第 3 章 上海市の電子通信設備製造業の発展状況と動向
3. 業界別の発展動向
3. 業界別の発展動向
主要企業の最新の発展動向――上海市上貝爾阿爾卡特股份有限公司
上海市貝爾阿爾卡特股份有限公司は、中国通信業界トップの外資企業投資の企業で、元々は上海 市貝爾が株式を改めた後、阿爾卡特が中国の主要業務として合弁し、02年 7 月に正式に営業を 開始した企業だ。上海市貝爾阿爾卡特股份は製品だけでなく製品のソリューション・サービスを 提供しており、その業務範囲は固定音声ネットや移動通信ネット、デジタル通信ネット、人工知 能通信ネット、光交換ネット、ネット応用、システムインテグレーションサービス、マルチメデ ィアなどの端末をもカバーしている。
図3−3 2002−2005年上海貝爾阿爾卡特の輸出額推移(百万米ドル)
100
180
380
500
0 100 200 300 400 500 600
2002 2003 2004 2005
出典:企業HP
上海市貝爾阿爾卡特股份有限公司はすでに中国で最も重要な通信ソリューション提供企業の 一翼を担っている。携帯電話端末で優勢を誇っているほか、2005 年の新業務分野では、重要な 新機軸を打ち出した。すなわち、NGN市場で全体の4分の1のシェアを占めたり、上海市文広 新聞伝媒集団と協力してIPTV実験室を設立したり、TD―SCDMAの産業化をすでに完成したり、
光伝送・IP回線でのマーケティングで大きな進歩を遂げた。同時に、海外市場への参入も上海市 貝爾阿爾卡特股份有限公司が推進した発展戦略の一つとなった。このほか、05 年 6 月には、リ スク資金プロジェクトを始動させ、資本面での投資分野での新興技術に注目が集まった。
上海市貝爾阿爾卡特股份有限公司は現在、阿爾卡)のアジア・太平洋地区の中心的位置を占め ており、04年の同社の売上高は113億元、利益総額は9億元に上っており、第19回中国電子情 報企業トップ100社の16位にある。
3.2 電子コンピュータ製造業
電子情報産業の段階的で世界的な発展が進む中で、世界的に知られるIT(情報技術)製造メー カーは、長江デルタ地区への進出を加速し、上海はすでに達豊、達功、英順達などの大型 OEM
(相手先ブランドによる委託生産)企業が集積している。02 年から上海市の電子コンピュータ 製造業の規模は急速に拡大し、04 年末時点で、上海市の一定規模以上の電子コンピュータ製造 企業の84社の売上高は前年比70.5%増の1,909億4,000万元に達している(グラフ3-4)。この うち、セットメーカーを中心として同業界での売上高に占める割合は85%に達している。
図3−4 上海市電子コンピュータ製造業の売上高推移
0 500 1000 1500 2000 2500
0%
50%
100%
150%
200%
250%
300%
売上高(億元) 128 147 316.8 1119.7 1909.4 成長率(%) 39.1% 14.8% 115.1% 253.4% 70.5%
2000 2001 2002 2003 2004
注:売上高500万元以上の規模の企業を集計。売上高は当年度の値。
出典:上海市統計局、MIRU
表 3−8 2004年上海市電子コンピュータ製造業の分類比較
産業 企業数
(社)
従業員数
(人)
利益総額
(億元)
売上高
(億元)
電子コンピュータ 製造業全体に占め る割合
電子コンピュータ完成品製造業 18 25,931 4.8 1,622.4 (85.0%)
コンピュータ用ネットワーク設備
製造業 10 3,406 0.3 12.8 (0.7%)
電子コンピュータ周辺機器製造業 56 25,525 14.7 274.2 (14.4%)
注:売上高500万元以上の規模の企業を集計。利益総額、売上高は当年度の値。
出典:上海市統計局、MIRU
主要企業の最新発展状況――達豊(上海)電脳有限公司
