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日・インドネシア

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日・インドネシア

違法伐採対策協力アクションプラン推進事業

報告書

(第一年度)

平成 18 年 3 月

社団法人 日本森林技術協会

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まえがき 2003 年 6 月に日本とインドネシアの両国間で違法伐採対策のための協力に関する「共同発表」 及び「アクションプラン」が署名、公表され、このアクションプランに基づき木材輸出国におい て導入可能な木材トレーサビリティ技術を開発することとされました。 このため、林野庁は平成 17 年度から 3 ヵ年間の計画で「日・インドネシア違法伐採対策協力ア クションプラン推進事業」を国の補助事業として創設し、この事業について社団法人日本森林技 術協会が実行することとなりました。 当協会では、本事業を適正に推進するため、学識経験者、林業団体、木材・木製品輸入業者関 連団体及び環境 NGO の関係者により構成する検討委員会を設置しました。 今年度は初年度として既存資料の収集などの準備作業に始まり、インドネシアにおける木材伐 採・搬出の現状調査、日本国内におけるトレーサビィティの現状調査を行い、次年度に予定され る実証調査の方向性について取りまとめました。 また、この間、3 回の検討委員会を開催し、委員の皆様に調査の方向性、調査内容の取りまと めなどについて意見を頂いてきたところです。 この報告書は、上記の調査及び検討委員会の結果を踏まえ、今年度の事業結果を取りまとめた ものです。林野庁、インドネシア国林業省をはじめ、検討委員会の各委員、インドネシアの関係 団体の皆様他、ご協力を頂いた方々に厚くお礼を申し上げます。 平成 18 年 3 月 社団法人日本森林技術協会 理事長 根橋達三

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目 次

はじめに 略語一欄 第1章 業務の概要 1.1 事業の背景と目的...1 1.2 検討委員会の設置...1 1.3 トラッキングツール開発に関する基本構想...1 1.4 第1年次に実施した業務の概要...3 第2章 調査結果 2.1 インドネシアの木材生産と対日貿易...6 2.2 違法伐採対策の現状...7 2.2.1 インドネシアの違法伐採対策関連の政策と法制度...7 2.2.2 関係国における違法伐採対策...12 2.2.3 トラッキングツール開発に関する NGO 等の活動...15 2.3 インドネシアに現状調査結果...16 2.4 日本国内における現状調査結果...26 第3章 実証調査の方針 3.1 トラッキングツールの比較と選定...34 3.2 トラッキングツールに入れる情報...35 3.3 実証調査の課題...38 巻末資料 1.検討委員会議事概要 2.違法伐採対策に係るインドネシアにおける関連法令 3.インドネシアの林産物取扱に関する法令及び関連様式 4.丸太搬出状況の取りまとめ表 別冊:インドネシアにおける丸太搬出状況調査報告書

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AFP Asia Forest Partnership アジア森林パートナーシップ ASEAN Association of Southeast Asian Nations 東南アジア諸国連合 CoC Chain of Custody 加工・流通過程の管理 EU The European Union 欧州連合

FoE Friends of the Earth 国際環境NGO FSC Forest Stewardship Council 森林管理協議会 IC Integrated Circuit 集積回路 ID Identification 識別

JAS Japanese Agricultural Standard 日本農林規格

LEI Lembaga Ekolabel Indonesia インドネシア・エコラベル協会 PET Polyethlene Telephthalate ポリエチレン・テレフタレート QR Quick Response 高速読み取りの意味 RFID Radio Frequency Identification 無線認証

SGS Société Genérale de Suveillance 登録審査機関の一つ(本部スイス) SW Smart Wood 森林認証機関の一つ(本部米国) TNC The Nature Conservancy 米国環境NGO

TÜV Technisher Überwachungs-Verein 登録審査機関の一つ(本部ドイツ) UK United Kingdam 英国

URL Uniform Resource Location インターネットにおける情報の住所 USAID United States Agency for Internacional Development 米国国際開発庁

WWF World Wide Fund for Nature 世界野生生物基金

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第1章 業務の概要

1.1 事業の背景と目的 国際社会において違法伐採問題への早急な対策が求められているなか、2003 年 6 月に日本政府は インドネシアとの間で違法伐採対策のための協力に関する「共同発表」、「アクションプラン」を策定 し、公表したところであり、同アクションプランに基づき具体的な違法伐採対策を推進する必要があ る。 同アクションプランでは、輸入木材の合法性を確認するため、①伐採段階における合法性確認技術、 ②衛星情報等を活用した伐採監視技術、③流通・加工過程における木材トレーサビィティ技術、の技 術開発を行うこととしている。このうち、①については、アジア森林パートナーシップの枠組みにお いて、合法性の確認のために必要とされる基準・指標の検討が関係各国の間で進められている。②に ついては「輸入木材の輸入先国における森林現況把握事業」において必要な技術の開発が見込まれて いる。 そのようななか、③についても早急に技術開発に着手する必要があり、「木材輸出国において導入 可能な木材トレーサビィティ技術の開発を行う」、ということが背景となっている。 本事業は、このような背景の下、同アクションプランの短期協力項目のうち、協力分野1の第 3 の第 2 項に基づき、伐採現場から第 1 次加工施設までの間で適用可能な木材トラッキングツールの 開発を目的としている。 1.2 検討委員会の設置 上記の目的に沿って本事業が適正に実施されるよう調査の方針及び実施方法、報告書のとりまとめ 等について検討するため、表 1.1 のメンバーによる検討委員会を設置した。 表 1.1 検討委員会委員 区分 氏名 現職 委員 近江克幸 日本合板工業組合連合会 専務理事 委員 大橋泰啓 日本木材輸入協会 専務理事 委員 岡崎時春 FoE ジャパン 代表理事 委員 角谷宏ニ (社)全国木材組合連合会 常務理事 委員(座長) 小林紀之 日本大学大学院法務研究科 教授 委員 藤間剛 森林総合研究所 企画調整部 上席研究官 委員 前澤英士 WWF ジャパン 自然保護室 次長 注)委員の配列は、氏名の五十音順である。 1.3 トラッキングツール開発に関する基本構想 本事業では、木材トラッキングツールを開発し、その利用により木材出所の確認、木材搬出量の時

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点管理等を強化すること想定しており、このような木材輸送のモニター強化により違法伐採対策に寄 与しようとするものである。 これらの現状を踏まえ、本事業におけるトラッキングツールの開発に関する基本構想の概要をまと めると次のとおりである。なお、本事業ではツールの開発における技術的側面に焦点を当てている。 アクションプランの関係部分の抜粋 (全木連の URL から抜粋) 協力分野 1 インドネシアと日本の全土を通じて、インドネシア から直接、間接に輸入される木材・木製品のために、 適用される合法性確認システムの開発、試験及び実 施 短期活動 3 伐採地における合法性確認システムの開発 短期活動 3 の 2 項 ラベリングに関する技術的課題の検討 トラッキングツールの開発に関する基本構想 現状分析 違法伐採に関する国際的な取り組み インドネシアにおける取り組みと課題 ・国際的な森林環境の保全、森林資源の有効利用 等に関する取り組みの下、日・インドネシア間 で違法伐採対策のためのアクションプランを 締結。 ・AFP、ASEAN 等の国家間の協調とともに、WWF、 FoE、TNC 等の NGO による違法伐採対策の積極 的な推進。 ・TNC と WWF は、バーコードシステムをインドネ シア国内で開発中。 ・中央及び地方政府が関係制度を整備しつつある が、生産・流通確認システムの一貫性等に欠け、 十分には機能していないとの指摘。 ・合法性認証システムが発足しているが、書類審 査に止まるため信頼性に欠けるとの指摘。 ・森林管理認証が、十分には普及していないとの 指摘。 対応:合法性確認を改善・助長するため、木材の流通トラッキングツールの開発が重要 開発の前提 ・ 伐採現場から加工工場にいたるまでの間の丸太生産流通の確認が基本的に必要 ・ 伐採許可、木材流通に関する制度に基づくチエックポイントの所在と確認方法 ・ ツールを木材に貼付しうる物理的強度、耐水性、記録保持性の確保 ・ ツールの記録内容(コンセッションの所在、伐採者、伐採時期等)と記録方法 ・ インドネシア国内での調達が可能であり、妥当な価格の見込み ・ 既存ツールをベースツールとした合理的な実施 制約 リスク ・ベースツールの特許と開発成果の帰属 ・インドネシアの木材利用、電子機器の取り扱 いに関する現行関連制度との整合 ・ツール使用の制度整備は、インドネシアの主 権に属する事項 ・開発ツールが実効を上げるには、インドネシア 政府、木材業界、貿易関係者、NGO 等の理解と 体制整備が必要 開発のステップと成果 1 ツールの選択 上記の前提、制約、リスクを踏まえ、伐採現場から一次加工工場にいたる間のトラッキングについてベース ツールを選択。 2 ベースツールの改良 日本国内又はインドネシアにおいて、ベースツールと関連ソフトを改良し、実地試験。 3 開発成果 さらに、インドネシア国内で実証試験を行い、①ツール、②データ書き込み器機、③データ読み取り器機、 ④ソフトウエア一式を完成させる。

