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第 5 章 圧電振動子の発生力の測定および考察

5.3 衝撃力の測定 .1 測定方法

5.3.2 測定結果

Fst = 2.6 N および 6.1 N において励振した振動子による衝撃力の時間変化を図 5.12~

5.17にそれぞれ示す.同図において振動子の励振開始時刻は0 msであり,衝撃力は静的 押付力からの差分として測定した.図5.12~図5.17に示すようにいずれの条件において も振動子の励振開始直後,衝撃力の振幅は著しく増加し,時刻6 ms以降では定常となっ た.また,衝撃力の周波数は振動子の振動周波数と一致することを確認した.

さらに,衝撃力の波形には長棒の自由端側からの反射波の影響が見られなかった.こ の原因として,前節で述べたように,自由端反射により長棒中を伝ぱする応力波の振幅 が増加しないこと,入射波が高周波なことにより伝ぱする応力波が急激に減衰している ことが考えられる.

以上の結果より,提案する測定方法での超音波振動する振動子が対象物へ与える衝撃 力の測定を可能とした.

43

(a) V = 2 V, f = 53.7 kHz (共振) (b) V = 2 V, f = 53.8 kHz

(c) V = 2 V, f = 53.9 kHz (d) V = 4 V, f = 53.5 kHz (共振)

(e) V = 4 V, f = 53.6 kHz (f) V = 4 V, f = 53.7 kHz 図5.12 Fst = 2.6 NにおけるV = 2, 4 Vでの衝撃力の時間変化

-10 -5 0 5 10

-2 0 2 4 6 8 10 12

衝撃力[N]

時間[ms]

-10 -5 0 5 10

-2 0 2 4 6 8 10 12

衝撃力[N]

時間[ms]

-10 -5 0 5 10

-2 0 2 4 6 8 10 12

衝撃力[N]

時間[ms]

-10 -5 0 5 10

-2 0 2 4 6 8 10 12

衝撃力[N]

時間[ms]

-10 -5 0 5 10

-2 0 2 4 6 8 10 12

衝撃力[N]

時間[ms]

-10 -5 0 5 10

-2 0 2 4 6 8 10 12

衝撃力[N]

時間[ms]

44

(a) V = 6 V, f = 53.4 kHz (共振) (b) V = 6 V, f = 53.5 kHz

(c) V = 6 V, f = 53.6 kHz (d) V = 8 V, f = 53.2 kHz (共振)

(e) V = 8 V, f = 53.3 kHz (f) V = 8 V, f = 53.4 kHz

(g) V = 10 V, f = 53.1 kHz (共振)

図5.13 Fst = 2.6 NにおけるV = 6, 8, 10 Vでの衝撃力の時間変化

-10 -5 0 5 10

-2 0 2 4 6 8 10 12

衝撃力[N]

時間[ms]

-10 -5 0 5 10

-2 0 2 4 6 8 10 12

衝撃力[N]

時間[ms]

-10 -5 0 5 10

-2 0 2 4 6 8 10 12

衝撃力[N]

時間[ms]

-10 -5 0 5 10

-2 0 2 4 6 8 10 12

衝撃力[N]

時間[ms]

-10 -5 0 5 10

-2 0 2 4 6 8 10 12

衝撃力[N]

時間[ms]

-10 -5 0 5 10

-2 0 2 4 6 8 10 12

衝撃力[N]

時間[ms]

-10 -5 0 5 10

-2 0 2 4 6 8 10 12

衝撃力[N]

時間[ms]

45

(a) V = 2 V, f = 53.8 kHz (共振) (b) V = 2 V, f = 53.9 kHz

(c) V = 2 V, f = 53.7 kHz (d) V = 4 V, f = 53.7 kHz (共振)

(e) V = 4 V, f = 53.8 kHz (f) V = 4 V, f = 53.9 kHz 図5.14 Fst = 6.1 NにおけるV = 2, 4 Vでの衝撃力の時間変化

-10 -5 0 5 10

-2 0 2 4 6 8 10 12

衝撃力[N]

時間[ms]

