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測定結果

ドキュメント内 修 士 学 位 論 文 (ページ 34-52)

■サンプルNo.1

Figure 3-1. サンプルNo.1における(左)電気抵抗の温度依存性,

(右)活性化エネルギーの圧力依存性.

φ/θ=-85.3/10.9に一軸圧の印加を行った。

3-12 kbarの圧力下において電気抵抗は測定した全ての温度で半導体的挙動を示したが、

15 kbarにおいて250 K付近でわずかに金属的挙動を示した。金属的挙動は22 kbarまで

見られたが、17-22 kbarでは150-200 Kの間で半導体的挙動へと転移した。この金属‐絶 縁体転移温度TM-Iは圧力印加により高温側へとシフトした。

全ての圧力で活性化エネルギーEaを計算することができた。圧力の増加に伴い、活性化 エネルギーは3-12 kbarでは線形的に減少し、金属状態への転移が見られ始める12-15 kbar 間で大きく値が跳び、15-22 kbarで非線形的にEa=5.6 meVまで減少する。

■サンプルNo.2

Figure 3-2. サンプルNo.2における(左)電気抵抗の温度依存性,

(右)活性化エネルギーの圧力依存性.

φ/θ=-75.3/14.9に一軸圧の印加を行った。

3-12 kbarの圧力下において電気抵抗は測定した全ての温度で半導体的挙動を示したが、

15 kbarにおいて室温から130 Kまで金属的挙動を示した。15 kbarでは130 Kで抵抗は

最小となり金属‐絶縁体転移を示し、30 Kで抵抗は最大となり再び金属‐絶縁体転移を示 す。16-21 kbarでは測定した全ての温度で金属的挙動を示すが、16 kbarでは50 K近傍、

17-21 kbarでは70 K近傍を境に金属的挙動の減少傾向が異なっていた。

半導体的挙動を示した3-15 kbarで活性化エネルギーEaを計算することができた。圧力 の増加に伴い活性化エネルギーは減少傾向を示したものの、その減少幅は小さく、15 kbar でEa=30 meV程度であった。

■サンプルNo.3

Figure 3-3. サンプルNo.3における(左)電気抵抗の温度依存性,

(右)活性化エネルギーの圧力依存性.

φ/θ=-69.8/-17.0に一軸圧の印加を行った。

3-9 kbarの圧力下において電気抵抗は測定した全ての温度で半導体的挙動を示した。11

kbarにおいて室温から200 K付近まで金属的挙動を示し200 K付近で抵抗は最小をとり、

およそ200 Kで金属‐絶縁体転移を示したのち、30 Kで抵抗は最大となり再び金属‐絶縁

体転移を示し、そして6.47 Kにて抵抗が急落した。12 kbarの挙動は11 kbarのものとお およそ似ていたが、低温では挙動に乱れがあった。13, 14 kbar においても200 K付近での 金属‐絶縁体転移が見られたが、14 kbarでは150 K付近で再び金属状態へと転移する。

16-19 kbarにおいてはこの金属‐絶縁体転移は示さず、常温から低温まで金属的挙動を維

持した。また、13 kbar以上の圧力下においては低温にて絶縁体への急激な転移が見られた。

この急激な金属‐絶縁体の転移温度TM-Iは13 kbarではTM-I=10 K、14 kbarではTM-I=10 K、16 kbarではTM-I=30 K、18 kbarではTM-I=40 K、19 kbarではTM-I=30 Kと大きく変 化した。また、18 kbarにおいては6.93 Kにて抵抗の急落を観測したが、19 kbarではこ の急落は観測されなかった。

半導体的挙動が指数関数的であった3-12 kbarについて活性化エネルギーEaを計算する ことができた。3-9 kbarでは活性化エネルギーは線形的に少しずつ減少したが、低温にて 抵抗の急落の見られた11 kbarでは活性化エネルギーもまた急落を示した。

■サンプルNo.4

Figure 3-4. サンプルNo.4における(左)電気抵抗の温度依存性,

(右)活性化エネルギーの圧力依存性.

