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本研究のまとめ

ドキュメント内 脳内ネットワークに関する研究 (ページ 72-102)

近年では,DTIや機能的MRI(functional MRI: fMRI)をグラフ理論と組み合わせることで,

脳の領域間における解剖学的な結合や機能的な結合,いわゆる“脳内のネットワーク”の 構造の特性を定量的評価することができ,脳領域間の連絡や脳全体における情報伝達の効 率などの脳内ネットワークの様々な側面を表現することが可能となっており,注目されて いる.このグラフ理論解析を用いた先行研究には,アルツハイマー病や統合失調症,てん かん,多発性硬化症など多様な精神疾患や神経変性疾患について研究が盛んに行われてい るが,ADとDLBにおいて,DTIを用いてグラフ理論解析し,それらの鑑別を試みたとい う報告はまだ存在しない.

本研究では,神経内科医師によってADと診断された患者15名と,DLBと診断された 患者7名に対し,DTIと T1強調像を取得し,グラフ理論解析をすることにより算出され たネットワーク指標(Characteristic Path Length; CPL,Global Efficiency; GE, Local Efficiency;

LE, Clustering Coefficient; CC, Small-World property; SW)についてADとDLB間で比較・検 討した.得られた結果は,ADと比較して,DLBでは,GE(p = 0.0098)およびSW(p = 0.005) の有意な低下を示した.CPL,LE,CCについて有意差は認められなかった.ADと比べ,

DLBでGEが低下していることから, DLBはADより情報伝達の効率が悪いことが示さ れ,これは過去に報告されたfMRIにおける先行研究と一致した.

今後の課題として,まず,DLBの症例数が7例と少なかったため,今後増やしていく必 要がある.次に,Connectome Mapperという解析環境で解析したが,この環境では決定論 的トラクトグラフィで神経線維追跡を行っているため,voxel内における異なる繊維方向の 混在やアーチファクトの影響で,その voxel での繊維方向の推定が曖昧になってしまうこ とがある.その曖昧性を回避するために高分解能拡散画像(high angular resolution diffusion imaging: HARDI)やRESOLVE(readout segmentation of long variable echo-trains)の適用,確率論 的トラクトグラフィを用いる必要があると考える.さらに,connectivity matrixのグラフの 種類や解析するソフトウェア違いによる脳領域の分割数や描出されるトラクト本数の違い によって,グラフ理論から計算されるネットワーク指標の値は大きく異なる場合があるた め,connectivity matrixの値を規格化したり,最適な脳領域の分割数などを検討する必要が あると考える.最後に,本研究では脳の全体的なネットワーク指標でのみ評価したが,領 域ごとにネットワーク指標を算出したり,前頭葉や側頭葉などより大きな括りでの脳内ネ ットワークの比較やその大きな領域内でのサブネットワーク解析するで,新たな鑑別診断 のバイオマーカーの発見につながる可能性があると考える.

以上より,本研究には課題があるものの,DTIにグラフ理論というアプローチを加える ことで,従来の拡散MRI解析にはなかったGEやSWといった脳内ネットワークに有意な 差があることを示すことができた.よって,DTIを用いたグラフ理論解析では,ADとDLB

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間の全脳における脳内ネットワークの変容の差異を反映し,ADとDLBの鑑別診断におい て有用であることが示唆された.

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Appendix 1

-略語一覧-(略語) (英語)

11C-PIB 11C-Pittsburgh Compound B

123I-FP-CIT 123I-N-(3-fluoropropyl)-2𝛽𝛽-carbomethoxy-3β-(4-iodo-phenyl)nortropane

123I-IMP N-isopropyl-p-[I123] iodoamphetamine

123I-MIBG 123I-metaiodobenzylguanidine

18F-FDG 18F-fluorodeoxyglucose

99mTc-ECD 99mTc-ethyl cysteinate dimer

99mTc-HMPAO 99mTc-hexamethylpropylene amine oxime

AD Alzheimer’s Disease

ADC Apparent Diffusion Coefficient

APP Amyloid-beta Precursor Protein

Aβ Amyloid-Beta

BCT Brain Connectivity Toolbox

BPSD Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia

CAA Cerebral Amyloid Angiopathy

CC Clustering Coefficient

CPL Characteristic Path Length

CT Computed Tomography

DLB Dementia with Lewy Bodies

DTI Diffusion Tensor Imaging

DTT Diffusion Tensor Tractography

DWI Diffusion Weighted Imaging

EPI Echo Planer Imaging

FA Fractional Anisotropy

FID Free Induction Decay

fMRI functional Magnetic Resonance Imaging

FOV Field Of View

GE Global Efficiency

GFA Generalized Fractional Anisotropy

GRE Gradient Recalled Echo

Gx readout gradient

Gy phase encode gradient

Gz slice selective gradient

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HARDI High Angular Resolution Diffusion Imaging

