• 検索結果がありません。

実証調査の方針

ドキュメント内 日・インドネシア (ページ 40-44)

3.1 トラッキングツールの比較と選定

第 2 章で述べたインドネシアにおける丸太搬出状況調査、日本国内におけるトラッキングツールの 活用状況の調査結果及びその他収集した情報を踏まえ状況を整理すると次のとおりである。

丸太搬出の状況

■ 熱帯地域であるため日射が強いなど自然環境が厳しい。

■ 搬出路としては陸上、水上の両者があり、ホコリ、水の影響を受ける。

■ 特に筏の場合は木口同士の衝突による衝撃がある。

■ 丸太への情報添付方法としては、ノミによる刻字が規則であるものの、技術的な難しさからペ ンキ、ラベルなどの代替方法が用いられている。

■ 丸太搬出現場は奥地であるため、電話回線やアンテナから遠く、インターネットへの接続は困 難である。

トラッキングツールの特徴

■ IC タグは価格が高く、二次元バーコードは安価である。

■ IC タグは情報の書き込み読み出しがその場で可能であり、かつ繰り返し使えることが長所で はあるが、繰り返し利用は産地偽装に繋がる恐れもある。

■ IC タグには読み出しだけの種類もあるが、データベースと繋いで情報内容を検索する必要が ある。

■ バーコードは表面の傷で判読不可となるが、二次元バーコードは傷に強い。

■ バーコードはデータベースと繋いで情報の検索が必要であるが、二次元バーコードは情報容量 が大きく、それ自体に情報を入れることが可能であるため、データベースで検索する必要が無 い。

■ バーコードにも情報容量の大きい種類もあるが、傷に弱いのは同じである。

日本国内では二次元バーコードの利用の多くが携帯電話によるインターネットへの接続を簡素化 する手段として利用されている。一方、インターネットのための中継基地の少ないインドネシアでの 森林地帯の現場を考えると同様な手法を用いるのは困難である。しかし、インドネシアにおける丸太 搬出の状況と、二次元バーコードの特徴を合わせて考慮すると、データ容量が大きいこと、傷に強い こと、その場で情報の内容が確認できる二次元バーコードは本事業で用いるトラッキングツールとし ては有望である。

二次元バーコードを印刷する基材としては、めくれず、環境に耐えるものが望ましく、次のような 特徴を有する PET(Polyethlene Telephthalate)樹脂カードは有望である。

■ 高い強度と剛性がある。

■ 熱と湿気に強い。

■ 焼却時に塩素ガス、ダイオキシンの発生が少なく、環境上好ましい。

■ 最近は鉄道の定期券、バスカードなどに広く利用されている。

PET 樹脂カードを丸太に留める機材としては、林業の現場で広く利用されているガンタッカーが望 ましいと考える。マレーシア材に添付されているカードもガンタッカーあるいはそれに類似した道具 が使われている。

3.2 トラッキングツールに入れる情報

PET 樹脂カードは、名刺サイズのものが適当かと思われる。次の基本項目を次図の配置で印刷して 準備する。

■ 林業省の名称とマーク

■ 伐採箇所を記載する位置

■ 丸太番号を記載する位置

■ カードの通し番号を記載する位置

図 3.1 カードの事前印刷(案)

林業省 林業省マーク

カードの通し番号

No. Kartu

Blok Kerja Petak Kerja

No. Pohon

丸太番号

伐採作業区画 年次伐採作業区域

DEPARTEMEN KEHUTANAN

図 3.1 カードの事前印刷(案)

上記の事前に準備したカードに二次元バーコードを印刷する。また、二次元バーコードが読めない 場合でも肉眼で最小限の情報が分かるように、事業者名、年次伐採作業区域番号、伐採作業区画番号、

丸太番号を印刷する。また、カード枚数の管理のためのカード通し番号を印刷する。樹木の伐採許可 は、年次伐採作業区域立木調査報告書に基づき年次伐採作業区域毎に与えられていることから、カー ドの通し番号は、事業者毎かつ年次伐採作業区域毎に管理することが想定される。更に、丸太の合法 性を強化するためにカードを添付した後にカードの縁に割り印を押すなどの方法も検討する。

DEPARTEMEN KEHUTANAN P.T. ITC

Blok Kerja RKT2006

Petak Kerja 15 No. Pohon 5170B

No. Kartu 06-105678

事業者名

図 3.2 カードの最終印刷(案)

