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3-1. 九州地域を例とした推計(1) 電力・調整力需給実績及び変動の推計

3-1-1. 九州地域での需要側実績及び変動の推計結果*92

3-1-1-1.電力需要

3-1-1-1-1.電力需要の月別・時間帯別推移 (図3-1-1-1-1-1.及び-2.参照)

本節においては 2.で説明した方法論に従う一連の推計結果について九州地域を例とし て説明する。

最初に当該地域の電力需要の実績値を月別・時間帯別に整理した結果について説明する。

図 3-1-1-1-1-1.及び-2.に九州地域における平日・土日祝別による月別・時間帯別電力需要

推移について示す。

2016年度から 2018年度迄の九州電力による「でんき予報」の公開情報のうち、1時間値 での電力需要の平均値を時間帯別に算定した結果、最大電力需要は平日の夏期昼間で約

14,000MW、最小電力需要は土日祝日の春期早朝・深夜で約7,000MWであると整理される。

九州地域の電力需要において時間変化率が最も大きいのは夏期及び厳冬期における早朝 及び夕方の時間帯であり、特に厳冬期には早朝と夕方に 2 つの明瞭なピークが生じてい ることが理解される。

[図3-1-1-1-1-1.及び-2. 九州地域における平日・土日祝別による月別・時間帯別電力需要推移]

3-1-1-1-2.残余需要の月別・時間帯別推移 (図3-1-1-1-2-1.及び-2.参照)

電力需給を考える上では、単純な電力需要に加えて電力需要から再生可能エネルギー発

00-01 01-02 02-03 03-04 04-05 05-06 06-07 07-08 08-09 09-10 10-11 11-12 12-13 13-14 14-15 15-16 16-17 17-18 18-19 19-20 20-21 21-22 22-23 23-24 0

2000 4000 6000 8000 10000 12000 14000 16000 MW

4月 APR 5月 MAY 6月 JUN 7月 JUL 8月 AUG 9月 SEP 10 月 OCT 11 月 NOV 12 月 DEC 1月 JAN 2月 FEB 3月 MAR 月別・時間帯別電力需要 / 平日・九州

20 16-1 8年度 平均値

00-01 01-02 02-03 03-04 04-05 05-06 06-07 07-08 08-09 09-10 10-11 11-12 12-13 13-14 14-15 15-16 16-17 17-18 18-19 19-20 20-21 21-22 22-23 23-24 0

2000 4000 6000 8000 10000 12000 14000 16000 MW

4月 APR 5月 MAY 6月 JUN 7月 JUL 8月 AUG 9月 SEP 10 月 OCT 11 月 NOV 12 月 DEC 1月 JAN 2月 FEB 3月 MAR 月別・時間帯別電力需要 / 土日祝日・九州

20 16-1 8年度 平均値

電による供給分を控除した残余需要の状況を知ることが非常に重要であるため、当該地域 の残余需要の実績値を月別・時間帯別に整理した結果について説明する。

図 3-1-1-1-2-1.及び-2.に九州地域における平日・土日祝別による月別・時間帯別残余需要

推移について示す。

2016年度から 2018年度迄の九州電力による「でんき予報」の公開情報のうち、1時間値 での電力需要から再生可能エネルギー発電による供給分を控除して平均値を推計した残余 需要については、最大残余需要は平日の夏期及び厳冬期の夕方日没後で約 12,000MW、最 小残余需要は土日祝日の春期昼間の正午前後で約4,000MWであると整理される。

九州地域は国内において太陽光発電の導入が最も進展した地域の一つであり、平日・土 休日を問わず昼間の時間帯において他の時間帯と比べて再生可能エネルギー発電の供給が 増加し残余需要が大きく減少することが理解される。

[図3-1-1-1-2-1.及び-2. 九州地域における平日・土日祝別による月別・時間帯別残余需要推移]

3-1-1-2.電力需要の時間内変動

3-1-1-2-1.電力需要の時間内変動の月別・時間帯別推移 (図3-1-1-2-1-1.及び-2.参照)