IVIM IntraVoxel Incoherent Motion

LE Local Efficiency

MD Mean Diffusivity

MMSE Mini-Mental State Examination

MPG Motion Probing Gradient

MPRAGE Magnetization-Prepared Rapid Gradient-Echo Imaging

MRI Magnetic Resonance Imaging

NEX Number of Excitations

NMR Nuclear Magnetic Resonance

PET Positron Emission Tomography

RA Relative Anisotropy

RESOLVE REadout Segmentation Of Long Variable Echo-trains

RF Radio Frequency

SE Spin Echo

SPECT Single Photon Emission Computed Tomography

SPL Shortest Path Lengths

SW Small-World Property

T1 T1 relaxation time

T2 T2 relaxation time

T2* T2* relaxation time

TE Echo Time

TR Reputation Time

VR Volume Ration

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Appendix 2 – Connectome Mapper

の導入方法-(2016.01.08現在)

本節では,①仮想環境を導入するのに必要な“VMware Player”のインストール,②仮想 環境である“Ubuntu 12.04.4”のインストール,③解析ツールである“Connectome Mapper”

のインストール,を中心に述べていく.なお,Connectome Mapperの導入には筑波大学の 根本先生のウェブページ(http://www.nemotos.net/?tag=connectome-mapper)とgoogle groupsを 参考にした.

ソフトウェアのインストールについて述べる前に,それらソフトを導入するPC に推奨 されるスペックについて説明する.推奨されるPCのスペックは(i)windows 64bit版,(ii)メ モリ4GB以上,(iii)10GB以上のハードディスクの空き容量が最低限のスペックである.

① “VMware Player”のインストール

VMware Player上で64bit版のOSを動作させる場合,Intel Virtualization Technology を有効化させる必要がある.この設定はPCのBIOSで設定可能であり,PCの電源を 入れてすぐ特定のキーを押すとBIOS画面に切り替えることが可能である.BIOS画面 への切り替えは基本的には PC の製造会社によって異なるため,各製品のマニュアル を参照していただきたい.BIOS画面に入ったら,“Inten(R) Virtualization Technology”

を探し,そこの設定をデフォルトの“Disabled”から“Enabled”に変更後,保存して 終了する.ここまで設定が終了したら,“VMware Player”のインストールに進む.

“VMware Player”は“https://my.vmware.com/jp/web/vmware/downloads”からダウン ロード可能である.このリンクからWindows 64bit版をダウンロードする.ダウンロ ードが完了したら,インストーラーを起動し,インストールウィザードに従ってセッ トアップをする.“VMware Player”のインストールが完了したら,次のステップであ る“Ubuntu 12.04.04”のインストールに進む.

図1 VMware Player のダウンロード画面(https://my.vmware.com/jp/web/vmware/downloads) 69

② “Ubuntu 12.04.4”のインストール

Linux(windowsやMacintoshと同じでOSの一種)にはディストリビューションと呼ば

れるパッケージがいくつも存在し,それらのパッケージはディストリビューターと呼 ばれる人々によって提供されている.ここでは,“Connectome Mapper”をインストー ルするため,“Ubuntu”というディストリビューションをインストールする.“Ubuntu”

には様々なバージョンが存在するが,今回の目的である“Connectome Mapper”のイン ストールは,“Ubuntu”のバージョンによっては起動できないものもある.そのため,

ここでは著者がインストールに成功したバージョンの“Ubuntu 12.04.4”をインストー ルしていくこととする.

まず,“Ubuntu 12.04.4”のパッケージのダウンロードは,“http://old-releases.ubuntu.com /releases/precise/”で可能である.前述のリンクから“Ubuntu-12.04.4-desktop-amd64.iso”

を選択し,ダウンロードする(図2).

