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燃料種別・運転開始年度別の火力発電効率及び所内率の推計について

3-1.経済産業省・電力需給の概要による発電機・発電所別の発電効率及び所内率の実績値

LNG 複合火力発電や石炭火力発電など火力発電所別の発電効率及び所内率の実績値に ついては、2004 年度迄は経済産業省資源エネルギー庁電力ガス事業部編・電力需給の概要 において、一般電気事業者・卸電気事業者が保有する全ての発電所約 200 ヶ所につき、毎 年度の発電所別・燃料種別の燃料消費量・所内消費及び発電電力量が情報公開されており、

容易に発電効率及び所内率の実績値が算定可能であった。

しかし、発電部門が全面自由化された 2005 年度以降については当該情報の公開は停止 されており、発電効率については各社により設計効率やカタログ効率などの断片的な情報 しか公表されていないため、2005 年度以降に運転開始した発電所については発電効率や 所内率などの情報が体系的に得られない状況となっている。

このため、1995~2004年度の電力需給の概要における火力発電所の発電効率及び所内 率に関する実績値から、LNG 複合火力発電及び石炭火力発電について発電効率及び所内 率の年間技術進歩率を回帰分析により測定して当該結果を外挿することにより、2005 年 度以降に運転開始した発電所や今後運転開始予定の新設発電所の発電効率を推計する。

発電効率は全て高位発熱量基準とし、燃料種別発熱量は経済産業省資源エネルギー庁・

標準発熱量表に基づいて算定した。

石油火力発電・鉄鋼ガス火力発電や LNG 汽力発電など、石炭火力発電・LNG 複合火力発 電以外の発電所については今後の新設が見込まれないため推計から除外する。

また本項においては、IGCC と区別するため在来型の石炭火力発電を「石炭汽力発電」と 呼称する。

3-2.燃料種別・運転開始年度別の発電効率及び所内率の回帰分析

3-2-1. 発電効率及び所内率の回帰分析式及び運転開始年度からの経過年数との相関

式補 3-2-1.に LNG 複合火力発電・石炭汽力発電に共通で用いる、発電効率及び所内率を

被説明変数として運転開始年度からの経過年数(2017 年 4 月基準)、設備容量及び平均稼 働率を説明変数とした回帰分析式を示す。

また図補3-2-1.及び-2.に LNG 火力発電・石炭汽力発電の発電効率の実績値と運転開始年

度からの経過年数との相関を示す。

[式補3-2-1. 発電効率及び所内率の運転開始年度からの経過年数などによる回帰分析式]

EFFi = βf0 + βf1*PLFi + βf2*CAPi + βf3*DURi + εfi 式補32101 INTi = βn0 + βn1*PLFi + βn2*CAPi + βn3*DURi + εni 式補32102 EFFi 発電所iの発電効率(HHV(高位)発熱量)

INTi 発電所iの所内率 (0< INTi <1) PLFi 発電所iの平均稼働率 (0< PLFi <1) CAPi 発電所iの設備容量 (GW)

DURi 発電所iの運転開始年度からの経過年数 (, 20174月基準) βf0βf3, 定数項及び係数

βn0βn3

εfi, εni 誤差項

[図補3-2-1.及び-2. LNG火力発電・石炭汽力発電の発電効率の実績値と運転開始年度からの経 過年数との相関]

(図注) IGCCと区別するため在来型の石炭火力発電を「石炭汽力発電」と呼称する。

2005 年以降に運転開始した火力発電所のうち総発熱量による発電効率が公表されているもの及び新 設により総発熱量による発電効率が燃料消費量から推計可能であるものは図中に表示している。

3-2-2. LNG複合火力発電の回帰分析結果

式補 3-2-2.に 1995 ~ 2004 年度の実績値から 3-2-1.の回帰分析式により推計した LNG

複合火力発電の発電効率と所内率と運転開始年度からの経過年数などとの関係を示す。

LNG 複合火力発電については、発電効率は運転開始年度からの経過年数に対する係数 が有意であり、稼働率や設備容量の影響を考慮した上でも年率+0.4 %相当の技術進歩率 が認められる。