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1.4 第1年度に実施した業務の概要 第1年度に実施した業務の流れは、次図に示すとおりである。 準備作業 第 1 回検討委員会 インドネシアにおける現状調査 第 2 回検討委員会 日本国内における現状調査 第 3 回検討委員会 第1年度報告書作成 図 1.1 第1年度作業の流れ 第 1 年度の作業の流れに沿って、その概要を示すと次のとおりである。 1.4.1 準備作業 本事業の開始により第 1 回検討委員会に向けて、次の項目について関連資料及び情報の収集を行っ た。 „ インドネシアの木材生産と対日貿易 „ 違法伐採対策の現状 詳細については、それぞれ第 2 章-1 と第 2 章-2 のとおりである。 1.4.2 検討委員会の開催 第1 年度には、下記の要領で 3 回の検討委員会を開催した。各委員会の議事概要は巻末資料 1 に 示すとおりである。 第 1 回検討委員会 日時:平成 17 年 5 月 30 日(月) 場所:社団法人日本森林技術協会 5 階会議室 議題:1.検討委員会の設置 2.インドネシア国における木材生産と日本の輸入

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3.違法伐採対策の現状 4.トラッキングツールの開発の現状 第 2 回検討委員会 日時:平成 17 年 10 月 17 日(月) 場所:社団法人日本森林技術協会 2 階会議室 議題:1.インドネシアにおける木材伐採搬出の現状調査報告 2.今後の方針 第 3 回検討委員会 日時:平成 18 年 2 月 1 日(水) 場所:社団法人日本森林技術協会 5 階会議室 議題:1.日本国内におけるトレーサビレティ現状調査報告 2.実証調査の方針 1.4.3 現状調査 第 1 年度においては、インドネシアにおける木材伐採搬出の現状と日本国内におけるトレーサビレ ティ等の現状について調査した。 1.4.3.1 インドネシアにおける現状調査 この調査においては、東カリマンタン州(ボルネオ島)とリヤウ州(スマトラ島)においてそれぞ れ1箇所のコンセッションについて当協会が直接調査し、現地の木材伐採搬出状況を確認した。 その後、インドネシアの林業状況に詳しい下記の現地コンサルタントに調査を委託し、新たに 7 箇所のコンセッションについて木材伐採搬出の状況を調査した。このことによって、短期間に詳細な 情報を数多く収集することができた。現地コンサルタントから提出された報告書は別冊のとおりであ る。調査結果については、第 2 章-3 に示すとおりである。 „ コンサルタントに関する事項

・コンサルタント名 :インドネシア・エコラベル協会(Lembaga Ekolabel Indonesia:LEI) ・住所 :JI. Taman Malabar No.18 Bogor 16151 Indonesia

・代表者 :Mr. Taufiq Alimi ・電話番号 :+62-251-340744

„ 調査したコンセッションに関する事項

当協会で調査した 2 箇所と委託により調査した 7 箇所の事業者の名前とコンセッションの所在地は 次表のとおりである。

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表 1.2 調査したコンセッション

事業者名 コンセッションの所在地

1 PT. Intracawood Manufacturing(IWM) East Kalimantan 州 2 PT. Karya Lestari(KL) East Kalimantan 州 3 PT. Puji Sempurna Raharja(PSR) East Kalimantan 州 4 PT. Sarang Sapta Purta(SSR) Central Kalimantan 州 5 PT. Daya Sakti Krida Unggul(DSKU) Central Kalimantan 州 6 PT. Dwimajaya Utama(DU) Central Kalimantan 州 7 PT. Gaung Satyagraha Agrindo(GSA) Central Kalimantan 州 8 PT. Balikpapan Forest Industries(BFI) East Kalimantan 州 9 PT. Diamond Raya Timber(DRT) Riau 州

注)1-7 が LEI による調査、8,9 は当協会による調査。 1.4.3.2 日本国内における現状調査 この調査に関しては、出版物による研究、関連ツールの展示会での情報収集、インターネットから の文献収集、関連団体・企業からの聞き取り調査、生鮮食料品小売店における調査に加え、次の 4 点についてツールの使用状況を調査した。調査結果は、第 2 章-4 に示すとおりである。 „ 秋田県内養豚場における IC タグの利用状況 „ 青森県内漁業協同組合における二次元バーコードの利用状況 „ 東京港に入っている輸入材に付いているラベルの利用状況 „ 国有林と民有林 1.4.4 報告書の作成 第 1 年度の報告書は、3 回の検討委員会に提出した資料を基に、日本語版報告書、英語版報告書を それぞれ作成した。

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第2章 調査結果

2.1 インドネシアの木材生産と対日貿易 2.1.1 木材生産と違法伐採 インドネシアの木材生産量は、インドネシア林業省生産総局の資料によると表 2.1 に示すとおりで ある。 表 2.1 インドネシア国木材生産量 (単位:千m3 年次 丸太 製材 合板 単板 摘 要 2004 13,424 433 4,514 155 2004 年 1 月-12 月 2003 10,086 763 6,111 289 2003 年 1 月-12 月 2002 8,660 623 1,694 4,361 2002 年 1 月-12 月 2001 10,051 675 2,101 94 2001 年 1 月-12 月 2000 13,798 2,790 4,443 669 2000 年 4 月-12 月 1999 20,620 2,060 4,612 1,034 1999 年 4 月-2000 年 3 月 1998 19,027 2,707 7,155 1,315 1998 年 4 月-1999 年 3 月 1997 29,520 2,613 6,710 1,129 1997 年 4 月-1998 年 3 月 出典:インドネシア林業省生産総局資料から作成 しかし、次の二つの資料にあるとおり、公式伐採量に比べ多量の違法伐採量があると言われている。 資料 1 Mujadi AT氏(2000 年)によれば、インドネシア国内消費分に関して、1997 年度の丸太の消費量は 約 8,650 万m3であったのに対し、公式な伐採量は約 3,000 万m3であり、古紙再生利用は丸太換算 で約 1,550 万m3であり、この不足の差である約 4,100 万m3が違法伐採や公式に記録されない伐採 によってもたらされていると推測されている。1998 年度の違法伐採量は約 5,700 万m3とも推計さ れている。これらは、公式な伐採許可量を大きく上回り、1998 年(公式伐採量の約 1,900 万m3 を見ると約 3 倍に相当する。(「違法伐採問題検討報告書 平成 14 年 3 月 社団法人全国木材組 合連合会」より引用) 資料2 不法伐採量の推定値は、年間 2,500 万~5,700 万立米と、大きな幅がある。これはインドネシア の木材生産量全体の 52%~70%にあたる。(「インドネシアでの不法伐採との闘い Executive Summary (WWF-Indoneshia)社団法人全国木材組合連合会 URL より引用)」

違法伐採としては、下記のような種々のケースがあるといわれる。

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„ 森林事業権所持者による年間許容伐採量を超える過剰伐採 „ 伐採禁止区域での伐採 „ 事業対象地外での伐採 „ 図面・調査等の不備からの誤伐 „ 年間許容伐採量内であるが税金逃れのために過小申告された伐採 なお、違法伐採取締りにより摘発されたもののほとんどは、合法的に承認された文書(合法林産物 証明書:SKSHH)を木材の輸送・流通の際に所持していないものであったと報告されている。 2.1.2 日本のインドネシア材輸入 2.1.2.1 日本のインドネシア材の輸入量 インドネシアから木製品の輸入量は、表 2.2 のとおり年間 2 百数十万m3である。輸入品の大部分は 合板である。インドネシアは 2003 年以降丸太の輸出を禁止しているため、丸太は近年輸入されてい ない。 表 2.2 日本のインドネシアからの木製品の輸入量 (単位:千m3 年次 丸太 製材 合板 その他 2004 0 174 2,253 - 2003 0 314 2,105 - 2002 8 342 2,563 - 2001 168 342 2,504 - 2000 46 351 2,629 - 出典:財務省「貿易統計」から作成 2.1.2.2 日本が輸入する木製品にインドネシア産が占める割合 日本が輸入する木製品輸入額に占めるインドネシア産の比率は、表 2.3 に示すとおりである。木製 品総額に占めるインドネシア産の比率は概ね 12~13%である。丸太は 2002 年まで少量が輸入されて いたが、2003 年以降インドネシアからの輸入はない。製材は数%、合板は 50 数%がインドネシアか らの輸入となっている。 表 2.3 日本が輸入する木製品でインドネシア産の占める割合 (単位:%) 年次 木製品全体 丸太 製材 合板 2004 12.3 0 3.0 52.8 2003 11.7 0 5.6 51.9 2002 13.2 0.0 6.0 56.1 2001 12.8 1.4 5.8 56.3 2000 13.2 0.4 5.7 58.3 出典:財務省「貿易統計」から作成 2.2 違法伐採対策の現状 2.2.1 インドネシアの違法伐採対策関連の政策と法制度

