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未来の創り手を育むビッグデータ活用

第5章 社会への接続を志向した高等学校情報教育の授業開発

5.5 未来の創り手を育むビッグデータ活用

ビッグデータを活用した授業実践により問題解決能力を向上させることができた。一方で,

実践授業には探求心や動機との一致といった「注意」・「関連性」について課題があることが分 かった。そこで,2017 年度の部活動(パソコン部)の生徒(1 年次生:男 1 名・女 2 名,2 年 次生:男 1 名)に対して,2017 年「情報と問題解決」の授業実践とほぼ同様の指導を行った結 果を考察する。指導は,週 1 回約 2 時間の活動で 2 ヶ月をかけて行った。表 5-8 と同様の設問 に対して 4 件法(4:そう思う,3:ややそう思う,2:あまりそう思わない,1:そう思わない)

から得られた結果を表 5-11 に示す。

生徒数は 4 名と少なく統計的な意味は持たないが,どの生徒も学習への意識が高く,アンケ ート結果は十分に意味があると考えられる。表 5-11 から,実践授業で課題となっていた「注 意」の値が大きく上昇していることが分かる。さらに,「関連性」については,上昇はそれほど 大きくないが,最終回が 3.67 と高い値になった。次に,パソコン部の生徒が,2017 年「情報 と問題解決」と同様の学習課題「あなたがゆかりのある地域の観光に関する現状・課題を分析 し,より多くの観光客を誘客するための施策を提案する」に対して,取り組んだ内容を表 5-12 に示す。パソコン部の生徒は,自分の興味・関心に関連させつつ,多角的な視点からビッグデ ータを活用できており,このような実践例は 2017 年「情報と問題解決」の授業では見られな かった。「情報と問題解決受講の生徒(2017 年)」(表 5-9)と「パソコン部」(表 5-11)との実 践結果の違いを図 5-2 にまとめる。パソコン部の生徒は,自分の興味・関心をビッグデータに 関連付けることができた。その結果,おもしろそうだ,何かありそうだと探究心が刺激され「注 意」の値を上昇させることができた。さらに,自分の興味・関心を活かすことができた結果,

やりがいや学習の意義を見出すことができ「関連性」を高めることができたと考える。

表 5-11 パソコン部の評価

2017 部活動(n=4)

分類 初回 最終回

A 注 意 平均 3.33 3.50

SD 0.61 0.68

R 関連性 平均 3.58 3.67

SD 0.65 0.53

C 自 信 平均 3.58 3.83

SD 0.50 0.19

S 満足感 平均 3.50 3.50

SD 0.86 0.53

85 (2) ビッグデータを活用する授業実践方法の提案

授業実践の成果として,生徒の興味・関心をビッグデータに関連付けることが,「注意」や「関 連性」を高めるための要点であることが示唆された。パソコン部の生徒のようにビッグデータ を自分の興味・関心に上手く結び付けられれば,自然と学習意欲や探究心が高まる。しかし,

授業ではそのような生徒ばかりではない。自分の興味・関心とビッグデータを上手く結び付け られずに学習意欲が低下してしまう生徒が出てくる。そこで,興味・関心の度合いに応じたグ ループ分けによる授業展開が必要であるということが示唆された。

本研究では,図 5-3 に示すビッグデータ活用の授業実践方法を提案する。このとき,授業で は,基礎・応用問題等への取組状況を基に,生徒を興味・関心に応じた 3 つのグループに分類 する。ビッグデータへの興味・関心が高い生徒には,自由度の高い課題を与える。多角的な視 点からビッグデータを活用させ,探究心や知的好奇心を刺激する。一方,興味・関心が低い生 徒に対しては,基礎問題に戻りつつ,表 5-6 を参考に生徒が親しみやすい課題を与える。身近 な問題の解決にビッグデータが活用できるということに気付かせながら,学習の将来的価値を

表 5-12 興味を活かした実践例

自分の好きなアニメを主題に取り上げ,解決策を提案した。

自分の好きな SNS 利用と関連させながら,解決策を提案した。

自分の好きな料理と関連させながら,解決策を提案した。

自分が惹かれる地域文化と関連させながら,解決策を提案した。

満足感 3.50

自 信 3.83

関連性 3.67

注 意 3.50

興味・関心に 関連させられずに活用

満足感 3.22

自 信 3.15

関連性 3.14

注 意 2.91

興味・関心に 関連させながら活用 情報と問題解決受講の生徒 パソコン部の生徒

図 5-2 生徒の興味・関心に関連させることの重要性

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理解させる。このように誰もが,ビッグデータの利用価値を実感できる授業展開を提案する。

ビッグデータ活用を授業の中だけで終わらせてはならない。いま,生活や社会が劇的に変わり つつある。これから,生徒たちは誰も予測できない未来社会を生きていかなければならない。

このような時代に求められるのは,自ら問題を発見・解決し,新たな価値を創造する力である。

将来,問題に直面した際,ビッグデータは有用な道具となる。授業を通して生徒全員が,ビッ グデータが問題解決に役立つ道具であることに気付かせたい。中学校技術・家庭(技術分野)

で培った問題解決能力を,高等学校情報で発展させ,それを将来確実に活かせる力へと育成す る。第 4 次産業革命が進む中,今後は IoT,人工知能などの技術を取り入れた授業を開発して いきたい。

革新技術を活用し,未来を創造する能力

基礎的な練習問題

ビッグデータ利用に興味を持つ

図 5-3 ビッグデータ活用の授業実践方法の提案 RESAS

学習課題に向けた応用問題

興味・関心 興味・関心 興味・関心

自由度の高い 課題テーマ

応用問題を発展 させた課題テーマ 限定的な

課題テーマ

自分の興味・関心に関連付けた探究活動 卒業後も問題解決にビッグデータを活用

教材

工夫し創造する能力 IoT 人工知能 ビッグデータ

ビッグデータを問題の発見と解決に活用する能力

術」 学校

等学

授業開発

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