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残された課題

ドキュメント内 九州大学学術情報リポジトリ (ページ 179-200)

第 6 章 結論と今後の課題

第3節 残された課題

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第1章 課題と方法

・山口県では、農業農村の発展のため、特に、集落営農法人を中核的担い手として 位置づけ設立と経営発展を支援している。

・2017年3月現在249法人設立されており、農地の受け皿と地域農業・農村の活性化 にとって無くてはならない存在となっている。

・しかし、山口県では、農業就業人口の平均年齢が全国2位の70.3歳(2015年セン サス)と農業従事者の高齢化が全国的にも高いレベルで進んでいる。

・集落営農法人は、役員、オペレーターや構成員の高齢化、さらに米価の低下等、

これらの課題に対応して、持続可能な経営体として経営発展を進めるためには、次 代を担う人材の確保及び生産コストの更なる低減、収益性の向上等経営体質の強 化が喫緊の課題となっている。

第1節 問題の所在と背景

16 38

68 82 93

116 134 183

205

224 235 249

0 50 100 150 200 250 300

2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016

8

新規就農者 受け入れ法 人(内数)

都市的地域 24 4

平地地域 9 0

中間地域 129 7

山間地域 43 3

合計 205 14

法人数

図 1-1 集落営農法人数の推移

(単位:法人数)

年度

出所:山口県農業振興課資料(2016年)

より作成

表 1-1 山口県における農業地域類 型別集落営農法人数

出所:山口県農業振興課資料及び聞き取り調査 (2015年)による

表1-2 基幹的農業従事者の高齢者割合の推移(全国、山口県)

出所:農林業センサス各年

1990年 1995年 2000年 2005年 2010年 2015年 全国 26.8 39.7 51.2 57.4 61.1 64.6 山口県 37.6 46.6 61.2 73.1 77.2 80.6 全国 5.0 7.6 12.7 20.6 28.7 31.0 山口県 10.8 14.9 21.5 30.3 39.6 41.2 基幹的農業従事者

65歳以上割合 基幹的農業従事者

75歳以上割合

9

・一方、2014年の全国の新規就農者数は57,650人(平成26年度新規就農者調査)で、

2010年以降5万人台で推移している。このうち49歳以下は21,860人で、2007年以降最 も多くなっている。

・就農形態別では、新規自営農業就業者は、2007年には新規就農者の88%を占めて いたが、2015年には78%となっている。新規雇用就業者数、新規参入者数は、その割 合が増加しており2015年における構成比は、新規雇用就業者は、16%、新規参入者 は5%となっている。

・2015年の就業形態別新規就農者に占める「39歳以下」の割合は、新規参入者

49.9%、新規自営農業就業者15.4%、新規雇用就業者61.6%で、新規雇用就業者や 新規参入者は、39歳以下の若者が多い。

・山口県における新規就農者数は、1999年から2004年までは、30名程度で推移してき たが、2005年以降年々増加し2016年には121名となっている。このうち法人就業者の 占める割合は、59%である。

・こうした中、集落営農法人の次代を担う担い手として新規就農者を受け入れ経営発

展を進めている集落営農法人が出現してきた。

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表 1-3 新規就農者数の推移 ( 全国) 単位:人、%

出所:農林水産省「平成27年度新規就農者調査」(2016年)

割合

(%)

44歳以下

(人)

割合

(%)

新規自営 農業就業 者(%)

新規雇用 就業者

(%)

新規参 入者

(%)

2007年 73,460 21,050 29 64,420 7,290 1,750 88 10 2

2008年 60,000 19,840 33 49,640 8,400 1,960 83 14 3

2009年 66,820 20,040 30 57,400 7,570 1,850 86 11 3

2010年 54,570 17,970 33 44,800 8,040 1,730 82 15 3

2011年 58,120 18,600 32 47,100 8,920 2,100 81 15 4

2012年 56,480 19,280 34 17,260 31 44,980 8,490 3,010 80 15 5 2013年 50,810 17,940 35 16,020 32 40,370 7,540 2,900 79 15 6 2014年 57,650 21,860 38 18,500 32 46,340 7,650 3,660 80 13 6 2015年 65,030 23,030 35 19,760 30 51,020 10,430 3,570 78 16 5