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2.2.1.1 違法伐採及び違法伐採木の流通に対する措置 インドネシア国の違法伐採対策は次の 3 つを軸として行われている。 <なお、本文及び巻末資料におけるインドネシア大統領令、大臣令等のインドネシア語からの日本 語への翻訳は、調査の必要上、当協会において作成した仮訳である。> (1)「インドネシア共和国全地域における森林地域での違法な木材伐採とその流通の撲滅について」 (2005 年 3 月 18 日付け大統領令 2005 年第 4 号)・・・巻末資料 2.1 参照。 (2) 「港湾を経由する木材輸送の監督について」(2003 年 1 月 22 日付け運輸大臣令(KM3/2003)、林 業大臣令(22/KPTS-II/2003)及び商工大臣令(33/MPP/Kep/1/2003)・・・巻末資料 2.2 参照。 (3) 「 木 材 産 業 活 性 化 機 構 (BRIK) の 設 置 に つ い て 」 (2002 年 12 月 13 日 付 け 商 工 大 臣 令 (803/MPP/Kep/12/2002)及び林業大臣令(10267/Kpts-II/2002)・・・ 巻末資料 2.3 参照。 上記(3)は、(2004 年 9 月 3 日付け商工大臣令(495.1/MPP/Keps/9/2004)及び林業大臣令 (SK.335.1/Menhut-I/2004)において一部変更された。・・・巻末資料 2.4 参照。 それぞれの法令等の中で主な事項は次のとおりである。 (1)「インドネシア共和国全地域における森林地域での違法な木材伐採とその流通の撲滅について」 この大統領令は、「レーサー生態系地域及びタンジュンプテイン国立公園における違法伐採及び違 法林産物流通撲滅について」(2001 年 4 月 19 日付け大統領令 2001 年第 5 号)を全面改定したもの である。 このなかで、林業大臣に実施を求められていることは次の事項である。 a 情報、予防、制圧及び法務作戦を通じて現行法令規則に基づき、実行者に対し関係する機関 とともに警察と検事局との協力により法律適用を強化すること。 b 森林地域での違法な木材伐採及びその流通の撲滅活動において功績のある者に対して、奨励 策を確保し与えること。 c 森林地域での違法な木材伐採及びその流通活動に巻き込まれたと思われる個人に対し、抑制 と予防策の実施を検事総長に対し提唱すること。 (2)「港湾を経由する木材輸送の監督について」 この共同大臣令の第 4 条において木材輸送の監視は次のように行われることとなっている。 A.積出港において積まれる木材の監視は、次のように行われる。 a 木材は港湾地域に入って積載されるとき又は船舶に積込み作業が実施されようとするとき、 木材所有者あるいは木材所有者により指示された荷卸業者は、承認検査のため、地方林業職 員に対して SKSHH(合法林産物証明書)及び DHH(林産物一覧表)の原本(1 枚目及び 2 枚目) を提示しなければならない。 b 地方林業職員は、書類の公認と木材の形量(樹種、寸法・材積及び数量)の適合性について 検査する。 c この中で付随する書類と木材形量に不適合部分があれば、地方林業職員は港湾管理者(港湾

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事務所長)のもとで、現行規定に適合する手続きとる。 B.目的地の港湾における荷卸しの監視は、次のように実施される。 a 積荷の荷卸が行われる前に船主あるいは関係する航海事業者は、書類の合法性及び木材形量 (樹種、寸法、材積及び数量)の適合性についての検査のために、SKSHH 及び DHH の原本を 地方林業職員に提示しなければならい。 b 書類と適合するとされた木材は、船舶上で荷姿を解くことができる。 c この中で付随する書類と木材形量に不適合部分があれば、地方林業職員は港湾管理者(港湾 事務所長)のもとでの現行決定に適合する手続きと措置を引続き行う。 C.登録木材取引業者(PKAPT)の登録及び島嶼間の木材取引の活動は次により実施する。 a 島嶼間の木材取引業者は、商工大臣に対して登録木材取引業者として承認を求めなければな らない。 b 登録木材取引業者は、国内商業総局長に対して島嶼間の木材取引の実施の月例報告を行わな ければならない。 c 登録木材取引業者は、SKSHH の写しを夫々の船積みの元地と目的地の県長・市長に提出しなけ ればならない。 d 県長・市長は、島嶼間の木材取引の実施の月例報告を国内商業総局長対して提出しなければ ならない。 (3)「木材産業活性化機構(BRIK)の設置について」 林業大臣と商工大臣の共同大臣令により取締り及び規制を強化し、木材の伐採から流通までをコ ントロールしようとするものである。活動内容は、持続可能な森林を実現するための支援、木材加 工産業に対し持続可能な原材料の供給、事業を興し雇用機会の創出にある。BRIK の業務は次のとお りである。 A.木材産業活性化機構の理事者は次の事項を職務とする。 a アクションプランの策定と実施 b 定款と規程に定める機能と事業手順の策定 B.木材産業活性化機構の会員は林産業者から成る。 C.第 2 の高級権威者である機構の理事者は、同意と認証を得るために職務成果をできるだけ早く (この大臣令が公布されてから 1 ケ月以内に)商工大臣と林業大臣に報告する。 D.木材産業活性化機構の理事者は、この大臣令が公布されてから遅くとも 2 年後に全国から関係 者を集めたワークショップを開催する。 2.2.1.2 林産物の輸送に係る書類及び検査 林産物の輸送に係る書類及び検査方法等については、次の林業大臣令によって詳細に規定されて いる。 「林産物取扱規則」(2003 年 4 月 4 日付け林業大臣令 126/KPTS-II/2003:2005 年 7 月 13 日林業 大臣規則 P.18/Menhut-II/2005 により一部追加改正)・・・巻末資料 3.1 参照 (1) 林産物に関する書式

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林産物の一覧表作成に関する書式は、同規則の付属資料Ⅰに定められている。本事業に関連性の高 い書式としては次の 6 種があげられる。これらの書式については、巻末資料 3.2~3.7 に日本語版、 インドネシア語版及び現地で作成された実例を示す。 „ 年次伐採作業区域立木調査報告書(LHC-BK) „ 伐採作業区各立木調査報告書(LHC-PK) „ 丸太計測野帳(BU-KB) „ 丸太伐採報告書(LHP-KB) „ 丸太林産物一覧表(DHH-KB) „ 合法林産物証明書(SKSHH) (2) 林産物検査方法 林産物検査方法については、同規則の付属資料Ⅲ(巻末資料 3.8 参照)に定められている。 (3) 極印 林産物の合法性証明として極印が用いられており、同規則の附属資料Ⅴに極印の様式(巻末資料 3.9 参照)が定められている。 2.2.1.3 その他の関連法令規則等 林産物生産・流通に関しては以下の法令規則等がある。 (1) 「林業省印刷業務及びスタンプ業務管理指針」(2005 年 7 月 8 日、林業大臣規則第 16 号) (2) 「法務作戦において摘発、差押さえ及び押収した木材林産物の計量方法について」(2005 年 4 月 4 日、林業大臣規則第 9 号) (3) 「摘発、差押さえ及び押収林産物に対する競売実行指針」(2005 年 1 月 13 日、林業大臣規則第 2 号) (4) 「木材闘争作戦実施についての林業省自然保護総局と国家警察作戦部との共同取決め(2001 年 12 月 27 日、林業省自然保護総局 No.1342、国家警察作戦部 No.Pol B/01) (5) 「木材海上作戦の実施について林業省自然保護総局と海軍との共同取決め(2001 年 12 月 27 日、 林業省自然保護総局 No.1341、海軍 No.TNI/AL R/766) (6)「森林資源手数料賦課、徴収、支払い及び納入方法についての技術指針」(2003 年 12 月 29 日、 林業大臣令第 124 号;(2003 年 4 月 4 日、変更:林業大臣令第 445 号) (7) 「ジャワ地域における州での国営林業公社(PERHUTANI)作業地域から生産される林産物取扱に ついて」(2003 年 4 月 4 日、林業大臣令第 127 号) (8) 「インドネシアにおける林産物計量・検査について」(2003 年 3 月 12 日、林業大臣令第 87 号) (9) 「一次木材林産物業に対する基準と評価方法について」(2002 年 7 月 12 日付け林業大臣令第 6884 号) (10) 「木材林産物利用事業許可延長手続きと条件について」(2002 年 7 月 12 日、林業大臣令第 6885 号) (11) 「生産林における林産物徴収許可付与の指針と手続きについて」(2002 年 7 月 12 日、林業大臣 令第 6886 号) (12) 「林産物利用事業許可、林産物採取許可及び一次林産物業許可違反に対する行政処分の取扱法