2004年12月7日、世界最大のノート型パソコン生産企業・広達集団は上海・松江輸出加工区 に1億7,000万米ドルを投資して、達豊(上海)電脳有限公司を中心に、達豊、達功、達偉、達 業、達福、達利、達人、達群の8つの子会社と、達研、達威、達輝の3つの関連企業で構成され る QSMC 広達上海製造城を設立した。国家レベルの松江輸出加工区に初めて設立された企業と して、QSMC はわずか 3 年で急速な発展を実現した。達豊(上海)電脳有限公司は、台湾広達 集団の全額出資子会社で、台湾広達本社の先進的な運営モデルを導入し、主にノート型パソコン 生産を主体として、サーボ、携帯電話端末、液晶ディスプレー、液晶テレビなどの IT 関連製品 の生産を行っている。
産業チェーンで付加価値効果
上海海関(税関)統計によると、達豊(上海)電脳は、数年に渡って上海市で輸出入額最大の 企業となっている。達豊(上海)電脳は、輸出入額83億米ドルで、2004年度の上海の対外貿易 トップ200社の第2位となり、初めて中国石油化学工業を抜き同年の全国輸出入貿易トップ500 社で3強入りを果たした。達豊(上海)電脳は、アップル、デル、ヒューレットパッカード、コ ンパック(康柏)、シャープなどの有名ブランドのノート型パソコンの生産企業となっており、
05年末の同社の年間生産台数は1,500 万台、輸出額は120億米ドルに達している。急速な成長 を続ける数値の背景には、産業チェーンの延長にある。例えば、もともとは台湾にあった大碇電 脳配件有限公司は、達豊(上海)電脳のへの部品提供のために松江輸出加工区に進出。現在では、
同社は達豊に金属スタンピング提供する最大のサプライヤーとなっている。また、プラスチック 外装の展運(上海)電子有限公司も達豊(上海)電脳の 新たら隣人 となった。05 年には、
上海奈那卡斯電子配件有限公司も同様に達豊(上海)電脳に伴って進出してきた。このように松 江輸出加工区には20社以上の企業が達豊(上海)電脳を取り囲むようになった。 上にブランド あれば下に部品あり といった産業チェーンの延長が達豊(上海)電脳の核心となっている。こ うした産業チェーンの集積を持っていることは、単純な企業の数の集積と比べより付加価値効果 が発揮できるといえる。予測によると、達豊(上海)電脳の06 年のノート型パソコンの総生産 台数は2,500万台に達するものと見られている。
3.3 電子部品製造業
2004年、上海市電子部品製造業の売上高は前年比26.4%増の663億5,000万元となった(グ ラフ3-5)。このうち、集積回路(IC)の売上高は前年比 110%増の232 億1,000万元となり、
全国のIC売上高の70%を占めた。04年末時点で、市内の一定規模以上の一般電子部品メーカー は183社、主要電子部品メーカーは112社あり、従業員数は11万4,199人に上っている。
図3−5 上海市電子部品製造業の売上高推移
0 100 200 300 400 500 600 700
‑10%
0%
10%
20%
30%
40%
50%
60%
売上高(億元) 216 215 339.1 525.1 663.5
成長率(%) 35.8% ‑0.5% 56.6% 54.9% 26.4%
2000 2001 2002 2003 2004
注:売上高500万元以上の規模の企業を集計。売上高は当年度の値。
出典:上海市統計局、MIRU
上海市の集積回路産業は全国の半分の規模となっており、合理的な産業構造を持ち、設計・生 産・パッケージング・テスティング・設備・材料が明確に分業している集積回路産業チェーンを 大まかに形成している。設計分野では、華虹設計や威盛上海市、交大漢芯、復旦微電子など100 社近くの設計企業がある。生産では、華虹NECや中芯、宏力、先進、台積電など国内外企業が たくさんの8インチのIC生産ラインを備えている。05年2月時点で、上海市には106社のIC 設計企業があり、このうち売上高が 1,000万元以上の企業は 26社、1億元以上の企業は上海市 華虹集成電路有限公司と上海市復旦微電子股份の2社となっている。
