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ドキュメント内 4.評価実験 (ページ 36-50)

の一連の動きの表現により,イメージ相互の関係性が表現されていると 考える.また,鉛筆モ ドを使用しての積極的な形楡表現から,形楡に よる動きの表現が獲得できていると推測される.被験者A,Bの結果と総 合して考察すると,課題1,2で一定程度表現スキルが習得することが できていれば,課題3はイメージの相互関係性について効果があると考 えられる.しかし,形喩の挿入方向に関して助言機能などの実装の検討

も必要である.

(事前テスト,事後テストの結果)

それぞれの結果を図55〜57に示す.

 使用されている形楡が2種類から,4種類に増えている.ディジタル 教材を使用することで,自分の表現したいイメージと,形楡が対応づけ られたことで図55のような結果が表れたと示唆される.また,音符の 数白体が減っていることについては,「他の形職と組み合わせることで,

数が少なくても十分表現できることがわかった」と発言し,被験者Dの 中では,効果的な表情と形楡の組み合わせの形成ができたと考えられる.

 使用されている形楡が,2種類から4種類に増えている(図56).これ は,形楡の種類のレパートリーを獲得したことにより,怪我の表現がで きるようになったためと考えられる.事前テストのイラストの表情は,

他の意味の表情にも見えるが,事後テストのイラストでは,怪我と,震 えの表現によって,より複雑な【痛い】という感情が説明されている.

 使用されている形楡が,3種類から5種類に増えている(図57).事後 テストのイラストでは,全体的に形楡が書き込まれているため,リレー の走っている雰囲気が増している.また,走者の状況にも注目し,動き を表す【曲線】や,焦りの【水滴(汗)】が効果的に使用されている.動 きの表現に関しては,ディジタル教材で学習した効果が現れている.

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図55 表情【楽しい】 左:事前テスト 右:事後テスト

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図56 表情【痛い】 左:事前テスト 右1事後テスト

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回57 場面【バトンパスの状況】 上:事前テスト 下:事後テスト

4,3 全体を通した考察

 事前テストと事後テストの結果を比較すると,ひとりひとり差はある ものの,被験者全員に共通して形職の種類に増加が見られた.実際に形 楡の使用をすることにより,被験者の形楡に対する既有知識や,形楡を 用いた表現のイメージと,マンガ表現スキルとのギャップを埋められた ためだと考えられる.また,全員ディジタル教材に対して「楽しい」と 好意的であった.

 試行錯誤の過程において,被験者Aは首をかしげる,両面から顔を離 して見るなどしながら,何度も操作を繰り返す様子が見られた.紙に書 く作業とは異なり,形愉を挿入した後に,自己のイメージと異なると判 断すれば,すぐにReword機能を用いて元に戻すことが可能である.試 行錯誤するための負担が低く,実際,事後の半構造化面接において「さ

くさくできた」とAは発言している.

 また,「鉛筆で書くことはまだ少し難しい」と発言している.しかし,

「(このディジタル教材を)使ったら,かなり自分の表現したいことは表 現できるようになった」と発言していることから,1時間程の作業で目

に見える結果が現れたので,使用の回数を重ねると,形楡の使用方法が 更に定着し,紙に書く作業でも同様に形楡を扱えるようになることを期

待する.

 被験者に共通して困難が見られた点として,動きの表現が ある.動き を表す形職は,怒りマークや,音符などの形楡と違い,形のある記号で はなく,直線や曲線で表すことが多い.向きや長さ,大きさなど,表現 したいものに合わせて書くのが最も効果的であるため,システムの都合 上大きさや角度などユーザーのイメージどおりに貼り付けることが難し い仕様になっており,その点は直線ツールをつくるなど,改善しなけれ ばならない.しかし,被験者は,形楡を想起できなかったり,使い方を 理解していなかったりした訳ではなく,「こういう形楡を使いたい」とい

う,イメージは形成されていた.このことは,教材を操作する過程で学 習した成果であり,教材デザインの妥当性が示されたと考えられる.