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について」(2002 年 7 月 12 日、林業大臣令第 6887 号) (13) 「森林業務並びに森林管理計画策定、森林利用及び森林地域使用について」(2002 年 7 月 8 日、 政令第 34 号) 2.2.1.4 違法伐採対策のための関係組織 違法伐採に関連する組織は次のとおりである。 (1) 林業省 林業省内では、次の林業大臣令により生産総局(DJBPK)と自然保護総局(DJPHKA)が、主に違法伐採 対策に関わっている。 「林業省組織及び業務分掌」(最終改定 2004 年 8 月 13 日、林業大臣令第 307 号 SK307/Menhut-II/2004) による。) A.生産総局(DJBPK) 林業大臣令第 307 号第 6 章に基づき、林産物の生産及び流通に関する業務を行うこととなってお り、次の部局が担当している。

林業賦課金・林産物流通局(Direktorat Bina Iuran dan Peredaran Hasil Hutan) „ 林産物流通課(Sub-direktorat Peredaran Hasil Hutan)

・合法林産物証明係(Seksi Tanda Legalitas Hasil Hutan) „ 違法林産物規制課(Sub-direktorat Penertiban Hasil Ilegal)

・違法林産物競売係(Seksi Administrasi Penerimaan Hasil Lelang) ・監視係(Seksi Pemantauan)

更に、全国 17 ヶ所に「林産物認証検査官事務所(BSPHH)」が置かれている。

B.自然保護総局(DJPHKA)

林業大臣令第 307 号第 4 章に基づき、森林保護、自然保護、野生動植物保護等の業務を行ってお り、森林窃盗、違法行為取締り等の業務は次の部局が担当している。

森林保護局(Direktorat Perlindungan Hutan) „ 森林保安課(Sub-direktorat Pengamanan Hutan)

・木材林産物保安係(Seksi Pengamanan Hasil Hutan Kayu)

„ 森林保護要員・装備課(Sub-direktorat Tenaga dan Sarana Perlindungan Hutan) ・要員係(Seksi Tenaga Perlindungan Hutan)

森林警察官(Polhut)、森林保安職員(TPHL)

・装備・施設係(Seksi Sarana dan Parasarana Perlindungan Hutan)

更に、全国 24 ヶ所の天然資源保護事務所(Balai KSDA)が置かれている。また、全国 23 ヶ所の国 立公園事務所(Balai TN)がある。

(2) 木材産業活性化機構(BRIK)

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ている。その目標とするところは、事業の持続性を実現するために、生産量と供給量のバランスを図 り、すべての木材産業が合法的な手段によって伐採された木材を使用することにある。 管理理事会(Dewan Pengawas)・・・6 名 実行委員会(Dewan Pengurus)・・・7 名 生産部(Bidang Produksi)・・・3 名 販売部(Bidang Pemasaran)・・・3 名

法規・組織部(Bidang Hukum dan Organisasi)・・・3 名

海外・住民関係部(Bibang Hubungan Luar Negeri dan Hubungan Masyarkat)・・・3 名

(3) インドネシア・エコラベル協会(Lembaga Ekolabel Indonesia:LEI)

1998 年 2 月に登録されたインドネシア国内の森林認証制度を実施する民間の団体(財団法人)で あり、同年 6 月から永久生産林管理(PHPL)の認証システムを実施している。認証森林からの林産物に 認証マーク(エコ・ラベル)を貼付し認証材の流通を目的としている。認証森林の進捗状況は表 2.4 のとおりである。 表 2.4 LEI による森林認証の進捗状況 (2006 年 2 月 20 日現在) 企 業 名 場 所 面積(ha) 審査機関 摘 要 PT. Diamond Raya Timber リアウ州

Rokan Hilir 県 90,957 SGS-UK LEI-FSC 枠組で認証済 PT.Uniseraya Riau 州 Bengkalis 県 - PT Mutuagung Lestari CoC 認証済 Hutan Rakyat Desa Selopuro

及び Desa Sumberejo 中部ジャワ州 Wonogiri 県 林産物 PT Mutuagung Lestari PHBML(住民による林産物管 理)認証済(2004.10.17) PT.Intraca Wood (Inhutani 合弁) 東カリマンタン州 Malinau 県 250,000 ス コ ー ピ ン グ まで TÜV&SW LEI-FSC 枠組で決定待ち (審査中)

PT.Tanjung Raya Intiga 中部カリマンタン 州 Barito Utara 県 及び Kapuas 県 95,000 45,000 PT.Mutu Agung Lestari & SW Panel Pakar I (専門審査員による審査段階) PT.Jati Dharma Indah Irian Jaya 州

Nabire 県

207,410 LEI & SW Panel Pakar I

(専門審査員による審査段階) PT.Wenag Sakti 北スラウェシ州 286,000 LEI & SW Panel Pakar I

(専門審査員による審査段階) PT.Inhutani I , Unit Labanan 東カリマンタン州 Berau 県 83,240 PT.Mutu Agung Lestari & SW LEI-FSC 枠組で決定待ち (審査中)

PT.Sari Bumi Kusuma 中部カリマンタン 州 Kotim 県 147,600 TÜV&SW 現地評価中 PT.Erna Djuliawati 中部カリマンタン 州 Waringin Timur 市 184,206 SGS 現地評価中 PT.Gunung Meranti 中部カリマンタン 州 Kapuas 県 95,265 PT.Mutu Agung Lestari & SW

Panel Pakar I(専門審査員に よる審査終了)

2.2.2 関係国における違法伐採対策

1998 年 5 月に英国で開催された G8 外相会合及び首脳会合において、世界の森林に関する行動計画 である「G8 森林行動プログラム」(違法伐採を含む 5 分野)が合意されて以来、違法伐採に対する国

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際的議論が活発化した。 この項では EU 諸国を中心に、近年の違法伐採に対する取り組みを概観する。 2.2.2.1 英国の取り組み 英国政府は、2000 年 7 月の環境大臣による木材調達に関する声明の発表以来、すべての公共事業 の木材調達に関して請負業者が木材が合法であることを証明しなくてはならないという木材調達方 針を示している。それが、環境食料農業省(DEFRA)が策定した「木材調達に関するアドバイスノー ト1(2004 年 1 月)」である。この中で①請負企業は政府に供給するすべての木材及び木材製品が合 法に伐採・取引されたものであることを担保すること、②これに合致しないいかなる入札は排除され ること、③請負企業は合法性に関する証拠を得なければならないこと、という方針を立てている。ま た、アドバイスノートの実施のために、政府担当部局及び木材供給者に対して木材調達に関する情報 を提供する「木材調達専門情報センター(CPET2」が設置された。この機関は政府、業界団体及びNGO の 3 者によって構成されている。 2002 年 4 月、インドネシア‐英国間で違法伐採に関する覚書3が締結された。これは、中国、ノル ウェー、日本などとインドネシアとの同様の二国間協定の先駆けとなった。2002 年 9 月には国際開 発省(DFID)によってUK’s Forest Law Enforcement and Governance(FLEG) Programmeが開始され た。このプログラムは、国内外の諸機関が違法伐採問題及び違法伐採材の国際貿易問題に取り組み、 違法伐採に関わる現状を改善促進することを目的としており、現在でも継続されている。違法伐採や 関連貿易に対する認識強化、英国、EU、G8 間での定期的な作業、違法伐採や関連貿易対策のための 技術、システム開発等が行われてきた。 英国においては、もともと企業がその社会的責任を果たす一環として、認証を受けた木材を購入す るなどの動きが盛んであった。その契機となったものは、1990 年代の NGO による熱帯木材購入反対 キャンペーンであった。英国政府が木材調達方針を示したことに対応して、木材貿易連合(TTF)は 会員企業が合法的かつ持続的森林管理が施されている森林からの木材製品を調達する責任を有する ことを明示した行動規範を策定した。木材貿易連合は、インドネシアにおける合法証明システム開発 のための Scoping Study を実施し、またその成果をもとに Common Auditing Framework という合法木 材という証明を受けた熱帯材を購入するための統一枠組みの構築を提唱している。

