轟,
第一節 では,現状の幼児の原体験には,世代問で差異が認められ,親世代より減少している ことが明らかとなった。また,幼児の原体験は,遊び状況や住環境などの生活背景などの影響
を受ける共に,とりわけ母親の幼少期の原体験が幼児の原体験に直接的,間接的に影響を与え ていることが明らかとなった。そこで,幼児の原体験を妨げている要因に関する母親の意識に ついて,項目別に意識の動向を外観してみた。その記述統計量の割合から「あてはまる」,「ま ああてはまる」を合算して,母親,父親別に表3一皿一1から表3一皿一5を示した。
母親の『不安感』については,図3一皿一1に示すとおり,「お子様に交通事故などの不安があ るため」,「お子様が犯罪などに巻き込まれる恐れがあるため」,「お子様に怪我などの不安があ るため」で40%以上が「あてはまる」,「まああてはまる」と回答しており,幼児の生活圏の交 通事情や不審者の問題の急増が,こうした意識に繋がっていると考えられる。このことから,
母親は幼児の降園後の遊びに過度な不安を抱き,幼児の主体的な遊びを囲い込んでしまいがち になり,結果として原体験を縮小せざるを得ない状況が推察される。
このような不安の意識から幼児の原体験の促進を考えると,母親が幼児を安心して送り出し,
安全な環境下で遊ばせることができる幼稚園内での活動が現実的に有効であり,必要であるこ とが推察される。
お子様に交通事故などの
不安があるため お子様が犯罪などに 巻き込まれる恐れがあるため
お子様に怪我などの不安があるため
お子様に病気などの不安があるため
O lO 20 30 40 50 60
図3一皿一1原体験を妨げている要因に関する両親の不安感 (%)
70
また,母親の『環境未存在感』についての意識は図3一皿一2に示すとおり,「自然体験を教え 合う年上の子ども達が近所にいないため」,「身近に自然体験をする場所がないため」,「自然体 験をする上での適当な指導者がいないため」で40%以上が「あてはまる」,「まああてはまる」
と回答しており,幼児に原体験をさせたくとも,そうした場や人の存在が充分でないことが伺
える。
このような幼児の周辺環境の状況から考えると,降園後に原体験の機会を得るとは考えにく く,園内の自然環境を整備し,専門性を持った保育者が,異年齢集団との関わりの中で原体験 を促進できるような環境構成や計画を立案することの重要性が見えてくる。
子ども達が近所にいないため 8・3, ・齋
自難繍調鴨の.:.:.ン:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:,細 □父親
自然体験ができる場所までの 34。6
交通の便が悪いため
0 10 20 30 40 50 60 70
図3一皿一2原体験を妨げている要因に関する両親の環境未存在感 (%)
さらに,母親の幼児の原体験を促進していくことに対する『負担感』については,図3一皿一3 に示すとおり,「保護者ご自身の時間的余裕がないため3,「保護者ご自身の手間がかかるため」
で50%以上が,「あてはまる」,「まああてはまる」と回答しており,金銭的余裕のなさや,肉体
的負担に対しては,約30%の訴えが認められる。幼児の原体験を進めるにあたり,金銭的,肉
体的,精神的負担感が大きい,現状が見てとれる。
保護者ご自身の時間的余裕がないため
O lO 20 30 40 50 60
図3一皿
3原体験を妨げている要因に関する両親の負担感 (%)
7
2 46
70
母親自身のr未体験危惧感』については,
のものに不足を実感している。
図3−3−4に示すとおり30%前後が知識や体験量そ
F
O 10 20 30 40 50 60
図3一皿一4原体験を妨げている要因に関する両親の未体験危惧感 (%)
70
最後に,母親の『幼児多忙感』については,図3一皿一5に示すとおりであり,10%強が幼児の 忙しさを感じているが,これまでの項目と比べ,それほど強く感じているとはいえない。
お子様の習い事などが忙しいため
お子様の時間的余裕がないため
お子様にとってテレビやゲームなど 他に自然体験より面白いものが多くあるため
ドキュメント内
幼児の原体験の生活背景と現代における保育課題
(ページ 74-77)