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検出器と立体角

第 5 章 実験セットアップ 29

5.3 検出器と立体角

荷電粒子の検出にはSi半導体検出器を用いた。有感面積は450mm2、部分空乏層厚さは100µm である。本研究ではd(d,p)t反応によるprotonとtritonを検出の対象とした。検出器は冷却水 を通して検出器フォルダーを冷却することで約5℃に保たれ、ノイズを減少させている。測定 は以下の3つの条件で行われ、それぞれのGeometryを1,2,3としてLab系におけるディテク ターの配置を図5.4,5.5,5.6に示す。

各図において、左図はビーム下流側から見た図であり、右図はビームと垂直な方向から見た 図である。Thermometerから出ている矢印はThermometerの射線を表しており、Geometry3 においては検出器が障害物となり、標的の温度を測定することができない。

Geometry1,2は実験室で見て、ターゲット直上からビームと垂直な方向に50°傾けてられてい

る。これは、DD反応の角分布が打ち消される角度としてθ = 124°となるように設定をした。

ここで、θは入射ビームに対する検出器中心の角度である。

Geometry3はGeometry2のθ = 0°としたものであり、ターゲット直上に設置されているが、

検出器フォルダーとビームとの干渉を避けるためにビーム下流側に5.0mm引き出されている。

これはは立体角を犠牲にせずに測定ができる最後方の角度として設定されており、θ= 142°と なっている。

Geometry2,3のアルミ膜と検出期間の距離rdがGeometry1よりも長いのは、後述するアルミ 膜で生じるバックグラウンドを減少させるために、検出器を遠方に移動させアルミ膜との距離 を広げたためである。

図 5.4: Geometry1の、Lab系での検出器の配置。左図はビーム下流側から見た図であり、右図

はビームと垂直な方向から見た図である。

5.3. 検出器と立体角 33

図 5.5: Geometry2の、Lab系での検出器の配置。左図はビーム下流側から見た図であり、右図

はビームと垂直な方向から見た図である。

図 5.6: Geometry3の、Lab系での検出器の配置。左図はビーム下流側から見た図であり、右図

はビームと垂直な方向から見た図である。

34 第5章 実験セットアップ これらをまとめると以下の3つの条件となる。

Geometry1 θ= 124o, rd = 44mm, rAl= 4mm

Geometry2 θ= 124o, rd = 53mm, rAl= 13mm

Geometry3 θ= 142o, rd = 53mm, rAl= 13mm

ここで、θは入射ビームに対する検出器中心の角度、rdはターゲット表面の中心から検出器表 面の中心までの距離、rAlは検出器表面からその全面に設置されたアルミ膜までの距離を表し ている。

一般的に、点状源が円筒型検出器の中央軸上にある場合、点状源から検出器までの距離をd、

検出器の有感面積の半径をaとした場合、立体角は、

Ω = 2π (

1 d

√d2+a2 )

(5.3.1) で与えられる。ここから立体角を求めると、

Geometry1 Ω = 1.75%

Geometry2 Ω = 1.23%

Geometry3 Ω = 1.22%

である。厳密にはGeometry3において、標的の中心は検出器の中央軸上には位置しないが、中 心軸上からのずれがrdに対して小さいため、立体角に対する影響は非常に小さいと考えられ る。そのため、Geometry3に対しても上記の値を採用する。