次に九州地域の電力需要の時間内変動の実績値を、月別・時間帯別に変動係数を用いて 整理した結果について説明する。

図 3-1-1-2-1-1.及び-2.に九州地域における平日・土日祝別による月別・時間帯別での電力

需要の時間内変動推移について示す。

2016年度から 2018年度迄の九州電力による「でんき予報」の公開情報のうち、5分値で の電力需要の変動から推計した時間内変動について、当該時間内変動の標準偏差を各時間 帯の平均電力需要で除した変動係数で表現した場合、平日では平均して 1.4 %程度で概ね 4.0%から0.5%の範囲にあり、土日祝日では平均して 1.5%程度で概ね3.0%から0.5% の範囲で変動しながら推移していることが理解される。

3-1-1-1-1.で見たとおり九州地域の電力需要は夏期及び厳冬期の早朝及び夕方に非常に

大きくなるため、これに対応して平日・土日祝日を問わず電力需要の時間内変動も早朝 7

~9時及び夕方17~19時に一時的に増大する時間帯があることが理解される。

00-01 01-02 02-03 03-04 04-05 05-06 06-07 07-08 08-09 09-10 10-11 11-12 12-13 13-14 14-15 15-16 16-17 17-18 18-19 19-20 20-21 21-22 22-23 23-24 0

2000 4000 6000 8000 10000 12000 14000 16000 MW

4月 APR 5月 MAY 6月 JUN 7月 JUL 8月 AUG 9月 SEP 10 月 OCT 11 月 NOV 12 月 DEC 1月 JAN 2月 FEB 3月 MAR 月別・時間帯別残余需要 / 平日・九州

20 16-1 8年度 平均値

00-01 01-02 02-03 03-04 04-05 05-06 06-07 07-08 08-09 09-10 10-11 11-12 12-13 13-14 14-15 15-16 16-17 17-18 18-19 19-20 20-21 21-22 22-23 23-24 0

2000 4000 6000 8000 10000 12000 14000 16000 MW

4月 APR 5月 MAY 6月 JUN 7月 JUL 8月 AUG 9月 SEP 10 月 OCT 11 月 NOV 12 月 DEC 1月 JAN 2月 FEB 3月 MAR 月別・時間帯別残余需要 / 土日祝日・九州

20 16-1 8年度 平均値

[図3-1-1-2-1-1.及び-2. 九州地域における平日・土日祝別による月別・時間帯別での電力需要の時 間内変動推移]

3-1-1-2-2.電力需要の時間内変動の月別・時間帯別度数分布 (図3-1-1-2-1-1.から-4.参照) 九州地域を例として用いた一連の推計結果の説明のうち、次に電力需要の時間内変動の 実績値について月別及び時間帯別に度数分布を整理した結果について説明する。

(1) 月別度数分布

図 3-1-1-2-2-1.及び-2.に九州地域における平日・土日祝別による電力需要の時間内変動の

月別での度数分布を整理した結果を示す。

[図3-1-1-2-2-1.及び-2. 九州地域における平日・土日祝別による電力需要の時間内変動の月別で

の度数分布]

2016年度から 2018年度迄の九州電力による「でんき予報」の公開情報のうち、5分値で の電力需要の時間内変動について、月別での平均値からの乖離を標準偏差(σ)で除した平 均電力需要からの乖離幅により整理した度数分布を見た場合、8 月の平日を除く大部分の 月において平日・土日祝日を問わず概ね正規分布に近い度数分布となっており、標準偏差

の2倍(±2.0σ)を超える時間内変動は殆ど見られないことが観察される。

他方で8月の平日については標準偏差の 0.5から 1.0倍(+0.5~ 1.0σ)に達する正の時間

00-01 01-02 02-03 03-04 04-05 05-06 06-07 07-08 08-09 09-10 10-11 11-12 12-13 13-14 14-15 15-16 16-17 17-18 18-19 19-20 20-21 21-22 22-23 23-24 0.000

0.005 0.010 0.015 0.020 0.025 0.030 0.035 0.040 0.045 0.050 変動係数

4月 APR 5月 MAY 6月 JUN 7月 JUL 8月 AUG 9月 SEP 10 月 OCT 11 月 NOV 12 月 DEC 1月 JAN 2月 FEB 3月 MAR 月別・時間帯別電力需要時間内変動 / 平日・九州

