DAYSFROM■COMMENCEMENT 1
第3部 殺虫剤との関係についての基礎的研究
第7編 数種の殺虫剤がアオムシコマエバチ成虫及び
踊に及ぼす影響
第20章 成虫に.及ぼす影響
近時農業技術並びに.各種殺虫剤の目覚ましい進歩に伴って農家における殺虫剤の使用は集に盛んなものがあ
る.特に水田害虫に対する使用鼻は,年々益々増大を来しているが,畑作害虫,園芸害虫に対する使用盈も,
これに伴って最近ほ著しい増加を来している一・しかしながら叫方,殺虫剤の使用鼠めかかる増大に伴って,却 って戎種の害虫が著しい増加を来し,思わぬ被督を蒙るという内外の情報も決して少くない埠・その原因と.して
ほ幾つかの重要な事項が考えられ,時と.場合によって亦いろいろ主となる要因は異って来るようであるが,そ の一つに艶虫剤が或穐の天敵の働き或はその崖に及ぼす影響,或はまた平衡の撹乱等が明らかに原因と.考えら
れる場合がある.
殺虫剤の著しい進歩に伴い,又特殊な性能を有つ殺虫剤の出現するのに伴′つて,今後益々斯様な問題は意外 な所紅.,叉意外な形で起っで来ると考えられるが,問題の解決は勿論今直らに可能なものでほないとしても,
一応現に使用せらるる殺虫剤が,蕊に取扱っているアズムシコマ・ユノくチの如き寄生蜂にどのような影響を及ぼ す・ものであるかを知ることは.,斯様な問題を考察する上に極めて重要なこと.であると思われる・従つて先づこ
こに,特にモンソロチョウの防過に叔も普通に用いられている数種の殺虫剤がアオムシコマニLバチ成虫に.及ば す影響を,実験的研究をもとにして若干論述し考察をすすめたいとり監う・
1研 究 方 法
本案験ほモンソロチョク幼虫紅対する常用磯度の殺虫剤が,アカ・ムシコマユバチ成虫に及ぼす儲響と,諸種 の低濃度に稀釈したものの及ぼす雄響の2つについて行った..前者紅ほ.某社の製品を主に実験紅供し,後者に
ほ市販品と京大化学研究所武居研究室にて調製せられたものを供試したが,寄生蜂ほすべて香川県産のものを 使用することに.した.委細は以下の如ぐである
A 常用漁度の殺虫剤による実験
供試虫:春季野外より得たる多数のアオムシコマエバチ繭堺より羽化脱出した成虫を24時間後そのまま実験 に.供した
供試薬剤:粉剤としてほ某社製DDT,BHCと比較のためにタルク,桂藻土,木灰等の微粉を用い,乳剤 としてほ市販DDT,BHCの他,参考迄にEndrin,Dieldr・inを実験に供したい 尚殺虫剤の残効性を検 するに際してはDDT,BHC両乳剤の他,DN,批酸石灰,除虫菊等の乳剤を比較のために供試した.
尚粉剤ほそのままの弘度で実験に供するかタルクにて稀釈したものを用い,乳剤は常に蒸溜水にて稀釈し て常用濃度となし実験に供した
★諸外国の事情について偲宮下(1953)(−22〉,桐谷(1956)ぐ7¢7り,安桧(1956)(230)等の要を得た紹介がある・
−7日一
発剤接触法:粉剤についてほ擦りガラス撒布面上を小定時問(1分とした)歩行せしめる方法及び虫休会面 撒粉(但しこれほ試験管内紅供試虫及び少巌の発剤を収容して軽く振謝し,虫体に附着せしめる方法をと った)紅て接触せしめた但し,供試虫虹例後はそれを新らしい泌紙を中にしいたレヤ−レに移して爾後 の死亡状況を観察した
乳剤については,、濾紙を発液中に浸潰して−・月過剰の薬液を去り,その上を∵定時間(ユ分間)歩行せし める方法をとった・尚薬剤接触後,供試虫の転倒するに到るを待ヶて新らしい濾紙庭中に敷いたシヤ−・レ 中に収め爾後の死亡状況を適宜の時間々隔をおいて観測した巾
B 低濃殺虫剤による実験
供試虫:秋季野外より得た繭塊より生じた成虫を用いて一・旦研究室内にて増殖せしめたものを供試したい本
実験では凰宜上その中雌のみを実験に供した・
供試薬剤:こ.れは京大化学研究所において調褒されたBHC10%乳剤(組成はⅩylol12,Stllphonatedoj16,
Toxicant2)と某社市販品たるPa工athion乳剤(DinitIOpbenylthiopbosphate 4フ%)の2つを実験に 供した・・勿論これは有機塩素系殺摩剤,、及び有聯燐系轡虫剤のそれぞれの代表と」ノて選んだものであって 稀釈にほすべて蒸溜水を用いた.所要濃度に稀釈調製された薬液は50分以内にすべて実験に.供し一転.
