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我が国の成長戦略、第四次産業革命を牽引する、自動車の自動運転及び小型無人機 の遠隔操作等の高度な産業技術の社会実装を世界に先駆けて実現するため、迅速かつ

2017年4月21日)

九 我が国の成長戦略、第四次産業革命を牽引する、自動車の自動運転及び小型無人機 の遠隔操作等の高度な産業技術の社会実装を世界に先駆けて実現するため、迅速かつ

集中的に実証実験を行うことができるよう、日本版レギュラトリー・サンドボックス 制度を速やかに創設すること。

なお、実証実験に際しては、地域の住民等の理解の下、その安全の確保に万全を期

すること。

3. 地方自治体等への影響等(小括にかえて)

前述のとおり、「自動車の自動運転等の有効性の実証を行う事業活動に対する援助」、

「情報通信技術を利用した事業場外勤務の活用のための事業主等に対する援助」において、

「情報の提供、相談、助言その他の援助」を行うこととなっているほか、酒税法の特例に 関しては、地方公共団体の長が地域の特産物を指定することとなっている。

特産品の指定については、法律に定めがあるわけではなく、条例についても自治体によ り制定状況は異なるものと思われる。

このほか、農業外国人の就労解禁にあたって、さまざまな審査等に地方自治体が関与す ることが想定されている。

また、この点も繰り返しになるが、構造改革特区の提案募集、応募認定については、地 方公共団体もその対象となるものである。したがって、上の国会における議論であったよ うに、地方自治体が必要と判断した場合には、本法律の特区の措置について、構造改革特 区としてそれを求める可能性が考えられる。この点は、国会における議論や先行文献等で 全く触れられていないが、構造改革特区制度を存置し、国家戦略特区と並立させることの 意味は、トップダウンで国家戦略特区を定めておいて、それを「自主的に」地方自治体が 構造改革特区として提案することでよりスムーズな規制緩和の全国化が図れる可能性があ る。

こうした論点の検討に資するため、国家戦略特区と構造改革特区について簡単に確認し ておこう

(8)

まず、それぞれの目的であるが国家戦略特区は、「我が国を取り巻く国際経済環境の変 化その他の経済社会情勢の変化に対応して、我が国の経済社会の活力の向上及び持続的発 展を図るためには、国が定めた国家戦略特別区域において、経済社会の構造改革を重点的 に推進することにより、産業の国際競争力を強化するとともに、国際的な経済活動の拠点 を形成することが重要であることに鑑み、国家戦略特別区域に関し、規制改革その他の施

(8) このほかの制度として総合特区もあるが、首相官邸ウェブサイト「総合特別区域の今後の指

定について」によると、地域活性化に係る制度については、地域再生法に基づく特定地域再生 制度の活用検討を促し、当面、新たな指定は行わない、としているため今回は対象としない。

を掘り起こすなど、事業の具体化を図る上で、特区の活動を支える人材の重要性に鑑 み、特区推進共同事務局の活用や国と関係地方公共団体との人事交流の推進等により、

人材の育成・確保を支援すること。

五 国家戦略特別区域小規模保育事業の実施に当たっては、満三歳以上の子どもの保育 に関し、同年齢の子どもとの触れ合いの中で協調性や社会性を育む重要な段階である ことに配慮するとともに、限られた空間の中で活動量の異なる異年齢の子どもが集団 で保育を受けることになることに鑑み、安全管理対策に万全を期すること。

六 新たに国家戦略特別区域限定保育士事業の指定試験機関となる法人について、試験 実施機関としての適格性・公正性の確保に万全を期すること。また、政府は、待機児 童問題の解消に不可欠な保育士の更なる確保に向け、保育士の処遇の改善を始めとし て、いわゆる「潜在保育士」の再就職支援のための取組を一層強化すること。

七 国家戦略特別区域農業支援外国人受入事業の実施に当たっては、外国人技能実習制 度において指摘されている諸課題も踏まえ、外国人材に対する人権侵害行為を防止す ること、日本人就農者と同程度の賃金水準を確保すること、労働時間や休日、休暇等 の適切な就労環境を確保すること、これらにより就労期間中の失踪を防止すること、

特定機関等による不当な利益追求を防止すること等、事業運営の適正化を確保するた め、適正受入管理協議会を核に、特定機関及び農業経営体等に対する監督及び指導を 徹底すること。

また、本事業の全国展開については、国内全産業における賃金や就労環境の低下に つながらないよう見極めるとともに、地域社会や日本人就農者に与える影響等につい て慎重に検討した上で判断すること。

