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東京圏近郊第三セクター地方鉄道旅客輸送事業者にみる交通イ   ンフラストラクチャーの供給過剰

ドキュメント内 日本の地方陸上旅客輸送事業 (ページ 129-140)

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第3節 東京圏近郊第三セクター地方鉄道旅客輸送事業者にみる交通イ   ンフラストラクチャーの供給過剰

 ’方,1990年代後’r以降に新規に路線を建設し鉄道旅客輸送事業を開業した東京圏近郊 の第三セクター一・一一地方鉄道旅客輸送事業者では.モータリゼーションや沿線の過疎・人口減 少とは異なる要因で,鉄道事業損失を計[iしていると考えられる.それは,路線の建設費

否定できない.

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第6章 地方陸ll旅客輸送’}深における赤字1汁ヒについて

の償還に対して鉄道’狂業収人が均衡していないことである.つまり,旅客輸送事業インフ ラストラクチャーの供給が過剰になっている点である.

 本節では,このような東京圏近郊の第:セクター地方鉄道旅客輸送’拮業者について論考

する.

図表6-15 東京圏近郊の第三セクター地方鉄道旅客輸送事業者

北総鉄道

垣ミ臨海高速鉄道 東葉高速鉄道 埼k高速鉄道 横浜高速鉄道

清㍑祈蔀市鉄道

京成高砂  印旛日本医天

新末場   大 崎 西8パ橋  束菓i勝田台 赤羽宕淵  浦和美]園

横 浜   元町・中華街

次 雄 原    つ   ば

営業キロ初開業日

32.3km l979/3/9 122km l996/3/30

】6.2km 】996/4/27 14.6km 2001/3/28

4.lkm 2004/2/

58.3km’2005/8/24

〈註〉 北総鉄道の小室一印旛日本医ノ〈(IS]の第:種鉄道事業者は,千葉ニュータウン鉄道で    ある.横浜高速鉄道はこの他に第遜鉄道事業としてこどもの国線・長津田一こど    もの国間(34km)を仇と有する.首都圏新都市鉄道は「つくばエクスプレス」.

〈iL b iJ〒> li’・I l:交」口省3失jti’ Jl ,) iii・;i修i [2006b] よ り㌣モ者f乍f」3~.

 東京圏近郊の第:セクター地方鉄道旅客輸送事業者とは,図表6-15に挙げる6事業者で ある.この6事業者は,大都市近郊の新規開業路線で「狭義」の地方鉄道旅客輸送事業を 営む事業者烈で,政府の審議会(旧都市交通審議会・旧運輸政策審議会,交通政策審議会 陸1:交通分科会)の答申に基づいて,沿線となる地方自治体が中心となって設立された.

また,首都圏新都市鉄道を除く5事業者が既存の路線に接続して延イ申部分を営んでいる点 もこれらの事業者に共通している.

 この東京圏近郊の第三セクター地方鉄道旅客輸送‘1業者は,第5章第5節(P.246)で埼 1ミ高速鉄道,東葉高速鉄道.横浜高速鉄道の現状を分析したように,経常損益で赤字決算 を計上している.この経常損失は単年度のみ計Eしたのではなく,開業以来経常損失を計

ヒしている事業者が多い.そこで,これらの第三セクター地方鉄道旅客輸送事業者の経営 実績がどのように経過したのかを考察するため,『鉄道統計年報』に掲載されている損益計

2S’ 4

S道1喋法,軌道法に基づくモノレール・新交通システムなどを含めた「広義」の鉄道旅 客輸送’拝業では,ゆりかもめや多摩都市モノレールなども含まれるが,本節での論考では除外

した.

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第6章 地方陸il旅客輸送事業における赤字計ヒについて

算表を川い,年度ごとの鉄道1深営業損益,経常損益,特別損益,最終損益はどのような 損益を計llしているのかをまとめた撚.最初に,4つの損益に関する数値について説明す

る(図表6-16).

図表6-16 損益計算       )・1な支出(一)

鉄道1拝業収益   運送営業費

(運賃収人)   管理費

         減価償却費なと 受取利息     借入金支払 雑収人       (建設費の償還)

         雑損失 補助金      減損損失

1二事負担金受人益 固定資産圧縮打i 固定資産売却益  固定資産除却損          法人党・住民税

〈註〉 開業から間もない鉄道旅客輸送事業者においては,減価償却費を除外した減価償却

   前での手員益i詞撒):もある.

