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20 

O.G  粒 径(mlll)

‑4.4 マイクロカプセルの粒径のヒストグラム 0.2  n eEE

膜厚

膜がポリスチレンのみでできていると仮定すると,比重,粒径から膜厚を推定できる。 71<,ポリスチ レンの比重を 0.998,1.035とし,マイクロカプセルの平均比重を1.0064,平均粒径を295μmとすると 平均膜厚は12.1μffi,直径に対する膜厚比は0.041となる。ただし,製法から見て,膜は粗なポリスチレ ン繊維の沈積でできており,膜にも水が含まれていると考えられるので, 実際の厚さはもう少し大きく なると考えられる。

c)  水を芯物質とするマイクロカプセルの温度応答性

マイクロカプセルトレーサーは比重が1であるばかりでなく,周囲の水温の変化に追随して内部の水 温も変わるため,温度変化があっても常に比重が周囲の水と等しく保たれるという極めて優れた特性が ある。このため従来測定困難であった熱対流の実験等にも不安なく使える。その点を確認するために,

マイクロカプセルの温度応答特性について検討した。

均質な球状物体の周囲の温度が変わったときの,熱拡散による内部の温度変化については理論式が導 かれている19)。これを用いてマイクロカプセルの温度応答性を調べる。ここでで、,マイクロカプセルの膜 厚は無限小で

伝熱は分子拡散のみによるものとするo膜厚比が小さいこと,またカプセルの粒径が小さく,水の粘性 が十分効果的であることなどを考慮すれば,この仮定による誤差は小さい。また,膜物質を通しての伝 熱,内部の水の運動による伝熱ともに温度応答を高めるので,上記の仮定のもとでの応答性の推算は安 全側(遅目〉となる。ここで,水の熱拡散係数は0.00144(cm2/sec)(水温40Cのとき〉を用いた。

(N

同 室

E

n

17 .4 

100  18!)  20  tc/T 0.7 

tc/T 0.9 

tajT 0.9  口:tc/T 0.8 

0.15 

0.05  0.1 

0.0211  0.131 

0.00529 

( υ

)E

0.02 

直径(cm)

図‑4.5マイクロカプセルの温度応答性 tc:マイクロカプセル中心と周囲の温度差 ta:マイクロカプセル平均温度と周囲の温度差 T:初期のマイクロカプセルと周囲の温度差

温度応答性をみる指標として,周囲の温度が急変したとき,カプセルの中心温度が変化分の90%に達 するまでの時間を定義し,その遅延時間の逆数を応答周波数とする。図‑4.5に温度応答性に関する計 算結果を示す。図中のtcはカプセル中心と周囲の温度差, Laはカプセル内の平均温度と周囲の温度差,

Tは計算初期に与えられたカプセルと周囲の温度差である。図より,粒径が大きくなると加速度的に温 度応答が低下することがわかる。粒径100,200, 500μmに対して,応答周波数はそれぞれ 189,47, .4 7.59 Hzとなる。 400μm以下のマイクロカプセルでは10Hz以上の温度応答性がある。図‑4.4の粒径分 布から分かるように約9割のマイクロカプセルの径が400μm以下であることから, 10Hz程度までの温 度変動のある場の計測に用いることができる。

d)  比重 1のマイクロカプセル

比重を 1/1

000以下の精度でlに合わせるには膜物質の比重を1に近づける必要がある。ポリスチレ ンをベースにするとすれば,比重が 1よりやや小さいプラスチック材料をポリスチレンに混入すれば良 い。比重1以下の一般的なプラスチックとしてはポリエチレン (比重約0.91‑‑‑‑0.97) ,ポリプロピレン (比重 0.98)等がある。ただし,これらは化学的安定性が比較的高いため,ジクロロメタンに溶けない。

種々のプラスチックを検討した結果,ある種のエチレン酢ビコポリマー (EVA150)が比重0.95で¥工 夫次第でジクロロメタンにも溶けることがわかった。プラスチック同士はうまく溶け合わないことが多 いが,ポリスチレンとEVAを十分混合するためには,両ぺレットを混合し,前もって80‑‑‑‑1000C程度に

写真‑4.2版物質がEVA150とポリスチレンの混合物でできたマイクロカプセル

写真一4.3比

l f (

1のマイクロカプセル(的託後10分間)

加熱して,良く練っておくと良いということがわかった。

EVA150とポリスチレンを1:1の書IJ合で‑混ぜてイ/ドったマイクロカプセルの顕微鏡写真を写真‑4.2に,撹 はん後10分間静置した後のマイクロカプセルが浮遊している状態、の写兵を写真‑4.3に示す。 10分後にも 多くの粒子が水

l r

rに浮遊していることがわかる。浮遊している粒子の沈降(仁昇)移動速度は0.05mmjscc 以下である(補遺 I参照)。顕微鏡写真からわかるように,ポリスチレンと8VAは溶け合わず,別々にくっ ついたものになっている。以上の方法により,収率は必ずしも高くはないが,実用上完全に比重1のマ イクロカプセルを作れることがわかる。参考のために写真‑4.4に, JJ英物質にポリプロピレン,溶剤jに ベンゼン(沸点80.10C)を用いたマイクロカプセルの顕微鏡写真を示す。表面が細かい亀甲模様で,小

さな毛が鞭毛のように付いた摘造になっている。

2種のプラスチックを融合するかわりに,ポリスチレンに膜厚 (10μm程度)と同程度かそれ以下の直 径のプラスチック微粒子を混合する方法も試みた。写真‑4.5は,直径6μmのポリエチレン微粒子(比