20 16-1 8年度 平均値

00-01 01-02 02-03 03-04 04-05 05-06 06-07 07-08 08-09 09-10 10-11 11-12 12-13 13-14 14-15 15-16 16-17 17-18 18-19 19-20 20-21 21-22 22-23 23-24 0.000

0.005 0.010 0.015 0.020 0.025 0.030 0.035 0.040 0.045 0.050 変動係数

4月 APR 5月 MAY 6月 JUN 7月 JUL 8月 AUG 9月 SEP 10 月 OCT 11 月 NOV 12 月 DEC 1月 JAN 2月 FEB 3月 MAR 月別・ 時間帯別電力需要時間内変動 / 土日祝日・ 九州

20 16-1 8年度 平均値

-2.0σ -1.5σ -1.0σ -0.5σ ±0σ +0.5σ +1.0σ +1.5σ +2.0σ

変動幅(標準偏差σ) 0.000

0.025 0.050 0.075 0.100 0.125 0.150 0.175 0.200

度数分布(構成比)

4月 APR 5月 MAY 6月 JUN 7月 JUL 8月 AUG 9月 SEP 10 月 OCT 11 月 NOV 12 月 DEC 1月 JAN 2月 FEB 3月 MAR 月別電力需要時間内変動度数分布 / 平日・ 九州

20 16-1 8年度・全時間帯平均値

-2.0σ -1.5σ -1.0σ -0.5σ ±0σ +0.5σ +1.0σ +1.5σ +2.0σ

変動幅(標準偏差σ) 0.000

0.025 0.050 0.075 0.100 0.125 0.150 0.175 0.200

度数分布(構成比)

4月 APR 5月 MAY 6月 JUN 7月 JUL 8月 AUG 9月 SEP 10 月 OCT 11 月 NOV 12 月 DEC 1月 JAN 2月 FEB 3月 MAR 月別電力需要時間内変動度数分布 / 土日祝日・九州

20 16-1 8年度・全時間帯平均値

*93 見方を変えれば、8月平日における特異的な正の時間内変動は特定の時間帯に生じているのではなく、全部の時間帯に 均等に生じている又はランダムに生じているということが推察される。

*94 当該近似式(2-1-2-3-1-1.)においては対数線形での予測を行う際に、誤差について平均0の正規分布に従うことを前提 として予測誤差を推計していることから、現実の予測誤差の度数分布は知ることができないことに注意。

内変動に特異的な度数分布の増加が観察され、8 月の平日には電力需要の著しい増加が一 定の頻度で生じることが理解される。

(2) 時間帯別度数分布

図 3-1-1-2-2-3.及び-4.に九州地域における平日・土日祝日別による電力需要の時間内変動

の時間帯別での度数分布を整理した結果を示す。

時間帯別での電力需要の時間内変動の度数分布は平日・土日祝日を問わず全ての時間帯 において概ね正規分布に近い度数分布となっていることが観察される。

従って上記(1)の結果と異なり、平日・土日祝日を問わず時間帯別に見た場合には標準偏

差の 2 倍(2.0σ)を超えるような電力需要の著しい増加や減少が生じることは稀である*93

とが理解される。

[図3-1-1-2-2-3.及び-4. 九州地域における平日・土日祝日別による電力需要の時間内変動の時間

帯別での度数分布]

3-1-1-3.電力需要の予測誤差

3-1-1-3-1.電力需要の予測誤差の月別・時間帯別推移 (図3-1-1-3-1-1.及び-2.参照)

次に九州地域の電力需要の時間内変動の再現推計値を、月別・時間帯別に変動係数を用 いて整理した結果について説明する。

図 3-1-1-2-1-1.及び-2.に九州地域における平日・土日祝日別による月別・時間帯別での電

力需要の予測誤差の再現推計値推移について示す。

2-1-2-3.で説明したとおり、平日・土日祝日別に過去 2 年分の同一月・同一曜日・同一時間

帯での実績値と系列相関を考慮した近似式(式 2-1-2-3-1-1.)*94 を用いて九州地域での平日・

土日祝日別での予測誤差を再現推計した。当該推計の結果から、平均して平日で 4.1 %程 度、土日祝日で5.2%程度の予測誤差により推計が可能であることが理解される。