 被験者Bはディジタノレ教材を操作している間,「わからない」と咳く ことが何度かあった.その内容には テーマをどのように表現すればい いのかわからない というものと この形楡はどのような使われ方,使 い方をするのかわからない という2種類があった.両者とも,実際に

しかし,使ってみてもわからないと感じるものもあり,何度か使う内に,

使い方が自分の中で定着するものもあれば,わからないまま終わるもの もあった.今回の実験では,どう表現すればいいのかわからない,どう 使うのかわからない,という時のために操作中に見られる解答例を用意

し,声をかけたりもしたのだが,Bの場合,「解答例を見ずに自分で頑張 る」と,答えた.事後の半構造化面接において,Bは「使用例のような ものがあって,すぐ確認できたらよかった」と発言しており,今回,解 答例の中には使用例と同じ意味のものも用意されてはいたが,はっきり

と役割を分けて用意しておくべきであった.

 使用例については,本研究では,試行錯誤に意味があると考えるため,

作業に本当に行き詰ったりしていた際に見ることを促していた程度だっ たのだが,ディジタル教材を操作するユーザーにとっては,使用例のあ る方が,安心感を抱く可能性がある.被験者Dも事後の半構造化面接に おいて,「形楡は沢山あるので,使い方がわからなかったり,ひとつの形 愉で色々な意味をもっている形楡があったり,どれをつかえばいいのか な一とかいうことにはなる」と発言しているように,形職の種類や,そ れらが表す意味は複数ある.本研究では形楡で独創的な表現を行うこと が目的ではないため,全ての形楡において,使用例を用意した方が,ユ

」ザーの理解を促した可能性もある.

 一方で,「意味はわからなくても,実際につかってみて,こういうふう に使えばいいのかな,っていう発見はある.」ともDが発言しているよ

うに,使い方を理解していないものを実際に使っでみることにより新た な発見が生じ,その発見によって,使用例を見るより使い方が定着しや すい可能性も考えられるため,このことに関しては今後検討していく必

要がある.

 今回の実験では,形楡の学習に効果があるか調べるためのものだった ので,素材の表情については,修正しない制約を与えてあった.しかし,

もともとイラストを描くことが好きで描写力やこだわりのある被験者C は,表情の表現を変えられないことや,細かな角度や大きさの調整がで きないことに大きなもどかしさを感じ,「自分の手で描く方が表現でき る」と発言していた.つまりは,この教材の試行錯誤により,形楡の使 い方を獲得てきたので,実際自分が紙に描いて,自由に表情も表現可能 な条件の場合,効果的に形楡を使用することができるということである.

本来,本研究は,教師はちょっとした時にイラストで表現できる力があ

することにより,絵が苦手な人でも,表現できる幅が広がることにより,

自分のイメージに近いイラストが描けるのではないかという考えの下,

ディジタル教材を設計している.今回,実験のため制限をかけたが,形 楡は描写力の補助的役割で用いることが前提であり,Cが表情を描き変 えたいと言った様な使用の仕方は可能である.

 また,紙に描く方がいいということは,形楡の一覧があればすぐ形楡 は使えそうかと,Cに,事後の半構造化面接において質問してみると,

初めは「描ける」と回答していたのだが,ディジタル教材でおこなった 自分の作業を思い出し,「試しに使用してみたり,大きさや角度を変えて 実際のイラストに配置してみたりと試行錯誤は必要だった、使ってみる ことで習得できる」と発言した.被験者Dも同様に,「(紙に書いた形楡 表だけ渡された場合)ある程度はできるとは思うが,このシステムのい いところは,この形職を使ってみよう,と思った時に,実際イラストの 上でイメージすることができるところ.」だと発言しており,「表を与え られただけだと,形楡単体を,(頭の中でイラストに合うように調整して)

イメージをイラストにもっていくことが難しい」「実際に(イラストに)

つけたり,はずしたりの試行錯誤が大事」だと振り返っていた.以上の 発言から,マンガ表現スキル(形楡を用いた表現方法)の獲得には試行錯 誤をおこなうことが必要不可欠であり,被験者がそれらを獲得できたと

自覚している点も示された.

 被験者Dが,事後の半構造化面接において「(表現力が)高まったと いうよりは,頭の中のイメージをずっと出せるようになった」「どうやっ て表現していいのかな,というもやもやがなくなり,スムーズに表現で きた」と発言しているように,本教材は,美術的な表現力を高めるもの ではないが,伝えたいイメージの表出を支援する役割を担うものとして 期待される.本論文では,形楡が,絵を描くことは苦手だという教師の 支援ツールとしての有効性が示され,また筆者が想定したマンガ表現ス

キル獲得プロセスは妥当であったと,考える.

ドキュメント内 4.評価実験 (ページ 36-50)

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