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日本国内における現状調査結果

ドキュメント内 日・インドネシア (ページ 32-40)

第2章 調査結果

2.4 日本国内における現状調査結果

本章「2.2.3 トラッキングツール開発に関する NGO 等の活動」でみたとおり、木材輸送に関して ペンキやノミを使った従来方法や電子技術を使った新手法について、その適正が比較検討されている。

この比較検討を参考に本事業では丸太のトラッキングツールとして電子技術を用いた新手法を検討 することとした。

ツールとしては、表 2.6 にある「RFID labels」と「Conventional labels」が有望であると判断し、

この 2 種について活用状況を調査した。なお、本事業では、前者については一般的に使われている「IC タグ」と呼ぶこととした。また、後者はバーコードを指しているが、次のような点で二次元バーコー ドの方が高い利便性あると考えられるため、「二次元バーコード」を対象に調査した。

■ バーコードに比べて添付できる情報量が多い。

■ 傷が付いても判読できる。

■ マスターコンピューターに繋いでデータを検索する必要がない。

インドネシアは丸太の輸出を禁止しているが、他の国における丸太情報のつけ方を見るために東京 港に入っている輸入丸太の状況を調査した。また、日本の林業における国有林と民有林についてトレ ーサビリティ関連の調査を行なった。

2.4.1 IC タグの利用状況調査

IC タグには、ボタン型、ラベル状、棒状、管状など様々な型と大きさがあり、またプラスチック、

紙、金属など材質も様々である。タグの中に IC チップとアンテナが埋め込まれており、外部から電 波で情報のやり取りが行なわれる。

IC タグを使っている事例としては、図書館における書籍の貸出・返却の管理、工場における製造 工程管理、家庭用品レンタルにおける使用回数カウント、自動倉庫出庫管理、回転ずしのレジ精算、

ファミリーレストランの制服管理、養豚場の飼育管理などがみられた。そのなかで、本事業で検討し ているトラッキングツールとしての利用形態に近い養豚場の飼育管理に使われている IC タグの利用 状況を調査した。

2.4.1.1 概況

調査した養豚場は、併設されている精肉加工工場とともに、「生産情報公表豚肉」の JAS 規格認証 を取得しており、この JAS 規格のシステムに沿って生産情報を消費者に公表している。ほぼ毎日 100 頭前後の新生豚が誕生しており、半年間の飼育期間を経て、年間約 7 万頭が出荷されている。

新生豚には誕生したその日の内に IC タグが耳に装着され、ID 番号が割り振られる。全ての豚はこ の ID 番号で管理され、母豚、離乳日、餌、豚舎移動日、出荷日などの情報と関連付けられる。成豚 は養豚場から加工工場に移され生肉となり、スーパーなどの小売店を経由し、消費者へと流れる。

成豚が出荷されると耳についている IC タグは加工工場で外されるが、生産管理者名、飼育施設所 在地、成年月日、と殺年月日などの「生産情報」と餌の種類や使用した薬剤などに関する「飼料給餌 情報」が JAS 規格による「生産情報公表フォーム」に記載される。消費者は後述する方法によって購 入豚肉の「生産情報」と「飼料給餌情報」を閲覧することができる。

2.4.1.2 IC タグの装着と情報内容

ここで使われている IC タグは、プラスチック製で平面的には直径 3cm 程度の薄いドーナツ型、側 断面は足の短いT型をしている。豚の耳への装着は小型の機械を用いて、IC タグと脱落防止の押え 具を洋服のホックの要領で留める(写真 7、8 参照)。

新生豚の耳に装着される前に、携帯電話を大型にしたようなハンディターミナルを用いて、IC タ グにアルファベットと 11 桁の数字から構成される ID 番号が電気信号として書き込まれる。なお、こ のハンディターミナルは、IC タグへの書き込みと読み取りが可能である。

ID番号の例:A 00051115 106

■ A は、A から D までの 4 台あるハンディターミナルの名称であり、どの機械で入力したかが分 かるようになっている。

■ 8 桁の数字は、新生豚の成年月日を表し、この場合は 2005 年 11 月 15 日である。

■ 次の 3 桁の数字は、当日生まれた豚の順番を表し、この場合は 106 番目の豚であることを示す。

この ID 番号と母豚の情報が関連付けられるとともに、離乳日、餌、豚舎移動、出荷日など誕生か ら出荷までの間の飼育管理に関わる情報が IC タグをハンディターミナルで操作することで ID 番号と 関連付けられ、個々の豚の生産情報と飼料給餌情報とが記録される。

