第 2 章 実験方法および実験装置
2.2 本研究におけるコンタクトサイズの制御方法
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もの」であるかどうかは、微分伝導度のサイズ依存性を測定することで判断することが できる。
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置の制御を行う。具体的には図2.10の左に示すような電圧波形を圧電素子に印加する。
素子にゆっくりと電圧を印加して行くと、図2.10(中)のように素子はゆっくりと伸びて 行く。同時に圧電素子と連結したピストンも移動する。このとき、ピストンと接触した 架台は静止摩擦力が働くために一緒に移動する。次に、図2.10(下)のように印加してい る電圧を急激に落とす。これにより圧電素子は収縮するが、そのスピードが速い場合は ピストンと架台の間に静止摩擦力が働かないため架台は移動しない。この収縮運動を繰 り返すことによって架台の位置を制御することができる。attocube社製の位置制御装置 の可動範囲は約3 mmで分解能は約0.5 nmである。
attocube社製の位置制御装置は上で示したように、中に設置されている圧電素子の収
縮運動の速さの違いを利用して動作させるため、回路の応答速度が非常に重要となる。
応答速度が遅いと常に静止摩擦力が働いてしまい、装置を動かすことができない。応答 速度は回路の時定数に依存しており、時定数の値が小さいほど、回路の応答速度は速く なる。時定数𝜂は
𝜂 = 𝑅𝐶 (2 − 5)
で表され、Rは回路の全抵抗、Cはピエゾ素子の静電容量である。この装置の静電容量 は室温でも約 600 nF という大きな値を持つため、低温領域で装置を動かすためには、
回路の全抵抗を低くし、同時に室温からの熱が冷凍機に入らないようにしなければなら ない。本装置では、2.5 節で記述する通り、銅線と超伝導線を組み合わせることで、リ ード線の抵抗を下げるとともに、室温からの熱流入を抑えるような仕組みになっている。
図 2.10 attocube社製位置制御装置の動作機構の模式図[35]
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2.2.2 積層型ピエゾ素子
前節でattocube社製の位置制御装置の動作機構について説明した。attocube社製の位 置制御装置では、パルス電圧印加による圧電素子の収縮運動を利用して動作している。
したがって、パルス電圧の振幅によってその移動分解能が決定されるのだが、電圧幅が 非常に小さい場合は、架台が上手く移動しなくなる。そこで、より精密にコンタクトサ イズを制御するために、積層型ピエゾ素子を利用した。積層型ピエゾ素子の場合は印加 電圧を制御することによって、連続的なサイズ変化が可能になる。また、今回積層型ピ エゾ素子を使用した理由としては、コンタクトサイズを制御する際に必要な力が単層型 のピエゾ素子では十分ではないという点も挙げられる。
今回の実験で使用した積層型ピエゾ素子は、日本セラテック(株)の PAC166J(6 × 6 ×
10 mm 変移量10 μm/150 V(室温))である。実験を行った低温においては、ピエゾ素
子の変位量は室温の10分の1程度になる。したがって、低温では可動範囲は数nmで、
分解能は数 Å である。積層型ピエゾ素子は attocube 社製の位置制御装置に比べて分解 能が高いため、これを利用することでより精密なコンタクトサイズの制御が可能になっ たといえる。
2.2.3 フィードバック回路を用いたコンタクトサイズの制御
needle-anvil 法では機械的に点接合を作製している為、測定時の温度ドリフトなどの
外的擾乱に非常に弱い。その為、温度依存性などを測定する際、コンタクトサイズを一 定に保つ必要がある。そこで、本研究では、フィードバックシステムを用いたコンタク トサイズの制御機構を導入している。この模式図を図 2.11 に示す。測定器からのデー
図 2.11 フィードバックシステムによるコンタクト径の制御方法の模式図。
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タをコンピュータに取り込み、そのときの微分伝導度(dI/dV)を計算し、目標とする微分 伝導度より大きければ積層型ピエゾ素子への印加電圧を減少させ、コンタクトサイズを 小さくする。同様に目標値より小さければ積層型ピエゾ素子への印加電圧を増加させ、
コンタクトサイズを大きくする。コンピュータ制御のためのプログラムは VisualBasic を用いて構築し、測定器とコンピュータの連絡はGPIBインターフェースを用いて行っ た。ピエゾ素子への電圧印加は、200 Vまでの電圧発生が可能であるKeithley2400ソー スメータを用いている。