薬剤接触法:供試虫が小型であり,叉極めて活儲な飛翔性昆虫であるために,Dipping戎いぼSpray等の 接触法をとることほ非常に困難であったので,本実験に.際しては,特別に工夫考案した装置を用いた‖ 即
ち本寄生蜂の強度のPositjve phototaxisを利用して作つた簡嘩な板製箱で,1一席のみに取外しの出来る 凝りガラス板をほめこんである・装置の大きさは8cmx6.5cmx8cmであるが,壁板のユ側に径0,8cm
の供試虫導入孔1個と他の1側に処理後の供試虫をなるべく速かに取出す目的で径3cmの取出し口1個を 設けて:あ
実験匿際してほ,先づ所要濃度に調製された薬液中に前記ガラス板を細面を上向にして2分間浸潰し,つ いで余剰の薬液をふり落しで装置に装着し,後ガラ.ス面を60W電灯にて照射してこれに寄生蜂を放った,
導入口ほその直後勿論綿栓にて閉塞するのであるが,2分間の装置内接触を終れほ(殆んど飛劾不磯濫灘 り,且つ歩行も不自由になる),これ等を前記取出し口から速かに取出して2.5c‡Ⅵ×9cm のガラス管瓶中 に.数頭宛収容し,爾後の死亡状況を時間毎に観察記録した
2 常用濃度の各種殺虫剤による実験結果
キャベツ等の害虫であるモンソロチョウやヨトクムレ類等に対してほ通濁消化中毒剤であるところの批酸 鉛,枇敢石灰や接触殺虫剤であるDDTやBHC等が多く用いられているが,最近はまた Paね拍ion剤も可 成多く用いられる地方があるしかし常用濃膵のPaIatbjon剤を溶接本寄生蜂に接触せしめた場合の麒釆は 余りにも明瞭であるので,これにほ一応触れることなく,ここでは他の殺虫剤特に.DDT,BHC等の所謂墟 素系の接触殺虫剤が圃場に撒布される場合を考慮して行った実験結果を述べる
先づBHC及びDDTの両粉剤の濃度を多少うすめて行l/,た予備実験の結果をみると,節?8衷の如く撤粉法 TABLEフ8.Insecticjdalaction of the dusts of BHC and DDT
against the adults of AglomeratulS(250C)
Time(Hrs)&Mortality(%)
i「¶て一「「「TTT■て こ ‥ ; Number of
jndivjduals used Concentration
(%)
Metbod of COntaCt Dust
DDT!2・5ll∞
100l 【▲lI九stingーー79−
(前記)でも撒布面上を一億時間歩行せしめる方法でも極めて強力に本寄生蜂に作用するこ.とが分った‖勿論 この場合当然とは考えられるが,撤粉法軋よるカがより迅速に作用する傾向が見られ,又多少BHC粉剤の方 がDDTに・比して作用が迅速な傾向が観察せられた.
次に常用濃度そのままのこれ等の粉剤とタルク,木灰,珪藻土等の微粉を歩行接触法により接触せしめた結
果を示すと第フ9衷の如くであっ
TABLEフ9一.Insecticidalaction of the dusts of B‡‡C,DDT and SOme Other materials agalnSt the adults of A g血似剖知ざ
(29 5◇C,Contactedwith theirlegs)
て,BHC,DDT両粉剤でほ接 触後直ちにけいれん転倒し,2時 間後にはすぺて完全に死亡してし
まった・他の比較に用いた3者の 中,タルク微粉にあっては当初し ばらくの問は苦悶したが,2〜3 分後にほすべて正常に復帰し,爾 後も正常な生存をつづけたが,珪 藻土微粉でほユ時間後に,木灰微 粉では3時間後に完全に死亡して しまつた・勿論これらほそれ自体 で強力なる殺虫成分を含有してい る訳ではないが斯様な実験結果よ
‖N厄mbeI
Time(Mins.)&Mortality(%)
Dust
30 1 60 112こ)才 ユ80 王 240
り判断すると,何か物理的な機構
によって死亡したものでほないかと判断せられる.しかし何れにしてもこれらDDT,BHC等の粉剤が本寄 生蜂に対して極めて強力且つ迅速な殺虫作用を発揮することは明瞭で,圃場で若しこれらの粉剤が施用せらる るとすれば,全く本寄生蜂の活動が中絶することほ必至である
次にBHC,DDTの乳剤を用いた実験結果を述べる… この場合ほ比較の目的で同じく塩素系である EndIin及びDieldIinを併せて実験に供したが,その成掛ま罪80表の如く何れも観めて強力且つ迅速なる作 用を示した勿論この場合DDT
BHC等は多少常用濃壁より濃度 を落してほあるが,効力ほ依然と
して大であり迅速であった.従っ て以上の諸実験からこれらの塩素 系の接触殺虫剤ほ粉剤乳卿の何れ を問わず極めて強力なる殺虫作用 を本寄生蜂に.与えることが分る が,恐らくこれ等の可成に微鼠な 粟鼻でも本寄生蜂を兜すに十分で あろう.前に.もー・言したように,キ ャベツ等の圃場に批酸鉛や枇酸石 灰等の消化中毒剤が撒布されるこ
とは可成に.多いが,本寄生蜂は勿
TABLE80.Insecticidalaction of the emulsions of BHC,
DDT and some otherinsecticides agalnSt the ad111ts of A gわ∽β和才〟ぶ
(280C,Contacted with theirlegs)
NumbeI・of individuals used
Time(H工S・)&MoIねIity(%)
Dilution
11 2 3 靂 4
BHC(10%)
′ケ DDT(20%)
Endrin(195%)
DieldI・jn
× 300
×1,000
×1,000
×1,000
×1,000
論これらの薬剤に接触して死亡することほないようで,この事ほ実験を行っても明瞭である.またこ.の場合好ん でこれらの薬剤をなめることもないので,本寄生蜂の経口的な中毒死ほ一応考える必要ほなさそうであるり
撒布された殺虫剤の残効他の問題は害虫に対しても勿論重要なことであるが,寄生蜂類匿.対してはそれと.逆 の意味で極めて重要である・そこ/でDDTやBHC等の場合について予備的な実験を試みた,.この場合やほり 比較の意味で批酸石灰,Pyrethrin,DNをも併せて実験したが,その成借ほ罪81表の如(で,本実験ではD DTほ2日後迄,BHCではユ5日前後迄ほ可成強力な効力を持続していたい従って可成分解早く,比較的残効 性に乏しいと言われるこれらの薬剤でも,降雨による急激な流失,或いほ強烈な日射等の影響がない限り本番