図表1は、法律案の概要を示したものである。
図表1にも示されているが、「『焼酎特区』の創設」と提案募集や計画の認定申請の期 限延長が構造改革特別区域法の改正事項、それ以外は、国家戦略特別区域法の改正事項で ある。以下、要綱などを参照しながら個別に確認しておこう。
図表1に掲げられている項目順に整理すると、まず、「近未来技術の実証など、地方発 のイノベーションの推進」における、「自動走行・ドローン等の先端実証のための『日本 版レギュラトリー・サンドボックス』」から言及することになる。
まず、「レギュラトリー・サンドボックス」という用語について、日本経済新聞では、
次のように解説している
(3)。
「法制度が想定していない革新的なサービスや製品について、企業が当局と相談して試験 事業を始め、顧客保護のあり方などを『走りながら考える』という仕組み。
政府は(1)対象企業へ法的措置を取らないことを約束(2)企業に個別指導をする代わり に罰則は科さない(3)対象企業に限って規制の適用を除外 ― などの措置を取る。
小さな失敗を許容して試行錯誤をさせることから『砂場(サンドボックス)遊び』にた とえられる。英国発の仕組みで、企業には新事業を立ち上げやすくなるなどのメリットが ある。」
すなわち、「国及び関係地方公共団体は、自動車の自動運転、小型無人機の遠隔操作又 は自動操縦その他これらに類する高度な産業技術であって技術革新の進展に即応したもの の有効性の実証を行う事業活動を集中的に推進することにより、産業の国際競争力の強化
(2) いずれの内容も国家戦略特別区域法の一部改正である。構造改革特別区域法については、第187回国会にも前段落で紹介した2項目が盛り込まれ、新たに追加された項目はなかった。
(3) 『日本経済新聞』2017年1月6日。
図表1 法律案の概要
(出所)内閣府ウェブサイト。
及び国際的な経済活動の拠点の形成を図るために、国家戦略特別区域内において当該事業 活動を行う者に対する道路交通法、航空法、電波法その他の法令の規定に基づく手続に関 する情報の提供、相談、助言その他の援助を行うものとすること。(第37条の7関係)」
(要綱第一の二の4)、「政府は、(中略)、この法律の施行後1年以内を目途として、
当該事業活動に関連する規制の見直しその他の当該事業活動の集中的な推進を図るための 施策について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとすること。(改 正法附則第2条第二項関係)」(要綱第三の二の2)とすることにより、国家戦略特区を 自動運転・ドローンの「サンドボックス」にしようというものである
(4)。
なお、この「サンドボックス」に関しては、第196回国会に生産性向上特別措置法案が 提出されている(2018年2月9日)。同法案は、「新技術等実証の促進、革新的データ産 業活用の促進その他の革新的事業活動による短期間での生産性の向上に関する施策を集中
(4) 要綱引用部分の下線は、いずれも筆者によるものである(以下同じ)。未了となった創業人材等の多様な外国人の受入れ促進をはじめとする外国人を含む開業促 進など、医療法人の理事長要件の見直しをはじめとする規制改革による地方創生、公立学 校運営の民間開放をはじめとする民間ノウハウの活用などを内容とする法律案に、iPS 細胞から製造する試験用細胞等への血液使用の解禁、都市公園内における保育所等設置の 解禁などを新たにつけ加えたものであった
(2)。
1. 本法律の概要
図表1は、法律案の概要を示したものである。
図表1にも示されているが、「『焼酎特区』の創設」と提案募集や計画の認定申請の期 限延長が構造改革特別区域法の改正事項、それ以外は、国家戦略特別区域法の改正事項で ある。以下、要綱などを参照しながら個別に確認しておこう。
図表1に掲げられている項目順に整理すると、まず、「近未来技術の実証など、地方発 のイノベーションの推進」における、「自動走行・ドローン等の先端実証のための『日本 版レギュラトリー・サンドボックス』」から言及することになる。
まず、「レギュラトリー・サンドボックス」という用語について、日本経済新聞では、
次のように解説している
(3)。
「法制度が想定していない革新的なサービスや製品について、企業が当局と相談して試験 事業を始め、顧客保護のあり方などを『走りながら考える』という仕組み。
政府は(1)対象企業へ法的措置を取らないことを約束(2)企業に個別指導をする代わり に罰則は科さない(3)対象企業に限って規制の適用を除外 ― などの措置を取る。
小さな失敗を許容して試行錯誤をさせることから『砂場(サンドボックス)遊び』にた とえられる。英国発の仕組みで、企業には新事業を立ち上げやすくなるなどのメリットが ある。」
すなわち、「国及び関係地方公共団体は、自動車の自動運転、小型無人機の遠隔操作又 は自動操縦その他これらに類する高度な産業技術であって技術革新の進展に即応したもの の有効性の実証を行う事業活動を集中的に推進することにより、産業の国際競争力の強化
(2) いずれの内容も国家戦略特別区域法の一部改正である。構造改革特別区域法については、第187回国会にも前段落で紹介した2項目が盛り込まれ、新たに追加された項目はなかった。
(3) 『日本経済新聞』2017年1月6日。
定める基準とみなして、在留資格認定証明書を交付することができるものとすること。
