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図表5‑ 4 異業種連携による強力な障壁の形成 A 、... 

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(11)  2000年 9月筆者実施のインタビューによる

62 香川大学経済論叢 62  に参加する企業それぞれが自社のもつ強みをネットワークの中心部分に提供し ていく。そこで異質性の高い強み同士が強固に結びつき

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社のみではなしえ ない新しい強みが創られる。生み出された強み全体は,外部組織が立ち入るこ とのできない強固な壁となる。これは異業種交流会が成功するひとつの典型的 なスタイルである。

2 )時間融合の経営戦略からみた外部経営資源の活用 .

Joint‑92の活動は,時間融合による新製品開発の手法を実践していると判断 することができる。既存の新製品開発では,自社内に蓄積された各種経営資源,

ノウハウを材料に組み替えや異質な資源・要素の投入を行い,新しい製品を市 場に導入するという手順がとられる。

これに対し,自社にはない強みをもった企業と戦略的なパートナーシップを 構築し,製品ごとにパートナーを変更しながら協業によってより高い事業目的

を達成していくスタイルは,未来型の製品開発である。

常識的に考えれば,自社が保有しない強みをもった企業の存在は脅威である。

その強みをみていると遠ざけたくなるのも人間の自然な心理であるかもしれな い。あるいは,何とかして自社内にも全く同じ,または超えるような強みを創 り出そうとする場合もあるだろう。しかし,そのような強みを構築するのには 一般的には時間を要する。長い時間をかけて自社が強みを育成しているうちに,

相手企業は保有する強みにいっそうの磨きをかけており,その分野においては 差が広がっているという現象も起こりうる。

企業はあらゆる領域で強みをもっている必要などないと思う。もっとも,す べてにおいて完壁な強みを発揮する企業など存在しない。それをまず認識する ことである。そして,強みと弱みを十分に認識し,個々の企業としては強みを さらに伸ばしていくための戦略を考える必要があるのではないだ、ろうか。弱み を克服する必要もあるが,無理に強みに変えていく必要はない。そして自社が 持たない弱みの部分に関しては,外部組織に求めていけばよい。

そのような考え方にもとづく戦略的なパートナーシップを構築することは,

63  時間融合の経営戦略 ‑63‑

新しい経営資源やノウハウを自社内に取り込むことを意味する。このような時 間融合の製品開発プロセスを通じて,圧倒的な競争優位性を獲得していけるの である。

第6節 企 業 の 組 織 構 造 と 事 業 ス タ イ ル

(1 ) 経営組織内の基本的な問題 1)理想的な組織とは

「組織は戦略に従う」と表現したのはチャンドラーである。企業が明確な戦略 軸を打ち出したのちに,それを達成するための最適な組織構造が決まってくる

という原理を表したものであるが,時間融合の経営戦略を考える際には組織構 造についても取り上げる必要があるだろう。まず経営組織の基本的な問題点を 考えていく。

創業当初から企業の中核部分に存在する,経営者の確固たる理念,ポリシー がその企業の今後進むべき道筋を明らかにする。その道筋こそが経営戦略であ り,戦略を実現するためにどのような方策をとるべきであるのかという,より 具体的な下位概念が戦術である。そして,個々の戦術を実施していくためには,

企業自体の組織構造を整備していく必要がある。

人間の体をとってみても,心臓,目,手などそれぞれの器官は全く異なる構 造をしており,与えられた役割も異なっている。我々人聞の存在意義は,外部 環境に適応しながら創造的活動を実践していくところにあるといってよいと思 う。これこそが人聞にとってのもっとも大きな戦略であり,この戦略を達成す るために個別の戦術が決まり,それに応じて体の各器官が最適な形に進化して きたのである。

別々の役割を担った器官が体全体を構成しているように,個々の組織単位が 複数集まって企業組織全体が構成されてくる。人間の体と企業組織とを比較す ることは必ずしも適切でないかもしれないが,理想的には外部環境に適応しな がら健康に機能している体のような組織運営のあり方が,企業にも求められて

