第1章、第2章で見たように、国内においてはクレジットカード会社や決済代行業者 が、契約時の審査や途上管理を通じて悪質な事業者を加盟店・店子にすることを回避す るための措置を講じている。
一方で、「国内のアクワイアラーや国内の決済代行業者の審査で通常排除されるべき 悪質なネット事業者が、海外のアクワイアラーの加盟店である決済代行業者を経由して、
商品代金・利用料金などを消費者に請求する取引に関する問題事例が、近年目立って増 加している」13
そこで、国内においてクレジットカード取引から排除された事業者が海外のアクワイ アラーや決済代行業者と契約するという事例が生じているかどうかを確認するために、
消費者トラブルが多く、それゆえに国内のアクワイアラーや決済代行業者はクレジット カードの取扱を拒否、あるいは制限している可能性の高い業種・商材を対象として、海 外の決済代行業者やアクワイアラーの関与に関する実態の調査を行った。
という指摘がある。
調査方法は次のとおりである。
【調査対象業種】
消費者からの苦情が多い業種・商材14として、次の5業種(うち、インターネット取引 が4業種、対面取引が1業種)を調査対象とした。
<インターネット取引>
1. 情報商材販売 2. 教育教材販売 3. 出会い系サイト 4. アダルトサイト
<対面取引>
5. エステティックサロン
13 2ページ注1をご参照。
14 消費者庁「インターネット消費者取引研究会」の研究会資料「いわゆる決済代行問題の考え 方について(平成23年2月)」によると、2010年6月~10月に全国の消費生活センターに 寄せられたクレジットカードに係る決済代行業者を介在した取引に係る551件の苦情・相談 についての内訳は、出会い系71%、商品等一般7%、情報商材6%、競馬情報4%、内職サイ ト2%、アダルトサイト2%となっている。
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【調査方法】
<インターネット取引>
○ 以下の条件に当てはまるウェブサイトから無作為に抽出した、1 業種につき 60サイトを調査対象とした。
有料のサービスがあること
支払にクレジットカードが利用できること
申込みから決済画面(クレジットカード情報の入力画面)までの遷移を 追跡できること。
○ 商品・サービスの購入申込みからクレジットカード情報の入力直前まで、申 込み画面の遷移をたどりながら次の事項について確認を行った。
販売者の名称
決済代行業者についての表示の有無
表示されている決済代行業者の名称、住所、電話番号
日本円以外の通貨建てで決済されることについての注意書きの有無
<対面取引>
○ 日本エステティック業協会(AEA)に加盟している事業者60社に対し、電話 にて、次の事項についての確認を行った。
クレジットカード利用の可否
– 役務(施術)料金の支払についてもカードの利用が可能であるか。
クレジットカードの利用が可能な場合、
– 決済代行業者を利用しているか
– 利用している決済代行業者は国内の業者か、海外の業者か
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1
インターネット取引(1) 情報商材販売15
(a) 決済代行業者の利用状況
調査対象とした 60 サイトの全てが、決済代行業者を介してクレジットカード決済を 行っており、利用している決済代行業者は全部で4社であった。
利用している決済代行業者の割合を見ると(複数の決済代行業者を利用しているサイ ト7件については決済代行業者ごとに1件とし、計67件を対象サイトとしている)、上 位2社の決済代行業者のいずれかを利用しているサイトが9割近くに及んでいる。
※本項目の円グラフのA~D社は、シェアの高い順であり、社名とはリンクしていな い。
情報商材販売サイト(67件)が利用している決済代行業者の割合
(n=67)
A社, 44.8%
B社, 43.3%
C社, 10.4% D社, 1.5%
15 情報商材販売は、情報の内容自体を商品として販売するものをいい、特にハウツーやマニュ アルのような実利的な情報を扱うことが多い。本項では、(2)の教育教材販売を除いた、イ ンターネット上で販売される情報商材(冊子、DVD等の形で提供するものも含む)を対象と した。
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(b) 決済代行業者に関する表示の状況
対象サイト 67 件における決済代行業者に関する表示の状況を見ると、すべての対象 サイトが決済代行業者の名称・住所を記載していた。また、1件を除き、決済代行業者 の電話番号も記載されていた。
外貨建てで決済されることや為替変動に関する注意書きがあったのは、対象サイト67 件中30件(44.8%)であった。
決済代行業者に関する表示の状況:情報商材販売
表示内容 表示のある 割合