φ/θ=3.1/77.0に一軸圧の印加を行った。

3-11 kbarの電気抵抗は測定した全ての温度で半導体的挙動のみを示した。13, 15 kbar

では常温から200 K付近まで金属的挙動を示し、最低値を取った後、半導体的挙動へと転

移した。18-22 kbarについて、200 K付近まで金属的挙動、170 K付近まで半導体的挙動、

18 kbarでは125 Kまで、20, 22 kbarでは80 K以下まで金属的挙動を取った後、最低温

まで半導体的挙動を取るといった、微妙な変化はあるが、測定した温度範囲で抵抗はほぼ 一定の値であった。

半導体的挙動が指数関数的であった3-18 kbarについて活性化エネルギーEaを計算する ことができた。全体を通して減少傾向を取るが、9 kbarから値は大きく減少し、18 kbar

ではEa=1.15 meVと非常に小さな値をとった。

■サンプルNo.5

Figure 3-5. サンプルNo.5における(左)電気抵抗の温度依存性,

(右)活性化エネルギーの圧力依存性.

左図の挿入図は(上)10 kbar,(下)11 kbarのそれぞれにおける0-40 Kの拡大図.

φ/θ=10.4/-45.4に一軸圧の印加を行った。

3, 6 kbarの電気抵抗は測定した全ての温度で半導体的挙動を示した。9 kbarでは40 K

以下で半導体的挙動が穏やかになり、7 Kにて金属状態へと転移した。10 kbarでは常温か ら25 K付近までは半導体的挙動を示すが、それ以下の温度で金属状態へと転移し、6.43 K にて抵抗に急落が見られた。11 kbarにおいてもこれとほとんど同様の挙動を示した。抵抗 の急落は見られなくなるが、12-22 kbarまでほとんど同様の挙動を示した。

半導体的挙動が指数関数的であった3-16 kbarについて活性化エネルギーEaを計算する ことができた。計算の行えた範囲で概ね線形的な減少傾向を示し、16 kbarではEa=2.76 meVであった。

■サンプルNo.6

Figure 3-6. サンプルNo.6における(左)電気抵抗の温度依存性,

(右)活性化エネルギーの圧力依存性.

14 kbarの250 K付近にデータの乱れが見られたが原因は不明.

φ/θ=23.1/31.8に一軸圧の印加を行った。

測定した3-18 kbarの全ての温度で半導体的挙動のみを示した。14 kbarの250 K付近に

てデータに乱れが見られたが、昇温過程では200 K付近で極僅かに類似したものが見られ たのみで以降の測定では異常はなかった。原因は不明であるが、測定の一時的な不良であ ると考えられる。

全ての圧力で活性化エネルギーEaを計算することができた。大まかな減少傾向は見られ るが減少幅は小さく、18 kbarにおいてもEa=18.8 meVであった。

■サンプルNo.7

Figure 3-7. サンプルNo.7における(左)電気抵抗の温度依存性,

(右)活性化エネルギーの圧力依存性.

φ/θ=46.8/-78.0に一軸圧の印加を行った。

3-12 kbarの電気抵抗は測定した全ての温度範囲で半導体的挙動のみを示した。ただし、

12 kbarのデータは降温過程の測定プログラムにミスがあったため代替として昇温過程の

データを示している。14 kbar以上の圧力では室温近傍にて金属的挙動を示した。14 kbar

では180 K付近、15-23 kbarでは100 K付近まで金属的挙動を示し、それ以下の温度で絶

縁体へと転移した。

半導体的挙動が指数関数的であった2-10 kbarについて活性化エネルギーEaを計算する ことができた。計算の行えた範囲で概ね線形的な減少傾向を示し、10 kbarではEa=7.35 meVであった。

■サンプルNo.8

Figure 3-8. サンプルNo.8における(左)電気抵抗の温度依存性,

(右)活性化エネルギーの圧力依存性.