-10 -5 0 5 10

-2 0 2 4 6 8 10 12

衝撃力[N]

時間[ms]

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-2 0 2 4 6 8 10 12

衝撃力[N]

時間[ms]

-10 -5 0 5 10

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衝撃力[N]

時間[ms]

-10 -5 0 5 10

-2 0 2 4 6 8 10 12

衝撃力[N]

時間[ms]

-10 -5 0 5 10

-2 0 2 4 6 8 10 12

衝撃力[N]

時間[ms]

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(a) V = 6 V, f = 53.5 kHz (共振) (b) V = 6 V, f = 53.6 kHz

(c) V = 6 V, f = 53.9 kHz (d) V = 8 V, f = 53.4 kHz (共振)

(e) V = 8 V, f = 53.5 kHz (f) V = 8 V, f = 53.6 kHz

(g) V = 10 V, f = 53.3 kHz (共振)

図5.15 Fst = 6.1 NにおけるV = 6, 8, 10 Vでの衝撃力の時間変化 5.4 静的な押付が制振効果へ与える影響

4.3節において,提案手法による制振効果の要因として,励振した振動子の揺動運動抑 制によるすべり量の増加を挙げた.そこで,静的な押し付けによって生じる振動子の揺 動運動が制振効果に与える影響を調査する.しかし,振動子に生じる超音波振動は,振 幅が数μmと非常に微小であり,約54 kHzと高周波である.そのため,高速度カメラな

-10 -5 0 5 10

-2 0 2 4 6 8 10 12

衝撃力[N]

時間[ms]

-10 -5 0 5 10

-2 0 2 4 6 8 10 12

衝撃力[N]

時間[ms]

-10 -5 0 5 10

-2 0 2 4 6 8 10 12

衝撃力[N]

時間[ms]

-10 -5 0 5 10

-2 0 2 4 6 8 10 12

衝撃力[N]

時間[ms]

-10 -5 0 5 10

-2 0 2 4 6 8 10 12

衝撃力[N]

時間[ms]

-10 -5 0 5 10

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衝撃力[N]

時間[ms]

-10 -5 0 5 10

-2 0 2 4 6 8 10 12

衝撃力[N]

時間[ms]

47

どを使用して励振中の振動子の運動を測定することは困難である.そこで,図5.16に示 すように,振動子よりもはりの振動方向に対して高剛性な力センサをはりに接触させた.

これにより,振動子の揺動運動を抑制した状態を再現し,制振効果を測定することで,

提案手法による制振効果の発生が揺動運動の抑制に起因することを検証する.

使用する力センサ(東京測器,型番:CLS-50NA)を図5.17,その仕様を表5.4にそれぞ れ示す.力センサは,はりへ押し付けたとき,加圧方向以外への変形が極力小さくなる ように 1 軸検知式とした.力センサを取り付けた試験装置を図 5.18 に示す.図 5.18 に 示すように,力センサをはりに押し付けるとき,図5.17(a)に示す圧子部分(球R2)をはり の側面へ接触させるため,力センサは振動子の保持機構を設置しているイケールに両面 テープで垂直に設置した.

図5.16 力センサの静的な押し付けによる揺動運動の抑制

(a) 全体図 (b) 上面図

図5.17 使用する力センサ(東京測器,型番:CLS-50NA)

表5.4 力センサ(東京測器,型番:CLS-50NA)の仕様

型番 CLS-50NA

メーカ 東京測器 容量[N] 50 定格出力[V] -1084 定格ひずみ出力[με] -2167 校正係数[N/με] 0.0231 非直線性 0.2 %RO ヒステリシス 0.2 %RO 力センサ

(高剛性)

抑制

はり(上面) 揺動運動

圧子

48

図5.18 力センサを取り付けたハンマリング試験装置

以上で述べた試験装置を用いて力センサをはりに静的に押し付けた状態で第3章と同 様にハンマリング試験を行い,減衰比を測定した.力センサの接触位置は,3.2節で振動 子を接触させた位置と同様,はりの先端から下に5 mmの位置とした.また,力センサ による静的押付力は,その出力を確認しながら,静的押付量を調整して目標値に設定し た.静的押付力Fstは0~10 Nの範囲で変更し,各Fstの下で3回ずつハンマリング試験 を行った.非励振状態の振動子を静的に押し付けた場合も同様にハンマリング試験を行 った.

