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2.5.4.1 有効性の評価に用いた臨床試験

臨床データパッケージを構成する臨床試験のうち、有効性の評価資料とした試験を表 9に、参考 資料とした試験を表 10に示す。

表 9 有効性の評価資料とした試験

分類 試験の内容 試験番号

国内で実施した 第I/III相試験

胃酸関連疾患の 1~14 歳の小児患者を対象とした D961H 10 mg 及 び20 mg 1日1回反復経口投与の安全性、PK、PD及び有効性を検 討する非盲検、並行群間、多施設共同、第Ⅰ/Ⅲ相試験

D961TC00002

PD:薬力学、PK:薬物動態

表 10 有効性の参考資料とした試験

分類 試験の内容 試験番号

海外で実施した 探索的治療試験

24カ月齢までの乳児を対象としたD961H投与のPK及びpHモニタ リングを検討する単一施設、無作為化、単盲検、並行群間比較試験

SH-NEC-0001 海外で実施した

探索的治療試験

早産児及び新生児を対象としたD961H 1日1回7日間投与のPK及 びPDを検討する単一施設、非盲検試験

SH-NEC-0002

表 10 有効性の参考資料とした試験

分類 試験の内容 試験番号

海外で実施した 第III相試験

GERDの1~11歳の小児患者を対象としたD961H 1日1回投与の安 全性及び有効性を検討する第 III 相、多施設共同、無作為化、二重 盲検、並行群間比較試験

D9614C00097

海外で実施した 第III相試験

GERDと診断された12~17歳の小児患者を対象としたD961H 1日 1 回投与の安全性を検討する第 III 相、多施設共同、無作為化、二 重盲検、並行群間比較試験

D9614C00098

海外で実施した 第III相試験

GERD を有する月齢 1~11 カ月の乳児患者を対象とした D961H 投 与の有効性及び安全性を検討する第 III 相、多施設共同、無作為 化、二重盲検、プラセボ対照、並行群間比較、治療中止試験

D9614C00096

GERD:胃食道逆流症、PD:薬力学、PK:薬物動態

2.5.4.2 国内第 I/III 相試験(D961TC00002 試験)(評価資料)

の有効性の結果

国内第 I/III 相試験(D961TC00002 試験)のデザイン及び人口統計学的及び他の基準値の特性

はそれぞれ2.5.3.1.1項及び2.5.3.1.2項に示す。

第I/III相試験(D961TC00002試験)では、以下の有効性評価項目を設定した。

 上部消化器症状(胸やけ、呑酸、心窩部痛及び上腹部不快感)の有無及び重症度(ベース ライン及び投与1、4、8週後)

 内視鏡的評価(ベースライン及び投与後[投与1~8週後の期間中に1回])

本試験ではベースライン時に症状を有することを登録の条件としていなかったため、ベースラ イン時に上記の各消化器症状を有する被験者は少数であった。また、内視鏡的評価は、探索的評 価項目として同意が得られた被験者のみで実施した。

上部消化器症状

ベースライン時に症状を有した被験者における症状消失の推移を臨床的有効性 2.7.3.3.2.1 項の 図2に示す。いずれの症状もすべての投与群で改善がみられた。

内視鏡的評価

内視鏡的評価を行った各被験者の結果を臨床的有効性2.7.3.3.2.1項の表17に示す。ベースライ ン時に内視鏡的評価を実施した症例は 14 例であった。このうち病理学的所見のみられた 3 例に ついて投与後の評価を実施した。第1及び3群の各1例にDUを示す所見が、また第4群の1例 にREを示す所見がみられ、いずれもD961Hによる治療後に消失していた。

2.5.4.3 海外探索的治療試験(SH-NEC-0001 試験及び SH-NEC-0002 試験)及び海外第 III 相試験(D9614C00097 試験、

D9614C00098 試験及び D9614C00096 試験)(参考資 料)

SH-NEC-0001 試験では 24時間 pH モニタリングにより症候性GERD の確定診断を受けた 1~

24カ月齢の外来患者である乳児50例を対象に患者にD961H 0.25 mg/kg及び1.0mg/kgを1日1回 1週間経口投与したときの有効性、安全性、PK及びPDを検討した。