2002 年に結んだ覚書に基づいて、インドネシア林業省と TNC は共同で「木材の合法性基準(A Legality Standard for Timber Products from Indonesia)」を作成中である。英国は、米国(USAID) 及び米国の民間企業である「The Home Depo」と共にこの基準作りに資金提供をしている。

2.2.2.2 英国以外の EU 諸国の取り組み

英国以外の EU 諸国の木材調達に関する政策策定は、次表に示すとおりである。

1Timber Procurement Advance Note January 2004

2 Central Point of Expertise on Timber Procurment

3 Memorandum of Understanding between The Government of The Republic of Indonesia and The Government of Great Britain

and Northern Ireland on Cooperation to Improve Forest Law Enforcement and Governance and to Combat Illegal Logging and the International Trade in Illegally Logged Timber and Wood Products

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表 2.5 英国以外の EU 諸国の取り組 国 木材調達政策 デンマーク 熱帯材の調達に際しては、合法的かつ持続的管理をされた林産物とすること。 2003 年に発行されたガイドラインを 1、2 年のうちに見直す。 フランス 熱帯材のみならず全木材の調達に関して FSC 又はその他の制度の認証を受けたものであることを要求するという政策を 2002 年に発表した。現在ガイドラインを修正中である。 ドイツ 1970 年代にすでに公共事業計画で使用する熱帯材は、持続的に管理された森林からのもので あるとする法律があった。2003 年からさらにアプローチ等を拡大するため更新作業が始まっ た。 オランダ 持続的な森林から伐採された木材であることの指標などは存在していたが、現在“持続性” の定義のための作業を行っている。 2.2.2.3 EU としての取り組み 1998 年に行われたG8 外相会合で違法伐採が深刻な国際問題として取り上げられた。その後、2002 年 4 月にEuropean Commissionが国際ワークショップを開催し、そこでEUとして違法伐採撲滅に何が 出来るかが議論された。同年、持続的開発に関する世界サミットがヨハネスブルクで開かれEuropean Commissionが違法伐採、違法材の貿易撲滅に取り組むことが発表された。それを受けて、 EUは 2003 年 5 月に「森林法の施行・ガバナンス・貿易に関するEU行動計画(EU-FLEGT行動計画)4」を公表し、 行動計画は 2004 年 2 月に採択された。 FLEGT 行動計画には、生産国における合法性証明システム開発支援、ガバナンスの改善やキャパシ ティビルディング、違法材への需要を削減するための EU 内での対策が盛り込まれている。EU 内の対 策の一つとして生産国で輸出が許可された木材しか EU 内に流通させないという自主的なライセンス 枠組みが検討されている。

2005 年には EU Illegal Logging Project が開始された。パートナー国/機関は、オランダ、ベル ギー、英国、マレーシア木材協議会、東カリマンタン大学であり、対象国はインドネシア、マレーシ ア、ガボン、カメルーンである。このプロジェクトは 5 ヵ年計画であり、その目的は実践的支援によ り 183 の製材所及びコンセッションから認証を受けた合法材が供給されるようにすることである。ま た、木材の認証に際しては合法性に関する統一基準の設定や木材供給の透明性、アカウンタビリティ をモニタリングできるシステムの導入が求められる。方法としては、対象国のキャパシティ・ビルデ ィングと実践的木材トラッキング技術の開発、実用的なコードと合法性に関する情報の普及がある。 2.2.2.4 その他の取り組み

(1) Asia Forest Partnership (AFP)

AFP は 5 つの緊急課題へ取り組むことで森林の持続的管理の促進を目指している。課題の 1 つとし て“違法伐採のコントロール”が挙げられている。現在実施中の活動としては、①違法伐採に立ち向 かうイニシアティブ間の調和を図ること、②アジア太平洋地域の関係諸機関間での協力枠組みの構築、 ③合法性の最低基準の開発、木材追跡・管理システムの開発、認証システムの開発、である。①にお ける違法伐採に関わるイニシアティブとは Asia-FLEGT、the Pan-ASEAN Timber Certification

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Initiative、 ITTO などのことであり、それらの活動の協調を目指している。③に関しては、2005 年 3 月に CIFOR との共同による合法性基準開発に関する行動計画が策定されたばかりである。

(2) ASEAN

ASEAN 諸国での違法伐採、非持続的森林管理の問題が拡大するにつれ、木材市場はどこで、どのよ うに木材を調達するかを今まで以上に意識していくようになっている。このような需要に対応するた め、The Pan-ASEAN Forest Certification initiative が設置され活動している。

2.2.3 トラッキングツール開発に関する NGO 等の活動 木材の出所を明らかにする方法としては、木材の木口や幹にペンキによる記載やノミによる刻字、 あるいは刻印によるものなどが従来から行われてきたが、近年様々な電子技術を用いたツールが注目 されている。 次表は世銀/WWF によって取りまとめられたもので、立木、木材、加工品に付ける情報ラベル及び 木材輸送添付資料について、従来手法や電子技術ツールの適否を比較したものである。 表 2.6 ラベリング技術の比較

Label type Tree labels Log labels Processed

Wood labels Transport documentation Conventional paint

and chisel labels Suitable Suitable Not suitable Not suitable Branding hammers Not suitable Not suitable Not suitable Not suitable

Conventional labels Suitable Suitable Suitable Not suitable Nail-based labels Suitable Suitable Suitable Not suitable Magnetic stripe

cards Not suitable Not suitable Not suitable Suitable Smart cards Not suitable Not suitable Not suitable Suitable FRID labels Suitable Suitable Suitable Suitable Microtaggant

tracers Suitable Suitable for adding security to other labels or for tracking batches of logs

Suitable for adding security to other labels or for tracking batches

Not suitable Chemical tracer

paint Suitable Suitable for adding security to other labels or for tracking batches of logs

Suitable for adding security to other labels or for tracking batches Not suitable Chemical and genetic fingerprinting Suitable for individual tree fingerprinting Technology not sufficiently developed Technology not sufficiently developed Technology not sufficiently developed

出典:Technologies for Wood Tracking

Environment and Social Development East Asia and Pacific Region Discussion Paper for Technical Workshop on Log Tracking and Chain of Custody Systems

(World Bank/WWF) 2002

様々なラベルの中で、「RFID labels」は 4 項目が適(Suitable)と評価されており、「Conventional labels」は 3 項目が適と評価されている。

RFID は、Radio Frequency Identification の略称で日本語訳としては「無線認証」となっている が、一般的には「IC タグ」と呼ばれており、次に示すバーコードに比べ値段が高いという問題があ る。

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2.3 インドネシアにおける現状調査結果 などで広く活用されているものである。従来型のバーコードは、添付できる情報量が少ないため Transport documentation(木材輸送添付資料)としては不向きである。近年出回っている二次元バ ーコード(日本では QR コードという名称が一般的である)は、従来型バーコードと比べ次のような 特徴があり、木材輸送添付資料としての利用の可能性がある。 次図に示す 9 箇所のコンセッションにおいて、伐採地から工場までの各現場における作業、書類作 成、丸太への情報添付方法、情報の種類などについて実態を調査した。 インドネシアにおける木材の伐採搬出に係る丸太情報の伝達方法及び必要書類の作成については、 林産物取扱規則(No.126/KPTS-II/2003)に定められている。この規則の中で伐採地から工場までの 間の作業工程、必要書類、書類の検査員、丸太への情報添付の概要は次頁の表 2.7 のとおりである。 TNC によるインドネシアにおける実証調査は、違法伐採対策の一環として実施されており、伐区番 号、樹種、丸太のサイズなどの情報が検索できるようになっている。このラベルが添付されていると いうことが、基準伐採量内の木材であるか、適正に納税された木材であるかなど、合法性が確保され たものであるかを証明するものとは言えないものの、出所が不明な木材を無くす手法の一つとして位 置づけられている。 (財)日本木材総合情報センターによる実証調査は、品質確保法に関連して消費者からの木材クレ ームに対応できる遡及システム構築を目指し、産地表示、出荷者、品質などの情報伝達手法の確認を 主な目的として実施したものである。 木材追跡実証の事例としては、国内では 2003 年度に(財)日本木材総合情報センターによるもの、 インドネシアにおいては 2004 年に TNC によるものなどがある。両者ともに従来型のバーコードを用 いた実証試験である。 No. PT 1 IWM 2 KL 3 PSR 4 SSR 5 DSKU 6 DU 7 GSA 8 BFI 9 DRT ■ 従来型バーコードと違いマスターコンピューターに繋いでデータを検索する必要がない ■ 数十倍から数百倍の情報量を持つことが可能である ②③ ④ ⑤ ⑥ ⑦ ⑧ ⑨ ■Jakarta ① 左表事業者名は表 1.2 参照。 図 2.1 丸太搬出状況を調査したコンセッションの位置