これらの飼育上の情報管理に使われる機材は、次のとおりである。ここで使われている IC タグの 価格は 1 個当たりの 200 円(35,000 個単位当たり)となっている。

■ IC タグ

■ IC タグ装着具

■ パソコン

■ ハンディターミナル

■ ハンディターミナルとパソコンを繋ぐ情報伝送装置

パソコン ハンディターミナル ハンディターミナルとパソコンを繋ぐ情報伝送装置 2 台

IC タグ装着具 IC タグ

ハンディターミナル IC タグ装着具 IC タグ パソコン

ハンディターミナルとパソコンを繋ぐ情報伝送装置 2 台

写真 7:IC タグの装着の様子 写真 8:装着済みの IC タグ 写真 9:必要電子機器 (耳の内側に付いているのが IC タグ、

外側部分は押え具)

2.4.1.3 消費者による情報確認

上記の養豚場で飼育された豚は、加工工場で精肉となり小売店を経て消費者へと流通する。小売店 で購入される精肉のパッケージには小売店がホームページアドレスと生産履歴確認番号を印刷して いる。消費者は、パソコンを使ってこのホームページにアクセスし、所定の欄に生産履歴確認番をイ

ンプットすると、購入した豚肉の生産管理者名、飼育施設所在地、成年月日、と殺年月日などの「生 産情報」と餌の種類や使用した薬剤などに関する「飼料給餌情報」を閲覧することが出来る。ただし、

このシステムが利用できるのは、「生産情報公表豚肉」の JAS 規格認証を取得している「認定小分け 業者」によって小売販売されたものに限られる。

このように生産情報、飼料給餌情報を消費者に公表することは、消費者に対して安心と安全をアピ ールすることで消費者の「食」に対する信頼を図ることが目的となっている。更に養豚場としては、

個々の豚の肉質と生産情報・飼料給餌情報との関連性から、肉質の改良に役立つ飼育方法に関する情 報を得られるメリットがあるとしている。

2.4.2 二次元バーコードの利用状況調査

バーコードが横方向のみに情報を持っているのに対して、二次元バーコードは縦横方向に情報を持 っており、情報量が多い。それぞれの一般的な形を示すと次のとおりである。

バーコード 二次元バーコード 図 2.6 バーコードと二次元バーコード

二次元バーコードを使っている事例としては、生鮮野菜、牡蠣及びシジミのトレーサビリティなら びに食品製造工場の原材料管理などがみられた。生鮮野菜と牡蠣についてはスーパーで商品を購入し、

二次元バーコード判読機能付き携帯電話を用いて実際に情報を検索した。シジミについては二次元バ ーコードを発行している現場へ行き、利用状況を調査した。

2.4.2.1 概況

(1)生鮮野菜と牡蠣の二次元バーコード

東京都内のスーパーで二次元バーコードがパッケージに印刷されたジャガイモと牡蠣を購入した。

ジャガイモのパッケージには、スーパー自体が運営している二次元バーコードが印刷されている。こ のスーパーでは様々な野菜のパッケージに二次元バーコードを付いている。牡蠣の方は中間業者が運 営しているものである。

二次元バーコード判読機能付き携帯電話を用いてコードをスキャンするとジャガイモの場合も牡 蠣の場合もホームページアドレスが画面に表示される。携帯電話でそのホームページにアクセスする とジャガイモの場合は生産者の名前、顔写真、生産地名、品種名、生産管理した農業協同組合名とそ の住所と電話番号などが表示される。牡蠣の場合は、ホームページにアクセスした後にパッケージに 記載されているロット番号を所定の欄にインプットすると生産者名、生産海域名、加工年月日などが 表示される。

これらは産地、生産者などを明らかにすることで消費者の安心感を得て、購買の拡大を計ることを 目的にしていると思われる。

(2)シジミの二次元バーコード

シジミに使われている二次元バーコードは、漁業協同組合が中心となって外国産シジミの産地偽装 による被害に対処するために運用されているものである。シジミ生産者である漁協組合員と仲卸業者 とを含めた三者がこのシステムに参加している。

シジミのパッケージには二次元バーコードを印刷したラベルが貼り付けられ、これを二次元バーコ ード判読機能付き携帯電話でスキャンするとホームページアドレスが画面に表示される。携帯電話で そのホームページにアクセスすると生産者の名前、顔写真、生産地名、漁業協同組合の住所と電話番 号、仲卸業者名、シジミを入札した年月日などが表示される。

生産者から消費者までのシジミと二次元バーコードの付いたラベルの流れを示すと次図のとおり である。

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