• 検索結果がありません。

日韓物流ビジネスモデルの事例

本節では,日本と韓国間で行われている実際の物流ビジネスモデルについて,LCD 装備 と自動車部品物流に関する事例を考察し,その示唆点を導出する。

4-1 L社のLCD装備輸送の事例

L社は,2000年4世代工場の設立とともに,LCD部品および設備機械などを航空輸送し ているが,航空機の着陸途中で発生した衝撃により精密設備機器の不良が持続的に発見さ れる問題があった。また,航空貨物に対する油類割増料金(2003年4月)に起因する航空

55

輸送物流費用の急増もあり,L社は代替輸送手段を検討することになった。その結果,航空 輸送の際に発生する不良を解消し物流費用も削減する方法として,精密装備専門の特送輸 送会社との契約を締結し,専用無振動特装車両とノーベッド車両でのカーフェリー輸送に 転じている。図2-19と図2-20で示すように,航空輸送とカーフェリー輸送の物流費用を比 較すると,カーフェリー輸送費は航空輸送費の20%水準で費用削減の効果があった。

出所:BDI(2011)「釜山-九州地域連携輸送体系の活性化方案」

図2-19 日本発航空輸送費用

出所:BDI(2011)「釜山-九州地域連携輸送体系の活性化方案」

図2-20 日本発カーフェリー輸送費用

Shiga Okayama Kitakyushu Kagoshima Kumamoto

Osaka

Fukuoka

Incheon

Paju

¥86/Flat Rate/kg Gumi

¥86/Flat Rate/kg

bonded transportation

₩ 70,000/1 ton truck

bonded transportation

₩ 170,000/1 ton truck

Local factory

Local Airport

Korea Airport

Final factory

Chargeable weight : Max(Gross Weight or Volume Weight)

Shiga Okayama Kitakyushu Kagoshima Kumamoto

Osaka

Fukuoka

Busan

Paju

Gumi

$35/LCL/R.ton

bonded transportation

₩ 150,000/1 ton truck

bonded transportation

₩ 100,000/1 ton truck

Local factory

Local Terminal

Busan Terminal

Final factory

Yamaguchi Shimonoseki

$27/LCL/R.ton

$25/LCL/R.ton

56

また,リードタイム面で航空輸送とカーフェリー輸送を比較すると,図2-21と図2-22に ようになる。比較の結果,航空輸送の場合は 8 時間 20 分,カーフェリー輸送の場合は 13 時間30分となり,カーフェリー輸送の方が5時間程度長く所要される。しかし費用面では,

カーフェリー輸送が航空輸送の約 20%水準である。リードタイムは一日輸送以内であるこ とと,無振動特装車両とノーベッド車両の特化された輸送手段によって不良を解消し安全 に製品を輸送できる点より,カーフェリー輸送が競争力を持っている。

出所:BDI(2011)「釜山-九州地域連携輸送体系の活性化方案」

図2-21 日本発航空輸送のリードタイム

出所:BDI(2011)「釜山-九州地域連携輸送体系の活性化方案」

図2-22 日本発カーフェリー輸送のリードタイム

Shiga Okayama Kitakyushu Kagoshima Kumamoto

Osaka

Fukuoka

Incheon

Paju

Gumi

2h Local

factory

Local Airport

Korea Airport

Final factory

5h

1h 3h 30m 1h 20m

1h 30m

1h 20m

1h 30m

3h 30m

Shiga Okayama Kitakyushu Kagoshima Kumamoto

Osaka

Fukuoka

Busan

Paju

Gumi

Local factory

Local Terminal

Busan Terminal

Final factory

Yamaguchi

Shimonoseki

2h 5h

1h 10m 3h 30m 1h 20m

1h 30m

18h

8h

12h

6h

2h

57

4-2 日産自動車の自動車部品輸送(Milk Run)の事例

日産自動車のMilk Run9 とは,日産自動車の自動車部品専用輸送用特殊貨物車(ウィング ボディー・シャーシ)を日韓定期往復船である関釜フェリーに搬入し,車両が韓国内各地 の部品供給製造工場を巡回し日本に部品を輸送した後,直ちに生産ラインに投入する物流 システムである。日産自動車のMilk Runの全プロセスとリードタイムを図2-23,図2-24に 示す。

図2-23 日産自動車のMilk Run process

図2-24 日産自動車Milk Runのリードタイム

9 牛乳会社が牧場を巡回しながら牛乳を集荷してことから着眼。

58

日産自動車Milk Runは,コンテナ積載 → CY入庫 → 保管(待機)→ 積載 → 搬出と なっている既存の物流形態に比べて物流段階別の入出庫手続きが省略されるため,リード タイムの画期的な短縮が可能になる。また,自動車部品を輸入して組み立てる日産九州工 場の場合,日本内の部品協力社との移動距離を考えても韓国の方が有利であるため,輸送 距離面での利点もある10 。このMilk Runは2011年に始まっており,物流主管会社としては 日本通運と韓国の世邦が,自動車組立会社としては日産自動車と日産車体九州工場が,部 品供給企業としては韓国内26個の中小企業が参加している。

図2-25より韓国内の自動車部品供給会社は,京幾と江原3箇所,大邱と慶北9箇所,釜 山と慶南14箇所となっており,自動車関連特化地域である韓国東南圏(釜山と慶南)の割 合が全体の半分以上を占めていることが分かる。

Milk Run方式によって創出される荷動き量は徐々に増加すると予想しており,2011年の

スタート時点で,2013 年には月1,320TEU,年間約20,000TEU,金額ベースでは年間 2,700 億ウォンに達すると予想していた。

出所:釜山税関内部資料を再整理。

図2-25 日産自動車Milk Runの参加企業状況と荷動き量の予想

10 最も遠い距離基準で,日本の札幌は1,100km,韓国江原道650km。

59 5. 日韓物流ビジネスの活性化方案

5-1 日韓共同物流センターの構築と相互活用

物流センターは,貨物の単純な保管だけでなく,高付加価値物流活動のためには必修的 である。しかし,物流センターの建設にはたくさんの所要資金が投入される他,資本回収 期間が長く,費用効果も不確実であるため,充分な流動性を確保すべきである。

現在,日韓両国間の荷動き量は持続的に増加しているが,必要とする保管施設である物 流センターの数は絶対的に不足している。個別的に製造企業や物流企業が物流センターを 造成し運営しているが,自社の物量以外に他社の物量を確保するには限界を見せており,

企業単位の新規物流センター造成においては高いリスクがネックとなっているため,中堅

関連したドキュメント