●国際交流基金・助成グラントについての説明:3月6日(火)東京・芝パークホテル
国際交流基金が実施している、文化交流や日本研究・知的交流などのプログラムに対する助成金、研究奨学 金などについて、国際交流基金の担当者から説明。
●グループ発表:3月6日(火)東京・芝パークホテル
今回のJENESYS教育グループの研修成果をまとめるため、6グループに分かれて3月5日の午後と6日午前中を
費やしてグループディスカッション。その成果をグループ別に発表した。
CARAVANグループは、大洪水に見舞われたタイと気仙沼を対比することで、気仙沼から学ぶべきことを抽
出した。気仙沼では災害対策や災害からの復興に、以前から取 り組んでいたESDが重要な役割を果たしていることや、災害の 被害を最小限に抑えるうえで地域コミュニティーの結束が大き な役割を果たしていたことを学ぶべき点だとした。
「騎士」を意味するマレー語から命名したSATRIAグループは、
スマトラ沖大地震の被災地であるバンダ・アチェと気仙沼を比 較。ESDとDRR(Disaster Risk Reduction)が強く結びついてい るという事実を学んだとした。また気仙沼では阪神淡路大震災 の経験を生かしてさまざまな形の被災者への精神的ケアが行わ
れていることや、教育委員会・学校・地域コミュニティーなどが組織の壁を越えて連携しており、そうした連 携が復興に向けた動きの中で重要な役割を果たすことを学んだとした。
グループ「GAMBARE」は、全員に起立を求め大震災の犠牲者への15秒間の黙祷を捧げてプレゼンテーショ ンをスタート。学校が単なる教育施設という機能だけでなく地域コミュニティーにおける多様な機能を担って いる気仙沼に学ぶところが多いとした。また災害が起きてから組織が連携を模索するのではなく、あらかじめ 各組織の間に信頼関係が構築されていることの重要性を気仙沼で学んだと報告した。さらに「遊び」が、子供 たちの心のケアに果たす役割のおおきさと重要性も再認識したと発表した。
Resilienceを象徴する竹から命名したBambooグループは「てんでんこ」の教えに象徴されるように、気仙沼
では子供を含む地域住民の多くに津波対応の教えが、シンプルな言葉に託して受け継がれてきたこと。教育委 員会の幹部から学校の現場教師、地域コミュニティーまでが、それぞれの声に耳を傾け合いながら連携して教 育や地域づくりに当たっていることの素晴らしさを称賛した。また復興の過程においてESDが担う役割の大切 さを知ると同時に、改めてESDの主役は未来を作る子供たちであることを実感したとの感想も聞かれた。
復興への願いを託したRainbowグループは、災害からの復興に多様な人々がかかわる姿が印象的だったとし て、多様性の重要さを指摘した。たとえば多様な支援活動の好例として「野染め」の齋藤氏や、「あそびーば ー」の天野氏らの活動が注目に値するとした。また、唐桑中学校でのエネルギー問題に関するディベート授業 の参観を通じて、1人1人が自分で考えるESDの基本が根付きつつあること実感したとした。さらに「ハチドリ 計画」に象徴されるように、自分ができることを自分の周りから始めていく精神が、持続可能な社会づくりに 有効であるとまとめた。
中国の柔軟な動作から名付けられたBu Dao Weng(起き上がり小法師)グループは、東日本大震災とスマト ラ沖大地震の教訓から、大災害における被害の最小化や迅速な復興のためには、政府や自治体といった公的組 織と、民間やNGOがバラバラに問題に取り組むのではなく、うまく連携することが非常に重要だと分析。さ らに将来起こりうる大災害に、より良く対処するためには教育方針の根本的な見直しが求められると指摘。こ れまで一般的に普及してきた知識蓄積型の教育から、ESDに象徴されるような自主的な判断力を育てる教育に 変換させていく必要があると結論した。
●ラップアップセッション:3月6日(火)東京・芝パークホテル プログラムアドバイザー永田教授
永田教授は初めに、「今回気仙沼で出会った人たちや学んだ事柄について思い出してみよう」と促し、1分15 秒ほど全員で黙想。そのうえで、気仙沼で得た情報や学んだ多くの事柄を整理し、「今回得たものをそれぞれ の国に帰ってから有効に生かせるよう、再構築していくことが重要」だと指摘した。
また大規模災害のすべてが逃れられない不可避な要素ばかりではなく、Resilienceを涵養することで避け得る 要素があり、だからこそResilienceを育む教育が非常に大きな役割を果たすとした。また、そのResilienceを構成
する大切な要素として多様性がキーになると指摘。同時に気仙沼では外部からの支援を上手に取り込むことで
もResilienceを補強したと付け加えた。さらに「われわれは気仙沼で被災地の現実を知るうちにVulnerability(脆
弱性)の重要さにも気付かされた。そして教育の力でVulnerabilityを軽減できることも学んだ」と新たな発見 に言及した。
永田教授は気仙沼で行われたResilienceを育む取り組み事例と、そうした取り組みが大震災に際して成果を発 揮した事例などを、ひとつひとつ振り返ったうえで「今回の学びの旅は今日で終わるが、われわれの友情は終 わらないし、皆さんの学びはこれからも続く。今回日本で得たtheory、concept、practice、philosophyといった それぞれの要素を国に持ち帰り、つなぎ合わせ有効に生かしてほしい」と結んだ。
最後に全員が円形に椅子を並べて、全員で一言ずつJENESYS教育プログラムの振り返り。参加者は口々に、
日本での異なる文化体験や参加者同士の交流を通じて学んだものの貴重さを挙げ、まるで学生時代に戻ったか のようによく学び、学ぶことに励んだと語った。
●歓送レセプション:3月6日(火)東京・芝パークホテル
JENESYS教育グループの関係者が全員参加してフェアウェルパーティーが開催された。国際交流基金参与・
西澤良之による参加者の11日間にわたる研修をねぎらう挨拶に次いで、永田教授が登壇。07年から5年間の予 定でスタートしたJENESYSプログラムが今年度でひとまず終了することを受けて、「JENESYSは終わっても
JENESYSスピリッツは終わらないと信じている」とメッセージして乾杯。参加者側からはインドのSyed Zulfiqar
ALIさんが全員を代表して「今回の研修で津波の強大さを目の当たりにしたが、同時に気仙沼の人々の強靭さ も知ることができ、学ぶところが多かった」と研修を振り返った。次いで参加者が簡単に自己紹介。レセプシ ョンには各国交流協会の関係者ら約25名も来賓として出席しており、各国からの参加者と歓談を交わした。
最後に今回の気仙沼研修にも同行した国際交流基金文化事業部生活文化チーム長の高橋正和氏から一人一人 に修了証が手渡され、JENESYS教育プログラムをすべて終了。しかし参加者たちはそれぞれの修了証を手に、
共に学んだ仲間たちと一緒に記念撮影をするなど名残を惜しんだ。
(文責:高岸 洋行)
Photo by:
・Kenny Low (Singapore)
・Josephien Dela Guardia Mueca (Philippines)
・The Japan Foundation