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表 2.7 作成書類とその検査等 17 場所 作業 作成書類 提出部数 書類の承認者 丸太への情報添付 情報の種類 ・ 年次伐採作業区域立木調 査報告書(LHC-BK) ・ 4 部 ・ 州営林局長 伐採予定地 伐 採 予 定 木の特定 ・ 伐採作業区画立木調査報 告書(LHC-PK) ・ 4 部 ・ 州営林局長 伐採地 伐採 ・ 根株表面にノミによる刻字 ・ 年次伐採作業区画・区域 番号 ・ 立木番号 ・ 樹種名 ・ 伐採日 ・ 年次計画番号 山土場 玉 切 り と 計測 ・ 丸太計測野帳(BU-KB) ・ 1部 ・ 丸太へのノミによる刻字 ・ 伐採作業区画番号 ・ 丸太番号(=立木番号) ・ 樹種名 ・ 直径 ・ ・材長 ・ 丸太伐採報告書 (LHP-KB) ・ 5 部 ・ 県(市)営林局または州営林局の職員で ある伐採報告書承認職員(略称 P2LHP) ・ 丸太林産物一覧表 (DHH-KB) ・ 7 部 ・ 県(市)営林局または州営林局の職員で ある合法林産物証明書発行職員(略称 P2SKSHH) 林内貯木場 検査 ・ 合法林産物証明書 (SKSHH) ・ 7 部 ・ 同上 ・ 極印の打刻 工場貯木場 検査 ・ 合法林産物証明書の失効 ・ 同上 (注)林内貯木場における検査は、コンセッションが複数の県あるいは県と市にまたがっている場合には州営林局による検査が行なわれる。

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2.3.1 輸送経路と輸送手段 9 箇所のコンセッションから搬出される丸太の輸送経路は様々であるが,大別すると 4 種のパター ンが見られた。伐採地からコンセッション内の林内貯木場まではどの事例でも同じであるが、その先 が様々である。その状況を模式的に表すと次図のとおりである。 伐採地 山土場 林内貯木場 林外貯木場 工場貯木場 パターン 3 島外工場ヘ 第三者へ パターン 4 パターン 2 パターン 1 コンセッション 図 2.2 丸太輸送の経路パターン それぞれのパターンは次のとおりである。 ■ コンセッションから工場へ直接輸送されるもの:パターン 1 ■ 林外貯木場を経由して工場へ輸送されるもの:パターン 2 ■ 林外貯木場を経由して島外工場へ輸送されるもの:パターン 3 ■ 林外貯木場を経由して第 3 者へ販売されるもの:パターン 4 パターン 2 においては、更にもう 1 箇所の林外貯木場を経由するケースも含まれている。また、輸 送手段においては、現場の状況、材質などに応じて様々な方法が取られている。例えば、伐採地から 山土場まではスキッダーによる搬出が一般的であるが、湿地帯における場合は木馬が用いられている。 山土場から林内貯木場まではトレーラーが一般的であるが、トロッコを利用している事例も見られた。 林内貯木場からコンセッションの外へは陸上輸送の場合はトレーラー利用が多い。水上運搬では軽い 材質の丸太は筏輸送となり、重い材質の丸太は平底船によって輸送されている。島外への輸送には大 型の船舶が利用されているようである。輸送手段を図示すると次図のとおりである。

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・ トレーラー ・ 筏 ・ 平底船 ・ 筏 ・ 平底船 ・ 平底船 伐採地 山土場 林内貯木場 林外貯木場 工場貯木場 Pattern 3 島外工場ヘ 第三者へ Pattern 4 Pattern 2 Pattern 1 コンセッション ・ スキッダー ・ 木馬 ・ トレーラー ・ 筏 ・ 平底船 ・ 大型船 ・ トレーラー ・ トロッコ 図 2.3 丸太輸送手段 2.3.2 書類作成と丸太情報の添付 2.3.2.1 書類作成 伐採作業区画立木調査報告書(LHC-PK: 巻末資料 3.2 参照) 伐採に先立ち、その 2 年前に伐採を予定する樹木を特定して、その樹種名、胸高直径、枝下高など を調査するとともに伐採予定木に立木番号を付けることになっている。これらの情報を整理した伐採 作業区画立木調査報告書を作成しなければならない。 報告書への記載事項は次のとおりである。 年次・日付、事業者名、事業場所、事業面積、州名、県名(市名)、営林局名、立木番号、樹種名、 胸高直径、枝下高、材積、調査会社名、他 年次伐採作業区域立木調査報告書(LHC-BK: 巻末資料 3.3 参照) 上記の伐採作業区画立木調査報告書を合わせた年次伐採予定区域全体の年次伐採作業区域立木調 査報告書を作成しなければならない。上記の報告書とこの報告書を基に当局による審査を経て伐採許 可が得られる。 記載事項は次のとおりである。 年次・日付、事業者名、事業場所、事業面積、州名、県名(市名)、営林局名、樹種群別・径級別 の本数と材積、他

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丸太計測野帳(BU-KB:巻末資料 3.4 参照) 伐採された後、丸太は仮置場である山土場まで搬出されて玉切りされる。その後両木口の直径と材 長とが計測される。山土場ではこの丸太を計測しつつ丸太計測野帳を作成している。この野帳は丸太 が生産されるたびに日々作成することになっており、現場で手書きにより作成される。 記載事項は次のとおりである。 年次・日付、事業者名、伐採場所、丸太番号、樹種名、材長、直径(元口、末口、平均)、材積、 承認者名、他 丸太伐採報告書(LHP-KB:巻末資料 3.5 参照) 丸太計測野帳を基に丸太伐採報告書を作成する。この報告書は月中旬と月末の 2 回に分けて作成す ることとなっている。この報告書は、山土場の近くの事務所において作成されており、一部には林内 貯木場において作成されているケースもみられる。 記載事項は次のとおりである。 年次・日付、報告書番号、事業者名、伐採場所、丸太番号、樹種名、材長、直径(元口、末口、平 均)、材積、報告書作成者名、承認者名、他 丸太林産物一覧表(DHH-KB:巻末資料 3.6 参照) コンセッション外へ丸太を輸送する場合は、丸太林産物一覧表(DHH-KB)を携帯することとなってお り、林内貯木場において作成されている。この一覧表はタイプライターで作成することになっており、 手書きは認められない。また、次の合法林産物証明書(SKSHH)と対で携帯される必要があるため、 SKSHH と同じ 7 通作成される。 記載事項は次のとおりである。 事業者の名称・住所・電話番号、丸太林産物一覧表番号、作成日、州名、県(市)名、丸太伐採報 告書の番号とその作成日、丸太番号、樹種名、材長、平均直径、材積、承認者名、他 合法林産物証明書(SKSHH:巻末資料 3.7 参照) コンセッション外へ丸太を輸送する場合は、丸太林産物一覧表を携帯するともに丸太林産物一覧表 の概要を記した合法林産物証明書を携帯しなければならない。 林内貯木場においてこの証明書がタ イプライターによって 7 通作成されている。 記載事項は次のとおりである。 証明書番号、有効期間、輸送委託者名、輸送手段、丸太林産物一覧表番号、丸太林産物一覧表の概 要を示す丸太の合計本数、合計材積、輸送目的地、証明書発行職員名、他

