第 2 章 医薬品開発における個別化医療の現状
2.2. 臨床試験における PGx
2.2.2. 海外製薬企業の臨床試験における PGx
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図 2-10 世界大手 5 社における PGx 試験割合の年次推移
注:世界大手10社のうちPGx試験数上位5社について示した。
出所・出典:図2-7に同じ。
図2-10に、PGx試験数上位5社の年次推移を示した。ロシュ及び米国メルクが近年急速 にPGx試験割合を伸ばしていること分かる。ロシュはグループ内に診断薬メーカー(ロシ ュ・ダイアグノスティクス)を持ち、全ての開発パイプラインでバイオマーカー・診断薬 開発を目指すなど、「個別化医療」を事業戦略の柱に位置付けている。一方、米国メルクは 今のところ個別化医療に関する明確な方針を表明していないが、がん分野の診断薬開発に 関するロシュとの提携(2011年6月)や、バイオマーカー探索に関する中国BGI社(1.4.1.
脚注11)参照)との戦略的提携(2011年9月)など、最近になって個別化医療推進に向け
た動きを活発化させている。ここで得られた結果は、両社における個別化医療戦略を反映 したものといえる。なお、臨床試験の実施国として日本が含まれる試験(日本実施試験)
の割合は、全臨床試験で4.1%(18,248件中744件)、PGx試験で3.6%(1,070件中38件)
であった。また、日本実施試験についてPGx試験割合を見ると5.1%(744件中38件)で あり、試験実施国を特定しない場合のPGx試験割合5.9%(18,248件中1,070件)と大き な違いはなかった。
次に、世界大手 10社がスポンサーのPGx試験1,070件について、疾患分野別の割合を 調査した(図2-11)。最も多い疾患分野は「がん」で、全体の46%を占めていた。次いで多 い疾患分野は「感染症」(27%)であり、その大部分はエイズおよびC型肝炎に関する臨床 試験であった。各疾患分野別に試験数の年次推移を見ると、「がん」におけるPGx試験数が 明らかな上昇傾向を示した(図2-12)。これは、がん分野の医薬品開発において PGxの利 用が最も活発であることを反映している。「がん」「感染症」を除く疾患分野のPGx試験数
0 2 4 6 8 10 12 14 16 18
2006 2007 2008 2009 2010 2011
PGx試験割合
ロシュ 米国メルク ファイザー ノバルティス GSK
(%)
(年)
34
は、合算しても全体の3割弱であり、図2-12に示した年次推移を見てもほぼ横ばいであっ た。現状では、「精神・神経系」「免疫・炎症」「循環器系」などの疾患分野における臨床試 験でPGxの利用が進んでいないことが窺える。これらの疾患分野では、疾患の発症メカニ ズムや進展プロセスに未だ不明な部分が多く、臨床上有用なPGx情報が不足している。そ れが、これら疾患分野の臨床試験においてPGxの利用が進まない要因の一つと考えられる。
図 2-11 世界大手 10 社における PGx 試験の疾患別割合
出所・出典:図2-7に同じ。
図 2-12 世界大手 10 社における PGx 試験の疾患別年次推移
出所・出典:図2-7に同じ。
がん 46%
感染症 27%
精神・神経系 5%
循環器系 5%
遺伝性疾患 2%
免疫・炎症 8%
その他 7%
0 10 20 30 40 50 60 70 80 90
PGx試験数
がん 感染症 免疫・炎症 その他 循環器系 精神・神経系 遺伝性疾患
(件)
(年)
35