〈出所〉市者作成.

 鉄道16業営業損益は,鉄道事業収益から鉄道事業費用を差し引いたもので,鉄道事業を 営む第:セクター地方鉄道旅客輸送事業者には最も基礎的な数値である.経常損益は鉄道

「]喋営業損益から借人金の元利支払などの損益が加わった数値である.最終損益は経常損 益に特別損益を加えたものである.これが赤字の場合は,特別な欠損処理がない限り,次 年度以降に繰り越される損益となる256.これらは第一三セクター地方鉄道旅客輸送事業者に 限らず他の民営鉄道旅客輸送事業者でも経営状態を示す代表的な数値である.

 この6‘1[業者の2005年度の経営実績を図表6-17に示す.

2s5 w鉄道統計年報』が2004年度分まで1:1」行されており,2005年度以降は各事業者が公表して

いる損益計算1{トに拠った.

2{6 図表6-16の注のように,開業まもない鉄道旅客輸送事業者については,減価償却費を除い た償却前損益での算出もある.

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第6章 地方陸ヒ旅客輸送び1‘業iにおける赤字計flについて

図表6-17 東京圏近郊の第:セクター地方鉄道旅客輸送事業者の2005年度経営実績

‘ll:業 者’名

鉄道事借人金支払 経常  補助金  最終業損益‘警鰹失 損益 411}摺竺 損益

北総鉄道 42.3        5.2     22.3       0     11」

東京臨海高速鉄)芭 一6。0       43.3    -49.5       0   -55.5

東葉高速鉄道 42,9      53.4   -12.6      0   -19.7

埼k高速鉄道 一29.8       32.0    -6L8      9.4    -52.8

横浜高速鉄道 12.9       23.1    -10.6     18.0     -99

1†都圏新都市鉄道 一29.9       10.0    -52.6       0   -49.6

〈註〉 単位は億円.

〈出所〉各事業者の資料より筆者作成.

 ここで,これらの損益計算と政府・地ノ∫自治体からの補助金との関係について触れてお く.第三セクター地方鉄道旅客輸送事業者は,地方自治体からの出資,建設費の補助を受 けるとともに,赤字計ヒに対して地方自治体からの補助金を受けることがある.この場合,

特別損益に詞1二されることがほとんどである.これによって,経常損益が赤字で補助金が 支給される場合,最終損益の赤字幅は改善される.これを顕著に示しているのが1991年度 から1995年度の北総鉄道Cll時は北総開発鉄道)と2003年度から2005年度の埼t・r高速鉄 道の例である.

 図表6-18に示すよう   図表6-18 北総鉄道・埼k高速鉄道における補助金の例

に・糸綿損失の赤訓・i北総鑓     埼蹄速鉄道

が年を経るごとに改善 されているものの,補 助金支給によって最終 損失での赤字額が経常

損失の功ぐ子客口よりさら に改;¢させている.

れている.このように,

年度 1991 1992 1993 1994

経常損益 補助金 最終損益

 一73.0    40.0     -32.7  -74.6    40.0     -35.3  -63.5    40.0     -24.1  -52,4    40,0     -124

年度 経常損益補助金最終損益

2003 Q004 Q005

一79.8  10.0   -70.0

|72.3  102   -62.8

|6L8   9.4   -52.8

〈註〉 単位は億lq.

〈出所〉国{1交通省鉄道局監修[2007コ, 両事業者資料より筆者作成.

         すなわち,地方自治体からの補助金によって,最終損益が押しヒげら        赤字を補填するために地方自治体から補助金が投人される場合,

第:セクター地ノ∫鉄道旅客輸送’1喋者は経常損益の黒字転換への誘因が殺がれるおそれが

ある.

 赤字計Lに対する地方川治体からの補助金について指摘したが,地方自治体による第:

セクター地方鉄道旅客輸送事業者に対する増資は,この損益計算表(図表6-16)には示さ れていない.埼k高速鉄道は2003年度から埼k県・沿線3市による22g億円の出資を受け,

      -28フー一

第6i’lll地方陸ヒ旅客輸送’拝業における赤字計llについて

また東京臨海高速鉄道は2004年度以降東京都の1曽資(300億円)を受けている.これは,

累積債務が資本金を超過しないための措置と推察される.