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2.3.2.2 丸太情報の添付 事業者名 伐採年 伐採区画番号 立木番号 樹種名 胸高直径 伐採区画番号 立木番号 樹種名 伐採区画番号 立木番号 樹種名 伐採に先立ち、その 2 年前に伐採を予定する樹木を特定して、その樹種名、胸高 直径、枝下高などを調査するとともに伐採予定木に立木番号を付けることになっ ていることは前述のとおりである。伐採予定木への立木番号などの添付方法はビ ニールラベルに必要事項を記載して樹幹にホチキスで留めている。事例としては、 図 2.4 のようなミシン目が入っており容易に横方向 3 枚に切り分けることができ るラベル(横 6cm、縦 13cm)が見られた。この事例の場合は、最上段のラベルは 伐採後に伐根に付けられ、2 枚目は伐採された丸太に付けられる。最下段のラベ ルは伐採作業員が伐採作業の証拠として事業者に提出することになっている。 図 2.4 ラベルの例 9 箇所のコンセッションについての現状調査では、伐採地に残る伐根、伐採現場での丸太、山土場・ 林内貯木場・林外貯木場・工場貯木場での丸太について丸太情報が如何に添付されているかを確認し た。調査結果一覧は巻末資料 4 に示すとおりであり、その概要は次にとおりである。 伐根 伐採後の伐根には、9 例のうち 8 例でラベルが添付されていた。記載の内容は各社様々であるが、 各社に共通している事項は、伐採区画番号、立木番号、樹種名である。 伐採現場の丸太 伐採現場では、ラベルあるいはチョークによって丸太情報が添付されている。一般的には玉切りは 山土場で行われるが、現場の事情によっては長大な丸太をそのまま土場まで搬出できない場合がある。 そのときは伐採現場で玉切りした後に山土場まで搬出している。この場合には玉切りした元玉にはラ ベルを付け、2 番玉にはチョークで必要事項が記載されている。記載されている事項は、伐採区画番 号、立木番号、樹種名の 3 点である。 山土場の丸太 一般的に山土場で玉切りが行なわれ、両木口の直径、材長が測定される。情報添付方法はラベルを 用いている場合が多く、2 社でノミを併用している。ラベルは伐採現場で付けたラベルに替えて新た な物が付けられる。情報の種類は各社様々ではあるが、共通しているのは伐採区画番号、丸太番号、 樹種名、平均直径(両木口直径の平均)と材長の 5 点である。なお、ここで丸太番号というのは立木 番号と同じであるが、立木番号から丸太番号へと呼称を変えている。また、玉切りされた場合は、丸 太番号の末尾に元玉には A、2 番玉には B と追記することになっている。 山土場では両木口の直径と材長を測定しつつ丸太計測野帳が作成されるのは前項で述べたとおり である。 林内貯木場の丸太 山土場から林内貯木場へ輸送された丸太は、山土場で付けられたラベルをそのまま活かしている場

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合もあれば、新たにノミあるいはペンキによる方法に置き換えている場合も見られる。現場での聞き 取りでは、本来ノミによる記載が規則となっているものの、技術的な難しさと時間が掛かることから ラベルあるいはペンキを利用しているとのことである。記載する情報は山土場で記載された情報と同 じで、伐採区画番号、丸太番号、樹種名、平均直径と材長の 5 点である。 なお、林内貯木場では県(市)あるいは州営林局の検査官の検査を経て極印が押され、合法材とし ての印が付けられる。コンセッションが複数の県あるいは県と市にまたがっている場合は州営林局に よる検査が行なわれる。 林外貯木場の丸太 調査した 9 箇所のコンセッションのうち、林外貯木場を経由しているものは 6 コンセッションであ る。丸太情報の添付方法が林内貯木場で見た方法と違っているケースが見られ、複数の林内貯木場か らの材が搬入されているものと思われる。情報の種類は概ねどの林外貯木場も伐採区画番号、丸太番 号、樹種名、平均直径と材長の 5 点である。 工場貯木場の丸太 丸太が第 3 者に販売されているケース、島外の遠方へ輸送されているケース、工場への立ち入りが 認められなかったケースがあり、工場貯木場を見ることが出来たのは 5 箇所である。5 箇所のうち、 3 箇所が林内貯木場から直接来ており、2 箇所が林外貯木場を経由している。工場貯木場で確認され た丸太の情報は、様々ではあるものの共通事項は伐採区画番号、丸太番号、樹種名、平均直径と材長 の 5 点である。 以上の丸太情報の添付状況の概略を模式的に示すと、次図のとおりである。

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伐採地 山土場 林内貯木場 林外貯木場 工場貯木場 島外工場ヘ 第三者へ コンセッション ラベルによる ・伐採区画番号 ・立木番号 ・樹種名 ラベルあるいはチョークによる ・伐採区画番号 ・ 立木番号 ・ 樹種名 ラベルあるいはノミによる ・伐採区画番号 ・ 丸太番号 ・ 樹種名 ・ 平均直径 ・材長 極印 ラベル、ノミあるいはペンキによる ・伐採区画番号 ・ 丸太番号 ・ 樹種名 ・ 平均直径 ・材長 伐採地 山土場 林内貯木場 林外貯木場 工場貯木場 島外工場ヘ 第三者へ コンセッション ラベルによる ・伐採区画番号 ・立木番号 ・樹種名 ラベルあるいはチョークによる ・伐採区画番号 ・ 立木番号 ・ 樹種名 ラベルあるいはノミによる ・伐採区画番号 ・ 丸太番号 ・ 樹種名 ・ 平均直径 ・材長 極印 ラベル、ノミあるいはペンキによる ・伐採区画番号 ・ 丸太番号 ・ 樹種名 ・ 平均直径 ・材長 図 2.5 丸太の情報の添付場所、方法及び情報種類 調査したコンセッションのうち、伐採現場、山土場、林内貯木場におけるラベルの利用状況の事例 は次のとおりである。

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ラベル利用の事例

写真-2 伐根へのラベルの添付。 ・図 2.4 に示したラベルの最上段部分が貼られ ている。 写真-3 伐倒木へのラベルの添付。 ・図 2.4 に示したラベルの中断部分が貼られて いる。 写真-1 伐採予定木へのラベルの添付。 ・図 2.4 に示したラベルが貼られている。 ラベル ラベル ラベル 伐採予定木へのラベルの添付。 ・図 2.4 に示したラベルが貼られている。 ラベル 写真-2 伐根へのラベルの添付。 ・図 2.4 に示したラベルの最上段部分が貼られ ている。 ラベル 写真-3 伐倒木へのラベルの添付。 ・図 2.4 に示したラベルの中断部分が貼られて いる。 ラベル 写真-1

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写真-4 山土場での計測作業と丸太計測野帳の記入。 写真-4 山土場での計測作業と丸太計測野帳の記入。 写真-5 山土場で新しいラベルの添付。 情報内容 ・ 事業者名 ・ 伐採作業区画番号 ・ 丸太番号 ・ 元口直径、末口直径 ・ 材長 ・ 樹種名 (白チョークの文字は作業中のメモ) 写真-6 林内貯木場では山土場で貼られたラベルの内容を ペンキで転記。 ・ 樹種名 (白チョークの文字は作業中のメモ) 写真-6 林内貯木場では山土場で貼られたラベルの内容を ペンキで転記。 ・ 材長 ・ 元口直径、末口直径 ・ 丸太番号 ・ 伐採作業区画番号 ・ 事業者名 情報内容 山土場で新しいラベルの添付。 写真-5 事業者内部管理用ラベル 山土場で貼られたラベル 事業者内部管理用ラベル 山土場で貼られたラベル

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2.4 日本国内における現状調査結果

本章「2.2.3 トラッキングツール開発に関する NGO 等の活動」でみたとおり、木材輸送に関して ペンキやノミを使った従来方法や電子技術を使った新手法について、その適正が比較検討されている。 この比較検討を参考に本事業では丸太のトラッキングツールとして電子技術を用いた新手法を検討 することとした。