SH-NEC-0002 試験では24時間pH モニタリングにより症候性 GERDの確定診断を受けた早産

児及び新生児(在胎齢 32 週以上から在胎 38 週間後 1 カ月未満の過期産まで)25 例を対象に D961H 0.5 mg/kgを1日1回1週間経口投与したときの有効性、安全性、PK及びPDを検討した。

D9614C00097 試験では内視鏡で GERD が確認された 1~11 歳の小児患者 109 例を対象に

D961H 5 mg、10 mg及び20 mgを1日1回8週間投与したときの安全性及び臨床転帰を検討した。

D9614C00098 試験では臨床的に GERD と診断された 12~17 歳の小児患者 149 例を対象に

D961H 20 mg及び40 mgを1日1回8週間投与したときの安全性と臨床転帰を検討した。

D9614C00096 試験では GERD と疑われる又は症候性 GERD と臨床的に診断された、又は内視

鏡により GERDが確認された月齢1~11カ月の乳児80例を対象にD961H 2.5 mg(3~5 kg児)、

5mg(>5~7.5 kg児)及び10 mg(>7.5~12 kg児)を1日1回6週間投与したときの有効性と安 全性を検討した。

SH-NEC-0001試験では、投与1週後での症状の重症度が改善した患者の割合(親による評価)

は、D961H 0.25mg/kg 群:76.9%、D961H 1.0mg/kg 群:62.5%であった。SH-NEC-0002 試験では、

症状数の報告頻度は、ベースラインと比較して Day 7/8 時の方が少なかったが、プラセボ対照が ないことから、症状数の報告頻度の減少が疾患の自然経過によるものであるのか、又は真の治療 効果によるものであるのかは結論できなかった。

D9614C00097 試験及び D9614C00098 試験では、D961H の用量群すべてで、ベースラインと比

較した有意な GERD 症状の減少が試験期間を通じて示された。食道の治癒の有無を評価した

D9614C00097 試験では、ベースライン時にびらん性食道炎が確認され内視鏡による追跡評価が行

われた患者45例中40例のびらんが、8週間のD961H投与後に消失していることが確認された。

D9614C00096試験では、症状悪化により中止するまでの期間はプラセボ群に比べ、D961H群で

数値的に長かったが、統計学的に有意な差は認められなかった(ハザード比[D961H 群/プラセ ボ群]:0.69、95%信頼区間0.35~1.35、p=0.2751)。

SH-NEC-0001 試験、SH-NEC-0002試験及びD9614C00096試験の時点では1歳未満の小児患者 におけるGERD症状の記録はOrensteinのInfant Gastroesophageal Reflux Questionnaireに基づき実 施された。しかし、後に米国食品医薬品局(FDA)の 2010 年11月 5 日のGastrointestinal Drugs

Advisory Committee meetingにおいて、本質問票または他の既存の症状スケールのいずれも1歳未

満の小児患者におけるGERD症状を適切に把握することはできず、本年齢群の患者において、症 状は妥当な測定項目ではなく、試験の評価項目として利用できないとの結論に至っている。

いずれの試験においても、D961H は良好な忍容性を示し、報告された有害事象はそれまで得ら

れていたD961Hの安全性プロファイルと概して整合していた。

2.5.4.4 有効性に関する全般的結論

国内第 I/III 相試験(D961TC00002 試験)の結果及び補足的なデータから以下の結論が導かれ

た。

 小児患者への8週間投与により上部消化器症状は改善した。EGD所見を含むこれらのデー

タより、D961H 10 mg及び20 mgの1日1回投与は日本人小児患者において有効であるこ

とが示唆された。

 試 験 デ ザ イ ン の 違 い に よ り 、1 歳 超 の 小 児 患 者 を 対 象 と し た 海 外 第 III 相 試 験

(D9614C00097 試験及び D9614C00098 試験)のベースライン時に症状を有していた患者 の割合は国内第 I/III 相試験(D961TC00002 試験)と比較して高かったが、日本人小児患 者においても海外の試験同様ベースライン時に症状を有していた患者において症状の改善 が認められた。内視鏡的に確認されたベースライン時の症状の消失も日本人及び海外の患 者ともにみられた。

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