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アドバイス結果

ドキュメント内 ii (ページ 135-144)

参考資料 12 「平成 25 年度災害情報伝達手段アドバイザー派遣事業」について

3 アドバイス結果

3.1 問い合わせの傾向(①当初予定分)

当初予定分の 27 市町村において、防災担当者はどのようなアドバイスを要望したのかを以下に 示す。傾向を調べるため、アドバイス会議の開催前に各自治体の防災担当者が記入した質問票の 内容を整理した。

表 14-3-1-1 代表的なアドバイス希望内容

分類 詳細

1.総括的な問い合わせ ①当自治体にとって最適な情報伝達手段

②多数の情報伝達手段を効率よく運用する方法

③防災行政無線以外の情報伝達手段

④避難所での情報伝達手段

⑤障がい者、高齢者への情報伝達手段 2.防災行政無線(同報系)

に関する問い合わせ

①防災行政無線のデジタル化について

②自治体内の地区ごと(合併前の旧市町村ごと)に整備された設備 の運用・更改について

③音の聞こえにくさへの対策 ・屋内の住民への伝達 ・スピーカーの選定

3.運用面での問い合わせ ①住民へ伝達する情報のレベル、発信のタイミング

②住民への情報伝達手段の啓発

③消防機関との連携

4.その他 ①オフトーク通信の代替手段

②旅行者への伝達手段

防災行政無線(同報系)の導入率が高いこともあり、多くの問い合わせを受ける結果となった。

0% 20% 40% 60% 80% 100%

IP告知端末 CATV コミュニティFM 登録制メール 緊急速報メール 防災行政無線(同報系)

整備済み 部分的に整備済み 計画中 未整備

導入率

8 14 11 2 8 3

4 1 5 12 8 13 3 1

1

1

1

他の導入率が高い伝達手段である緊急速報メールや登録制メールと異なり、防災行政無線(同報 系)は親局、中継局、子局の整備が必要となる。加えて、自治体が合併する以前から利用している 場合は、地区ごとに整備状況が異なることも多い。また、設備の老朽化に伴いデジタル化を検討 している自治体もあることから、全体として、今後どのように整備を進めていけば良いのかアド バイスを要したものと考えられる。一方で、整備済みの自治体においても、住民から放送の内容 が聞き取れないという苦情を受け付けていることが多く、対策としてスピーカーに関する問い合 わせも受け付けている。

その他に留意すべき事項として、オフトーク通信の代替手段についての問い合わせを受けたこ とを述べておく。オフトークとは NTT 東西が提供している、電話回線を利用した地域情報の放送 サービスのことである。本アドバイス対象の内 3 自治体で利用中であり災害情報の伝達にも用い られていたが、NTT 東西において平成 27 年 2 月にサービスを終了することが決定しており代替手 段の整備が必要とされている。

3.2 課題の傾向(②追加派遣分)

一方、災害を実際に経験した自治体からヒアリングを行った結果、以下のような課題を抽出す ることができた。

表 14-3-1-2 情報伝達における課題

分類 詳細

1.作業効率に関する 課題

①緊急速報メールの入力については、3 社分それぞれ操作する必要が あり、配信に時間がかかった。

②防災担当の職員数が少なく、災害発生当日は外部(報道機関等)から の電話対応に追われた。

③災害時は庁舎内の情報部門が緊急速報メールを配信するよう作業分 担が決められていたが、配信を指示する防災部門が電話対応に追われ、

適切に連携できなかった。

2.操作の習熟に関す る課題

①これまで避難勧告を発令したことが無く、どのように行うのか段取 りを把握していなかった。

②コミュニティ FM を整備しており、自動配信のシステムも役場内に備 わっていたが、職員側の操作が不慣れであったため、災害発生時には 利用できなかった。

3.情報の受容に関す る課題

①防災行政無線(同報系)を用いて避難勧告を発令したが、1 回しか放 送しなかったため、聞き逃した住民がいたかもしれなかった。

②避難勧告の発令に緊急速報メールを用いたが、後日、住民からメー ルの存在に気付かなかったという証言を得た。

③緊急速報メールについては、自治体内の全域に配信されるため、災 害の影響を受けていない地域の住民から「うるさい」との苦情が上が った。

4.その他 ①土砂崩れの影響で停電が発生した上に通信網も寸断されたため、テ レビもインターネットも使えなくなった。

追加派遣の対象となった自治体については、これまで数十年来の内に大規模な災害を受けたこ とが無く、今回の土砂災害で初めて避難準備情報、避難勧告を発令したというケースがあった。

そのため、自治体側における情報配信の操作への習熟に関する課題が挙がったが、住民側も災害

を受けた経験が無い場合、情報の受容に関して課題を有するものと思われる。

災害対応の経験がある自治体においても、防災担当の職員数が限られている場合には、電話対 応といった外的要因で機器の操作に時間を要するという意見が挙がった。

3.3 アドバイス内容

アドバイス会議においては、原則として、各自治体が表 13-3-1-1 で要求した項目への回答を説 明する形式で進められたが、進行状況によっては、当初の議題に挙げられていなかった内容につ いても助言を行った。

なお、「2.2 実施スケジュール」の項でも示したように、事前に消防庁においてアドバイザーを 招集しアドバイス内容の方針を説明した。そのため、アドバイザー間で市町村に説明する内容に 齟齬は見られなかった。