ツールとしては、表 2.6 にある「RFID labels」と「Conventional labels」が有望であると判断し、 この 2 種について活用状況を調査した。なお、本事業では、前者については一般的に使われている「IC タグ」と呼ぶこととした。また、後者はバーコードを指しているが、次のような点で二次元バーコー ドの方が高い利便性あると考えられるため、「二次元バーコード」を対象に調査した。 ■ バーコードに比べて添付できる情報量が多い。 ■ 傷が付いても判読できる。 ■ マスターコンピューターに繋いでデータを検索する必要がない。 インドネシアは丸太の輸出を禁止しているが、他の国における丸太情報のつけ方を見るために東京 港に入っている輸入丸太の状況を調査した。また、日本の林業における国有林と民有林についてトレ ーサビリティ関連の調査を行なった。 2.4.1 IC タグの利用状況調査 IC タグには、ボタン型、ラベル状、棒状、管状など様々な型と大きさがあり、またプラスチック、 紙、金属など材質も様々である。タグの中に IC チップとアンテナが埋め込まれており、外部から電 波で情報のやり取りが行なわれる。 IC タグを使っている事例としては、図書館における書籍の貸出・返却の管理、工場における製造 工程管理、家庭用品レンタルにおける使用回数カウント、自動倉庫出庫管理、回転ずしのレジ精算、 ファミリーレストランの制服管理、養豚場の飼育管理などがみられた。そのなかで、本事業で検討し ているトラッキングツールとしての利用形態に近い養豚場の飼育管理に使われている IC タグの利用 状況を調査した。 2.4.1.1 概況 調査した養豚場は、併設されている精肉加工工場とともに、「生産情報公表豚肉」の JAS 規格認証 を取得しており、この JAS 規格のシステムに沿って生産情報を消費者に公表している。ほぼ毎日 100 頭前後の新生豚が誕生しており、半年間の飼育期間を経て、年間約 7 万頭が出荷されている。 新生豚には誕生したその日の内に IC タグが耳に装着され、ID 番号が割り振られる。全ての豚はこ の ID 番号で管理され、母豚、離乳日、餌、豚舎移動日、出荷日などの情報と関連付けられる。成豚 は養豚場から加工工場に移され生肉となり、スーパーなどの小売店を経由し、消費者へと流れる。 成豚が出荷されると耳についている IC タグは加工工場で外されるが、生産管理者名、飼育施設所 在地、成年月日、と殺年月日などの「生産情報」と餌の種類や使用した薬剤などに関する「飼料給餌 情報」が JAS 規格による「生産情報公表フォーム」に記載される。消費者は後述する方法によって購 入豚肉の「生産情報」と「飼料給餌情報」を閲覧することができる。

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2.4.1.2 IC タグの装着と情報内容 ここで使われている IC タグは、プラスチック製で平面的には直径 3cm 程度の薄いドーナツ型、側 断面は足の短いT型をしている。豚の耳への装着は小型の機械を用いて、IC タグと脱落防止の押え 具を洋服のホックの要領で留める(写真 7、8 参照)。 新生豚の耳に装着される前に、携帯電話を大型にしたようなハンディターミナルを用いて、IC タ グにアルファベットと 11 桁の数字から構成される ID 番号が電気信号として書き込まれる。なお、こ のハンディターミナルは、IC タグへの書き込みと読み取りが可能である。 ID番号の例:A 00051115 106 ■ A は、A から D までの 4 台あるハンディターミナルの名称であり、どの機械で入力したかが分 かるようになっている。 ■ 8 桁の数字は、新生豚の成年月日を表し、この場合は 2005 年 11 月 15 日である。 ■ 次の 3 桁の数字は、当日生まれた豚の順番を表し、この場合は 106 番目の豚であることを示す。 この ID 番号と母豚の情報が関連付けられるとともに、離乳日、餌、豚舎移動、出荷日など誕生か ら出荷までの間の飼育管理に関わる情報が IC タグをハンディターミナルで操作することで ID 番号と 関連付けられ、個々の豚の生産情報と飼料給餌情報とが記録される。 これらの飼育上の情報管理に使われる機材は、次のとおりである。ここで使われている IC タグの 価格は 1 個当たりの 200 円(35,000 個単位当たり)となっている。 ■ IC タグ ■ IC タグ装着具 ■ パソコン ■ ハンディターミナル ■ ハンディターミナルとパソコンを繋ぐ情報伝送装置 パソコン ハンディターミナル ハンディターミナルとパソコンを繋ぐ情報伝送装置 2 台 IC タグ装着具 IC タグ ハンディターミナル パソコン IC タグ装着具 IC タグ ハンディターミナルとパソコンを繋ぐ情報伝送装置 2 台 写真 7:IC タグの装着の様子 写真 8:装着済みの IC タグ 写真 9:必要電子機器 (耳の内側に付いているのが IC タグ、 外側部分は押え具) 2.4.1.3 消費者による情報確認 上記の養豚場で飼育された豚は、加工工場で精肉となり小売店を経て消費者へと流通する。小売店 で購入される精肉のパッケージには小売店がホームページアドレスと生産履歴確認番号を印刷して いる。消費者は、パソコンを使ってこのホームページにアクセスし、所定の欄に生産履歴確認番をイ

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ンプットすると、購入した豚肉の生産管理者名、飼育施設所在地、成年月日、と殺年月日などの「生 産情報」と餌の種類や使用した薬剤などに関する「飼料給餌情報」を閲覧することが出来る。ただし、 このシステムが利用できるのは、「生産情報公表豚肉」の JAS 規格認証を取得している「認定小分け 業者」によって小売販売されたものに限られる。 このように生産情報、飼料給餌情報を消費者に公表することは、消費者に対して安心と安全をアピ ールすることで消費者の「食」に対する信頼を図ることが目的となっている。更に養豚場としては、 個々の豚の肉質と生産情報・飼料給餌情報との関連性から、肉質の改良に役立つ飼育方法に関する情 報を得られるメリットがあるとしている。 2.4.2 二次元バーコードの利用状況調査 バーコードが横方向のみに情報を持っているのに対して、二次元バーコードは縦横方向に情報を持 っており、情報量が多い。それぞれの一般的な形を示すと次のとおりである。 バーコード 二次元バーコード 図 2.6 バーコードと二次元バーコード 二次元バーコードを使っている事例としては、生鮮野菜、牡蠣及びシジミのトレーサビリティなら びに食品製造工場の原材料管理などがみられた。生鮮野菜と牡蠣についてはスーパーで商品を購入し、 二次元バーコード判読機能付き携帯電話を用いて実際に情報を検索した。シジミについては二次元バ ーコードを発行している現場へ行き、利用状況を調査した。 2.4.2.1 概況 (1)生鮮野菜と牡蠣の二次元バーコード 東京都内のスーパーで二次元バーコードがパッケージに印刷されたジャガイモと牡蠣を購入した。 ジャガイモのパッケージには、スーパー自体が運営している二次元バーコードが印刷されている。こ のスーパーでは様々な野菜のパッケージに二次元バーコードを付いている。牡蠣の方は中間業者が運 営しているものである。 二次元バーコード判読機能付き携帯電話を用いてコードをスキャンするとジャガイモの場合も牡 蠣の場合もホームページアドレスが画面に表示される。携帯電話でそのホームページにアクセスする とジャガイモの場合は生産者の名前、顔写真、生産地名、品種名、生産管理した農業協同組合名とそ の住所と電話番号などが表示される。牡蠣の場合は、ホームページにアクセスした後にパッケージに 記載されているロット番号を所定の欄にインプットすると生産者名、生産海域名、加工年月日などが 表示される。 これらは産地、生産者などを明らかにすることで消費者の安心感を得て、購買の拡大を計ることを 目的にしていると思われる。

表 1.2  調査したコンセッション
表 2.5  英国以外の EU 諸国の取り組  国  木材調達政策  デンマーク  熱帯材の調達に際しては、合法的かつ持続的管理をされた林産物とすること。  2003 年に発行されたガイドラインを 1、2 年のうちに見直す。  フランス  熱帯材のみならず全木材の調達に関して FSC 又はその他の制度の認証を受けたものであるこ とを要求するという政策を 2002 年に発表した。現在ガイドラインを修正中である。  ドイツ  1970 年代にすでに公共事業計画で使用する熱帯材は、持続的に管理された森林からのもの
表 2.7  作成書類とその検査等  17 場所  作業  作成書類  提出部数  書類の承認者  丸太への情報添付  情報の種類 ・ 年次伐採作業区域立木調査報告書(LHC-BK) ・ 4 部 ・ 州営林局長 伐採予定地 伐 採 予 定木の特定 ・ 伐採作業区画立木調査報告書(LHC-PK) ・ 4 部 ・ 州営林局長 伐採地 伐採 ・ 根株表面にノミによる刻字  ・ 年次伐採作業区画・区域番号 ・ 立木番号 ・ 樹種名 ・ 伐採日 ・ 年次計画番号 山土場 玉 切 り と計測 ・ 丸太計測野帳(BU-K
図 2.7  生産者から消費者までの流れ  1 1.ラベル発行 4.生産者と仲卸業者の関連付けと      生産地情報をサーバーへ転送  サーバー 7.消費者はラベルに付いた二次元バーコードをスキャンしてサーバーにアクセス。情報の入手 http://www ラベルの移動 シジミの移動  2.ラベル添付と 出荷 3.入札 5.販売 6.小分けと販売 漁協 仲卸業者 小売店 消費者 生産者 .ラベルの発行(漁協における作業)  ■ パソコン上で生産者別、シジミのサイズ(大・中・小)別にラベル枚数を登録  て

参照

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