(第17条の7関係)」(要綱第一の一の2(2))としている。
また、図表1には具体的に記されていないが、海外における事業の展開のために外国人 を雇用しようとする事業主に対する援助として、当該事業主に対し、「入国管理制度に関 する情報の提供、相談、助言、その他の援助を行うものとすること。(第37条の3関係)」
(要綱第一の二の2)としている。
「農業外国人の就労解禁」については、国家戦略特区内において政令で定める農作業等 の作業に従事することにより、農業経営を行う者を支援する活動を行う外国人を政令で定 める基準に適合する本邦の公私の機関が雇用契約に基づいて受け入れる事業を定めた区域 計画が認定を受けたときには、本邦に上陸しようとする外国人から、特定農業支援活動
(特定期間との雇用契約に基づいて、国家戦略特別区域内に限って行う農業支援活動)を 行うものとして「在留資格認定証明書の交付の申請があった場合には、当該特定農業支援 活動を特定活動の在留資格を持って在留する外国人が本邦において行うことができる活動 として法務大臣があらかじめ告示をもって定めるものに該当するものとみなして、在留資 格認定証明書を交付することができるものとすること。(第16条の5関係)」(要綱第一 の一の2(1))としている。
「コンセッション事業者の施設経営の自由度向上」については、いわゆるコンセッショ ン事業者(公共施設等運営権者)が、その円滑かつ効率的な事業運営を図るため、「第三 者に対して公共施設等の使用を許すことが可能となるよう、この法律の施行後1年以内を 目途としてその具体的な方策について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ず るものとすること。(改正法附則第2条第1項関係)」(要綱第三の二の1)としている。
これに関連して、第196回国会には、民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促 進に関する法律の一部を改正する法律案が提案されている(2018年2月9日)。本法律と の関連では、コンセッション事業者(公共施設等運営権者)が公の施設の指定管理者を兼 ねる場合における地方自治法の特例として、①一定の条件を満たす場合には、利用料金の 設定に際し、地方公共団体の承認を要しない、②公共施設等運営権の移転を受けた者を新 たに指定管理者とする場合において、条例に定めることにより、事後報告で可とする、等 の改正が提案されている。
最後に、「子育てに係る環境の整備など、社会保障・働き方の充実」についてである。
「小規模認可保育所の対象年齢の拡大」については、国家戦略特区における保育の需要 に応ずるため、当該特区において保育を必要とする乳児・幼児についてその保育を目的と 的かつ一体的に講ずること等」(第1条)によって、産業の国際競争力強化等に寄与する
ことを目的とし、相談窓口を一元化するなど、新技術等実証計画を早期に認定するなど
「規制のサンドボックス」を制度化することとなっている。国家戦略特区との関係で言え ば、自治体からの提案について地域限定で実証のための事業を実施する「地域限定型サン ドボックス制度」が対象となる
(5)。
次に、「革新的医薬品の開発迅速化」については、「国は、国家戦略特別区域において、
革新的な医薬品の迅速かつ効率的な開発及び実用化を促進するため、国家戦略特別区域内 の臨床研究中核病院において行われる当該医薬品の研究開発の実施に携わる者に対する情 報の提供、相談、助言、その他の援助を行うものとすること。(第37条の6関係)」(要 綱第一の二の3)としている。
具体的には、内閣府ウェブサイト「規制改革メニュー」を参照すると、「国立研究開発 法人日本医療研究開発機構(AMED)内に、臨床研究中核病院等担当のコーディネー ター(拠点担当コーディネーター)を必要に応じて設置し、臨床研究中核病院等における 医薬品の研究開発を支援」することとなっている。したがって、医薬品の研究開発におけ る既存の法律の規制を緩和するものではないと思われる。
「『焼酎特区』の創設」については、「内閣総理大臣の認定を受けた構造改革特別区域 内において地方公共団体の長が地域の特産物として指定した農産物等を原料として単式蒸 留焼酎の製造免許を受けた者が、単式蒸留焼酎又は原料用アルコールの製造免許を申請し た場合には、当該製造免許に係る最低製造数量基準を適用しないこととすること。(第28 条の2関係)」(要綱第二の一)としている。
具体的には、製造免許に必要な年10キロリットル以上の製造見込数量を適用しないとい うものである。
次に、「外国専門人材の受入れなど、インバウンド・競争力向上」における各項目を確 認しよう。まず、「クールジャパン・インバウンド外国専門人材の就労促進」についてで あるが、これは、国家戦略特区において、外国人が海外需要開拓支援等活動を行うことを 促進する事業を定めた区域計画が認定を受けたときは、当該特区において当該活動等を行 うために本邦に上陸しようとする外国人から、「在留資格認定証明書の交付の申請があっ た場合には、政令で定める海外需要開拓支援等外国人上陸審査基準を入管法の法務省令で
(5) このほか、プロジェクト型サンドボックス制度が併せて設けられる。詳細については、経済
産業省ウェブサイト等を参照されたい。
ドキュメント内
地方自治関連立法動向 第5集 第193常会~第195特別会
(ページ 49-53)