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流通機器として活用可能な媒体について

ドキュメント内 ii (ページ 62-65)

4.1 デジタルサイネージによる視覚情報伝達について

災害情報等を文字、あるいは映像という視覚情報で伝達する装置である。文字のみを表示する 装置から大画面で映像、音声を表示するものまで種々の製品が販売されている。特に人通りの多 い場所、道路などで災害情報を伝達するのに効果がある。

設置場所の選定、通知情報内容については、視聴対象者に合わせた伝達情報とすることが効果 的であることから状況に応じた十分な検討が必要である。

写真提供:中能登町

画像提供:

国土交通省北陸地方建設局

また、設置場所・内容によっては、緊急性を表すために回転灯・電子サイレン等を併設した伝 達も効果的である。

1)整備計画での検討事項

デジタルサイネージの整備を検討するうえで下記のa)~e)を考慮する必要がある。

a)避難所において避難者に災害情報、自治体の広報を伝達するのか b)設置場所近隣に在住の住民に災害情報・避難情報を伝達するのか c)施設利用の不特定多数の住民に災害情報・避難情報を伝達するのか

d)観光客等の観光施設利用の短期滞在者に災害情報・避難情報を伝達するのか e)道路走行中の車両搭乗者に災害情報・避難情報を伝達するのか

2)実証実験の整備

実証実験では、4自治体がそれぞれ地域の事情を考慮して、新たな整備又は既設設備を活 用した情報伝達を行った。

a)宮城県気仙沼市は、駐車場屋上と病院待合室の2ヵ所にデジタルサイネージを整備し、

一時避難場所への情報伝達手段として活用した。

b)千葉県旭市は、電光表示板での文字情報を津波避難標識・電子音報知機と合わせて、

主要道路沿いに合計8ヵ所設置し、付近住民、観光客及び通行車両の搭乗者にも情報伝 達できる仕組みとしている。

c)東京都江東区では、飲料メーカーの協力を得て屋外に飲料水の自動販売機と併設した デジタルサイネージを設置し江東区の災害情報を伝達している。非常時には、避難民 に対し区職員の操作で自動販売機に保管している飲料水の無料配布が可能である。

d)東京都豊島区では、百貨店のマルチスクリーンを活用し、緊急時に豊島区の災害情報 を伝達出来る仕組みとした。

図7-4-1-1 デジタルサイネージ構成イメージ図 デジタルサイネージ

制御装置

屋外型・屋内型 デジタルサイネージ 伝送路

情報配信の 上位装置

文字情報表示等の 屋外電光表示盤

手前:飲料水自販機 奥:デジタルサイネージ

4.2 高性能スピーカー(ホーンアレイスピーカー)による音声伝達について

市町村防災行政無線(同報系)では、スピーカーから発せられる音声によって住民に情報が伝達 されるが、スピーカー間の干渉、あるいは建物、山などの反射によって放送の内容が聞きづらい という苦情も住民から多く寄せられている。

高性能スピーカー(例えばホーンアレイスピーカー)は指向性(水平、垂直)を付けることによ り高性能化を図ったものである。これによりスピーカーのカバーエリアを拡大、あるいは特定方 向に音声を絞って出力することでスピーカー間の干渉を避けることができる。

実証実験で用いられた高性能スピーカーは、4台1組(200W)で質量は約30kg、取付架台は約200

~230kg前後で合計質量約230~260kg前後のため、設置に際しては荷重強度を考慮する必要があっ た。

また、既存の拡声子局装置を置き換えて高性能スピーカーを設置する場合には、パンザマスト1 本分での設置は困難であることから十分広い設置場所の確保、庁舎屋上では耐震設計を行う必要 がある。

なお、実証実験においては、高性能スピーカーに送り出す音源の送出レベル設定を誤るとスピ ーカーの性能を十分発揮することが出来ない事例が見られた。対策として、送出レベルを適正な レベルとなるように調整する必要がある。

(a)防災行政無線利用のイメージ図

(b)IP告知端末利用のイメージ図 図7-4-2-2 高性能スピーカー接続のイメージ図 1)実証実験の整備

実証実験では、3自治体が地域の事情を考慮し、それぞれ必要とする場所で整備・実験を 行った。

実証実験で整備した高性能スピーカーの測定音圧レベルは、表7-4-2-1の通りである。

一般的に、到達音を理解するためには到達音と暗騒音の音圧差が約5~6dB必要とされて おり、今回の実験場所での測定値は、この差を確保していた。

高性能スピーカー 高性能スピーカー

駆動装置 IP告知端末

受信機

高性能スピーカー

駆動装置 高性能スピーカー 防災行政無線

同報系 親卓装置

IP告知放送 送信機

ネットワーク

防災行政無線 屋外拡声子局装置

表7-4-2-1 実証実験での高性能スピーカーの音達試験結果 自治体名 実証実験場所 測定ポイントの環境 スピーカー

との距離

音圧レベル(dB)

到達音 暗騒音 音圧差

東京都 江東区

東京国際展示場付近 見通しで人通り多い 約420m 79.1 59.4 19.7 公園内 見通し外・人車少ない 約400m 62.3 44.0 18.3 中学校付近 見通し外・人車少ない 約560m 65.1 54.7 10.4 大通り沿い 見通しで車騒音大 約500m 57.8 52.2 5.6 交差点を挟んだ反対側 見通しで車騒音大 約50m 80.6 69.1 11.5 東京都

豊島区

駅前ロータリー内 見通し 約70m 75.6 62.0 13.6 スピーカー設置ビルの直下 見通し 約35m 78.8 65.5 13.3 千葉県

旭市

漁業組合ビル屋上 見通し 約525m 68.4 53.0 15.4 市営住宅屋上 見通し 約455m 70.7 58.3 12.4 海水浴場駐車場 見通し 約462m 64.1 54.0 10.1 音達試験の結果詳細は、3自治体の実証実験報告書を参照のこと。

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