φ/θ=61.4/8.3に一軸圧の印加を行った。

測定した3-22 kbarの全ての温度で半導体的挙動のみを示した。高圧になるに伴い室温で

の電気抵抗が低下していることから、圧力が印加されていることが確かめられる。

全ての圧力で活性化エネルギーEaを計算することができた。しかしながら、圧力を印加 したにもかかわらずほとんどまったく活性化エネルギーEaは減少しなかった。

■サンプルNo.9

Figure 3-9. サンプルNo.9における(左)電気抵抗の温度依存性,

(右)活性化エネルギーの圧力依存性.

φ/θ=63.1/31.4に一軸圧の印加を行った。

3-17 kbarの電気抵抗は測定した全ての温度範囲で半導体的挙動のみを示した。ただし、

12 kbarでは30 K付近、14-17 kbarでは50 K付近前後で半導体的挙動の傾向が異なって

いた。19, 20 kbarではおよそ20-35 Kで僅かに金属的挙動を示し、20 K以下で再び絶縁体

へと転移した。しかしながら22 kbarではこの金属的挙動は見られず、測定した全ての温 度で半導体的挙動のみを示した。

半導体的挙動が指数関数的であった3-14 kbarについて活性化エネルギーEaを計算する ことができた。計算の行えた範囲で概ね線形的な減少傾向を示したものの、減少幅は小さ く14 kbarで22. 4 meVであった。

以上の結果を以下のFigure 3-10およびTable 3-1にまとめた。

Figure 3-10. 本研究における測定方向および測定結果.

Table 3-1. 本研究における測定方向および測定結果, 軸の方向.

No. φ(degrees) θ(degrees) 金属的挙動 (kbar)

抵抗の急落の開始

(kbar/K) マーク

1 2 3 4 5 6 7 8 9

-85.3 -75.3 -69.8 3.1 10.4 23.1 46.8 61.4 63.1

10.9 14.9 -17.0 77.0 -45.4 31.8 -78.0 8.3 31.4

15 ~ 16 ~ 11 ~ 13 ~ 10 ~

- 14 ~

- 19, 20

- -

11/6.47、18/6.93 -

10/6.43 - - - -

▲ a軸

b軸 c軸

-73.4 55.2

0

0 -80.8

0

+ + +

4. 考察

4-1. 各結晶軸間方向への一軸圧下の電気物性

No.5の測定結果について、10 kbarにて超伝導と思しき挙動を観測した。本研究では磁 場下における伝導度の測定は行えていないため、この挙動が超伝導によるものか定かでは ない。以下では、仮にこの挙動が超伝導に由来するとした場合について議論を行う。

磯野および吉本による先行研究を参考にすると、I3塩において10 kbar程度の圧力におけ る超伝導は 1/4-filled の電子状態で発現していると考えられる。しかしながら、この

1/4-filledの電子状態はc軸近傍方向への一軸圧の印加により有効に上下のバンドの重なり

Woが増大するために生じているとされた。No.5はθ=-45.4とac伝導面から大きく外れた 方向への一軸圧であるため、この結果は圧縮による効果のみを考えると不可解である。

この1/4-filledの電子状態が達成されるための可能性の一つとして、以下の状況を考えた。

I3塩において、ジチアン環の立体障害のために BDA-TTP 分子は二量体を形成し、二分子 周期でおよそb軸に方向に「ズレ」て積層している。一軸圧印加方向がac面内方向から分 子長軸方向へ向かう場合には分子はこの「ズレ」を矯正するような「スリップ」をするの ではないかと考えた。この「スリップ」の効果を検討するため、次に示す条件でNo. 5の方 向への一軸圧におけるバンド構造の変化についてのシミュレーションを行った。(Figure 4-1)

ii) BDA-TTP分子の長軸方向にのみ「スリップ」を考える

ii)a軸方向の圧縮を無視し、積層するBDA-TTP分子間の距離は「ズレ」の矯正の前後でほ ぼ等しくなるように保つ

この条件を元に、常圧における結晶構造から Figure 4-1(右)に示すような仮想的な結晶 構造を用意し、強結合近似によりバンド構造の計算を行った。また、No.5をより正しく再

ドキュメント内 修 士 学 位 論 文 (ページ 34-52)

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