他方で所内率については運転開始年度からの経過年数に対する係数が有意ではなく、技 術進歩率は観察できない。他の説明変数の係数の有意性から見て所内率は主に設備容量の 関数であると推察される。

[式補3-2-2. LNG複合火力発電の発電効率及び所内率と運転開始年度からの経過年数などとの

関係]

EFFi = 0.4609 + 0.1100*PLFi + 0.0165*CAPi - 0.0045*DURi R2 0.741 式補32201

(0.000) (0.022) (0.008) (0.000) AIC -163.29

*** ** *** *** n 35

INTi = 0.0329 - 0.0018*PLFi - 0.0912*CAPi + 0.0003*DURi R2 0.233 式補32202

(0.002) (0.892) (0.000) (0.136) AIC -234.62

*** --- *** --- n 35

(式注) ( )内はp値、***は危険率1%で有意、**は危険率5%で有意、*は危険率10%で有意及び --- は危険率10%で有意でない係数を示す。

DURiは運転開始年度から20174月迄の経過年数であり、新しい発電所程数値が小さくな ることに注意。

0 10 20 30 40 50 60

運転開始からの経過年数 (20 17年度迄) 0.300

0.325 0.350 0.375 0.400 0.425 0.450 0.475 0.500 0.525 0.550 発電効率 HHV

LNG複合火力発電 LNG汽力発電 国 内 主要 LNG 火 力 発電 所 発 電 効率 - 経 過 年数 相 関

( 電力需給の概要 19 95-2 004年度版 )

0 10 20 30 40 50 60

運転開始からの経過年数 (2017年度迄) 0.300

0.325 0.350 0.375 0.400 0.425 0.450 0.475 0.500 0.525 0.550 発電効率 HHV

石炭汽力発電 国 内 主要 石 炭 火力 発 電 所 発電 効率 - 経 過 年数 相 関

( 電力需給の概要 1995-2004年度版 )

3-2-3. 石炭汽力発電の回帰分析結果

式補 3-2-3.に 1995~ 2004年度の実績値から 3-2-1.の回帰分析式により推計した石炭紀

力発電の発電効率と所内率と運転開始年度からの経過年数などとの関係を示す。

石炭汽力発電については、発電効率は運転開始年度からの経過年数に対する係数が有意 であり、稼働率や設備容量の影響を考慮した上でも年率+0.05 %相当の技術進歩率が認め られる。

他方で所内率については運転開始年度からの経過年数に対する係数が有意ではなく、技 術進歩率は観察できない。他の説明変数の係数の有意性から見て所内率は主に設備容量の 関数であると推察される。

[式補3-2-3. 石炭汽力発電の発電効率及び所内率と運転開始年度からの経過年数などとの関係]

EFFi = 0.3720 + 0.0341*PLFi + 0.0223*CAPi - 0.0005*DURi R2 0.511 式補32301

(0.000) (0.004) (0.000) (0.031) AIC -322.28

*** *** *** ** n 51

INTi = 0.0902 - 0.0047*PLFi - 0.041*CAPi - 0.0003*DURi R2 0.486 式補32302

(0.000) (0.807) (0.000) (0.802) AIC -302.61

*** --- *** --- n 51

(式注) ( )内はp値、***は危険率1%で有意、**は危険率5%で有意、*は危険率10%で有意及び --- は危険率10%で有意でない係数を示す。

DURiは運転開始年度から20174月迄の経過年数であり、新しい発電所程数値が小さくな ることに注意。

3-3.運転開始年度別のLNG複合火力発電・石炭火力発電の発電効率及び所内率の推計

3-3-1. LNG複合火力発電及び石炭火力発電のうち石炭汽力発電

LNG 複合火力発電及び石炭火力発電については、式補 3-2-2.及び式補 3-2-3.の結果に基 づき発電機別に発電効率及び所内率を推計して用いることとする。

3-3-2. 石炭火力発電のうちIGCC

石炭火力発電のうち IGCC(石炭ガス化複合発電)については、LNG 複合火力発電設備と 同じガスタービンとボイラー・蒸気タービンで構成され技術体系が同一と考えられること から、2019年現在での発電効率の実勢である約45.0 %から年率+0.4 %での技術進歩率を 見込むこととする。

補論4. 旧一般電気事業者などの有価証券報告書による固定費用・可変費