-2.0σ -1.5σ -1.0σ -0.5σ ±0σ +0.5σ +1.0σ +1.5σ +2.0σ

変動幅(標準偏差σ) 0.000

0.025 0.050 0.075 0.100 0.125 0.150 0.175 0.200

度数分布(構成比)

00-01 02-03 04-05 06-07 08-09 10-11 12-13 14-15 16-17 18-19 20-21 22-23 時間帯別電力需要時間内変動度数分布 / 平日・九州

201 6-18 年度全月平均値

-2.0σ -1.5σ -1.0σ -0.5σ ±0σ +0.5σ +1.0σ +1.5σ +2.0σ

変動幅(標準偏差σ) 0.000

0.025 0.050 0.075 0.100 0.125 0.150 0.175 0.200

度数分布(構成比)

00-01 02-03 04-05 06-07 08-09 10-11 12-13 14-15 16-17 18-19 20-21 22-23 時間帯別電力需要時間内変動度数分布/土日 祝日・九州

201 6-18 年度全月平均値

平日と比較して土日祝日については相対的に試料数が少ないこと、電力需要が平日より 小さく変動の影響が相対的に大きくなることから、土日祝日の中でも電力需要の変動が大 きい厳冬期の早朝や夏期の昼間では予測誤差が 10 %に達する時間帯があることが理解さ れる。

[図3-1-1-3-1-1.及び-2. 九州地域における平日・土日祝日別による月別・時間帯別での電力需要の

予測誤差の再現推計値推移]

3-1-1-3-2.電力需要の予測誤差の広域機関調整力委による調査分析結果との比較

(図3-1-1-3-2-1.参照)

3-1-1-3-1.で再現推計した九州地域の電力需要の予測誤差について、確認のため 2-1-2-3.

で説明した広域機関調整力委により公表されている月別実績値との比較を行った結果につ いて説明する。

図 3-1-1-3-2-1.に九州地域に関する再現推計による電力需要の予測誤差と広域機関調整

力委による実績値の比較について示す。

[図3-1-1-3-2-1. 九州地域に関する再現推計による電力需要の予測誤差と広域機関調整力委によ

る実績値の比較]

00-01 01-02 02-03 03-04 04-05 05-06 06-07 07-08 08-09 09-10 10-11 11-12 12-13 13-14 14-15 15-16 16-17 17-18 18-19 19-20 20-21 21-22 22-23 23-24 0.000

0.010 0.020 0.030 0.040 0.050 0.060 0.070 0.080 0.090 0.100 0.110 0.120

予測誤差/月平均需要

4月 APR 5月 MAY 6月 JUN 7月 JUL 8月 AUG 9月 SEP 10 月 OCT 11 月 NOV 12 月 DEC 1月 JAN 2月 FEB 3月 MAR 月別・ 時間帯別電力需要予測誤差 / 平日・ 九州

20 16-1 8年度 平均値

00-01 01-02 02-03 03-04 04-05 05-06 06-07 07-08 08-09 09-10 10-11 11-12 12-13 13-14 14-15 15-16 16-17 17-18 18-19 19-20 20-21 21-22 22-23 23-24 0.000

0.010 0.020 0.030 0.040 0.050 0.060 0.070 0.080 0.090 0.100 0.110 0.120

予測誤差/月平均需要

4月 APR 5月 MAY 6月 JUN 7月 JUL 8月 AUG 9月 SEP 10 月 OCT 11 月 NOV 12 月 DEC 1月 JAN 2月 FEB 3月 MAR 月別・時間帯別電力需要予測誤差 / 土日祝日・九州

20 16-1 8年度 平均値

4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3

0.000 0.025 0.050 0.075 0.100 0.125 0.150 0.175 0.200

予測誤差/月平均需要

再現推計値 実績値(最小) 実績値(平均) 電力需要予測誤差の再現推計と 実績値比較 / 九州