3 解析
4.2 時間幅ごとの独立性
L バンドの変動のうち、M バンドに比例して変動する成分の比例計数を求めた結果、BB 成分を担う流れと PL 成分を担う2層の流れは、短い時間スケールになるほど(流れが内側 に流れて行くにつれて)変動率の差が大きくなることから独立性が強まっていることが示 された。それ故、長い時間スケールでは変動率は同じようになることは逆を考えれば有に 言えることである。つまり、異なる変動率を持った PL 成分と BB 成分は、始めは1つの流 れであったことが言える。このことから、伴星からの1つの流れが、降着円盤外縁で2層 に分かれ、次第に独立性が強まって行った結果と考えることが出来る。
図 4.2 伴星の降着ガスが独立性を持つイメージ
37
参考文献
・Astro-H 「X 線天文学の世界」
(http://astro-h.isas.jaxa.jp/challenge/x-ray/)
・JAXA 「X 線天文学とは」
(http://www.jaxa.jp/article/special/xray/p2_2_j.html)
・京都大学大学院理学研究科 助教・松本浩典 「ブラックホールを見る!」
(http://www-cr.scphys.kyoto-u.ac.jp/member/matumoto/presentation/2009/josyo_09041 8.pdf)
・JAXA 「MAXI(全天X線監視観測)の現状」
(http://www.icrr.u-tokyo.ac.jp/~hmiya/sympo/Matsuoka_4th_Chimondai2010.pdf)
・JAXA 「MAXI」
(http://maxi.riken.jp/top/)
・理研 「きぼう利用研究」
(http://cosmic.riken.jp/maxi/maxi_public_html/documents/MAXInenpoH14.PDF)
・第 6 章 連星系の進化
(http://lyman.c.u-tokyo.ac.jp/~hachisu/lecture/binary_1a/7-6_katohachisu.pdf)
・井上一 「宇宙の観測Ⅲ」 日本評論社 2008
・Inoue, Miyakawa & Ebisawa, 2011
・Juri Sugimoto et al 2007
38
補遺
差分変動関数
「Inoue, Miyakawa & Ebisawa, 2011」引用
あるデータの間隔における物理的変化の平均を𝑥 (𝑡)、時間幅を𝑡0とした時それぞれのビ ンデータ2Nにおける連続するデータはy𝑖(0)は
y𝑖(0)= ∫ 𝑥(𝑡)𝑑𝑡 𝑡0
(𝑖+1)𝑡0 𝑖𝑡0
, (i = 0, … , 2𝑁− 1) (1) であり、隣り合うビンの平均をとり、それをm回繰り返した時の連続するデータ
y𝑖(m)(i = 0, … ,n𝑚− 1)は、時間幅tb(0)= 2𝑚𝑡0、ビンデータの総数はn(m)= 2(𝑁−𝑚)
となる。この時のy𝑖(m)は、
y𝑖(m)=(𝑦2𝑖(𝑚−1)+ 𝑦2𝑖+1(𝑚−1))
2 (2) で表される。
ここで、定められた平均で割った標準偏差としての確立変数を考える。あるデータ{y𝑖(m)}、 に対する変動係数𝜂(𝑚)は次のように定義する。
(𝜂(𝑚))2=∑𝑛𝑖=0(𝑚)−1(𝑦𝑖(𝑚)− [𝑦𝑖(0)])2
𝑛(𝑚)[𝑦𝑖(0)]2 (3) ここで、[𝑦𝑖(0)]はその平均であり、
[𝑦𝑖(0)] =∑2𝑖=0𝑁−1𝑦𝑖(0)
2𝑁 (4) で与えられる。この平均を[𝑦𝑖(𝑚)] = [𝑦𝑖(0)] とした時、隣り合うビンの差分Δ𝑦𝑖(𝑚)は次のよう になる。
Δ𝑦𝑖(𝑚)=(𝑦2𝑖(𝑚−1)− 𝑦2𝑖+1(𝑚−1))
2 (5)
39
式(2.2)と式(2.5)を使い、(m-1)番目のビンにおける変動係数の二乗(𝜂(𝑚−1))2を変 形すると、
(𝜂(𝑚−1))2=∑ (𝑦𝑖
(𝑚−1)−[𝑦𝑖(0)])2 𝑛(𝑚−1)−1
𝑖=0
𝑛(𝑚−1)[𝑦𝑖(0)]2
=∑𝑛𝑖=0(𝑚)−1〔(𝑦𝑖(𝑚−1)− [𝑦𝑖(0)])2+ (𝑦𝑖(𝑚−1)− [𝑦𝑖(0)])2〕 2𝑛(𝑚)[𝑦𝑖(0)]2
=∑𝑛𝑖=0(𝑚)−1(𝑦𝑖(𝑚)− [𝑦𝑖(0)])2
𝑛(𝑚)[𝑦𝑖(0)]2 +∑𝑛𝑖=0(𝑚)−1(𝛥𝑦𝑖(𝑚)−1)2 𝑛(𝑚)[𝑦𝑖(0)]2
= (𝜂(𝑚))2+ (Δ𝜂(𝑚))2 (6) この式中にあるΔ𝜂(𝑚)は次のように表す。
(Δ𝜂(𝑚))2=∑n (𝛥𝑦𝑖(𝑚−1))2
(𝑚)−1 𝑖=0
𝑛(𝑚)[𝑦𝑖(0)]2 (7) ここで、定義された(Δ𝜂(𝑚))2 は差分変動係数である。変動係数とパワースペクトルP(k)に は比例関係が成り立つ。
(𝜂(𝑚))2∝ ∫ 𝑃(𝑘)
𝑠𝑖𝑛2(𝑘𝑡𝑏(𝑚) 2 ) (𝑘𝑡𝑏(𝑚)
2 )
𝑑𝑘 (8)
∞ 0
時間幅𝑡𝑏での振動を考えたとき、差分変動係数はそれに対応するパワースペクトルの周波数 部分を取り出したものであり、時間幅が短くなるにつれて等価な結果が得られ、
(𝛥𝜂(𝑚))2= (𝜂(𝑚−1))2− (𝜂(𝑚))2
∝ ∫ 𝑃(𝑘) [