試験結果として,各静的押付力 Fst におけるアクセレランスの時間変化を図 5.19,図

5.20,静的押付力Fstにともなう減衰比の変化を図5.21にそれぞれ示す.図5.19と図5.20

に示すように,Fst = 0 Nにおいて力センサを静的に押し付けた場合のアクセレランスは,

振動子の場合と比べて速く収束した.一方,Fst = 0.5 N以上では,力センサと振動子で のアクセレランスの時間変化に大きな差異が生じなかった.また,図5.21に示すように,

力センサと振動子の両方とも,減衰比は Fst = 0.5 Nでピークを有し,Fst = 2 N以上で一 定値に収束した.

減衰比がピークを示す原因として振動子および力センサとはりの接触面で生じるす べりの有無が影響すると考えられる.Fst = 0 Nと静的押付力が小さい場合,振動子なら びに力センサとはりとの接触面に生じる静摩擦力も小さくなる.そのため,はりの振動 にともない接触面ですべりが生じる.しかし,静的押付力が小さいため,接触面で生じ る動摩擦力は小さくなり,減衰比は低くなる.Fst = 0.5 Nと静的押付力を増加させると,

接触面で生じる動摩擦力が増加し,減衰比が上昇する.一方,Fst = 1 N以上と静的押付 力をさらに増加させると,接触面での静摩擦力が大きくなり,振動子ならびに力センサ ははりに対して固着して接触面でのすべりが生じにくい状態となる.このため,減衰比 は減少し,ある静的押付力を超えると一定となる.以上により,減衰比はある静的押付

CLS-50NA

5mm

X Y Z

Y X Z

49

力でピークを示す.また,図 5.21に示すように,いずれの Fstにおいても力センサを押 し付けた場合の減衰比は,振動子での値よりも増加した.これは力センサの方が振動子 よりも高剛性であり,揺動が生じにくくはりとの接触面ですべりやすいためである.

図 4.6に示したように,静的押付量xstが 0.05,0.1 mm における振動子を励振したと きの減衰比の各最大値は,約3.4,1.5 %である.5.2節で述べたように,上記の静的押付 量は静的押付力Fst = 2.6,6.1 Nにそれぞれ対応する.

以上より,提案手法による制振効果の主要因が,振動子の励振による揺動運動の抑制 であることが予想できる.

50

振動子 力センサ

Fst = 0 N

Fst = 0.5 N

Fst = 1 N

Fst = 1.5 N

Fst = 2 N

図5.19 アクセレランスの時間変化( Fst = 0 ~ 2 N )

-10 -5 0 5 10

0 20 40 60 80

アクセレランス[m/s2/N]

時間[ms]

-10 -5 0 5 10

0 20 40 60 80

アクセレランス[m/s2/N]

時間[ms]

-10 -5 0 5 10

0 20 40 60 80

アクセレランス[m/s2/N]

時間[ms]

-10 -5 0 5 10

0 20 40 60 80

アクセレランス[m/s2/N]

時間[ms]

-10 -5 0 5 10

0 20 40 60 80

アクセレランス[m/s2/N]

時間[ms]

-10 -5 0 5 10

0 20 40 60 80

アクセレランス[m/s2/N]

時間[ms]

-10 -5 0 5 10

0 20 40 60 80

アクセレランス[m/s2/N]

時間[ms]

-10 -5 0 5 10

0 20 40 60 80

アクセレランス[m/s2/N]

時間[ms]

-10 -5 0 5 10

0 20 40 60 80

アクセレランス[m/s2/N]

時間[ms]

-10 -5 0 5 10

0 20 40 60 80

アクセレランス[m/s2/N]

時間[ms]

51

振動子 力センサ

Fst = 4 N

Fst = 6 N

Fst = 10 N

図5.20 アクセレランスの時間変化( Fst = 4 ~ 10N )

