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本章の総括

ドキュメント内 「仮定の意識化」を重視した (ページ 121-124)

本章の意図は,数学的モデル化教材の開発に取り組むことである.このとき,第1章,第2章で明ら かになった,「仮定の意識化」を重視する.まず,筆者にとって身近な現実事象となる場面から必要観に 迫られ,問題意識を持った状態で課題を実際に解決していく.次にこれを教材化すること及び,授業化 を目指し,教材を吟味することである.

本章の構成は以下の通りである.

第 1 節では,筆者の身近な場面での解決したい問題を実際に数学を活用して問題解決を行った.筆者 が家の近所で車を運転していると,交差点で事故に遭いそうになることが多い交差点があることに気が ついた.この問題を主に基本の作図を使って解決し,PCソフトのGeoGebraも併用しながら思考を進め ていった.その問題解決によって解決された教材が「ミラーを設置しよう」である.この教材は 4 つの 問題場面を経て解決へと至っている.問題場面を以下のように整理していた.

(1)道幅を0とし,図形的には直線として表し,さらにミラーを図形的に点としてみて表し,道路の

交点(この点をO1とする)におく.

(2)道路の道幅を6mとし,ミラーを点としてみて道路の上端におく.

(3)ミラーを直径60cmの平面鏡としてみて(平面図において図形的にみると線分),道路の上端より

直径の半分の30cm分外側にミラーをおく.

(4)ミラーを直径60cmの曲面鏡としてみて(平面図において図形的にみると弧),道路の上端より直

径の半分の30cm分外側にミラーをおく.

この整理した視点として,まず砂場(2003)の「B.仮設に基づく単純化の過程」の主張をもとに,まず 問題場面を単純化し,問題の難易度を下げた状態からスタートした.そして,第 1 章で述べたように,

仮定を見直し,おき直すことで徐々に現実場面に即した結論を導き出していくことにした.そこから基 本的に一つずつ仮定をおき直して場面を進展させていく.この時,おき直した仮定に伴っておき直す必 要のある仮定に関してはおき直していく.そして,現実場面に即した数学的モデルでの問題解決を行い,

結論を出すことを目指している.また,この教材は仮定を見直し,おき直していくことで,第1章と第2 章で明らかにした数学的モデル化過程や「仮定の意識化」との関連も踏まえられている.

第 2 節では,開発した教材を授業化に向けて,数値等の吟味を行うことで洗練した.まず問題場面と して図3-37のようにした.

図3-37:授業で用いる問題場面(※数値は実際の大きさ)

X

Y O

1

15m

4m

1m

118

この問題場面を踏まえ,授業で用いる教材が以下の通りである.

第3節では,この教材の実践に向け,数学的モデル化教材の実践を行った清野(2006)や西村(2012)を参 考にし,教材の精錬や授業の展開の構想や評価についての整理を行った.まず授業の展開の構想として は表3-14のようにした.

表3-14:本研究における数学的モデル化教材を用いた学習展開の構想

これは本研究における数学的モデル化過程にも対応させたものであり,授業展開をこの構想に沿って 行うことで,先述してきた「仮定の意識化」を重視した数学的モデル化による問題解決ができる授業が可 能となると考えた.そして評価についても本研究における数学的モデル化過程の各段階ごとに問題解決 の評価の観点を設けた.

以上の内容を踏まえた実践を行い,第4章においてその実際を整理し,分析・考察を行う.

○今日の課題 『ミラーを設置しよう!』

(1)ミラーを道路端におくことにする.このとき,ミラーを道路に対してどのような角度で設置すればよい だろうか.※ワークシートの縮尺は1/50とする.

(2)ミラーが幅をもつことにする(※このワークシートではミラーの中心から 0.6cm).車を表す点 Y が右に 2m(※このワークシートでは4cm)動いたとする.このとき,ミラーでこの車を確認できるかどうか,作図をし て調べよう.(D’は道路の端 D より 30cm(※このワークシートでは 0.6cm)外側の線とする)

①どの点における反射の線を作図したらよいか考えよう.

②点 Y から 4cm 右に動いた点 Y’を取り,ミラーで Y’を確認できるか考えよう.

(3)ミラーを円の一部と考え,このミラーを含む円の半径を 220cm(※このワークシートでは4.4cm)とす る.車を表す点 Y が右に9m(※このワークシートでは18cm)動いたとする.このとき,ミラーでこの車を確認 できるかどうか,作図をして調べよう.

①円の中心を作図して見つけよう.

②ミラーの両端の点における反射の線をかくには,何が必要だったかを考えて作図しよう.

③Y から18cm 右に動いた点 Y’’を取り,ミラーで Y’’を確認できるか考えよう.

交通安全面での危険性を少なくするために,ミラーを設置したいと思う.どのような位置,角度で設置 すればよいか考えてみよう.また,見える範囲を大きく確保するためにはどうしたよいか考えよう.

①現実場面の問題を単純化・理想化し,さらに条件を整理することで数学的な問題場面としておき直す.

②数学的な問題場面において,近似・仮定の設定をすることで数学的モデルを導く.

③作成した数学的モデルを数学的処理し,数学的結論を出す.

④現実場面に照らして解釈をし,現実的文脈を考慮した結論を出す.

⑤現実場面に照らしてよりよい数学的モデルを志向し,問題解決の前提となっている仮定を見直すことで,

問題解決の方法と結論の妥当性を評価し,新たにおき直す仮定を考えることで,問題解決を進展させる.

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第 4 章

「仮定の意識化」を重視した数学的モデル化教材を用いた授業の実践と評価

本章の意図と構成

本章の意図は,開発した教材の授業実践を通して,生徒の現実事象の問題解決の進展や現実事象と数 学の関連の感得に対する「仮定の意識化」の効果の有効性を明らかにすることである.

本章の構成は以下の通りである.

第1節では,開発した教材の授業実践の構成と実際を整理する.

第 2 節では,本教材の授業実践で明らかになった,生徒の現実事象の問題解決の進展や現実事象と数 学の関連の感得に対する「仮定の意識化」の効果の有効性についての成果並びに課題を,生徒の問題解 決のワークシートや授業感想のデータから分析・考察を,本研究の目的を踏まえ 2 つの分析の視点を挙 げ,本実践で達成されたか明らかにすることである.

第3節では本章の総括を行う.

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ドキュメント内 「仮定の意識化」を重視した (ページ 121-124)