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3.有識者委員会の開催

平成 28 年 3 月

2. 本事業の概要 本事業の背景

2.1.

各国で、アイデンティティ(以下、「ID」という)を活用し効率的な電子政府システムを 構築するとともに、互換性のある官民、民間のID連携による新産業の創出が進められてい る。日本では「世界最先端IT国家創造宣言(以下、「IT戦略」という)」(平成25年6月)

に基づき、異なる組織間での ID 連携やデータ連携のための信頼関係を構築するための ID 連携トラストフレームワークが推進されている。

「IT 利活用の裾野拡大のための規制制度改革集中アクションプラン(平成25 年12 月 IT 総合戦略本部決定)」の「テーマ4 本人確認手続きの見直し」では、「インターネット を利用して行われる本人確認手続きが、利用者の利便性向上、プライバシー保護及び本人 確認の正確性という3つの要素のバランスを取る観点」から「ID連携による制度間の本人 確認の合理化」の推進があげられ、ID連携トラストフレームワークの構築が求められてい る。このアクションプランに基づき、内閣官房で実施された「ITコミュニケーション導 入指針に関する調査研究」では、対面・書面交付を前提としているサービスや手続等をは じめとしたIT利活用を阻害する規制・制度の見直しを行ない、「プライバシーやセキュリ ティ保護の観点に配慮しつつ、個人番号カードの公的個人認証サービスによる本人確認の オンライン化の推進を実施することなど電子化を促すための規制緩和等、IT利活用のた めの新たな法制度を制定すること」等が提案された。

これらの検討結果を踏まえ、IT戦略が平成27年6月30日に改訂された。改訂されたIT 戦略の工程表1においては、「1.IT利活用の深化により未来に向けて成長する社会」の「(2)

ビッグデータ利活用による新事業・サービスの促進」として、経済産業省では、「異なる組 織間でのID 連携やデータ連携のための ID 連携トラストフレームワークを基礎として、総 務省が行うID連携の事業(実証、標準化等)と連携し、官民の連携サービスのユースケー ス検討・創出、連携時の課題の抽出及び解決策の導出並びに連携認定基準の検討等を 2015 年度末を目途に行う。」とされており、官民における ID 連携の実現に向けて検討がはじま っている。

「4.ITを利活用した公共サービスがワンストップで受けられる社会」の「(1)安心・

安全を前提としたマイナンバー制度の活用」として、経済産業省のID連携トラストフレー ムワークの検討を踏まえ、2015 年度までに内閣官房、総務省、経済産業省及び関係省庁が

「利便性の向上とセキュリティ確保のバランスがとれた認証機能や認証連携の仕組みの検 討・構築」を実施することとなっている。

1 高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部「世界最先端 IT 国家創造宣言 工程表」(平成 27 6 30 日改定)https://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/kettei/pdf/20150630/siryou3.pdf

図表 1 関連する取り組みと本事業の位置付け

これらの取組みの中で、経済産業省では、異なる組織におけるパーソナルデータを連携 したサービスの促進を図り、主に民間事業者間のID連携トラストフレームワークの構築を 推進してきている。

これまでの検討とその成果を下記に示す。

図表 2 経済産業省によるID連携トラストフレームワーク事業の成果

年度 実施事業 成果

平成 24 年度 本人確認をした属性情 報を用いた社会基盤構 築に関する調査研究

本人確認の程度による属性情報(パーソナルデータ)

の信頼性の整理を行い、トラストフレームワークの 必要性について言及した。

平成 25 年度 「ID 連携トラストフレ ームワーク」の構築のた めの実証事業

米国のトラストフレームワークの仕組みや基準を参 考に、身元確認及び当人確認の保証レベルを定義し た日本における ID 連携トラストフレームワーク基 準案を策定した。併せて、策定した基準をクレジッ トカード会社において適用検証を実施した。

平成 26 年度 ID 連携トラストフレー ムワークの試験プラッ トフォームを活用した ビジネスモデルの実証 事業

ID 連携試験プラットフォームを構築し、ビジネスモ デルコンテストを開催し、サービス提供事業者(RP)

を募り、効果検証を実施するとともに、ビジネスモ デルの収集と ID 連携トラストフレームワークの普 及啓発を図った。

また、平成 25 年度に策定された基準案を基に、

ISO/IEC29115 及び FICAM TFPAP v2.0.2 と整合するよ うに改訂が行われた。

上記の検討の中で、事業者がID連携を利用したサービスの実施及びID連携トラストフ レームワークの構築の実現への課題が明らかにされている。平成25年度の検討結果では、

