6-1. BDA-TTP の合成の詳細
「2-1. BDA-TTPの合成」の詳細を以下に記す。
Figure 2-1. BDA-TTPの合成スキーム.(再掲載)
Table 6-1. 各分子の分子量および試薬の濃度.
物質 分子量(g/mol) 濃度(mol/l)
物質1 物質3 物質4 物質6 BDA-TTP
NaOMe Bu2SnCl2
dioxane BF3・OEt2
propanedithiol MeMgBr/THF Me3Al/n-hexane
dithiane DDQ
208.30 266.38 312.54 414.76 412.74 54.024 303.84 157.00 141.93 108.23 119.24 72.09 192.30 227.00
a a a a a a a 9.24 7.93 9.98 ca. 1 1.06 6.34 a
dioxane :trans-2,3-dichloro-1,4-dioxane
propanedithiol:1,3-propanedithiol
dithiane -:Ethyl-1,3-dithiane-2-carboxylate
DDQ :2,3-dichloro-5,6-dicyano-para-benzoquinone
■1→2
Figure 6-1. 物質1から物質2の合成スキーム.
1,3,4,6-tetrathiapentalene-2,5-dione(=物質1)の針状固体4.97 g(23.9 mmol)を二 口フラスコへ移し、窒素雰囲気下、氷浴により冷却した。MeOH 50mlに溶解したNaOMe
2.57 g(47.6 mmol)を30分かけて滴下したのち、室温で15分撹拌した。系をメタノール
浴にて-90 ℃程度に冷却し、THF 70 mlに溶解したBu2SnCl2 8.18 g(26.9 mmol)をゆっ くりと滴下しつつ一晩撹拌した。飽和NaCl溶液を加えて反応を停止し、CH2Cl2で抽出、
飽和NaCl溶液で洗浄、MgSO4で脱水し、減圧濃縮して得られた褐色溶液をCH2Cl2:
n-hexane=1:1の混合液を展開溶媒としたシリカゲルクロマトグラフィーにより分離した。
目的物質の分画を減圧濃縮して物質2の褐色油を得た。
■2→3
Figure 6-2. 物質2から物質3の合成スキーム.
回収してすぐの物質2の褐色油を二口フラスコへ移し、CH2Cl2 100 mlに溶解した。窒 素雰囲気下、trans-2,3-dichloro-1,4-dioxane 2.0 ml(18 mmol)とBF3・OEt2 5.0 ml(40
mmol)を加え、室温で3時間撹拌した。飽和NaCl溶液を加えて反応を停止し、CH2Cl2
で抽出、飽和NaCl溶液で洗浄、MgSO4で脱水し、減圧濃縮して得られた褐色溶液を
CH2Cl2:n-hexane=2:1の混合液を展開溶媒としたシリカゲルクロマトグラフィーにより
分離した。目的物質の分画を減圧濃縮して物質3の淡黄色固体 3.70 g(13.9 mmol)を得 た。
■3→4
Figure 6-3. 物質3から物質4の合成スキーム.
物質3の淡黄色固体3.70 g(13.9 mmol)を二口フラスコへ移してCH2Cl2 50 ml程度に 溶解した。窒素雰囲気下、1,3-propanedithiol 2.0 ml(20 mmol)とBF3・OEt2 21.8 ml(173
mmol)を加え、室温で一晩撹拌した。氷浴中、飽和NaHCO3溶液を加えて反応を停止し、
CH2Cl2で抽出、飽和NaCl溶液で洗浄、MgSO4で脱水し、減圧濃縮して得られた褐色溶液 をCH2Cl2:n-hexane=1:1の混合液を展開溶媒としたシリカゲルクロマトグラフィーに より分離した。目的物質の分画を減圧濃縮して物質4の黄色固体 2.11 g(6.75 mmol)を 得た。
1H-NMR(270 MHz, CDCl3) 1.96-2.11(m, 2H), 2.71-2.77(m, 2H), 2.89-2.96(m, 2H), 5.79(d,1H)
■4→5
Figure 6-4. 物質4から物質5の合成スキーム.