区分 計

就業形態別

構成比(%)

49歳以下

(人)

新規自営農 業就業者

(人)

新規雇用就 業者

(人)

新規参入 者

(人)

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表1-4 就農形態別新規就農者の年齢別就農人数の推移(全国)

出所:農林水産省「新規就農者調査」(2012年、2015年)

人数

(計)

構成比 (計)

39歳以下 40~44歳 45~49歳 50-59歳 60-64歳 65歳以上

2012年 3,010 1,540 420 210 330 270 250

2015年 3,570 1,780 540 200 390 290 380

2015年構成比 100 49.9 15.1 5.6 10.9 8.1 10.6

12-15増減率 18.6 15.6 28.6 -4.8 18.2 7.4 52.0

2012年 44,980 8,160 1,140 1,240 6,340 16,760 11,340 2015年 51,020 7,880 2,190 2,460 8,150 14,920 15,420

2015年構成比 100 15.4 4.3 4.8 16.0 29.2 30.2

12-15増減率 13.4 -3.4 92.1 98.4 28.5 -11.0 36.0

2012年 8,490 5,330 670 570 1,170 570 190

2015年 10,430 6,430 930 620 1,160 700 590

2015年構成比 100 61.6 8.9 5.9 11.1 6.7 5.6

12-15増減率 22.9 20.6 38.8 87.7 -0.9 22.8 210.5

新規参入者

新規自営農 業就業者

新規雇用就

業者

12 0

20 40 60 80 100 120 140

自営就農 法人就業

図 1-2 自営就農・法人就業別新規就農者数の推移(山口県)

出所:山口県農業振興課資料(2016年)より作成

農の雇用事業

青年就農給付金制度

(農業次世代人材投資資金)

単位:人

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山口県における「集落営農法人」の定義

1~数集落を範囲として、関係農家の多くが参加し度重なる話し合い活動により、農地 の利用調整や農業経営の効率化を行うために設立された法人であり

① 農業経営基盤強化促進法に規定される特定農業法人

② 又は、話し合い活動により集落内の相当面積の集積を決定し、当該集落の相当数 の農家が参加して設立された法人

○地域ぐるみ型

集落内の相当数の農家が構成員として参加し法人化したもの

○少数担い手型

特定の専業農家等が法人化したもの

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(1)集落営農法人の労働力確保及び雇用に関する研究

・杉田(2011)は、全国の個人経営及び農業生産法人を対象に雇用導入の現状と課題 を営農類型別(普通作物、園芸、畜産)に分析し園芸、畜産は周年雇用が確保されて いるが、土地利用型経営は、季節労働が多く地縁血縁者を雇用する経営が 多いこと を指摘している。

・伊庭(2013)は、中国地方中山間地域の島根県を対象に集落営農の抱える問題と今 後の組織維持に向けての課題を整理し、労働力の不足と事業収益性の低さを指摘して いる。労働力不足への対応として、新規就農者を専従者として常勤雇用する形態では 雇用を可能とする事業収益性を確保するため販売金額の増加が課題となると指摘して いる。また、集落営農のオペレーターとしての所得と自己の個別経営の所得の合算に おいて必要となる年間所得を確保する形態、週末通作、複数の集落営農間の協力を模 索する対応がある事を示している。事業収益性の低さの改善には、園芸部門や農産加 工への取り組み、さらに社会貢献事業にも取り組んでいることを明らかにしている。

・加古・初川(2007)は、6集落営農組織の合併により設立された兵庫県の広域営農 組合(2階建て)の、経営の現状、効果を整理し、若い専従者4名の雇用が可能に なったこと、経営の多角化が進んだことを示している。