図2 Ubuntu 12.04.4のダウンロード画面(http://old-releases.ubuntu.com /releases/12.04.4.1/)

次に,“VMware Player”を起動し,図3のように“新規仮想マシンの作成”をクリ ックする.その後,仮想マシン作成ウィザードが起動するので,図4に従って進めて いく.

図3 VMware 起動画面 70

図4 VMwareの設定

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図4 VMwareの設定(続き)

(a)“後でOSをインストール”を選択し,“次へ”をクリックする.

(b)ゲストOSは“Linux”,バージョンは“Ubuntu 64ビット”を選択し,“次へ”をクリ

ックする

(c)仮想マシンに名前をつける.ただし,注意点として,全角スペース,半角スペース,

全角文字,日本語などは使用しないこと.ここではconnectomeと名前をつける.保存 場所は適当に設定する.

(d)ディスク最大サイズは外付けHDDを使用することを考慮すると20GBでも可能.し

かし,大きいことに越したことはないため,ここでは128GBに設定する.この項目は PCのスペックに大きく依存する.仮想ディスクは“単一ファイル”で問題ない.設定 が終わったら,“次へ”をクリック.

(e)ハードウェアのカスタマイズを選択する.

(f)メモリは最低4GB必要となり,多いほど良い.プロセッサは並列処理をする過程があ

まりないため,好みの設定で良い.

(g)“新規 CD/DVD”を選択し,“接続”の項目は“ISO イメージファイルを使用する”

にチェックを入れ,“参照”をクリックし,先程ダウンロードしたubuntuのisoイメー ジファイルである“Ubuntu-12.04.4-desktop-amd64.iso”を選択する.その他,設定した い項目があれば設定し,“閉じる”をクリックする.

(h)設定が完了したら,“完了”をクリックする.

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図4に従って設定を終えると,VMwareの起動画面で“Connectome”という仮想マ シンが新たに作成される(図 5).ここまで設定し終えたら,“Connectome”を選択し,

“仮想マシンの再生”で実際に起動する.

図5 仮想マシンの再生

起動すると,Ubuntuのインストール画面が立ち上がるので,初期設定をしていく.

初めに使用言語の設定があるが,ここでは英語を選択する(図6).これはソフトウェア の中には,日本語での使用を想定していないものもあり,言語設定によってはエラー が発生するものや,起動することすらできないものもあるためである.

図6 Ubuntuの言語設定 73

言語の設定が終わったら,図7のような手順でオプションの設定をしていく.この 設定をし終わったときに,Ubuntuのアップグレードについて問われるが,無視する.

図7 オプション設定画面

(a) (b)

(c)

(d)

(e) (f)

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図7 オプション設定画面(続き)

(a)初めの画面では,何も選択せずに“Continue”をクリックする.Ubuntuでは,アップ

デートが頻繁に行われるが,アップデートに伴い,以前動作していたソフトウェアが 正常作動しなくなるという事例もあるため,アップデートをする場合は注意が必要で ある.

(b)“Erase disk and install Ubuntu”を選択し,“Continue”をクリックする.

(c)“Install Naw”をクリックし,インストールを開始する.

(d)都市名を選択し(Tokyoのままでよい),“Continue”をクリックする.

(e)キーボードのレイアウトを設定し,“Continue”をクリックする.

(f)ユーザー情報を設定する.ここでは,ユーザー名を“connectome”とし,パスワード

も“connectome”とした.また,ログイン時にパスワードを入力するかどうかの設定 をし終えたら,“Continue”をクリックする.

(g)インストールが終了するまで待つ.

(h)インストールが終了したら,“Restart Now”をクリックし,再起動する.

(i)この画面が出たら,“Enter”を押す.

次に,VMware Playerのメニューから“管理→VMware Toolsのインストール”を選 択する.選択後,CDのアイコンのVMware Toolsがマウントされ,ウィンドウが表示 されるので,そのウィンドウにある“VMwareTools-○○.tar.gz”(○○はversionによっ て異なる)というファイルをデスクトップにドラッグし,ファイルをコピーする.この ときウィンドウが最大化されている場合があり,ウィンドウを縮小するためには図 8 に示す箇所をダブルクリックすると,縮小される.また,このダブルクリックした箇 所は,アクティブになっているウィンドウのメニューバーに相当する.

(g) (h)

(i)

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