る。
田ら 2) によると混和材を用いない水結合材比 50% のコンクリートの場合,蒸気 養生を行う前に 4 時間の前置き時間を設ける必要があるとされており,前養生
3.8 深さ方向に着目したコンクリートの水和生成物
本節では,養生条件の相違がコンクリートの水和生成物に及ぼす影響を深さ 方向での変化に着目することで,コンクリート表面における乾燥の影響を考察 した。
供試体記号は表-
3.8に示す通りである。なお,水結合材比は
40%で統一した。
表-
3.8供試体一覧
3.8.1 未水和エーライト残存量
エーライトとは,セメントクリンカーの主要鉱物であり,普通ポルトランドセ メント中の約
50%を占めている。エーライトは,水和反応が速く,初期および長 期強度の発現性に優れているなどの特徴がある。そのため,コンクリート中のエ ーライト量を把握することは,乾燥が水和反応に及ぼす影響を評価する上で重 要であるといえる。そこで,本研究では深さ方向ごとの未水和エーライト量に着 目し,養生条件ごとにおけるコンクリートの水和反応について検討を行った。
図-
3.30に各養生条件における深さ方向ごと
(10mm間隔
)の未水和エーライ ト残存量を示す。なお,
(a)は養生終了時
(材齢
1日,
2日,
5日
),
(b)は出荷時あ るいは強度保障時
(材齢
14日,材齢
28日
),
(c)は材齢
91日である。
まず,養生終了時に着目すると,
1回蒸気養生コンクリート
(s40-d-n)および現 場打ち模擬コンクリート
(n40-5rd-n)は,表層部
(0~
10mm)の方が内部
(10~
30mm)よりも未水和エーライト残存量が多い。この要因として,
1回蒸気養生コンクリ
ート
(s40-d-n)においては,蒸気養生中の乾燥による影響を受けたこと,また現場
打ち模擬コンクリート
(n40-5rd-n)においては,練混ぜ水だけでは十分に水和反応 が進行しなかったことが考えられる。しかしながら,
2回蒸気養生コンクリート
(s40-s-nおよび
s40-srd-n)は表層部
(0~
10mm)と内部
(10~
30mm)における未水和
種類 W/B(%) 養生条件 混和材料 記号
蒸気養生→気中 s40-d-n 2回蒸気養生(脱型あり)→気中 s40-s-n 2回蒸気養生(脱型なし)→気中 s40-srd-n 現場打ち模擬 5日封緘養生→気中 n40-5rd-n
※記号について:(1回目蒸気養生:s,恒温室保管:n)(水結合材比)-(気中保 管d,2回目蒸気養生:s,5日間封緘養生:5rd)-(混和材)
促進養生 40
なし
ライトが消費されたといえる。
また,材齢の進行に伴い,
1回蒸気養生コンクリート
(s40-d-n)および現場打ち 模擬コンクリート
(n40-5rd-n)は,未水和エーライト残存量が減少する傾向を確認 できるが,材齢
91日においても表層部
(0~
10mm)と内部
(10~
30mm)で未水和エ ーライト残存量の差異が見られる。これは,養生不足に加え,養生終了後の気中 保管によって乾燥の影響を受けたためであるといえる。しかしながら,
2回蒸気 養生コンクリート
(s40-s-nおよび
s40-srd-n)は,材齢が進行した場合においても,
表層部
(0~
10mm)と内部
(10~
30mm)で未水和エーライト残存量に大きな差異は
ほとんどなく,未水和エーライト残存量も少なくなっている。すなわち,
2回蒸 気養生を行うことで,若材齢時において十分に水和反応が進行し,乾燥の影響を 受けにくい組織を形成したため,長期にわたって水和反応が進行したと考えら れる。
以上のことから,若材齢時に十分な養生を行うことで,表層部
(0~
10mm)から
内部
(10~
30mm)にかけて水和反応が進行するだけでなく,長期にわたって水和
反応が継続するといえる。
(a) 養生終了時材齢
0 2 4 6 8 10
0 10 20 30
未水和エーライト量 (%)
供試体表面からの深さ (mm)
s40‐d‐n 1day s40‐srd‐n 2day s40‐s‐n 2day n40‐5rd‐n 5day
(b) 出荷時あるいは強度保障時材齢
0 2 4 6 8 10
0 10 20 30
未水和エーライト量 (%)
供試体表面からの深さ (mm)
s40‐d‐n 14day s40‐srd‐n 14day s40‐s‐n 14day n40‐5rd‐n 28day
0 2 4 6 8 10
0 10 20 30
未水和エーライト量 (%)
供試体表面からの深さ (mm)
s40‐d‐n 91day s40‐srd‐n 91day s40‐s‐n 91day n40‐5rd‐n 91day
3.8.2 水酸化カルシウム生成量
中性化は中性化因子である炭酸ガスがコンクリート内部に拡散し,水和生成 物と化学反応することで生じる。すなわち,中性化に対する抵抗性を評価する際 には,コンクリート中に含まれる水和生成物量に基づく考察も重要であるとい える。
コンクリート中で炭酸ガスと反応する水和生成物は多く存在するが,中でも 水酸化カルシウムとの反応が熱力学的にも最も活発であるとされている
3)。そこ で,本研究では蒸気養生を行ったコンクリート中における深さ方向ごとにおけ る水酸化カルシウム量に着目して,その含有量の測定を行った。
図-
3.31に養生条件ごとの単位セメントペーストあたりの水酸化カルシウム 量を示す。なお,
(a)は養生終了時
(材齢
1日,
2日,
5日
),
(b)は出荷時あるいは 強度保障時
(材齢
14日,材齢
28日
),
(c)は材齢
91日である。
まず,養生終了時に着目すると
2回蒸気養生コンクリート
(s40-s-nおよび
s40-srd-n)および現場打ち模擬コンクリート
(n40-5rd-n)は,表層部
(0~
10mm)と内部
(10
~
30mm)で単位セメントペーストあたりの水酸化カルシウム生成量に大きな
差異はなく,その含有量もほぼ同程度である。しかしながら,
1回蒸気養生コン クリートは,表層部
(0~
10mm)と内部
(10~
30mm)での差異が顕著であり,他の養 生条件に比べて大幅に水酸化カルシウムの生成量が少ない。ところが,材齢の進 行に伴い,養生条件による水酸化カルシウム生成量の相違が小さくなっている。
材齢
91日においては養生条件によらず,水酸化カルシウム量が同程度になる傾
ドキュメント内
目次
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