「本人確認のコストの過重」、「オンラインで発行元機関に直接照会することができない」

などの課題が明らかになり、平成26年度の検討結果では、「登録項目の手間による機会損 失」が明らかになっている。

これらの課題については、「電子署名等に係る地方公共団体情報システム機構の認証業務 に関する法律」(改正前「電子署名に係る地方公共団体の認証業務に関する法律」。以下、「公 的個人認証法」という)が改正され、平成28年1月より、行政機関等に限られていた署名 検証者等の範囲を総務大臣が認める民間事業者まで拡大され、オンラインでの身元確認が 可能となることで解決される。

公的個人認証サービスとは、インターネット上での申請や届出を行う際に、第三者によ る「なりすまし」や「データの改ざん」を防ぐために用いられる本人確認手段を提供する サービスであり、マイナンバーカード(個人番号カード)に搭載されている電子証明書を 利用して基本4情報の確認及び電子証明書の発行元である地方公共団体情報システム機構

(以下、「J-LIS」という)によるマイナンバーカードの失効確認を行うことが可能であり、

オンラインでも身元確認が実現できる。

本事業は、「オンライン完結社会」の実現に向けて、これまでの経済産業省での検討成果 及びマイナンバー制度の動向を踏まえて、ID 連携トラストフレームワークを活用した官民 連携について調査するものである。

本事業の目的 2.2.

平成28年1月よりマイナンバー制度が開始され、民間事業者も公的個人認証サービスを 利用することで、身元確認のオンライン完結が実現できる環境が整い、様々なサービスへ の活用に向けた検討が始まっている。また、平成29年にはマイナポータルの運用が開始さ れ、個人の管理の下で行政機関が保有するパーソナルデータを民間サービスで利活用でき る仕組みが実現されようとしている。

本事業では、安心安全な官民におけるID連携(以下、「官民ID連携」という)を容易に するとともに、マイナンバー制度の利活用の促進を図ることを目的とし、民間事業者のニ ーズに即した具体的なユースケースを発掘し、実現に向けて、民間事業者が遵守すべきセ キュリティ等の技術基準を明らかにするとともに、官民ID連携トラストフレームワークの 課題の整理を実施した。併せて、マイナンバー制度の利活用した新規ビジネスの創造を図 るため、普及啓蒙を実施した。

本事業の主な目標を以下に示す。

 官民ID連携トラストフレームワークの検討

 マイナンバーカード等を身元確認に利用する際に、民間事業者が遵守すべき要件を整 理し、提示することで、マイナンバー制度の利活用の促進を図る。

 利用者による「ペルソナを使い分けられる(自己情報のコントロール)環境」を目指 し、マイナンバーカードのサブカード化(マイナンバーカードを利用した身元確認を 基にして発行されるアカウントを利用し、対面/非対面での身元確認及びスマートフ ォンを利用した当人確認を実現)の実現に向けて、サブカード化に必要な技術基準を 作成する。

 官民ID連携のユースケースを具体化することで、必要な制度整備を整理する。また、

これらユースケースから官民ID連携に対する事業者の経済性及び利用者の利便性を評 価し、ID連携トラストフレームワークの要件を整理する。

 普及促進

 マイナンバー制度を利活用したビジネスの普及促進を図るため、ID 連携トラストフレ ームワーク及びマイナンバー制度に関する勉強会を開催する。

なお、本調査の基本となるID連携トラストフレームワークについては、平成25年度電 子経済産業省構築事業(「ID連携トラストフレームワーク」の構築のための実証事業)及 び平成26年度電子経済産業省構築事業(ID連携トラストフレームワークの試験プラット フォームを活用したビジネスモデルの実証事業)の結果を活用している。

本調査の実施内容 2.3.

本事業の全体像を、以下に示す。

図表 3 本事業の全体像

官民ID連携トラストフレームワークの検討と環境整備 2.3.1.

「マイナンバーカード」、「公的個人認証サービス」及び「官民ID連携」についての民間 事業者による利用方法の明確化や具体的なユースケースを検討し、プロトタイピングによ る視覚化を通じて、行政機関と民間サービスの官民ID連携トラストフレームワークに求め られる事項について検討し、課題の抽出及び要件を整理した。また、民間サービス事業者 における経済性、利用者(生活者)における利便性を評価した。

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