くるところである。

‑64‑ 香川大学経済論叢 64  2 )組織内に恒常的に発生する問題

しかし,実際の手乱織内には恒常的な問題が発生する。ひとつは意思伝達に関 する問題である。組織サイズの大小にかかわらず企業におけるもっとも重要な 課題は,経営トップの方針が組織の末端にまで浸透していることである。そう した状態が保たれていなければ,各組織単位で実施される戦術の有効性は低下 してしまう。だが,特に組織が大きくなり,その構造が階層的になるとトップ の意志伝達経路が長くなるため,最下位にまで迅速にそして過不足なく経営者 の意志が伝わりにくくなってくるケースが多くなる。

また,重層的な構造をもっ組織にあっては,意思決定のスピードが遅くなる 傾向がみられる。外的経営環境の変化速度がはやい現代にあっては,意思決定 スピードの遅れは企業の成長機会を失わせる要因になる。電子メールや社内 LAN,イントラネット,インターネットなど情報化の進展によって意思決定上 の問題点は部分的に解消できるようになっているが,本来の組織構造上の問題 点、は依然として残ると考えられる。

さらに,組織は活動領域に応じて分かれることが基本となるが,そこで各組 織ユニット(単位)ごとに利害対立が生じる場合もある。こうした組織ユニッ

ト聞の対立は,事業活動を進める企業の力を減衰させてしまう。

以上のような問題点は,多くの肥大化した組織で恒常的にみられるものであ るが,中小企業であっても部門間の利害対立や意思決定スピードの遅れという 問題が日常的に発生している。

経営組織の取り扱う領域は非常に幅広いが,ごく単純化すればこれらの点が 多くの組織で主として問題になっていることである。そしてこうした問題は,

既存の経営戦略のパラダイムに固執する企業の姿勢から生じている。時間融合 の経営戦略を実践する企業は,常に新しい組織形態を採用する。既存の定型的 な組織構造の良さを生かしながら,環境への適応性を追い求めた構造へと変革 していく。そのような対策をはかることで,不確実性の高い外部環境にも適応 できる強靭さを備えた組織構造へと進化していくのである。

65  時間融合の経営戦略 65 

( 2 )  

企業の成長と組織形態の変容 1)創造的破壊による組織の再構築

ある時間軸の流れのなかで成功をおさめた企業が存在するとする。ここで,

消費者や競合他社など外部環境がまったく変化しないと仮定した場合は,時間 の経過に伴う組織構造の変革は必要としない。定型的な組織内で決められた業 務を進め,同じ製品やサービスを}既存の顧客に対して提供していけば,過去に おいて獲得されたものと同水準の成功を獲得できることが約束されているから である。

しかし,実際にはそうした実験室での出来事のようなものは想定しにくい。

外部環境は常に変化を続けている。一定の期間は過去の組織体制を採用するこ とである程度の成功をおさめていても,やがては限界が訪れる。そのような時 に組織にはどのようなことが求められてくるのであろうか。

それは,過去の組織運営のやり方を見直し,強みはそのまま生かしながらも,

新たな方策を検討し組織の変更に着手することである。これはすなわち,複雑 系でいうところの「創造的破壊」を意味する行為である。創造的破壊とは逆説 的ではあるが,破壊という行動のなかから新しいものを生み出していく概念を 指す。成長の限界点に達した企業においては,組織面での創造的破壊が要求さ れる。

創造的破壊による企業成長のプロセスを図表6‑ 1に示す。まず,既存の戦 略パラダイムにおいて構築されてきた組織を部分的に破壊する。組織単位とし てまとまっているものを,分解していく作業である。次に,細かく分解された 破片と破片とを組み合わせる。つまり,異質な破片岡士を連結させ,全く新し い組織単位として蘇生させる。こうして完成された組織ユニットを戦略軸に適 合するよう調整していく。それによって企業組織全体の活力が向上し,次の成 長ステージへと浮上していくことが可能になるのである。

組織の創造的破壊は,時間融合の経営戦略にとって必要な蘇生作業となる。

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