第 4 章 e ラーニング普及推進モデルの実践事例 (2) 愛媛大学
4.5. 普及推進策
4.5.1. eラーニング普及推進を組織的な取り組みとすること
まず,学内規程やeラーニングに関する規程やガイドラインの整備を進めた.これによ り,学内でのコンセンサスを高めると同時に,普及推進が大学の方針であることを明確に し,教員の認知を獲得した.教育デザイン室では,インストラクショナル・デザインの専 門家,ICTの技術専門員,事務職員が構成員として活動し,個々の専門性を活かした連携 体制をとった.主な活動として,インストラクショナル・デザインを用いた授業設計支援,
教材開発支援,e ラーニング活用授業の運用サポートなどである.また,授業改善の支援 では,単に教員の要望に応えるという受動的な姿勢ではなく,ともに考える姿勢で取り組 んだ.
4.5.2. きめ細やかなサポート
教育デザイン室による著作権処理の代行,授業設計の専門家やICTの技術専門員による サポート,LMS コース申請システムの改良等により,ICT が苦手もしくは自信がない教 員に対して,不安と負担の軽減を図った(図4.1,4.2).また,eラーニング活用に踏み切 った教員に,継続的な支援を行うとともに,オピニオンリーダー(Rogers 2003)として 広報活動への協力を要請した.
図4.1 教育デザイン室の役割と機能(1)
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4.5.3. 身近な教員のICT活用教育事例集(リーフレット)発行
eラーニング普及推進活動の広報媒体としてリーフレットを発行した.内容は,「eラー ニングニュース」(図4.3)と「ICT 活用教育事例」で構成した(図4.4).「eラーニング ニュース」とは,全学無線LANの整備に関する情報提供やMoodleの機能紹介など,LMS の効果的な使い方や活用ヒント集など,授業改善に関する「道具箱」的な記事である.「ICT 活用教育事例」とは,授業にeラーニングを活用した事例を収集し,体験談とともに掲載 した.リーフレットは隔月発行とし,普及推進策の成果を発信するためのツールとしても 活用した.さらに,リーフレットの記事(表4.3)を取材動画とともに教育デザイン室HP 上に掲載することで,より高い広報効果をねらった.
図4.2 教育デザイン室の役割と機能(2)
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図4.3 eラーニングニュース
第4章 eラーニング普及推進モデルの実践事例(2)愛媛大学
図4.4 ICT活用教育事例集
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表4.3 ICT活用教育事例集 発行タイトル一覧
号 教育実践事例 eラーニングニュース(抜粋)
1 「動画」を利用した授業時間外での振り 返り
・無線LANが全学的に整備
・バリエーション豊富なコンテンツを制作 2 受け身な学生を惹きつける
「クリッカー」
・学生と教員との双方向コミュニケーション のサポーター「クリッカー」
3 ウェブを使った仕組みで,授業の振り返 りをより深く!
・学生の主体的な学びや教職員の授業運営を サポートする「Moodle」
4 授業時間外のディスカッションで深ま る理解と高まる学習意欲
・無線ネットワークが全学的に整備 5 グループウェアをつかった情報共有・業
務効率アップで成果に導く!
・Moodleコース申請方法が変更
・eラーニング入門の研修を開催 6 学習の機会と質を保証するための e ラ
ーニング活用
・ICT利用Q&Aのページがオープン
・Moodle2利用説明会を開催
7 ARCS 動機づけモデルを使って学生の 学習意欲を高めよう!
・eラーニングコンテンツ取扱要領が制定
・コンテンツ制作用の機器を貸し出し 8 効 果 的 な 反 転 授 業 と は -Flipped
Classroom-
・コースへ履修者が自動で登録可能に
・Moodle2が他大学からもアクセス可能に
9 新たな教育モデルを創出し「主体的な学 び」を促進
・コンテンツ制作受付方法を一新
・Moodle2の課題提出に新しい機能が増加
10 授業設計コンサルティングで効果的か つ魅力的な授業を
・eラーニングコンテンツ制作実績
・小テスト解答をExcelでダウンロード 11 ブレンディッドラーニングで実現した
効果的な授業運営
・コンテンツ制作の受付を開始
・Moodle1.9の運用を終了 12 繰り返し学べる動画教材で学生の「学
び」が定着
・iPad(16台)の貸し出しを開始
・Moodle 利用ガイドが新しく
13 学生の理解度を高めるためピア・インス トラクションを導入
・コース編集時の公開の設定について
・前年度の資料を今年度も使いたい 14 ストーリー性をもたせた教材で学習者
を惹きつける
・Moodleコース申請開始
15 iPad を活用して大人数の「アクティ ブ・ラーニング」を実現
・PowerPointのブラッシュアップも受け付
け開始 16 e ラーニング教材で障がい学生支援の
知識を習得
・小テストで採点フィードバック
・愛媛大学Moodleコース申請状況の推移 17 クリッカーの活用で,より深い考えさせ
る参加型の授業
・Moodleのバージョンアップについて
・eラーニングコンテンツの制作受け付け 18 「発音練習」「聞き取り」ができるeラ
ーニング教材の開発
・MoodleがVer2.7にバージョンアップ
・eラーニングコンテンツ制作を受け付け 19 イメージをつかむシミュレーション教
材の開発
・活動ログの表示について
・評定項目に学生証番号が追加 20 動画を使って一緒にできる運動プログ
ラム開発
・MoodleのHTMLエディタを戻す方法
・Moodle評定頁に学生証番号を表示
21 プレゼンテーション能力向上を目指す 教育プログラムを開発
・Moodleコース申請が始まります
・愛媛大学Moodleコース申請状況の推移 22 授業の展開に合わせた e ラーニングの
活用方法
・教育デザイン室に関するアンケート
・Moodle3運用開始
4.5.4. ICT・授業設計に関する研修会の開催
教員間にICT活用や授業設計を広く普及させることを目的に,初心者・上級者それぞれ
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を対象とした研修会を開催した.2012年度は,教育デザイン室が正式設置前であったため 1講座のみの開講であったが,2013年度には6講座,2014年度に8講座,2015年度およ び2016年度には11講座を開催した.研修会の内容は,当初,初心者向けをメインターゲ ットにしていたが,その後の参加者の希望を反映させ,上級者向けのものや授業設計に関 するものを追加した.また,2014年度よりeラーニングでの受講が可能な体制にした.