2.5.4 有効性の概括評価
2.5.4.2 有効性の評価結果
用量反応検討試験(単独療法)における最大解析対象集団(以下、FAS)は、750 mg/日 群106例、1500 mg/日群106例、プラセボ群55例であった。
メトホルミン塩酸塩 2.5 臨床に関する概括評価 Page 36
図 2.5.4-1にHbA1Cの経時的推移を示し、表 2.5.4.2-1に主な有効性評価項目の結果を示 した。
血糖コントロールの指標(HbA1C、グリコアルブミン、空腹時血糖)及び血清脂質(総 コレステロール、LDL-コレステロール)は、750 mg/日群及び1500 mg/日群で、プラセボ 群に対し、いずれも有意に低下し、更に1500 mg/日群では、750 mg/日群に対し有意に低下 した。主要評価項目であるHbA1Cの最終評価時における投与開始前からの変化量は、プラ セボ群では0.27±1.03%(平均値±標準偏差、以下同様)であったのに対し、750 mg/日群で は−0.67±0.63%、1500 mg/日群では−1.07±0.67%であった。プラセボ群に対して1500 mg/日 群、750 mg/日群共に有意な HbA1Cの低下が認められた(共に p<0.001)。更に、1500 mg/
日群では750 mg/日群に比べてHbA1Cが有意に低下し(p<0.001)、メトホルミン塩酸塩の
750 mg/日(既承認用量)に対する1500 mg/日の優越性が検証された。治療目標「優」又は
「良」(HbA1C:6.5%未満)の達成割合は、750 mg/日群及び1500 mg/日群で37.7%(40/106)
及び69.8%(74/106)となり、1500 mg/日群では750 mg/日群と比較し、治療目標を達成し
た割合が有意に高かった。
HbA1C(%)
Mean+SD プラセボ群 750 mg/日 1500 mg/日 長期試験
○ ○ ○ □ □ □ ▲ ▲ ▲ ● ● ●
5.0 6.0 7.0 8.0 9.0 10.0 11.0 12.0
時期(Week)
0 14 26 42 54
○
○
○ ○○○ ○○○ ○○○ ○○○
□
□
□ □□□
□
□
□ □□□ □□□
▲
▲
▲ ▲▲▲
▲
▲
▲
▲
▲
▲ ▲▲▲
●
●
● ●●●
●
●
●
●
●
● ●●● ●●● ●●● ●●● ●●● ●●● ●●● ●●● ●●● ●●● ●●●
図 2.5.4-1 HbA1Cの経時的推移(単独療法)
【用量反応検討試験(単独療法)、長期投与試験(単独療法)】
メトホルミン塩酸塩 2.5 臨床に関する概括評価 Page 37
表 2.5.4.2-1 主な有効性評価項目の結果【用量反応検討試験(単独療法)】
解析対象集団:FAS
評価項目の推移 評価項目 投与群 N 投与開始前 最終評価時
最終評価時に おける変化量
プラセボ 群との差
750 mg/日
群との差 検定結果 P 55 7.54±1.14 7.80±1.64 0.27±1.03 - - P vs H:p<0.001 L 106 7.49±1.05 6.82±0.89 -0.67±0.63 -0.95±0.13 - P vs L:p<0.001 HbA1C
(%)
H 106 7.42±0.98 6.35±0.73 -1.07±0.67 -1.36±0.13 -0.42±0.07 H vs L:p<0.001 P 55 22.34±4.89 23.36±6.56 1.02±3.20 - - P vs H:p<0.001 L 106 22.19±4.37 19.48±3.56 -2.71±2.63 -3.75±0.46 - P vs L:p<0.001 GA
(%)
H 106 22.40±3.78 17.89±2.46 -4.50±2.61 -5.51±0.45 -1.70±0.27 H vs L:p<0.001 P 55 154.4±37.1 159.2±47.5 4.8±26.4 - - P vs H:p<0.001 L 106 153.2±36.4 134.9±35.9 -18.3±35.3 -23.5±5.1 - P vs L:p<0.001 FBS
(mg/dL)
H 106 150.1±33.2 121.8±19.2 -28.3±25.2 -34.7±3.8 -11.7±3.3 H vs L:p=0.001 評価項目の推移及び変化量 Mean±SD
プラセボ群、750 mg/日群との差 LS Mean±SE P:プラセボ L:750 mg/日 H:1500 mg/日
各投与群間の比較は、投与開始前値を共変量とした共分散分析により実施した。
多重性の調整は閉手順により実施した。