ここでは、アドバイス内容を取りまとめ、災害情報伝達手段の整備を図る上で考慮すべき事項 を示す。会議において議題とされた個々の質問およびアドバイザーからの回答については、代表 的なものを巻末に掲載する。また、アドバイスすべき内容は、①当初予定分および②追加派遣分 いずれも同じであったことから、取り立てて分類は行っていない。

ここで、既に本文書の手引き・参考資料に記載されている内容と部分的に重複することは留意 が必要である。

1)情報伝達手段の導入に際しての前提条件(情報伝達の概要)

自治体にアドバイスを行うに際し、情報伝達手段の整備を検討するための前段階として、

災害の種別および時系列によって、住民に伝える情報の内容が大きく異なり、そのため最 適な情報伝達手段は状況によって変化することを説明した。

一例として、台風災害時における情報伝達の流れを表 14-3-3-1 に示す。

表 14-3-3-1 災害の時系列に沿った情報の流れ(台風災害時)

地震災害と異なり、台風災害は比較的早い時点から災害の予想を立てることができる。

自治体が外部から 収集する情報 (気象庁、消防庁、

都道府県等から)

■大雨注意報

■大雨警報

■暴風警報

■波浪警報

■天気予報(台風接近情報)

■土砂災害警戒情報

■指定河川洪水情報

■河川決壊情報

■土砂災害発生情報等

自治体が住民へ 伝える情報

■注意喚起

■最接近日時

■土砂災害警戒情報

■指定河川洪水情報

■避難準備情報

■避難勧告

■避難指示 使用する情報伝達

手段(例)

■防災行政無線(同報系)

■登録制メール

■コミュニティFM

■テレビのデータ放送

■ホームページ、ツイッター等

※ 緊急速報メールの配信可能 項目に該当せず

■防災行政無線(同報系)

■緊急速報メール

■登録制メール

■コミュニティFM

■テレビのデータ放送

■ホームページ、ツイッター等

■緊急速報メール

■登録制メール

■コミュニティFM

■テレビのデータ放送

■ホームページ、ツイッター等

※ 防災行政無線(同報系)は、

豪雨の際は放送内容が 伝わりにくい

発災時・発災後

(河川氾濫、土砂災害発生)

発災前

(比較的余裕がない段階)

発災前

(余裕のある段階)

発災前の余裕のある段階においては、気象台や県から注意報や警報が伝わってくる。これ らの情報は防災行政無線や登録メール等で注意喚起を積極的に行う。発災前でも余裕がな く、土砂災害警戒情報が流れている状況では、防災行政無線や緊急速報メール等で避難準 備情報などを速やかに送ることが重要となる。発災時もしくは発災後においては豪雨が発 生しており音声が伝わりにくい状況が想定される。そのような状況で避難勧告・避難指示 を速やかに送るためには、防災行政無線だけではなく、屋内の住民に直接情報を伝えるこ とができる緊急速報メールおよび、登録制メール、自治体のホームページ等が有効となる。

一方、地震災害の場合は発災前の予想を立てることができずに、発災直前の緊急地震速 報発令を起点として時系列を検討する必要があり、最適な情報伝達手段も異なってくる。

また、災害の規模によっては避難所の運営といった中長期的な対応が必要となる。この場 合は、自治体側が避難に関する情報等を能動的に送出する「PUSH 型」ではなく、住民側か ら個人に応じて必要となる情報を選択して収集する「PULL 型」の情報伝達が適している。

アドバイス対象の自治体に対しては、以上の内容を説明し、それぞれどのような災害を 想定しているか見直した上で、既存の設備では不足と思われる要素を抽出することを勧め た。

以下に、情報伝達手段の整備を行う過程を模式化した例を示す。

<① 自治体の現状を把握>

最初の段階として、自治体ごとの現状を整理する。ここでは、海岸と山間部を有したケ ースを想定し、各々の地域でどのような住民が生活しているかを表の形式で記載する。そ れぞれの枠内には、最適と思われる情報伝達の手段を追記する。

表 14-3-3-2 自治体における現状の把握(例)

なお、ここでは地理的条件と屋内・屋外の区分で表を作成したが、縦軸・横軸の取り方 住

民 屋

該当なし

■ 若年層・高齢者の 双方に配慮する

⇒携帯電話以外に、極力 ICTを用いない手段も 重要

■ 高齢者が多い

⇒極力ICT技術を用い ない手段

屋 外

■ 漁業関係者等

⇒スピーカーで同報 する手段

■ 若年層が多い

⇒スピーカーもしくは 携帯電話等で伝達す る手段

■ 耕作地あり

⇒スピーカーで同報 する手段

一 時 滞 在 者

(

)

該当なし

■ 市外からの通勤・

通学者が多い

⇒携帯電話等で伝達す

る手段 該当なし

屋 外

■ 観光客等

⇒地域の地理に不案内 のため、避難経路を 説明できる手段

■ 若年層が多い

⇒スピーカーもしくは 携帯電話等で伝達す

る手段 該当なし

海岸沿い 平野部

(住宅地・商業地)

山間部 (小規模集落)

ドキュメント内 ii (ページ 135-144)