ、知識プロセスの機能は発揮されな い。知識プロセスは作成、運用の場で、個々の知識を組織が利用できる知識として創 造し、共有・活用を可能にした。しかし、この知識プロセスは改善の場で「受け入れ る」フェイズにスパイラル・アップしなければ、個々の医療専門職や組織のもつ知識 は継続的に進化する

上の「思い」を共有しながら、

新たな知識を創り続けて共有・活用する知識経営型ナレッジ・マネジメントを可能に する知識プロセスが埋め込まれていた。本研究では、そのモデルを構築した。 

 

図 4-1  クリニカルパスにおける組織的知識創造モデル 

                         

       

図 4-2  場での暗黙知と形式知の相互作用モデル 

 

 

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