長期投与試験におけるFASの165例中単独療法は80例であった。
図 2.5.4-1 に HbA1Cの経時的推移を示し、表 2.5.4.2-2 に主な有効性評価項目の結果を、
表 2.5.4.2-3にHbA1Cを指標とした治療目標達成割合を示した。
投与開始前のHbA1Cは7.29±0.85%であったのに対し、最終評価時のHbA1Cは5.98±0.67%
であり、最終評価時における投与開始前からの HbA1C 変化量は−1.31±0.76%(95%信頼区 間:−1.48~−1.14%)であった。また、投与開始14週、26週及び54週後のHbA1Cはそれ ぞれ6.26±0.59%、6.17±0.58%及び5.94±0.68%と推移した。治療目標「優」又は「良」(HbA1C: 6.5%未満)の達成割合は、14週後72.7%、26週後79.7%、54週後82.6%、最終評価時80.0%
であり、多くの被験者で治療目標を達成した。グリコアルブミン及び空腹時血糖について も同様な改善が認められ、本剤は良好な血糖コントロール状態を長期間維持した。
最頻投与量が750 mg/日、1500 mg/日及び2250 mg/日であった被験者数はそれぞれ3例、
62例及び15例であり、HbA1Cの最終評価時における投与開始前からの変化量は、750 mg/
日で−0.73±0.50%、1500 mg/日で−1.23±0.61%、2250 mg/日では−1.78±1.11%であった。
また、FASの単独療法80例のうち2250 mg/日に増量された被験者は21例で、そのうち
2250 mg/日を12週間以上連続処方された被験者は17例であった。2250 mg/日を12週間以
上連続処方された被験者では、2250 mg/日への増量直前(増量 0 週)における HbA1Cは
6.86±0.67%であったのに対し、2250 mg/日での最終評価時においては6.11±0.67%に低下し、
増量0週からのHbA1C変化量は、増量後12週、24週、36週及び2250 mg/日での最終評価 時でそれぞれ−0.41±0.48%(95%信頼区間、以下同様:−0.66~−0.17%)、−0.66±0.54%(−0.98
~−0.35%)、−0.83±0.68%(−1.29~−0.37%)及び−0.76±0.62%(−1.08~−0.44%)であり、1500
mg/日から増量が必要と判断された場合における 2250 mg/日への増量による本剤の血糖降
下作用が確認された(表2.7.3.4-3参照)。
メトホルミン塩酸塩 2.5 臨床に関する概括評価 Page 38
表 2.5.4.2-2 主な有効性評価項目の結果【長期投与試験(単独療法)】
解析対象集団:FAS
評価項目の推移 評価項目
最頻投与量
(mg/日) N 投与開始前 最終評価時
最終評価時に
おける変化量 95%信頼区間 750 3 6.77±0.64 6.03±1.14 -0.73±0.50 -1.98~0.52 1500 62 7.14±0.71 5.91±0.59 -1.23±0.61 -1.38~-1.07 2250 15 8.01±1.05 6.23±0.85 -1.78±1.11 -2.39~-1.17 HbA1C (%)
合計 80 7.29±0.85 5.98±0.67 -1.31±0.76 -1.48~-1.14 750 3 21.07±1.27 18.30±2.56 -2.77±1.43 -6.32~0.78 1500 62 21.35±3.44 17.62±2.51 -3.74±2.13 -4.28~-3.19 2250 15 23.09±4.74 17.95±4.26 -5.13±3.91 -7.30~-2.97 GA(%)
合計 80 21.67±3.70 17.71±2.88 -3.96±2.57 -4.53~-3.39 750 2 150.0±38.2 120.5±20.5 -29.5±17.7 -188.3~129.3 1500 62 143.7±28.2 119.4±22.1 -24.3±22.9 -30.1~-18.5 2250 15 164.7±47.9 125.1±35.4 -39.7±46.1 -65.2~-14.1 FBS(mg/dL)
合計 79 147.8±33.5 120.5±24.9 -27.4±28.9 -33.8~-20.9 Mean±SD
N:投与開始前値がない場合及び投与開始前値のみ(投与開始前以外の評価時期にデータがない)の場合は評 価対象から除外。
表 2.5.4.2-3 HbA1Cを指標とした治療目標達成割合【長期投与試験(単独療法)】
解析対象集団:FAS
評価 HbA1C (%) 14週後