サイト数
対象サイト数 67
-決済代行業者名称 67 100.0%
決済代行業者の住所 67 100.0%
決済代行業者の電話番号 66 98.5%
外貨建て決済に関する注意書き 30 44.8%
(c) 海外の決済代行業者およびアクワイアラーの関与状況
67件の対象サイトで利用されている決済代行業者4社は、表示されている住所からは、
いずれも国内に拠点を有する事業者であった。
外貨建て決済に関する注意書きを掲載している決済代行業者は4社中1社(A社)で、
国内アクワイアラーは通常、国内でのクレジットカード決済を外貨で決済することはな いことから考えると、同社が取り扱っているクレジットカード決済については海外のア クワイアラー経由で決済されている可能性が高い。他の3社については外貨建て決済に 関する注意書きはなく、海外アクワイアラーの関与の可能性について明確には確認でき なかった。しかし、国内アクワイアラー調査で浮かび上がった事実と照らし合わせて、
これらの 3社についても、海外アクワイアラー経由である可能性が高いと推測される。
なお、B社、C社、D社が海外のアクワイアラー経由であっても円建て決済である場合 はよいが、外貨建て決済にも係らずその注意書きがされていなければその点は問題があ ると言える。
表示内容から確認できる決済代行業者の概要:情報商材販売 決済代行業者
国内拠点あり 国内拠点なし・
海外拠点あり
A社 ○ - ○ 44.8%
B社 ○ - × 43.3%
C社 ○ - × 10.4%
D社 ○ - × 1.5%
拠点 外貨決済に関する 注意書き
利用している サイトの割合
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(2) 教育教材販売16
(a) 決済代行業者の利用状況
調査対象とした 60 サイトの全てが、決済代行業者を介してクレジットカード決済を 行っており、利用している決済代行業者は全部で4社であった。
利用している決済代行業者の割合を見ると(複数の決済代行業者を利用しているサイ ト3件については決済代行業者ごとに1件とし、計63件を対象サイトとしている)、調 査対象サイトの82.5%が、同じ決済代行業者(A社)に集中している。
教育教材販売サイト(63件)が利用している決済代行業者の割合
(n=63)
A社, 82.5%
B社, 11.1%
C社, 4.8%
D社, 1.6%
16 情報商材販売と教育教材販売には判別の難しいものもあるが、本調査では外国語教材、資格 取得を目的とした教材、子どものための学習教材を販売しているサイトを「教育教材販売」に 含めた。
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(b) 決済代行業者に関する表示の状況
対象サイト 63 件における決済代行業者に関する表示の状況を見ると、決済代行業者 の名称・住所については100%のサイトが記載を行っていた。また、決済代行業者の電 話番号も記載しているサイトは98.4%にのぼった。
外貨建てで決済されることや為替変動に関する注意書きがあったのは、対象サイト63 件中7件(11.1%)であった。
決済代行業者に関する表示の状況:教育教材販売
表示内容 表示のある 割合
サイト数
対象サイト数 63
-決済代行業者名称 63 100.0%
決済代行業者の住所 63 100.0%
決済代行業者の電話番号 62 98.4%
外貨建て決済に関する注意書き 7 11.1%
(c) 海外の決済代行業者およびアクワイアラーの関与状況
63件の対象サイトで利用されている決済代行業者4社は、表示されている住所から見 て、いずれも国内に拠点を有する事業者であった。
外貨建て決済に関する注意書きがあり、海外アクワイアラー経由でクレジットカード 決済を行っている可能性が高い決済代行業者は4社中1社(B 社)であった。ただし、
B社を利用していたのは、調査対象サイトの11.1%のみとなっている。シェアの高い決 済代行業者であるA社を含めた3社については、外貨建て決済に関する注意書きはなく、
海外アクワイアラーの関与の可能性について明確には確認できなかった。しかし、国内 アクワイアラー調査で浮かび上がった事実を照らし合わせて、これらの3社についても、
海外アクワイアラー経由である可能性が高いと推測される。なお、A社、C社、D社が 海外のアクワイアラー経由であっても円建て決済である場合はよいが、外貨建て決済に も係らずその注意書きがされていなければその点は問題があると言える。
表示内容から確認できる決済代行業者の概要:教育教材販売 決済代行業者
国内拠点あり 国内拠点なし・
海外拠点あり
A社 ○ - × 82.5%
B社 ○ - ○ 11.1%
C社 ○ - × 4.8%
D社 ○ - × 1.6%
拠点 外貨決済に関する
注意書き
利用している サイトの割合