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日本史B

ドキュメント内 地理歴史 (ページ 66-84)

第2章 各科目

第4節 日本史B

5 (1) 科目の性格

「日本史B は 地理歴史科に属する標準単位数4単位の科目である 平成元年の改訂において」 , 。 , それまでの「日本史」を基盤にして設置された,日本史を総合的な観点から学習する科目である。

, 。

小学校においては 我が国の歴史の主な事象を人物の働きや代表的な文化遺産を中心に学習する 中学校の歴史的分野においては,我が国の歴史の大きな流れを世界の歴史を背景に学ぶ。

10 高等学校の「日本史B」においては,我が国の歴史の展開について,世界史的視野に立って各時 代の特色及び変遷を総合的に考察させ,我が国の伝統と文化についての認識を深めさせることを科 目の基本的な性格としている。これは,学習の対象を狭い意味の自国史のみに限定することなく,

各時代における国際環境との関連を視野に入れ,空間的なかかわりや世界史的な観点から我が国の 歴史と文化を考える学習を重視したものである。そのためには,我が国の歴史の展開について,政

15 治や経済,社会,文化,国際環境など各時代の特色及びその変遷にかかわる総合的な考察や,それ に基づく歴史的思考力の育成が重要である。この点に,高等学校段階の日本史学習としての「日本 史B」の特性があるといえる。

(2) 目 標

20

我が国の歴史の展開を諸資料に基づき地理的条件や世界の歴史と関連付けて総合的に考察さ せ,我が国の伝統と文化の特色についての認識を深めさせることによって,歴史的思考力を培 い,国際社会に主体的に生きる日本国民としての自覚と資質を養う。

25 目標は,次の部分からなっている。

第1の部分は,冒頭の「我が国の歴史の展開を諸資料に基づき地理的条件や世界の歴史と関連付 けて総合的に考察させ」までである。ここでは「日本史B」の基本的な性格を示している。指導に 当たっては,同じ地理歴史科の世界史や地理との関連を一層重視して,我が国の原始・古代から現 代に至る歴史の展開を,地理的条件や世界の歴史と関連付けて,政治,経済,社会,文化,国際環

30 境など歴史を構成する要素を総合した幅広い見方で大きく把握させるようにする。なお「考察させ る」とは,調べ考えることを重視して理解させることを意味している。

第2の部分は 「我が国の伝統と文化の特色についての認識を深めさせることによって」までで,

。 , ,

ある 歴史の展開を大きくつかませると同時に 各時代の特色とその変遷の総合的な考察を通じて 我が国の文化がどのような特色をもち,どのような伝統が形成されてきたかについての認識を深め

35 ることを一層重視するという趣旨を述べている。

第3の部分は 「歴史的思考力を培い,国際社会に主体的に生きる日本国民としての自覚と資質, を養う」という最後の部分で 「日本史A」と同じ文言である。両科目は,構成や学習内容におい, て様々な相違があり,それぞれ独立した科目であるが,我が国の歴史を学習することによって得ら れる能力や態度については共通の目標を設定しているのである。諸事象の本質をその歴史的な形成

40 ・展開の過程の実証的な考察によってとらえる歴史的な見方や考え方を身に付け,歴史的な思考力 の育成を図るとともに,国際社会に主体的に生き平和で民主的な国家・社会を形成する日本国民と しての自覚と資質を養うことが,この科目の最終的なねらいであることを示している。

2 内容とその取扱い

(1) 原始・古代の日本と東アジア

5 原始社会の特色及び古代国家と社会や文化の特色について,国際環境と関連付けて考察させ る。

, ,

この大項目では 人類が日本列島で生活を営み始めた旧石器文化の時代から平安時代までを扱い 原始・古代がどのような時代であったかを,東アジア世界の動向と関連付けて総合的に考察させる

10 ことをねらいとしている。

従前は 「ア, 日本文化の黎明」と「イれ い 古代国家の形成と東アジア」,「ウ 古代国家の推移と 社会の変化」の三つの中項目で構成されていたが,今回の改訂では,原始社会と古代国家の形成期 を一つにまとめて「イ 日本文化の黎明と古代国家の形成」とし,さらに従前の大項目「(1) 歴史 の考察」の「ア 歴史と資料」をこの大項目に置き 「日本史B」全体の導入として位置付けた。,

15 指導に当たっては,原始社会や古代国家の成立から変質,そしてそれぞれの時代の社会や文化の 特色について,東アジア世界の動向や東アジア世界からもたらされた文物・諸制度が,我が国の国 家や文化の形成に大きな影響を及ぼしたことに留意し,地理的条件とかかわらせながら多面的・多 角的に考察させて,この時代の特色を大きくとらえさせる。

この大項目で扱う時代の学習においては,考古学等による新しい事実の解明によって歴史が書き

20 改められつつあることに気付かせることも大切である。それを踏まえた上で,写真やビデオ等の視 聴覚教材や実物教材の活用,博物館等の利用,遺跡や遺物の見学などを取り入れることは,生徒の 関心や意欲を高めるとともに学習を深化させる上で効果的である。こうした学習を,中項目「ア 歴史と資料」の学習と関連付けて行うよう工夫する。

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なお 今回の改訂では 歴史的事象や事象間の因果関係等について 様々な資料に基づいて調べ