写真‑4.4股物質がポリプロピレンでできたマイクロカプセル

写真一4.5膜物質がポリスチレンとポリエチレン微粒子の混合物でできたマイクロカプセル

0.918)をポリスチレンに1M介したものを脱にした例である。このノJ法には今のところ、ポリエチレン 微粒子がポリスチレンの10%以仁になるとマイクロカプセルができ難くなるという難点がある。その他 に内部の水中にポリエチレン微粒fを分散させるノJ法や,感温液品マイクロカプセル(比重が1よりやや 大きしつにポリエチレン微粒子を分散させ,比重を1に調整する }j法もある。

e)  マイクロパーティクル

写真一4.6にメッシュを通す以前の試料の顕微鏡写兵を示す。写真中,大きな粒子がマイクロカプセル である。小さな粒子はポリスチレン II~I にJG; となる水を含んで、いないマイクロパーティクルである。 75μm 科度のメッシュを通すと,これらを分離することができる。マイクロパーティクルをトレーサーとする 万が良い場合もある20)。例えば,水表面から水r

' l

への気体の輸送時に,分子拡散により生じる濃度境界 層の厚さは数10μ717,である20)。濃度境界層が水中に取り込まれる過程の可視化等においては,濃度境界 層厚以下の直径の粒子をトレーサーとする必要がある21)。微粒子を作る手法も種々開発されているが,

上記のa.)項で述べた界面沈澱法も,特別な装置なしに作れるという意味で有力な方法である。はじめか らマイクロパーティクルを作る場合は,

( O / W )

エマルジョンを作るだけで良いので簡単である。

写真一4.6 マイクロカプセルとマイクロパーティクル

d. (...  1..  J 

1,レ . )cペーり, 1ニ H~ {~ (~i ,: Y./ 1:ι) 

写真一4.7蛍光染料を合むマイクロカプセル

(3)  高機能マイクロカプセルトレーサー

マイクロカプセルトレーサーの同機能化の

I J

的は, トレーサー機能をより高めること,流れ場以外の 場の可視化測定機能を付加することである 〈表‑4.2参!!の。トレーサー機能のうち,可視性を高めるに は,表面コーテイングにより反射性を高める方法や,芯の水rlrに微量の蛍光物質を溶かしレーザーなど により発光させる方法などがある。特に後者では,光学フィルターにより光源レーザーの波長の光をカッ

トすれば,粒子以外を照らす反射・加国訓jして,粒子のみを撮影することができる。

写真一4.7に,光源レーザー波長の光をカットした場合としない場合の撮影例を示す。これはフルオ レセイン2.5x 10‑17wl/l水溶液を芯物質とするマイクロカプセルをアルゴンイオンレーザーシートで 照明したものである。写真‑4.7.aでrlr央に縦長に写っているのは,組度測定のための温度計である。写

2訟相、

,月t( 勺の;~河!l:U:;兄

44cm 

.....̲̲ 11 

~T 8mm Jm

‑4.6 人工くらげ(角湯22)による)

真‑4.7.bではこれが消えている。最大の問題点はポリスチレンの透水性である。比較的短時間でカプセ ル中の蛍光物質がカプセル外に流出し, レーザーを当てても光らなくなる。今後改良の必要がある。

流体計測において,速度計測以外に温度や濃度の計測がある。狙度は液品や蛍光物質などの感温物質 (温度により光学特性が変化する物質〉をカプセル中に分散させることで計ることができる。濃度測定の技 術については現在開発中である。従って,考え方だけを紹介する。酸素濃度はpyrenebutyricacid(PBA)  の酸素消光性を利用して計れる可能性がある22)0PBAを膜中に分散させると,膜厚が 10μm程度であり,

透水性もあるので,酸素は十分早く膜中に拡散し,十分な時間応答性が確保できるものと考えられる。

(4)  比重調整されたトレーサーの例 a)  比重が1に調整されたトレーサー

古くから水と比重が近いトレーサー粒子の開発が試みられてきた。用途によっては,著者の提案した ものより,これらの内からトレーサーを選択する方が便利な場合もあろう。また主流速の速い乱流や高 精度を必要としない実験等では,比重が 0.1程度異なっていても実際上問題にならない場合もある。特 に長い水路を用いた1方向流れの実験等では,結果的に大量のトレーサーを述続投入することになり,

経済的に見て高精度の特注トレーサーを使うことは突川的でない。表4.2では経済性の項目を設け,検 討を行っている。

発泡スチロールペレット(小球〉を適当な時間加熱してわずかに発泡させ,比重が約 lになった粒子 を集めるという方法は,著者のヒアリング調査の範囲では鳥羽らが最初に開発したものである23)(1975  年)。ポリスチレンはプラスチックとしては親水性が高いが,これも水流トレーサーとしては望ましい性 質である(表‑4.2参照〉。鳥羽らはこれを風波の水表面直下の水運動の観察に用い,表面せん断層の微 細構造の計測を行っている24)

木下は比重約1.04‑‑1.05の発泡スチロールペレットを一旦発泡させ,比重を1以下にした後,塗料を 何度も塗り,比重を1に調整している。得られた中立粒子は,蛇行水路の実験における水運動のトレー

サーとして用いられている25)

比重が1以上と1以下の有機溶媒を混合して比重1に調整し,倒す針から油滴として放出するという方 法もある(四塩化炭素とキシレン等〉。多くの場合毒性があったり,水槽の清婦に困難をきたすなどの問 題がある。

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