図5.21 振動子および力センサを静的に押し付けた状態での

静的押付力Fsにともなう減衰比の変化

-10 -5 0 5 10

0 20 40 60 80

アクセレランス[m/s2/N]

時間[ms]

-10 -5 0 5 10

0 20 40 60 80

アクセレランス[m/s2/N]

時間[ms]

-10 -5 0 5 10

0 20 40 60 80

アクセレランス[m/s2/N]

時間[ms]

-10 -5 0 5 10

0 20 40 60 80

アクセレランス[m/s2/N]

時間[ms]

-10 -5 0 5 10

0 20 40 60 80

アクセレランス[m/s2/N]

時間[ms]

-10 -5 0 5 10

0 20 40 60 80

アクセレランス[m/s2/N]

時間[ms]

0 0.5 1 1.5 2 2.5

0 2 4 6 8 10 12

減衰比[%]

静的押付力Fst[N]

振動子 力センサ

±σ

52 5.5 衝撃力と制振効果との関係

図 5.12~図 5.15 で示した衝撃試験の結果から,定常状態となる時刻 6 ms 以降で の衝撃力の振幅を算出した.各静的押付力 Fstにおける衝撃力の振幅と電流値との関 係を図 5.22に示す.同図中の白抜きの丸および四角は,Fst = 2.6 Nおよび 6.1 Nにお いて振動子の周波数を共振周波数からずらした場合での結果である.

衝撃試験で振動子を接触させた長棒は第 3 章で述べた片持ちはりと大きく構造が 異なるため,衝撃力がピークを示す電流値を 4.2.3節で得られたハンマリング試験で の値と対応させることは困難である.しかし,図 5.22に示すように,各静的押付力 において衝撃力の振幅は,ある電流値でピークを示した.この傾向は図 4.6 で示し

xst = 0.01, 0.05 mm での減衰比の傾向と同様である.この結果より,提案手法によ

る制振効果がある電流値でピークを示すのは,制振対象物に加わる衝撃力がある電 流値でピークを示すためであり,提案手法で得られる制振効果が衝撃力の増加に起 因することがわかる.

さらに,減衰比と同様,振動子に流れる電流値を測定することで振動子が対象物 へ与える衝撃力の大きさを推定することができる.また,電流値が最適値となるよ うに印加電圧および振動子の周波数を調整することで,高い衝撃力を発生させるこ とができ,制振効果をさらに高めることも可能と考えられる.

非励振状態の振動子を制振対象物に静的に押し付けるだけでは,振動子に揺動運動が 生じ,対象物とともに振動子は振動する.この場合,振動子と対象物との接触面でのす べりが生じないため,十分な制振効果は得られない.提案手法では,振動子を励振する ことで,その揺動運動が抑制され,振動子と対象物との接触面ですべりが生じる.また,

振動子の励振により,対象物への静的押付力に加えて衝撃力が付与し,接触面にはより 高い摩擦力が発生する.以上により,振動子と制振対象物との間で摩擦による大きなエ ネルギ損失が生じて高い制振効果を発揮できる.

図5.22 振動子に流れる電流値にともなう衝撃力の振幅の変化

0 2 4 6 8 10

0 0.5 1 1.5 2

衝撃力の振幅[N]

電流値[A]

Fst=2.6N Fst=6.1N

Fst=2.6N (Shifted frequency) Fst=6.1N (Shifted frequency)

Fst= 6.1 N Fst= 2.6 N

Fst= 2.6 N (共振周波数以外) Fst= 6.1 N (共振周波数以外)

53 5.6 結言

本章では,板ばねの変形を測定することで,静的押付力を測定した.振動子に比べて 高剛性な力センサを用いて振動子の揺動が抑制された状態を再現した.さらに,一元応 力波伝ぱ理論を用いて長棒を伝ぱする応力波から超音波振動中の振動子が対象物へ与 える衝撃力を測定した.これらの結果から,提案手法による制振効果は,振動子の励振 による揺動運動の抑制と衝撃力の増加に起因することを示唆した.

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