(N=77)
26週後
(N=74)
54週後
(N=69)
最終評価時
(N=80)
優 <5.8 10
(13.0%)
15
(20.3%)
35
(50.7%)
37
(46.3%)
良 5.8≦ <6.5 46
(59.7%)
44
(59.5%)
22
(31.9%)
27
(33.8%)
優又は良 <6.5 56
(72.7%)
59
(79.7%)
57
(82.6%)
64
(80.0%)
例数、割合(%)
増量効果検討試験におけるFAS 52例のうち、単独療法は22例であった。投与開始前(750 mg/日投与時)からの最終評価時(1500 mg/日増量後)のHbA1C変化量は、−0.64±0.53%(95%
信頼区間:−0.87~−0.41%)であり、本剤の 1500 mg/日への増量による改善効果が確認さ れた(2.7.3.2.3参照)。
以上の結果より、単独療法での本剤750 mg/日並びに1500 mg/日の有効性が確認される と共に、既承認メトホルミン塩酸塩の1日最高用量(750 mg/日)に比べて1500 mg/日の方 がより有効であることが検証された。また、本剤は、1500 mg/日を維持用量とし750~2250 mg/日に増減可能とした長期投与において、良好な血糖コントロール状態を長期間維持す ることが示され、更に1500 mg/日からの増量が必要と判断された場合における2250 mg/日 への増量効果が確認された。したがって、日本人2型糖尿病患者に対する本剤の単独療法 は有効であり、既承認用量の750 mg/日及び既承認用量を上回る1500 mg/日、更には1500
mg/日から増量が必要と判断された場合の 2250 mg/日投与による良好な血糖コントロール
が期待できると考えられた。また、長期間投与した場合でも効果の減弱を認めることなく 良好な血糖コントロールの維持が可能であると考えられた。
メトホルミン塩酸塩 2.5 臨床に関する概括評価 Page 39
2.5.4.2.2 SU剤併用療法
用量反応検討試験(SU剤併用療法)におけるFASは、750 mg/日群102例、1500 mg/日 群103例、プラセボ群53例であった。
図 2.5.4-2にHbA1Cの経時的推移を示し、表 2.5.4.2-4に主な有効性評価項目の結果を示 した。
血糖コントロールの指標(HbA1C、グリコアルブミン、空腹時血糖)は、750 mg/日群及
び1500 mg/日群で、プラセボ群に対しいずれも有意に低下し、更に1500 mg/日群では、750
mg/日群に対し有意に低下した。主要評価項目である HbA1Cの最終評価時における投与開
始前からの変化量は、プラセボ群では 0.12±0.61%であったのに対し、750 mg/日群では
−0.73±0.67%、1500 mg/日群では−1.21±0.74%であった。プラセボ群に対して1500 mg/日群、
750 mg/日群共に有意なHbA1Cの低下が認められた(共にp<0.001)。更に、1500 mg/日群で は750 mg/日群に比べてHbA1Cが有意に低下し(p<0.001)、メトホルミン塩酸塩の750 mg/
日(既承認用量)に対する1500 mg/日の優越性が検証された。治療目標「優」又は「良」
(HbA1C:6.5%未満)の達成割合は、750 mg/日群及び1500 mg/日群で30.4%(31/102)及
び50.5%(52/103)となり、1500 mg/日群では750 mg/日群と比較し、治療目標を達成した
割合が有意に高かった。血清脂質のうち総コレステロール、中性脂肪及び LDL-コレステ ロールは、1500 mg/日群でプラセボに対して有意な低下が認められた。
HbA1C(%)
Mean+SD プラセボ群 750 mg/日 1500 mg/日 長期試験
○ ○ ○ □ □ □ ▲ ▲ ▲ ● ● ●
5.0 6.0 7.0 8.0 9.0 10.0 11.0 12.0
時期(Week)
0 14 26 42 54
○
○
○ ○○○ ○○○ ○○○ ○○○
□
□
□ □□□
□
□
□
□
□
□ □□□
▲
▲
▲
▲
▲
▲
▲
▲
▲
▲
▲
▲ ▲▲▲
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
● ●●● ●●● ●●● ●●● ●●● ●●● ●●● ●●● ●●● ●●● ●●●
図 2.5.4-2 HbA1C値の経時的推移(SU剤併用療法)
【用量反応検討試験(SU剤併用療法)、長期投与試験(SU剤併用療法)】
メトホルミン塩酸塩 2.5 臨床に関する概括評価 Page 40
