第6章 標準仕入業務プロセスへの適用
6.1 標準業務プロセスの信頼性のアセスメント手法の適用
<役割>:
・納入された製品や材料などを保管管理する.
<作業>
・仕入先から「製品」と「送り状」を受取ると、製品、数量,金額が正しいことをチェッ クし、調達部門へ「検収書」を送付する.
・経理部門へ「入庫伝票」を発行して製品納入を伝える.
○経理部門 <役割>:
・取引に係る証憑書類や伝票をチェックして仕訳し、財務報告を作成する.
<作業>
・倉庫部門から「入庫伝票」を受取る.
・調達部門から「購入伝票」を受取る.
・調達部門から「支払依頼書」を受取る.
・「入庫伝票」「購入伝票」「支払依頼書」をチェックして、仕入先へ「支払」を行い,仕 入先から「領収書」を受取る.
<仕入業務のイベント>
①調達部門→仕入先:注文書を出す
②仕入先→倉庫部門:送り状付きで物品納入 ③倉庫部門→ 調達部門:検収書を渡す ④倉庫部門→経理部門:入庫伝票を渡す ⑤調達部門→仕入先:物品受領書を送付 ⑥調達部門→経理部門:購入伝票を渡す ⑦調達部門→経理部門:支払依頼書を渡す ⑧経理部門→仕入先:支払をする
⑨仕入先→経理部門:領収書を受取る
図 6.1-1 標準仕入業務フロー
<仕入業務の説明>
標準的な仕入業務では,調達部門から仕入先に製品や材料が注文される.仕入先が納入する製 品や材料を倉庫部門が受領し,倉庫部門が調達部門に検収を上げると,調達部門から支払依頼 が経理部門へ送付され,経理部門はそれに基づいて仕入先に支払を行う.仕入先から領収書を 受領する.
以上の仕入業務に関する分析結果から,部門と伝票,伝票の部門間フローを抽出して,仕入業 務プロセスダイアグラムで表現すると図 6.1-2 のようになる.
図 6.1-2 標準仕入業務プロセスダイアグラム
(2)初期の伝票突合せ行列を設定する
図 6.1-2 の標準仕入業務プロセスダイアグラムの,伝票の突合せ状況を示す伝票突合せ集合 Vi から,縦横に伝票番号を並べた伝票突合せ行列に,伝票が突合せされているときは 1,それ以 外は 0 として,初期の伝票突合せ行列 T0を設定する(図 6.1-3).
図 6.1-3 標準仕入業務プロセスの初期の伝票突合せ行列
(3)伝票突合せ行列の推移的閉包を求める
図 6.1-3 の初期の伝票突合せ行列に,伝票不整合リスク判定アルゴリズムを適用すると、図 6.1-4 のとおり,伝票突合せ行列 T0の推移的閉包 T9の成分がすべて 1 となる(図 6.1-4).
図 6.1-4 T0の推移的閉包を計算した伝票突合せ行列
(4)業務プロセスの信頼性を判定する
図 6.1-4 のとおり,標準仕入業務プロセスの伝票突合せ行列の推移閉包の成分はすべて 1 なの で,標準仕入業務プロセスで発行される伝票は,すべて,直接・間接に突合せされて,相違がな
いか確認されていることを示している.このため,このプロセスで実行される取引で,各伝票の 品名,数量,金額に不整合があると検知される可能性が高い.つまり,標準仕入業務プロセスは,
取引の信頼性を損なう伝票不整合リスクの低い(信頼できる)業務プロセスと判定できる.