物質4の黄色固体307 mg(0.982 mmol)をよく乾燥させた三ツ口フラスコへ移し、
窒素雰囲気下でTHF 14.5mlに溶解した。氷浴中、MeMgBr/THF 3.4 ml(3.4 mmol)を ゆっくりと加えたのち、室温で2時間撹拌した。系をメタノール浴で-90 ℃程度に冷却し、
THF 10.5 mlに溶解したBu2SnCl2 351 mg(1.16 mmol)を10分かけて滴下したのち一晩 撹拌した。飽和NaCl溶液を加えて反応を停止し、セライトにてろ過、CHCl3で抽出、MgSO4
で脱水し、減圧濃縮して物質5の褐色油を得た。
■5→6
Figure 6-5. 物質5から物質6の合成スキーム.
回収してすぐの物質5の褐色油を良く乾燥させた二口フラスコへ移し、窒素雰囲気下、
超脱水CH2Cl2 10 mlに溶解した。系をメタノール浴で-90 ℃程度に冷却し、Me3Al/
n-hexane 5.0 ml(5.3 mmol)をゆっくりと加え、8分間撹拌したのち、Ethyl-1,3-
dithiane-2-carboxylate 210 l(1.33 mmol)を加えて一晩撹拌した。氷浴中、飽和NaHCO3
溶液を加えて反応を停止し、セライトにてろ過、CS2で抽出、MgSO4で脱水し、減圧濃縮 して得られた褐色溶液をCS2を展開溶媒としたシリカゲルクロマトグラフィーにより分離 した。目的物質の分画を減圧濃縮して物質6の黄色固体 42.9 mg(0.103 mmol)を得た。
1H-NMR(270 MHz, CDCl3) 1.98-2.08(m, 2H), 2.13-2.19(m, 2H), 2.69-2.75(m, 2H), 2.83-2.86(m, 4H), 2.87-2.94(m, 2H), 4.23(d, 1H), 5.92(d, 1H)
■6→BDA-TTP
Figure 6-6. 物質6からBDA-TTPの合成スキーム.
物質6の黄色固体26.9 mg(64.9 mol)を二口フラスコへ移し、油浴で135 ℃に加熱し つつtoluene 7 mlに溶解した。油浴中、toluene 7 mlに溶解したDDQ 18.6 mg(81.9 mol)
をゆっくりと滴下し、10分撹拌した。系を室温に冷まし、少量のCS2を加え、超音波洗浄 機を用いてフラスコ壁面に付着した黒色固体を溶解した。セライトにてろ過し、減圧濃縮 して得られた褐色溶液をCS2を展開溶媒としたシリカゲルクロマトグラフィーにより分離 した。目的物質の分画を減圧濃縮してBDA-TTPの黄色固体 17.8 mg(43.1 mol)を得た。
1H-NMR(270 MHz, CDCl3) 2.15-2.21(m, 4H), 2.85-2.88(m, 8H)
6-2. 磯野および吉本の先行研究の結果
Table 6-2. 磯野、吉本の研究における測定方向および測定結果[19][23]. 研究者 φ(degrees) θ(degrees) 金属転移
(kbar)
超伝導転移
(kbar/K) マーク
磯野
-47 -32 -22 -1 15 16 45 58 73 80 89 102(=-78)
2 2 1 0 1 0 1 1 3 3 1 1(=-1)
10.5~
9.7~
11.5 10
- 10 13.5
12 13.5
12 - -
10.5/6.0 7.5/8.5 6.7/10.1 8.5/10.5 9/(?) 9.5/9.6
7/10.3 6.5/9.9
6/9.2 8/7.5
- -
●
●
●
●
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●
●
●
●
●
◆
◆ a軸
b軸 c軸
12 - 9.1~
- - 8.8/10.5
(▲) (◆) (●)
吉本
-1.7 -1.7 0.4 1.2 8.5 9.2 22.3
21.7 -11.3 -13.0 10.0 5.0 -9.6 -16.3
- 12 10~
11~
- 12~
-
- 10/5.2
- 11/8.2
9/5.0 11/5.5
-
◆
●
▲
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◆ 磯野の「超伝導転移」の項目について、圧力は転移を示した最小値を、温度は最大値を記 している[19].
これらの先行研究と本研究の結果を重ねるとFigure 6-7のようになる。
Figure 6-7. 本研究および先行研究の結果のまとめ.