表 2.5.4.2-4 主な有効性評価項目の結果【用量反応検討試験(SU剤併用療法)】
解析対象集団:FAS
評価項目の推移 評価項目 投与群 N 投与開始前 最終評価時
最終評価時に おける変化量
プラセボ 群との差
750 mg/日
群との差 検定結果 P 53 7.86±1.12 7.98±1.33 0.12±0.61 - - P vs H:p<0.001 L 102 7.81±0.99 7.07±1.01 -0.73±0.67 -0.86±0.11 - P vs L:p<0.001 HbA1C
(%)
H 103 7.80±0.99 6.58±0.84 -1.21±0.74 -1.35±0.11 -0.48±0.09 H vs L:p<0.001 P 53 24.21±4.38 24.34±4.78 0.13±2.04 - - P vs H:p<0.001 L 102 24.18±4.44 21.02±3.76 -3.17±2.46 -3.30±0.37 - P vs L:p<0.001 GA
(%)
H 103 24.01±4.41 18.66±3.08 -5.35±3.34 -5.55±0.42 -2.26±0.32 H vs L:p<0.001 P 53 166.3±37.3 169.6±45.6 3.3±29.6 - - P vs H:p<0.001 L 101 162.1±39.6 146.2±49.2 -15.9±35.6 -19.6±5.7 - P vs L:p=0.001 FBS
(mg/dL)
H 103 162.1±36.2 125.8±32.1 -36.4±33.1 -41.2±4.9 -20.5±4.5 H vs L:p<0.001 評価項目の推移及び変化量 Mean±SD
プラセボ群、750 mg/日群との差 LS Mean±SE P:プラセボ L:750 mg/日 H:1500 mg/日
各投与群間の比較は、投与開始前値を共変量とした共分散分析により実施した。
多重性の調整は閉手順により実施した。
長期投与試験におけるFASの169例中SU剤併用療法は85例であった。
図 2.5.4-2 に HbA1Cの経時的推移を示し、表 2.5.4.2-5 に主な有効性評価項目の結果を、
表 2.5.4.2-6にHbA1Cを指標とした治療目標達成割合を示した。
投与開始前のHbA1Cは7.55±0.91%であったのに対し、最終評価時のHbA1Cは6.26±0.73%
であり、最終評価時における投与開始前からの HbA1C 変化量は−1.29±0.81%(95%信頼区 間:−1.47~−1.12%)であった。また、投与開始14週、26週及び54週後のHbA1Cはそれ ぞれ6.43±0.73%、6.29±0.68%及び6.16±0.71%と推移した。治療目標「優」又は「良」(HbA1C: 6.5%未満)の達成割合は、14週後57.9%、26週後67.1%、54週後78.9%、最終評価時69.4%
であり、多くの被験者で治療目標を達成した。グリコアルブミン及び空腹時血糖について も同様な改善が認められ、本剤は良好な血糖コントロール状態を長期間維持した。
最頻投与量が500 mg/日、750 mg/日、1500 mg/日及び2250 mg/日であった被験者数はそ れぞれ2例、6例、64例及び13例であった。最頻投与量別では、HbA1Cの最終評価時にお ける投与開始前からの変化量は、750 mg/日で−0.62±0.68%、1500 mg/日で−1.34±0.81%、2250 mg/日では−1.55±0.68%であった。
また、FASのSU剤併用療法85例のうち2250 mg/日に増量された被験者は21例で、そ
のうち2250 mg/日を12週間以上連続処方された被験者は15例であった。2250 mg/日を12
週間以上連続処方された被験者では、2250 mg/日への増量直前(増量0週)におけるHbA1C
は7.02±1.01%であったのに対し、2250 mg/日での最終評価時においては6.34±0.98%に低下
し、増量0週からのHbA1C変化量は、増量後12週、24週、36週及び2250 mg/日での最終 評価時でそれぞれ−0.43±0.35%(95%信頼区間、以下同様:−0.63~−0.24%)、−0.65±0.50%
(−0.97~−0.33%)、−0.74±0.41%(−1.01~−0.46%)及び−0.68±0.46%(−0.93~−0.43%)で あり、1500 mg/日から増量が必要と判断された場合における2250 mg/日への増量による本 剤の血糖降下作用が確認された(表2.7.3.4-4参照)。
メトホルミン塩酸塩 2.5 臨床に関する概括評価 Page 41