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第9章 香港市場へのアプローチ

② 現地パートナーの選定と接触

現地情報の入手可能性、コミュニケーション・ギャップの問題を考えると、日本との 取引経験が豊富で、日本語でのコミュニケーションが可能な食品流通業者、もしくは日 本人担当者が常駐する食品流通業者を選択すべきである。香港において、これらの条件 に当てはまる食品流通業者は限られている。以下に、乾麺の取り扱いが可能で、日本語 でのコミュニケーションが可能な流通業者のリストを再掲しておく。

[小売業]

ジャスコ(イオングループ)は、日本の本社内に中国もしくは香港に関する事業部が設 置されている。それぞれの本社の広報担当あるいは総務担当に連絡し、担当事業部及び 現地担当者と接触されたい。シティ・スーパーとそごうは、それぞれ日本に香港市場向 けのバイヤーズ・オフィス(購買担当会社)が存在する。

【図表9-1】 日本人食品担当責任者が常駐する「日系百貨店」

場所 面積(㎡) 食品売場 SOGO(そごう) Causeway

Bay

32,400 ○ Tsim Sha Tsui 10,700 ○

(日本における連絡先)

・そごう: ライフスタイル・ジャパン株式会社[兵庫県神戸市]

【図表9-2】 日本人食品担当責任者が常駐する「日系スーパーマーケット」

場所 面積(㎡) 食品売場

アピタ(旧ユニー) Tai Koo Sing 13,000 ○ ジャスコ Kornhill 24,300 ○ Tsuen Wan 10,800 ○ Lok Fu 13,800 ○ Tai Po 8,000 ○ Tseung Kwan 15,300 ○ Whang Poa 17,400 ○ Tuen Mun 14,100 ○ Kwun Tong 3,100 ○ シティ・スーパー(*) Causeway Bay 4,500 ○ Tsim Sha Tsui 3,700 ○ Central 1,840 ○

New Town Plaza 2,800 ○

(日本における連絡先)

・シティ・スーパー: 有限会社シティ・スーパー・ジャパン[東京都港区恵比寿]

[商社]

安定した商品流通を継続的に行うためには、香港の輸出入手続きに精通した輸出入商 社との良い関係を構築する必要がある。

第4章でも述べたように、日系輸入業者は、デリバリーなどサービスを細かく対応し てくれるが、民族系輸入業者は、その「地の利」を生かし、輸入手続をより円滑に運ぶ メリットがある。香港の主な食品輸入業者について下記に再掲しておく。

z 株式会社組合貿易(UNICOOPJAPAN) [JA 全農グループ]

z 栄生祥 有限公司 [香港企業]

z JFC HONG KONG Ltd.[キッコーマングループ] (2008 年3月現在の情報)

・組合貿易(UNICOOPJAPAN)は、「全農」の現地連絡事務所であり、日本企業との 取引経験が豊富で、担当者は日本語が堪能である。また、香港の富裕層に人気が ある「和牛」の販路を確保していいるので、上層顧客(特に業務用マーケット)

へのアプローチに精通している。

・栄生祥は100年以上の歴史がある香港の商社である。日本企業との取引経験が豊 富で、日本人担当者が常駐している。

・JFC は、加工食品の輸入について実績がある。日本人担当者が常駐している。

3 マーケティング

マーケット視察の結果、現地パートナー(小売・商社)との意見交換を元に、販売プ ランを策定する。

本章1の「事前準備」において大まかにプランニングした輸出事業の「目標(売上・

利益)」「標的市場(ターゲット)」「輸出する製品(ブランド)」「価格帯」「流通(小売り・

流通ルート)」について、さらに精緻化を行う。プラン内容の策定に関しても、現地パ ートナー(小売・商社)との意見交換は不可欠である。特に、プロモーション施策の実 施に当たっては、日本市場と香港市場との違いを正確に把握し、無駄の無い販促活動を 行うためにも、現地パートナー(小売・商社)との情報交換は必須である。サンプルの 輸出もここで行う。サンプル輸出については、本ハンドブックの第8章を確認されたい。

4 表示規制チェック

本ハンドブックの第5章を参考に、「包装食品の表示規則」「 栄養成分表示」「食品ア レルギー物質表示」「食品添加物表示」に関して、「輸出対象商品がそれら表示規制に適 合できるのか」、「ラベリング(ラベル作成貼付)をどのように実施するのか」という2 つの問題について検討しなければならない。

食品に関する表示の最終的な責任は販売者(販売者責任)にあるが、実務的にはラベ ルの「作成」と「貼付」を誰が行うかという問題がある。これについても、香港の小売 業者、輸入商社との十分な打合せが不可欠である。

5 輸出入手続

① 流れ

香港の輸入業者は、日本の輸出業者と原価や条件を交渉する

香港の輸入業者は、販売契約と販売条件を確認する。日本の輸出業者に発注を行う

日本の輸出業者は船積み通知、着荷通知、輸出書類とともに商品を出荷する

香港の輸入業者は日本の輸出業者から船積み通知と着荷通知、輸出書類を受け取る

香港の輸入業者は指定された船会社もしくは貨物取扱業者から商品を受け取る

香港の輸入業者は通関と「輸入申告」の手配を行う

本ハンドブック第6・7・8章に従って、輸入業者を決定し、上記の流れに沿って輸 入申告手続を行う。輸入申告手続は原則的には輸入業者(商社)が行うが、日本サイド のメーカーも手続の概要と書式を把握しておく必要がある。

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