𝑠𝑖𝑛2(𝑘𝑡𝑏(𝑚−1)
2 )
(𝑘𝑡𝑏(𝑚−1)
2 )
2 −
𝑠𝑖𝑛2(𝑘𝑡𝑏(𝑚) 2 ) (𝑘𝑡𝑏(𝑚)
2 )
2
] 𝑑𝑘
∞ 0
= ∫ 𝑃(𝑘) [
𝑠𝑖𝑛4(𝑘𝑡𝑏(𝑚−1)
2 )
(𝑘𝑡𝑏(𝑚−1)
2 )
2
]
𝑑𝑘 (9)
∞ 0
となる。
40 パワースペクトルに掛かる独立した周波数B(𝑘)は
B(𝑘) =
𝑠𝑖𝑛4(𝑘𝑡𝑏(𝑚−1)
2 )
(𝑘𝑡𝑏(𝑚−1)
2 )
2 (10)
で与えられる(図 A.)。
図 A 時間幅ごとのパワースペクトル(Inoue, Miyakawa & Ebisawa, 2011)
41
差分変動関数
X 線源の確率的な時間変化を考えるとき、スペクトルの移り変わりの影響やそのスペクト ルの解析は重要である。これにより光子エネルギーの因数として{y𝑖(m)}を得ることが出来、
そのスペクトルの変化には[𝑦𝑖(𝑚)] ± √[(𝛥𝑦𝑖(𝑚))2]の二通りがある。この値を計算するにあた
り、平方根√[(𝛥𝑦𝑖(𝑚))2]を絶対値𝑍(𝑚)にすり替え、
𝑧(𝑚)=∑n |𝛥𝑦𝑖(𝑚)|
(𝑚)−1 𝑖=0
𝑛(𝑚) (11) と定義する。
式(2.2)より、連続するビン𝑦2𝑖(𝑚−1)と𝑦2𝑖+1(𝑚−1)の明るいほうを𝑦𝑖,𝐵(𝑚−1)、暗いほうを𝑦𝑖,𝐹(𝑚−1)と すると𝛥𝑦𝑖(𝑚)の絶対値は、
|𝑦2𝑖(𝑚−1)| =𝑦𝑖,𝐵(𝑚−1)− 𝑦𝑖,𝐹(𝑚−1)
2 (12) として表すことが出来、𝑧(𝑚)は
𝑧(𝑚)=[𝑦𝑖,𝐵(𝑚−1)] − [𝑦𝑖,𝐹(𝑚−1)]
2 (13) と簡単に計算をすることが出来る。ここでの[𝑦𝑖,𝐵(𝑚−1)]と、[𝑦𝑖,𝐹(𝑚−1)]は
{𝑦𝑖,𝐵(𝑚−1)}と、{𝑦𝑖,𝐹(𝑚−1)}の平均である。
ここで、ある時間幅𝑡𝑏(𝑚)における差分変動率ΔVは ΔV({𝑦𝑖(𝑚)} : 𝑡𝑏(𝑚)) =[𝑦𝑖,𝐵(𝑚−1)] − [𝑦𝑖,𝐹(𝑚−1)]
[𝑦𝑖,𝐵(𝑚−1)] + [𝑦𝑖,𝐹(𝑚−1)] (14) である。
42
1st LHS day low med high 2 0.108604 0.078274 0.135148 4 0.07557 0.062415 0.095677 8 0.059133 0.051369 0.087615 16 0.089921 0.077908 0.08712 2 0.066631 0.057114 0.058297 4 0.052384 0.046426 0.047793 8 0.08 0.075362 0.09158 16 0.052128 0.022734 0.020979 32 0.06715 0.043161 0.034497 図 3.6 1st LHS の計算結果
4th HSS day low med high L_BB L_PL
2 0.099359 0.168581 0.311615 0.11373 0.168581 4 0.077812 0.143928 0.244451 0.084211 0.143928 8 0.070169 0.127038 0.163922 0.062143 0.123875 16 0.081504 0.099912 0.196446 0.067228 0.099912 2 0.059363 0.111102 0.166803 0.052463 0.111102 4 0.05596 0.109159 0.150105 0.044459 0.109159 8 0.065135 0.111149 0.143978 0.050337 0.111149 16 0.04862 0.085046 0.118422 0.040587 0.085046 32 0.058732 0.069312 0.11417
図 3.7 4th HSS の計算結果
43
4th HSS day inclination L_BB L_PL low の変動率 med の変動率 0.125 1.38278 0.112324 0.180531 0.096832052 0.163978091 0.25 1.413998 0.086862 0.142618 0.077484175 0.142617884 0.5 1.435801 0.073879 0.126777 0.071650405 0.120905586 1 1.856399 0.147022 0.100321 0.050112543 0.114817709 2 1.510314 0.052385 0.111102 0.059362616 0.111101722 4 1.539612 0.046464 0.109159 0.055960276 0.109158573 8 1.809165 0.045793 0.111149 0.065134603 0.111149442 16 1.975777 0.048201 0.075617 0.085512519 0.091017207 32 2.539954 0.02808 0.053501 0.06852326 0.055738899 図 3.9、3.10 比例係数、Low バンドの2成分の計算結果