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本研究のまとめ

ドキュメント内 ゴール指向要求分析駆動による UML 設計手法 (ページ 129-133)

第 8 章 結論

8.1 本研究のまとめ

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本稿で提案するアプローチはこれらの要件を満たすためのものである.また要件3.につい ては,KAOSモデルをユースケースモデルやロバストネス図に体系的に変換するアプロー チを提案する.

本研究の課題は,これら要件において,それぞれの工程で有効性が確認され実務にも使 用されている既存の手法を最大限に活用し,体系的・論理的に抽出し定義した要求を漏れ なく設計し実装する仕組みを構築することである.

その課題の解決に向けて,要件の1.と2.を満足させるために,要求定義工程,設計・

実装工程それぞれに実績のあるゴール指向要求分析手法KAOS,UMLによる設計・実装

プロセスICONIXを利用する.さらに,要件3.を満たすために,KAOSによる要求定義

モデルをICONIXプロセスへの入力であるユースケースモデルや予備設計モデルであるロ

バストネス図に体系的に変換する仕組みを構築することが,本研究の目的となる.

8.1.2 提案内容

KAOSの成果物である要求定義モデルを,ICONIXプロセスの入力モデル(ユースケー スモデル)や予備設計モデル(ロバストネス図)に体系的に変換するアプローチを提案す る.これによって,KAOSによる要求定義モデルの情報をICONIXプロセスに体系的に反 映する.提案アプローチの概要は以下のとおりである.

1. KAOSのゴールモデル(要求定義モデル)を入力とし,操作モデルに変換する(責

任モデル,オブジェクトモデルの要素を含む).

2. 操作モデルをユースケース図に変換する.

3. ユースケースに相当する要求を示すゴールを,シングルイベントに対応するシナリ オに洗練し,操作モデルに変換する.

4. シナリオの操作モデルをイベントフロー図に変換する.

5. シナリオの操作モデルをロバストネス図に変換する.

8.1. 本研究のまとめ 113 全体的には半自動的な変換であるが,モデル変換の部分はQVTによる変換規則に従い規 則的に実施できる.提案アプローチによる一連のモデル変換は,洗練パターンの意味(振 舞いのシナリオ)を継承するとともに,属人性を排除する効果がある.

提案アプローチの特徴は次の2点である.

KAOSモデリングと,ユースケースモデル(ユースケース図,イベントフロー図)や ロバストネス図への変換は,変換テンプレート(洗練パターンの振舞いシナリオを継 承する)を使って実施する.

シングルイベントに着目して,ユースケースにおけるアクターとシステム間のイン タラクションを抽出し,システム機能の振舞いを特定する.

この洗練パターンをベースにKAOSモデルを作成することによって,ユースケースモデル やロバストネス図への変換を容易にする.また,操作の原因や結果に対応するシングルイ ベントをキーとすることでインタラクション抽出の根拠となり,それに対応するシステム 機能の振舞いを特定できる.

8.1.3 評価内容

米国ATMシステムのユースケースモデリングおよび国際航空券予約システムのロバス トネス分析による提案アプローチの適用実験を実施した.

米国ATMシステムのユースケースモデリングにおける適用評価では,ユースケースモ デリングの初心者を被験者として,洗練パターンによる要求定義シナリオはモデル変換に おいて逐次継承されているか(洗練パターンの継承),またモデル変換において属人性は 排除されているか(属人性の排除)を評価した.

具体的には,洗練パターンの継承評価については,ユースケース図,イベントフロー図 それぞれへのモデル変換の各STEPにおいて,洗練パターンによるシナリオがそれぞれ継 承されているかを評価した.判断基準は,変換規則を遵守した変換であることと変換結果 が洗練パターンの意味を正しく表現できているかどうかである.属人性の排除評価につい ては,基準モデルに対する変換結果モデルの適合率と再現率を算出し,非適合・非再現内 容の発生原因と属人性との関係について評価した.

前者の評価結果として,STEP2,3,5,7,8のそれぞれのモデル変換において,QVT による変換規則を遵守した変換であること(STEP5は対象外)と,変換後のモデルが洗練 パターンによる振舞いのシナリオを正しく表現していることを確認した.また,後者の評 価結果としては,基準モデルと適用結果について,ユースケース図とイベントフロー図の 非適合・非再現の発生原因は,人手による環境エージェントの名称付与や要求ゴールの洗 練部分にあり,モデル変換部分には混入していないことを確認した.

国際航空券予約システムのロバストネス分析における適用評価では,ゴールモデルとそ れに対する提案アプローチの適用結果であるロバストネス図のそれぞれのモデル要素を比 較し,洗練パターンによるゴールモデルの情報がロバストネス図に継承されているかを評 価した.

具体的には,11個の要求ゴールそれぞれを洗練したANDグラフに提案アプローチを適 用してロバストネス図に変換し,適用前後のANDグラフ(ゴールモデル)とロバストネ ス図それぞれの処理手続の形態とモデル要素の名称と数が同等であるかどうかを評価した.

評価結果としては,対応する処理手続の形態とモデル要素はすべて同等であることが確 認された.この結果,ゴールモデルからロバストネス図への情報は正常に継承されている と判断できた.QVTによる要素のマッピングにおいて,ケース分解と分割・統治の洗練パ ターンについては特殊な変換部分が存在するが,変換規則の基本的な部分ではなく,その 変換テンプレートから判断すると,問題なく継承されると期待できる.

このロバストネス図への変換については属人性の排除に関する評価は実施していないが,

ゴールモデルから操作モデルへの変換はユースケースモデリングの場合と同じ変換規則で あり,操作モデルからロバストネス図への変換も操作モデルからイベントフロー図への変 換規則と類似の規則であるため,同様に属人性も排除されていると期待できる.しかし,

厳密には適用評価が必要となり,課題として残っている.

ドキュメント内 ゴール指向要求分析駆動による UML 設計手法 (ページ 129-133)