二次元バーコードに入れる情報としては次の項目が考えられる。なお、インドネシア語による表記 例を参考に示すと右列のとおりである。

書き込む項目 インドネシア語表記例

■ 事業者名 IUPHHK P.T. ITC

■ 丸太伐採報告書番号 LHP-KB 2006MEI-II

■ 年次伐採作業区域番号 Blok kerja RKT2006

■ 伐採作業区画番号 No. Petak 15

■ 丸太番号(玉番号を含む) No. Pohon 5170B

■ 樹種名 Jenis Meranti Putih

■ 材長 Pjg 11.8m

■ 平均直径 Rata2 56cm

■ 材積 Volume 2.91m3

■ カードの通し番号 No. Kartu 06-105678

インドネシアにおける丸太搬出状況調査結果においては、山土場で丸太計測野帳が作成され、丸太 伐採報告書は主に山土場近隣の仮設事務所で作成されている。仮設事務所では発電機を用いてパソコ ンも利用されており、事業者がカードへの二次元バーコードの印刷もこの施設で行ない、山土場でカ ードを丸太に添付する。カード印刷などの基本的な考え方は次のとおりである。

1.当局により年次伐採作業区域立木調査報告書の審査を経て伐採量と本数が許可されているた め、当局は許可本数と玉切り本数の想定に基づいたカード枚数を事業者に配布する。このとき 配布されるカードは図 3.1 で示した事前に基本事項が印刷されたものである。

2.事業者はそのカードに必要事項(図 3.2 の内容)を印刷し、山土場で丸太に添付する。

3.事業者は、年次伐採作業区域の伐採が終了した時点で余ったカード及び印刷ミスしたカードを 当局に返却する。

4.当局は、カードの配布枚数と返却枚数とから利用枚数を算定するとともに、丸太林産物一覧表 との照合によってカード枚数と搬出丸太本数の整合性を審査する。

事業者のカード印刷の手順としては次の 2 方法が考えられる。

手動入力

データ手書き データ手動入力

転送

打出し 打出し

打出し 打出し 打出し

直径・材長計測作業

丸太計測野帳 ハンディターミナル

方 法 1

パソコン

カード

丸太伐採報告書 丸太計測野帳

カード パソコン

方 法 2

丸太伐採報告書

図 3.3 カード印刷の手順

方法1は、従来の方法どおりに手書きの丸太計測野帳のデータを手動でパソコンに入力し、丸太伐 採報告書を作成する一方、同じデータを用いてカードを打出す方法である。

方法 2 は、直径と材長を計測する時点でデータをハンディターミナルに直接入力する。そのデータ をパソコンに転送し、丸太計測野帳と丸太伐採報告書を作成するとともにカードを打出す方法である。

方法1の場合は、丸太計測野帳の手書きとパソコンへの入力と、手動による入力が 2 回ある。一方、

方法 2 の場合は手動による入力はハンディターミナルへの入力 1 回のみであるため入力ミスの危険性 が低下するメリットがある。

図 3.3 のカード印刷の手順では、ハンディターミナルをデータ入力のために使用する方法をあげた が、ハンディターミナルは二次元バーコードをスキャンしてデータを読み込むと同時に読み込んだデ ータを画面に表示できる機械である。データを表示しているイメージとして、次の図を示す。

Rata2 56cm

Volume 2.91cm3 No. Kartu 06-105678 Petak kerja 15 No. Pohon 5170B

Jenis Meranti Putih

Pjg 11.8m

IUPHHK P.T. ITC LHP-KB 2006MEI-II Blok kerja RKT2006

図 3.4 ハンディターミナルの画面表示イメージ

丸太に付けられた二次元バーコードをハンディターミナルでスキャンすることにより、丸太情報を チェックできると同時にチェックした丸太のデータを集積することができるため、パソコンとプリン ターを活用して丸太の一覧表を作成することも可能である。この機能を使うことによって、林内貯木 場で丸太林産物一覧表(DHH-KB)を作成することも考えられる。

これらの一連の作業に必要な機材と 1 台当たりの概ねの価格を参考にあげると次のとおりである。

■ ハンディターミナル 25~30 万円

■ ハンディターミナル操作ソフト開発 15 万円

■ パソコン 20 万円

■ 二次元バーコードプリンター 60~70 万円(ソフト込み)

■ プリンター 5 万円

■ ガンタッカー 1 万円

■ PET 樹脂カード 5 万円/5,000 枚(事前印刷費含まず)

ドキュメント内 日・インドネシア (ページ 40-44)

関連したドキュメント