表 3−9 2004年上海市電子部品製造業の分類比較
産業 企業数
(社)
従業員数
(人)
利益総額
(億元)
売上高
(億元)
電子部品製造業全 体に占める割合 電子真空ユニット部品製造業 12 6,179 6.3 77.1 (11.6%)
ディスクリート製造業 26 6,576 1.8 22.4 (3.4%)
集積回路製造業 44 28,696 20.0 232.1 (35.0%)
電 子 ユ ニ ッ ト 部 品
製造業 オプト及びその他電子部品製
造業 30 10,731 0.3 112.6 (17.0%)
電子パーツ部品およびセット
部品製造業 158 50,758 11.7 170.5 (25.7%)
電 子 パ ー ツ 部 品 製
造業 プリント基板製造業 25 11,259 3.0 48.8 (7.4%)
注:売上高500万元以上の規模の企業を集計。利益総額、売上高は当年度の値。
出典:上海市統計局、MIRU
主要企業の最新発展動向――中芯国際集成電路製造(上海)有限公司
中芯国際集成電路製造(上海)有限公司(SMIC)は2000年4 月に設立され、半導体の受託 生産モデルを専門とする集積回路(IC)チップ生産の大型ハイテク企業となっている。チップ生 産以外に、電子回路の補助設計やマスク作成、パッケージング、テスティングなどの一連のサー ビスを顧客に提供している。中芯国際は半導体業界でよく知られる雑誌「半導体国際」で、「2003 年度最優秀半導体企業」に選ばれた。同社の製造能力、生産能力のレベルアップ速度、生産自動 化レベル、汚染物抑制・環境保護、従業員の健康・安全重視などの多く分野が評価された形とな った。中芯国際はすでに世界3大チップ委託生産企業となっており、従業員総数は8,800人で、
米国、日本、イタリア、シンガポールなど19カ国の従業員が働いている。04年には、生産能力 の急速なレベルアップと先進技術の導入により、同社の売上高は9億7,500万米ドルとなり、前 年比166.4%増を達成した。
ファンドリーに特化、 中国本土のTSMC を目指す
チップの設計、加工、パッケージング・テスティングの半導体3大産業で、チップ設計と加工 が最も注目を集めている。チップの受託生産は巨額の投資と川上・川下両産業の牽引作用を呼び 込んでおり、半導体産業全体の焦点となっている。
中芯国際は現在、規模ではすでに 中国本土最大のチップ受託企業 となっている。世界的に 半導体の委託生産の傾向が強まっており、チップの受託生産を専門に行っている中芯国際の近年 の急速な拡張傾向が世界の企業から注目されている。04 年は同社にとって収穫の大きい 1 年と なった。1月に中芯国際はモトローラ天津の8インチのチップ生産ラインを含む8カ所の工場を 買収し、いずれも5月から稼働させた。2月には10億米ドルを投入して江蘇省無錫市にチップ 生産工場の建設に着手。07年からの正式操業が見込まれている。3月には、ニューヨークと香港 の両株式市場に上場、10億米ドルの資金を調達した。7月には、シンガポールのパッケージング 受託企業である聯合科技(UTAC)と共同で、四川省成都にパッケージング・テスティング工場 を着工、05年第4四半期には操業を開始した。また、同月には、中国初の12インチのチップ生 産工場を含む4工場で、試験生産も始まった。04年9月の時点で、中芯国際は中国本土で7工 場を展開。05年上半期には、北京の12インチチップ生産工場の月産両は1万6,500個(8イン チチップ相当量)以上となり、上海と天津の4つの8インチ生産工場の月産能力は12万個以上 となった。
3.4 家庭用オーディオビジュアル(AV)製造業
2004年、上海市の家庭用オーディオビジュアル(AV)製造業の売上高は前年比55.8%増の386 億9,000 万元となった(グラフ3-6)。04年末時点での同市の一定規模(国有企業と売上高500 万元以上の非国有企業)以上のAV企業は42社に上り、従業員数は2万9,557人となっている。