・金子(2007)は、山口県や福井県の集落営農法人の事例を調査し、専従者について は、一定の地域内の者に限られているものの、個人的な資質による採用となっている こと、管理作業については、家や集落への帰属意識によって多くの作業者を確保して いることを指摘している。また、専従者を確保するには、雇用環境を整えるだけの事 業内容、収益規模が必要であると指摘している。

第2節 関連先行研究のレビュー

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(2)集落営農法人の経営展開に関する研究

・棚田(2004)は、島根県、広島県における集落営農法人について、組織運営の実態等 を検討して、多くの法人が地域ぐるみで法人化し基幹的従事者が不在の中で土地利用 型農業の効率化と集落農地の維持管理を一体的に進めることを法人設立の基本目標と していること、経営効率の追求よりは、平等対等を基礎とした運営が優先されるこ と、一部に野菜作の導入がみられると指摘している。

・棚田(2007)は、広島県の専従者不在で稲作を基幹部門とする地域ぐるみ型集落営 農法人を対象に、園芸作に対する取り組みの実態を調査し園芸作を開始するうえで、

リーダーや役員の意向が大きく影響していること、収益部門確立よりも女性や高齢者 の働き場所の確保を重視して導入される場合が多いことを指摘している。また、園芸 作導入には、生産から販売まで一貫して対応できる責任者の確保が不可欠であり、青 壮年者不在の条件下でも園芸作を開始するうえで必須条件であると指摘している。

・安藤(2013)は、大分県の中山間地域に位置する集落営農法人の実態調査を通じて

「農業専従者」による「効率的かつ安定的な農業経営」に集落営農法人が転換してい く可能性は乏しいと指摘している。荒井(2005)も滋賀県の事例を調査して同様な指 摘をしている。

・田代(2016)は、集落営農の取り組みを地域協業経営体形成に至るプロセスととら えれば、地域性とともに「段階」性(高齢化、脱農家に応じた段階)があると指摘し ている。A:任意組織の段階、B:法人化の第一段階、C:法人化の第二段階。発展 段階の必要性(協業、利用権、経営自立)が地域に継起するかぎり発展段階的といえ るが、各段階にとどまる期間が長くなる(定年継承によりAあるいはB段階に長く留 まる可能性もある)と、地域差による類型となると指摘している。

第2節 関連先行研究のレビュー(つづき)

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(2)集落営農法人の経営発展に関する研究(つづき)

・宮武(2007)は、富山県の3つの集落営農を統合し設立された集落営農法人を対象に 分析し集落営農を合併し200ha近い農地の集積を機に少数の主たる従事者による運営 体制を構築したことを指摘している。

・小林(2007)は、広島県の地域ぐるみ型集落営農法人を対象に、労働参加形態に注 目し、法人と組合員の結合関係の実態分析を行い、広範な多様な労働参加機会が用意 された「水平的結合関係」と賃借関係だけで結合する「垂直的な結合関係」があるこ とを指摘している。

また、集落営農の多角化や他組織の連携などのステップアップ(経営展開方向)の議 論については、組織内の労働参加形態からの分析と地域と集落営農法人の関係からの 分析が重要な論点となると指摘している。

・北田(2008)は、集落営農法人における事業多角化の実態と課題について地域ぐる み型法人と少数担い手型法人の事例を分析し少数担い手型の法人は、経営の持続性を 確立するうえで、付加価値を付け労働力の有効活用が図られる事業多角化に対する意 向が強いこと、売上高の比較的低い地域ぐるみ型は法人は、事業多角化の目的に地域 農業の活性化といった理由をあげる法人が多いことを指摘している。また、売上高の 多い法人ほど収益を高めることを目的に加工部門に労働力を導入している法人が多い こと、売上高の少ない法人は、法人構成員家族労働力のみで加工部門に対応している こと、を指摘している。

第2節 関連先行研究のレビュー(つづき)

ドキュメント内 九州大学学術情報リポジトリ (ページ 179-200)