25 多面的・多角的に考察させて歴史的思考力を培うことを重視する趣旨から,従前の「理解させる」

という表現をいずれも「考察させる」と改めた。

ア 歴史と資料

30 遺跡や遺物,文書など様々な歴史資料の特性に着目し,資料に基づいて歴史が叙述されて いることなど歴史を考察する基本的な方法を理解させ,歴史への関心を高めるとともに,文 化財保護の重要性に気付かせる。

(内容の取扱い)

35

ア 内容の(1)のア,(2)のア,(3)のア,(6)のウを通じて,資料を活用して歴史を考察したり その結果を表現したりする技能を段階的に高めていくこと。様々な資料の特性に着目させ複 数の資料の活用を図って,資料に対する批判的な見方を養うとともに,因果関係を考察させ たり解釈の多様性に気付かせたりすること。

40 イ 内容の(1)のアについては,この科目の導入として位置付けること。

ここでは 「様々な歴史資料の特性」に着目して「資料に基づいて歴史が叙述されていること」, などについての理解を図り,歴史に対する生徒の関心を高めるとともに,文化財を保護することの 重要性に気付かせることをねらいとしている。

45 歴史資料には様々なものがあり,それぞれが特色を持っている。新聞・雑誌等を含む文献資料を

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はじめ 建造物や日常の生活用品も含めた遺跡や遺物 絵画や地図 写真等の画像 映画等の映像 それに伝承や習俗,地名,言語など,様々なものが歴史を考察する上での資料となり得ることに気

付かせる。そして,今日に残された資料の有効性や限界等の基本的特性を踏まえ,資料から過去の 出来事や景観,生活,思想,社会,伝統や文化などを推察させる学習活動を通じて,歴史資料が果 たす役割に気付かせ,歴史への関心を高めるようにする。

この「ア 歴史と資料」は,資料を活用して歴史を考察し表現する一連の学習の一つであり,従

5 前と同様にこの科目の導入として位置付けるものである。中学校社会科の学習との関連に留意し,

生徒が興味・関心を持ちやすい具体的な歴史資料を選んで用いるようにする。

例えば,遺跡・遺物や複製品からその用途を推理させたり,絵画資料に描かれた内容から現在と の違いを発見させたりして,その時代の生活の様子を探り,資料に基づいて歴史が叙述されること を理解させることができる。

10 また,博物館・資料館等の果たす役割やそこにある資料,地域の遺跡,景観や無形文化財などに

, , 。

着目させて 文化財保護への関心を高め 地域の文化遺産を尊重する態度を養うことも重要である 科目の導入でそうした学習の大切さに気付かせるとともに,それ以後の学習において,例えば,身 近な地域をフィールドにした調査・見学や教師の指導の下に復元図や復元模型を作成するなどの学 習活動を取り入れるなど,文化財保護の重要性に気付かせるよう指導計画を工夫することが求めら

15 れる。

イ 日本文化の黎明と古代国家の形成れ い

旧石器文化,縄文文化及び弥生文化の時代を経て,我が国において国家が形成され律 令や よ い り つ りょう

20 体制が確立する過程 隋・唐など東アジア世界との関係 古墳文化 天平 文化に着目して,ず い , ,て ん ぴょう , 古代国家の形成と展開,文化の特色とその成立の背景について考察させる。

ここでは,旧石器文化の時代から奈良時代までを扱う。従前,この時期は中項目の「ア 日本文 化の黎明」と「イ 古代国家の形成と東アジア」に分けられていたが,今回の改訂ではこれを一つ

25 の項目にまとめ,原始の時代から古代国家の形成と展開までの時期を,大きな視点でとらえ考察さ せるようにした。

「古代国家の形成と展開」については,原始の社会の概容とその変化にも触れ,小国の形成や互 いの抗争と邪馬台国によるそれらの連合,大和政権による国内統一,律令に基づく国内統治体制の ま た い こ く 整備,奈良時代に至る政治の動向等について,東アジア世界との交流によってもたらされた文物・

30 制度の影響にも着目しながら考察させる。例えば,古墳の分布やその変化に着目して,各地の政治 勢力の関係やその統一の過程を推察させることが考えられる。

「文化の特色とその成立の背景」については,自然環境に着目して旧石器文化と縄文文化の時代 の食料の獲得や呪術的な風習などについて,また稲作の伝播など大陸文化の影響に着目して弥生文じ ゅ 化の時代の社会の変化について考察させる。その際,農耕儀礼等を通して当時の人々の生活におけ

35 る信仰の意味に気付かせる。また,古墳文化の時期においては,文字や各種の技術など大陸から渡 来した人々がもたらした文化に,その後の時期においては,遣隋使,遣唐使の派遣による諸制度の 摂取,国家による仏教の興隆などに着目して,天平文化などに見られる国際性とその成立の背景な どを考察させる。例えば,東アジア世界との交流の諸相を踏まえ,畿内など各地に残る文化財の特き な い

, 。

色に着目して 仏教文化が時代とともにどのように移り変わったかを考察させることが考えられる

40 その際,造寺・造仏や歴史書,地誌の編纂などの国家事業が進められたことに着目させ,古事記,さ ん 日本書紀,風土記に関しては,その中に含まれる神話や伝承を通して古代の人々のものの考え方や 生活をとらえさせる。

45 ウ 古代国家の推移と社会の変化

東アジア世界との関係の変化, 荘 園・公領の動きや武士の台頭など諸地域の動向に着目しょう え ん して,古代国家の推移,文化の特色とその成立の背景及び中世社会の萌芽について考察させほ う る。

ドキュメント内 地理歴史 (ページ 66-84)

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