 図表6-17からもわかるように,東京臨海高速鉄道,東葉高速鉄道,埼1ミ高速鉄道の3事 業者が鉄道]深営業損益でも赤’了:経営を継続し,北総鉄道以外の5字1深者が経常損益でも 赤字経営が続いている.各事業者とも赤字額の幅の圧縮に努めているが,今後も楽観でき る状況にないことがわかる.

 東京圏近郊第三セクター地方鉄道旅客輸送事業者が厳しい経営状況に置かれた要因を考 察すると,経常損益で赤字が計ヒされているのは,立ち帰れば鉄道事業営業損益で経常損 失に見合った収益が計1:されていない,つまり鉄道事業収益が赤字になっている点が指摘

てきる.

 この鉄道1喋営業損益が赤字を計ヒしている要因は,①営業費が高い,②運賃設定が低 い,(3輸送力が過剰の3点が人きな要因として考えられる.ここで,これら3点の大きな 要因について検討する.

(D営業費・運賃設定

 営業費の高さは鉄道1深支出の高さを示すことになり,運賃設定の高さは鉄道事業収入 の高さを示すこととなる.そこで,営業費については,営業キロ,旅客輸送人員(旅客1 ノ∫人あたり)の営業費を算出し,運賃設定については,初乗り運賃,12km普通大人運賃の 運賃設定を,大手の民営鉄道旅客輸送’暮業者と比較した.その結果を図表6-19に示す.

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第6章 地方陸ヒ旅客輸送事業における赤字計llについて

図表6-19 東京圏近郊第:セクター地方鉄道旅客輸送事業者における営業費・運賃設定と      その大千の民営鉄道旅客輸送事業者との比較

営  業  費 運  賃  設  定

事 業 者 名 1営業キロ 旅客1万人 初乗り運賃      12km あたり   あたり (Il限)    普通運任 北総鉄道 2.73億円 275.3万円 3kmEて  200円     570円 東京臨海高速鉄1道 1092億円 243、1万円 3kmEて  200円     380円 束葉高速鉄道 6.08億円  2355万円 3kmセて  200円     550円 埼1こ高速鉄道 6.77億円  394.5万円 3km麦て  210円     420円 横浜高速鉄道 16.34億円  1389万円 3kmたで  180円

首都圏新都市鉄道 292億円 490.9万円 3kmたて   160円     360円

一一..

大手民鉄平均 4.86億円 137,8万円    5P4】円1   247円

〈i]r.〉 東京圏近郊第:セクター地方鉄道旅客輸送事業者は2005年度,大手の民営鉄道旅客輸送事    業者の’r均は2004年度データより算出した.12km普通大人運賃については,横浜高速鉄    道は営業キロか4.1kmなので算出せず,大丁の民営鉄道旅客輸送事業者の・ド均は本線系統    の実際価格から算出した.

〈出所〉筆者作成.

 図表6-19からもわかるように,営業費については事業者によって差異が大きく,端的に 指摘てきないが,大T一の民営鉄道旅客輸送‘}深者の’ド均と比較すると東京圏近郊第三セク ター地方鉄道旅客輸送事業者の方が安い‘1喋者もある.旅客輸送人員1万人あたりについ ては,横浜高速鉄道が大手の民営鉄道旅客輸送事業者’P均と同秤蠕度になっているものの,

他の’1深者は大千の民営鉄道旅客輸送事業者平均に比べ高くなっている.これは,後述す るように旅客輸送人員が少ないため,その影響から割高になっていると考えられる.よっ て,推察される要因の「⑦営業費が高い」については,旅客輸送人員あたり高くなってい ると考えられるだろう.

 ・方,運賃設定については,大f一の民営鉄道旅客輸送事業者平均と比べ,初乗り運賃,

12km普通人人運賃とも高く設定されている.初乗り運賃ではさほど差が出ていないが,

12km普通人人運賃で比較すると,大手民営鉄道旅客輸送事業者平均の倍以Elの運賃を設 定している’1喋者もある.よって,推察される要因の「②運賃設定が低い」については認

められない.

(2)輸送力

 計画策定時のlll業計画での旅客輸送人員見込み(輸送力)の試算は,鉄道事業経営の根 幹に関わる「n要なll:∫頁である.それは,旅客輸送人員によって鉄道事業による収入が試算

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ドキュメント内 日本の地方陸上旅客輸送事業 (ページ 129-140)