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第 7 章 適用実験による評価

7.1 米国 ATM システムのユースケースモデリングの評価

7.1.1 実験内容

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92 第7章 適用実験による評価

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図 7.1: ATMカードによる占有取引可能なATMシステムゴールモデル(一部省略)

7.1. 米国ATMシステムのユースケースモデリングの評価 93 ることによって,モデル変換における属人性の排除を評価した.さらに,基準モデルから 外れているものの創意工夫が見られ,一般的なモデルとは異なった選択肢による実現手法 と評価できる内容についても,採用に値するモデルとして考察を加えた.

実験手順としては,「ATMカードによる占有取引可能なATMシステム」をトップゴール とするゴールモデル(図 7.1)を要求記述書に基づき準備し,被験者はそれに対して提案 アプローチを適用することで,ユースケースモデルに変換した.すなわち,被験者は,要 求記述書を参照しながら,STEP2,7の一部とSTEP4,6を手動で実施し,その他の自動 化可能な部分はアルゴリズムに従って変換した.

なお,複雑化を避けるため,ATM内部ログ関連の機能は対象範囲外とした.また例外処 理の分解は省略し,これをリーフゴールとして扱った.図 7.1については,オブジェクト や操作の関連付けは図の複雑化を防ぐため省略している.

被験者は情報工学系の大学院学生2名(A,B)であるが,要求分析およびKAOSゴー ルモデルについては未経験であり,ユースケースモデリングについては講義による知識を 有している程度である.また,ATMシステムについては,日本国内ATMの一般ユーザと して有する知識のみである.

7.1.2 評価の方法と判断基準

洗練パターンの継承評価については,ゴールモデル図7.1を構成する洗練パターンによる シナリオがユースケース図への各変換においてそれぞれ継承されているか,およびSTEP6 で要求ゴールを分解した洗練パターンによるシナリオがイベントフロー図への各変換にお いてそれぞれ継承されているかを評価した.この場合の判断基準は,変換規則を遵守した 変換であることと変換結果が洗練パターンの意味を正しく表現できているかどうかである.

モデル変換における属人性の排除評価については,基準モデルに対する変換結果モデル の適合率と再現率を算出し,非適合・非再現内容の発生原因と属人性との関係について評価 した.適合率と再現率は,ユースケース図またはイベントフロー図を主要なモデル要素に 分け,それごとに適合するか否かを判定し適合数と再現数をカウントして計算した.ユー スケース図のモデル要素は,ユースケースと,ひとつのアクターとユースケースの組のふ たつであり,イベントフロー図のモデル要素はイベントごとの処理とした.これらのモデ

ル要素はモデルそれぞれの特徴を直接的に表現するものである.

 被験者モデルのモデル要素が,基準モデルのモデル要素に対して,表記が異なっている 場合であっても同等な意味,役割,もしくは振舞いを意図している場合には適合している とし,被験者のモデル要素の中に適合しているものがある場合は再現しているとした.ま た要求の定義であるため,ユースケース等の内容で適合しているか否かを判断し,セッショ ン/トランザクションどちらの制御機能に含まれるか等の機能割当ては判断基準とはしな かった.後述する“表7.2 ATMシステムユースケース図作成結果の比較”と“表7.4 イベン トフロー図作成結果の比較”では,‘正’の欄に適合を‘○’,非適合を‘×’で示している.さ らに本稿では,基準モデルのモデル要素としては適合していないが,ATMシステムのモ デル要素としては有効であり適合していると見做せるものを‘△’で示した.

基準モデルに対する被験者Aモデルの適合率は“被験者Aモデルのモデル要素のうちで適 合している要素の総数÷被験者 Aモデルのモデル要素の総数”としている.また再現率は

“基準モデルのモデル要素のうち被験者Aモデルのモデル要素によって適合された要素の 総数÷基準モデルのモデル要素の総数”としている.

この場合の適合か否かの判断基準は次のように定めた.ユースケースはATMシステム とのインタラクション要求仕様を規定するので,そのグループ分けがATMシステムの要求 機能上大きな差とならない場合は,どちらのグループであってもインタラクション自体が 適合していれば適合とする.ユースケースとアクターについては,表記が異なっていても 同じ意味・内容を意図しているのであれば適合とした.イベントフローは,ユースケース におけるイベントの流れを振舞いに対する要求として規定するものである.従って,イベ ントの内容やイベントの順番は重要であるが,各イベントの実現手順は,設計時に最終決 定されるため,厳密に規定する必要はない.この理由により,イベントについては,アク ターとソフトウエア機能によるイベントの処理内容が基準モデルと同じ意図を表現してい るものであれば適合とした.また,アクターやソフトウエア機能の表記が異なっていても,

そのイベントに対して同じ意味を持っていたり複数の意味を包含している場合は適合とし た.例えば,「スタートアップ実行」イベントにおいて,アクターの「OperatorPanel」,「オ ペレータ,キースイッチ」,「オペレータ(キースイッチを包含していると見做せる)」それ ぞれは,このイベントに対して同じ意味を持っている.また,ソフトウエア機能の「ATM」

7.1. 米国ATMシステムのユースケースモデリングの評価 95 表 7.1: 事例における洗練パターンの種類と数

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と「スタートアップ」もこのイベントに対して同じ意味を持つ.この結果,被験者A,B によるスタートアップ実行は基準モデルに対して適合していると判断できる.

ドキュメント内 ゴール指向要求分析駆動による UML 設計手法 (ページ 109-113)