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滑り運動しているアクチン繊維の骨格形状の時間変化

第 5 章 実験結果とその評価

5.3 滑り運動しているアクチン繊維の形状変化

5.3.2 滑り運動しているアクチン繊維の骨格形状の時間変化

再構成運動系で滑り運動するアクチン繊維の骨格形状の時間変化を調べ,キモ グラフで表現した.キモグラフは横軸を時刻,縦軸をアクチン繊維の先端からの 距離,濃度を屈曲角度とした.この濃度が高濃度であるほどに,アクチン繊維が 大きく屈曲していることを示す.また,高濃度のピクセルからなる斜線の傾きは 屈曲伝播速度を意味し,右上がりとなっている場合は先端から後端へ向かう屈曲 の伝播,右下がりの場合は後端から先端へ向かう伝播を意味する.さらに,濃度 の薄いエリアは,屈曲角度が変化していない部位を意味する.一般的に,この部 位はほぼ直線である.

アクチン繊維の骨格形状変化のキモグラフを図5.3.4-5.3.6に示す.これらの図 には,滑り運動中のアクチン繊維上に起きている非常に複雑な屈曲パターンの生 成が見られた.これらのパターンには,ATP濃度に依存した変化が見られた.強 い斜線の傾きが示す屈曲の伝播速度は,いずれもそれぞれのATP濃度で観測され る平均的な滑り速度のおよそ二倍程度であった.さらに顕著に大きな屈曲角度の 伝播に着目すると,ATP濃度が高く滑り運動が速い場合,屈曲はアクチン繊維の 進行方向とは逆方向に伝播する傾向にあった.一方,ATP濃度が低く滑り運動が 遅い場合には,進行方向と同じ方向に伝播する傾向にあった.そのような傾向の 一方で,屈曲モードの切り替えのような複雑な現象も見られた.例えば,図5.3.6 において後端から先端へ向かう1 µm/sec程度の屈曲波が,観測開始後0.5〜2.0 秒 にかけて先端で反射して先端から後端に向かう5µm/sec程度の屈曲波へ切り替わ る様子が記録された.また,図5.3.6において後端から先端へ向かう4 µm/sec程 度の屈曲波が,観測開始後1.5 秒付近で反射して先端から後端へ向かう6 µm/sec 程度の屈曲波へと切り替わる様子が記録された.また,ここでは複数進行してき た屈曲波が反射して方向が入れ替わった後にほぼ一つの屈曲波にまとまり,その 後繊維全体が屈曲することなく運動を継続した.

図 5.3.4アクチン繊維の形状変化を示すキモグラフ([ATP]=0.02 mM)

Figure 5.3.4 The kymograph of transformation on a sliding actin filament ([ATP]=0.02 mM)

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図 5.3.5アクチン繊維の形状変化を示すキモグラフ([ATP]=0.20 mM)

Figure 5.3.5 The kymograph of transformation on a sliding actin filament ([ATP]=0.20 mM)

図 5.3.6アクチン繊維の形状変化を示すキモグラフ([ATP]=2.00 mM)

Figure 5.3.6 The kymograph of transformation on a sliding actin filament ([ATP]=2.00 mM)

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