第
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章で述べたように,アークエネルギーと定常的な圧力上昇およびガス発 生量については,正比例の関係にあるものとして,従来から数多く報告されて いる。また,定常的な圧力上昇は,過渡的な圧力上昇の振動が減衰した後に 確認されており,このとき,分解ガスは常温状態と仮定され,また,分解ガス は絶縁油に凝縮しないものとされている。本節では,このアークエネルギー と定常的な圧力上昇および熱分解ガスの発生量についての実験結果を示す。Fig. 3.4
は,前述のFig. 3.2
(条件:電流波高値9.01 kA
,通電時間103 ms
) と同じ実験で得られたアークエネルギーと気相圧力上昇∆ P
a の波形を示して いる。同波形から,まず,アークエネルギーは通電終了時点で61 kJ
となって いる。次に,∆P
aは,通電中には振動が観測されており,気相圧力上昇最大値Energy [kJ]
Energy Arc ignition Arc extinction
Pa
Time [ms]
Psteady= 364
Pressure rise in air (Pa) [kPa]
Fig.3.4 Waveforms of arc energy and pressure rise in air.
は
770 kPa
まで達し,これは全ての実験での最大となっている。さらに,通電終了後から徐々に圧力は減衰していることが分かる。この通電終了後から圧 力が減衰する原因は,周囲絶縁油の冷却によって,分解ガスの体積は減少す るためと考えられる。この波形から,時刻
440
〜450 ms
の圧力平均値を算出 した結果,364 kPa
となり,このように得られた値を本論文では定常的な圧力上昇
∆P
steadyと定義する。ここで,第
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章に示した分解ガス発生量についての式を再掲し,定数を本 論文の実験条件で記載する。密閉容器内の定常的な圧力上昇∆P
steady[kPa]
か ら,この定常的な圧力下におけるガス気泡の体積V
b[m
3]
は,以下の式で表さ れる。V
b= ∆ P
steadyV
0∆P
steady+ P
0 (3.1)ここで,
P
0 は初期気相圧力101 kPa
,V
0 は初期気相体積1 . 51 × 10
−3m
3 を 示す。次に,(3.1)
式で得られた気泡体積V
b を,ボイルの法則より常圧(101 kPa
)換算すれば,以下の式でアークによって発生したガス発生量V
n[m
3]
が 得られる。V
n= V
b∆P
steady+ P
0P
0= ∆P
steadyV
0P
0 (3.2)なお,ガス発生量という表現は,先行研究と用語を統一するとともに分解ガ スの体積を常圧換算したことを明確にするために用いている。以上,実験で 得られた
∆P
steady と,∆P
steadyを基に(3.1)
,(3.2)
式から算出したV
bおよびV
n についてアークエネルギーで整理した結果をFig. 3.5 (a ~ c)
に示す。まず,同図
(a)
は,アークエネルギーと∆P
steady の関係を示し,本研究で実 施したエネルギー100 kJ
未満の条件では,∆P
steadyはアークエネルギーに概ね 比例する結果が得られていることが分かる。次に,同図(b)
は,参考として,初期気相体積
1 . 51 × 10
−3m
3に対して,本研究で生じている気泡体積がどの程 度あるものかを表している。この図により,例えば400 kPa
の圧力上昇にお いて,気泡体積は1 . 2 × 10
−3m
3となることが容易に分かる。また,(3.1)
式において,
∆P
steady→ ∞
とすれば,V
bはV
0に漸近することとなり,この図においてもその関係が示されている。最後に,同図
(c)
はアークエネルギーと分解 ガス発生量の関係を示している。図中の破線は,原点を通る最小二乗法によ る線形近似を示し,その傾き,すなわち,単位アークエネルギーあたりのガス 発生量は,0 . 075 × 10
−3m
3/kJ
となる結果が得られた。これは,第1
章で述べ た先行研究の平均値(0 . 065 × 10
−3m
3/kJ
)と概ね合致する。Fitted line y = 5.01x R2 = 0.89
Steady state pressure rise in air (Psteady) [kPa]
Total arc energy [kJ]
Fitted line y = 0.075x R2 = 0.89
Total arc energy [kJ] Total arc energy [kJ]
Generated gas volume (Vn) [×10-3 m3 ]
Gas volume (Vb) [×10-3 m3 ]
(a) Total arc energy dependence of steady state pressure rise in air
(b) Relationship between calculated gas volume from Psteady and total arc energy
(c) Relationship between converted gas volume at normal pressure and total arc energy