八 国家戦略特別区域内に、情報通信技術を活用した、場所や時間にとらわれない柔軟 な働き方であるテレワークの推進に向けた相談拠点を整備するに当たっては、テレ ワークによって従来の働き方よりもかえって労働時間が増加するなど、労働環境の悪 化を招くことのないよう、ガイドラインの策定やセミナーの開催等、事業主・労働者 に対して、適切な支援を実施すること。

九 我が国の成長戦略、第四次産業革命を牽引する、自動車の自動運転及び小型無人機 の遠隔操作等の高度な産業技術の社会実装を世界に先駆けて実現するため、迅速かつ 集中的に実証実験を行うことができるよう、日本版レギュラトリー・サンドボックス 制度を速やかに創設すること。

なお、実証実験に際しては、地域の住民等の理解の下、その安全の確保に万全を期

既存の法律の規制緩和について具体的に示していない

(12)

ただし、「1年以内に検討・措置」とされた2項目については、すでに述べたとおり第 196回国会において、それぞれ、生産性向上特別措置法案、民間資金等の活用による公共 施設等の整備等の促進に関する法律の一部を改正する法律案として提案がなされている。

このことは、特区において規制緩和のメリットやデメリットを検証するプロセスが不要な ものをわざわざこの法律改正に位置づけているか特区における検証が不十分なまま全国的 な法律の規制緩和が行われているかのいずれかであるように思われ、立法の意図を図りか ねるものである。

特区制度の意義や必要性について根本的な再検討が必要であるように思われる。

(そのだ しげき 公益財団法人地方自治総合研究所研究員)

(12) この点、緒方林太郎氏(民進党)は、コンセッション事業者の施設経営の自由同工場につい

て、その内容は評価しつつ、1年以内に検討するというのは、法律ではないとの批判を展開し ている。すなわち、閣議決定でもよければ、単に、役所で意思決定するだけのものがメニュー として挙がることへの違和感を示している。

策を総合的かつ集中的に推進するために必要な事項を定め、もって国民経済の発展及び国 民生活の向上に寄与すること」(国家戦略特別区域法第1条)が目的とされ、構造改革特 区は、「地方公共団体の自発性を最大限に尊重した構造改革特別区域を設定し、当該地域 の特性に応じた規制の特例措置の適用を受けて地方公共団体が特定の事業を実施し又はそ の実施を促進することにより、教育、物流、研究開発、農業、社会福祉その他の分野にお ける経済社会の構造改革を推進するとともに地域の活性化を図り、もって国民生活の向上 及び国民経済の発展に寄与すること」(構造改革特別区域法第1条)が目的とされている

(9)

。 区域設定については、国家戦略特区は「国が」区域を決定し、計画策定に関しては、国、

地方公共団体、民間事業者が対等の立場で参画するのに対して、構造改革特区は、地方公 共団体の申請に基づき計画認定を国が行うこととなっている。

したがって、国家戦略特区は、提案募集等の制度が整備されてはいるものの基本的には トップダウン型、構造改革特区は、特区計画の認定を全ての地方自治体が行いうることな どから、ボトムアップ型と言えよう

(10)

なお、「国家戦略特区と構造改革特区との一体的な運用を図る観点から、同時に提案募 集を行って」いる

(11)

。2017年3月31日をもって構造改革特区の提案募集や認定申請が締 め切られる予定となっていたことを考えれば、構造改革特区の計画認定は、国家戦略特区 の提案に包含される見込みであったことがうかがえる。

これを2022年3月31日まで延長する意図や意義がどのようなものであるのかについて、

法律案の国会審議等を通じてさらに明確にされる必要があったように思われる。

首相官邸のウェブサイトによると、国家戦略特区においては、「規制改革等の施策を総 合的かつ集中的に推進」することとなっている。しかし、今回改正された法律においては、

図表1に示された9つの項目のうち、4項目(自動走行・ドローン等の先端実証のための

「日本版レギュラトリー・サンドボックス」、革新的医薬品の開発迅速化、コンセッショ ン事業者の施設経営の自由度向上、テレワーク推進に向けた相談拠点整備)に関しては、

(9) 引用中の下線は、いずれも筆者によるものである。

(10) 前節では取り上げていないが、福島伸享氏(民進党)が地方創生に関する特別委員会第8号、

2017年4月25日において、構造改革特区と国家戦略特区を比較した上で、構造改革特区がボト ムアップであるのに対し、国家戦略特区は、総理が国家戦略特区諮問会議に意見聴取、諮問会 議が指定基準に従って調査審議を実施し、国家戦略特区として指定すべき区域案について意見 具申した後に関係地方公共団体の意見を聴取するというプロセスを「上から目線」とした。

(11) 首相官邸ウェブサイトより引用。